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28 巻, 2-3 号
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  • 松岡 茂
    1979 年 28 巻 2-3 号 p. 63-75
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    北海道大学苫小牧地方演習林で,同所的に生息する5種のキツツキ(コゲラ,アカゲラ,オオアカグラ,ヤマゲラ,クマゲラ)の繁殖生態を調査した.
    (1)演習林内では,5種とも針葉樹人工林より広葉樹林で個体数が多かった.営巣木は,広葉樹林と二次林内でだけ発見された.
    (2)5種のなかでは,オオアカゲラが最も早く繁殖を開始した(産卵は4月下旬に始まり,雛は6月初旬に巣立った).クマゲラがこれに次いで繁殖に入った(産卵は5月初旬から中旬にかけて行われ,6月中旬に雛が巣立った).コゲラ,アカゲラ,ヤマゲラの繁殖時期は最も遅かった(5月下旬頃抱卵を開始し,雛は6月下旬に巣立った).
    (3)営巣樹種はすべて広葉樹であった.オオアカゲラは,相対的にも絶対的にも樹木の高い所で営巣した.オオアカゲラの巣の約64%は樹冠層から突出した樹木にあったが,他の種ではほとんどの巣が樹冠より低い所にあった.
    (4)コゲラとアカゲラは,葉の表面からとったリン翅目の幼虫をおもに雛に給餌した6オオアカゲラは倒木や切り株の中から採集したクワガタやカミキリの幼虫を給餌した.ヤマゲヲはリン翅目の幼虫とアリを,クマゲラはおもにアリを雛に給餌した.
    (5)リン翅目の幼虫の生物量は,6月初旬から中旬にかけて最大になったが,この時期とリン翅目の幼虫を雛に給餌するキツツキの育雛期はほとんど一致していた.
    (6)「鳥類の繁殖時期は,雛に与える餌の入手しやすい時期と一致している」という見地から,オオアカゲラの繁殖時期の早い開始を論議した.甲虫目の幼虫の効率的利用と関連して,オオアカゲラの体の大きいことが,この種の早い繁殖開始の原因となっていることを示唆した.早い繁殖開始に伴ってみられるオオアカゲラの行動についても言及した.
  • II.低山帯
    古厩 昌幸
    1979 年 28 巻 2-3 号 p. 77-83
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    中央アルプス木曾駒ケ岳の低山帯の鳥相を1年間を通じて調査した.調査方法は,前報(古厩,1978)の高山帯での調査と同様にライントランセクト法を用いた.
    (1)観察された鳥類は,全部で6目18科43種であった.センサスの結果を Table1 に示し,若干の種についてその概要を述べた.
    (2)種類数および個体数は,ともに繁殖期に最大値を示し冬季に最小値を示した.優占度の最も高い種は,少数の例外を除いて繁殖期は,夏鳥と漂鳥によって占められ,繁殖期以外は調査地に留鳥として生息するカラ類5種(エナガ,コガラ,ヒガラ,シジュウカラ,ゴジュウカラ)のうちのいずれかであった.
    (3)雄のさえずりを記録しやすい種について,.さえずり記録数から繁殖番数の推定を試みた.
    (4)コルリ,ウグイス,オオルリでは渡来後にその生息範囲の上限が除々に上がっていくのが観察された.
    (5)カラ類の混群は,繁殖期の3ヵ月間を除いて,すべての調査で観察された.カラ類6種のすべてが混群の構成種となっていた.またカラ類5種を含む混群が3例観察された.
  • 有田 一郎
    1979 年 28 巻 2-3 号 p. 85-95
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    (1)1978年4月下旬から7月末までの約3ヵ月間,神奈川県箱根町を主とする箱根地域でのスズメ Passer montanus の繁殖分布を調べた.調査は1区画面積がほぼ1km2(0.92km×1.14km)の調査区画を用い,面積約132.6km2の地域を対象に実施した.
    (2)各調査区画では,調査経路を15分間歩行して(距離は任意)スズメの生息状況を記録する標準調査を少なくとも1回は実施したほか,特に方法を定めずに生息状況を記録する随時調査を行った.調査の対象とした126区画中125区画について,185回の標準調査と132例の随時調査結果が得られた.
    (3)125区画中62区画でスズメの生息が記録され,そのうち約89%の区画でスズメの繁殖について何らかの徴候が観察された.
    (4)スズメの繁殖分布のパターンは,集落の立地分布のパターンとおおむね一致し,建築物の有無がスズメの繁殖分布のパターンを基本的に決定してしまうと考えられた.さらに建築物が存在するにもかかわらず繁殖に利用されていない区画あるいは集落から離れていても繁殖に利用されている区画があることを検討した結果,スズメの繁殖分布には建築物の有無よりも,むしろ人間の日常的な生活活動が営まれている場であるか否かの点が深く関係している可能性が示唆された.
  • 松岡 茂, 小嶋 研二
    1979 年 28 巻 2-3 号 p. 97-98
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    1976年7月,北海道大学苫小牧地方演習林で,巣立ち後のクマゲラの巣穴からふんを採集した.その内容物を分析した結果,昆虫類(アリ3種,ハサミムシ1種)とクモを検出した.これらの中ではアリ類が多かったが,その中でもトビイロケアリ Lasius niger (8,402個体,全餌動物数の約91%)が特に多かった.また,ムネアカオオアリ Camponotus obscripes がこれに次いで多かった(865個体,約7%).これらのアリは,クマゲラの育雛後期における雛の主要な食物と考えられる.
  • 1979 年 28 巻 2-3 号 p. 106
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/09/11
    ジャーナル フリー
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