北海道大学苫小牧地方演習林内の森林観測塔に設置された巣箱をねぐらとするヤマゲラ(雄3羽,雌1羽)のふんを採集し,分析した.
(1)同定できた餌は,動物質のものが33種,植物質が6種であったが,その中の重要な餌は,小型のアリ
Lasius niger,ウルシ(ツタウルシとヤマウルシ
Rhus spp.)の種子,それにフクログモ類
Clubiona spp. であった.
(2)雄の間では,同じ年に採集した2個体のふんの内容はきわめて似ていた.この2個体とその前年の1個体のふん内容は,植物質の割合が一部違うものの,全体としてはかなりよく似ていた,
(3)雄と雌の食性の類似性も高かった.
(4)ねぐらで採集されたふんと,日中に採集されたふん内容を比較したところ,それらの間に大きな差はみられなかった.
(5)以上の点から,ヤマゲラの冬期間の食性は,個体間,雌雄間での変異は小さく,またねぐらで採集したふんはヤマゲラの日中の食性をも表しうるものと考えられた.
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