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  • 山岸 哲, 藤岡 正博
    1986 年 34 巻 4 号 p. 91-96
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    (1)1984年と1985年に長野県安曇野地方においてオナガの社会学的研究をしたさい,カッコウによる托卵が見られたので,その頻度とオナガの托卵への対応,カッコウの密度などについて調査した.
    (2)ほぼ全ての巣を発見できたオナガの3群の計41巣中31巣(75.6%)とその周辺の7群の計30巣中15巣(50.0%)でカッコウの卵が見つかった.全托卵例46巣中8巣では2個の,1巣では3個のカッコウ卵が産み込まれていた.
    (3)5月中旬に初卵が産まれた巣での托卵率(11.1%)はそれ以後に初卵が産まれた巣での托卵率(68.8%)よりも低かった.
    (4)産み込まれていたカッコウの卵の大きさ(23.4×17.4mm,n=13)は,オナガの卵(27.67×20.16mm,n=16)より小さかった.
    (5)カッコウとオナガの托卵-被托卵の関係は両種の長野県内での分布の拡大にともなって最近生じ,そのことが高頻度の托卵をもたらしているものと思われる.オナガが産卵期に長時間巣を留守にしてしまうこともカッコウに托卵されやすい要因の一つだろう.
  • 岡 奈理子, 丸山 直樹
    1986 年 34 巻 4 号 p. 97-104
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    1983-1985年5-6月.愛知県渥美半島,千葉県九十九里浜および青森県小川原海岸に設定した全長20kmのトランセクトで,ハシボソミズナギドリ Puffinus tenuirostris の斃死鳥カウントを行なった.九十九里浜では,1984年の44羽/kmをピークとして,1983年に32.5羽/km,1985年に26,8羽/kmを記録した.これらの値は,平年値12,3±5.7(SD)/km(1976-1982年)をはるかに上回った.同様に渥美半島でも1983年に16.4羽/km,1984年に47.6羽/kmと高い斃死密度を記録したが,1985年は145羽/kmと減少した.小川原海岸では,1983,1984両年は斃死鳥がきおめて少なかったが,1985年には5.6羽/kmと増加した.この大量斃死の北上傾向は,沖縄県から北海道までの太平洋岸各県の鳥獣担当部局の調査結果でも認められた.
    頭骨骨化の進行からみた齢査定では,採集発死鳥2,258羽の99%以上がその年生まれの幼鳥と判定され,その体重は286.4±22.3(SD)g(n=59)と測定された.これは漁網にかかった事故死鳥の体重399.4±32.7(SD)g(n=22)よりも約110gも軽く,今回の大量斃死の主因が極度の貧栄養にあることを示唆している.本種の大量斃死は,日本では1964年と1973-1975年に,オーストラリアでは,1934,1942,1954年に記録されており,この発生周期として,約10年が考えられる.今回の大量斃死も前回から丁度10年を経過して発生した.
  • 1. 繁殖生態,人工ふ化および飼育管理
    芳賀 良一, 鷹股 修一
    1986 年 34 巻 4 号 p. 105-125_2
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    エゾライチョウの繁殖生態について,北海道東部の十勝および釧路地方において,1983年と1984年に調査を行なった.また,両年に野外の巣から採卵した58卵と,飼育下で産卵した9卵合計67卵を用いて,人工ふ化および飼育に関する研究を行った.
    (1)営巣環境は,針葉樹林,針広混交林,カラマツ人工林,トドマツ造林地やササ地などであり,環境選択の範囲が広かった.
    (2)営巣期は,5月上旬から6月下旬で,1984年のふ化日は6月下旬の約10月間に集中していた.
    (3)産卵数は,調査した11巣では4-9卵で,平均7卵であった.抱卵は雌だけが行い,巣立ちはふ化日の翌日であった.
    (4)飼育下における番いの雌雄は,配偶期に特徴的な交尾前行動を行い,その後に交尾した.造巣は雌が1日で造った.また,補充産卵性を利用して21日間に14卵を得た.
    (5)ふ化率は,ふ卵器で93%,チャボによる母鶏ふ化で71.4%で,抱卵日数は25日であった.
    (6)飼育については,ふ化後5週齢までは25°Cの育雛ケージで飼育し,餌は粗蛋白質を13-19%に調整して与えた.ひなは,休息と活動を周期的に繰り返し,集団的な行動をとる傾向が認められた.ひなの発育にともなう形態変化は顕著であった.
    (7)6週齢からは飼育舎に移し,5-8羽を1群として飼い,餌は粗蛋白質を13-15%に調整して与えた.この時期から羽つくろいや砂浴びなどを行い,行動に多様化が認められた.また,尻つつきが多発するようになった.
    (8)16週齢から成鳥とし,2-3羽を1群とした.餌は粗蛋白質を非繁殖期には10%,繁殖期には15%以上に調整して与えた.この時期から雌雄の特徴も明瞭になり,しばしば,誇示行動,雌追い,囀りなど,繁殖期と同様の行動が認められた.
  • 伊藤 信義
    1986 年 34 巻 4 号 p. 127-143
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    日本におけるクロトキの生息記録を調べて,下記の結果を得た.
    (1)日本におけるクロトキの生息記録は,1874年の第1例から1985年までに77観察例(95報告),115羽で,記録は近年増加の趨勢にあるが,それは観察人口の増加によるところが大きいであろう.
    (2)報告別の個体数はほとんど(84.4%)が1羽であるが,18羽という記録もある.さらに,ほとんど(92.1%)が若鳥であった.
    (3)観察された地点は北海道から沖縄県にわたる1道•1都•1府•24県で,ほとんど(80.5%)が北緯32°-36°にあった.観察例の多いところは,千葉県市川市行徳附近,兵庫県加東郡社町附近および鹿児島県出水市荒崎附近であった.
    (4)採食地はほとんど(96.2%)が水辺ないし湿地で,サギ類と群れているものが多く,;塒からの距離は多くは2-3kmであった.
    (5)観察は周年にわたっていて,季節的特徴はない.
    (6)同一地域での観察期間は,1年以上にわたるものもあるが(7.7%),約半数(54.5%)は1日だけであった.
    (7)1700-1850年頃には現在よりも多かったのではないかと思われるが,繁殖していた確証はない.
  • Walther THIEDE
    1986 年 34 巻 4 号 p. 145-146
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    筆者は1971年5月にビルマに1週間滞在し,ラングーン,マ ンダレー,およびパガンにおいて約26種の鳥類を観察した.そのうち特記すべきものとして,Sterna arcuticauda の観察と,Sturnus burmannicus-stristis の関係について言及した.
  • 綿貫 豊, 青塚 松寿, 寺沢 孝毅
    1986 年 34 巻 4 号 p. 146-150
    発行日: 1986/02/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    A survey of seabirds breeding on Teuri Island (44°25′N, 141°19′E) was conducted in July 1984 and April to August 1985. The numbers of breeding pairs were estimated as Larus crassirostris, 29, 466 : L. schistisagus, 414 ; Phalacrocorax filamentosus, 766; P. pelagicus, 12; Uria aalge, 217; Cerorhinca monocerata, 172, 041. Synthliboramphus antiquus and Cepphus carbo also breed on the island. The two Larus species and P. filamentosus have increased in numbers, while U. aalge and C. carbo have decreased recently.
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