Online ISSN : 1881-9702
Print ISSN : 0040-9480
33 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 藤岡 正博
    1984 年33 巻1 号 p. 1-12
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    (1)1978年と1982年に三重県鈴鹿市のサギ類集団繁殖地でアマサギ(Bubulcus ibis)における非同時孵化と雛の成長•生残について調査した.
    (2)35巣での平均一腹産卵数は4.34であった(1978年のみ調査).卵は2日以上,平均2.27日の間隔で早朝に産まれた.
    (3)初卵産下日の数日前より両親とも次第に抱卵行動を始めた.平均孵化間隔は1978年には1.88日,1982年には1.93日であった.
    (4)産卵間隔および孵化間隔はそれぞれ産卵期,孵化期の後半に長くなる傾向があった.
    (5)2年分の平均孵化期間は6.3日(N=72)で,最長は16日に及んだ(3例).
    (6)第1子と中間の雛はその巣の雛数にかかわらず同様に成長したが,1978年の雛数4と5の巣および1982年の雛数3と4の巣の末子の成長率は早うまれの兄弟より低かった.
    (7)雛数4と5の巣の第4子と第5子は第1~3子より多く死亡した.後者が様々な事故で死亡したのとは対照的に,前者の死亡原因は餓死や兄弟殺しであった.
  • 伊藤 信義
    1984 年33 巻1 号 p. 13-28
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    1975年10月から1983年9月まで,滋賀県,大阪府,奈良県および岡山県の7か所でコサギを中心とするシラサギ類の就塒行動を調査して,次の結果を得た.
    (1)コサギは就塒前集合をする.就塒前集合の観察されるのは,非繁殖期だけである.
    (2)就塒前集合には,集合場所が塒から隔たった一定の場所である場合(タイプA),集合場所が塒の所在する林の一部である場合(タイプB),集合が塒の所在する林の上空で群翔しながら行われる場合(タイプC)の3つのタイプが観察された.
    (3)就塒前集合はタイプAの観察例が大部分を占め(71.4%,N=7),これが原型であろうと推測された.塒と採食地の間にタイプAの集合のできる場所が得られない場合はタイプBになり,タイプCはタイプBに対して外敵などの抑制因子が働いたときに生起するものと考えられたが,タイプCはこのほかに温かな日に採食地に遅くまでいてからこぞって帰ってくるときにみられ,この場合は集合の全部がタイプCにより行われた.
    (4)ひとつの塒に対する集合のタイプはほぼきまっているが,場合によっては相互に移行した.
    (5)タイプB•Cでは1か所の集合所から1か所の塒へ就塒したが,タイプAではこのほかに,1か所の集合所から2か所の塒,2か所の集合所からまとまって1か所の塒へ就塒する3通りが観察された.
    (6)集合所での行動は,タイブAでは休息•採食•水浴びであった.タイプBでは休息のみであるが,集合の後半に舞い上がっては舞い降りる就塒前活動が認められた.タイプCでは塒の上空での回翔である.
    (7)就塒前集合所としての条件は,いずれのタイプでも「ヒトを含めて外敵の接近し難いこと」である.同じ塒でも,短期間内での比較的頻繁な位置移動がある.そして,塒位置の選定要因として,安全性のほかに防寒性があげられる.
    (8)コサギの就塒行動には採食地集合および帰塒経路の中間での集合がなく,就塒前集合のみである,就塒前集合所と塒の距離は最短で5m(タイプB),最遠で5,500m(タイプA)であった.
    (9)就塒前集合を経ない就塒(直接就塒)は,タイプB•Cのときは集合所からの集団就塒が開始された以後のみに行われ,タイプAのときは集団就塒が開始された以後とそれ以前にもみられた.
    (10)じゅうぶん分析に足る資料の得られたタイプB•Cの就塒前集合は,次のとおりであった.
    (i)集合個体数は就塒全数の70.6%であった.
    (ii)集合に要した時間は平均128.0分で,これは集合開始から直接就塒の終了までの時間の81.2%にあたった.
    (iii)集合所への飛来は平均150.4回で,飛来ごとの個体数としては1羽が平均54.3%を占めた.
    (iv)集合所からの集団就塒は,平均4.5群に分かれて,平均5.1分間で行われた.
    (v)就塒に要する時間は平均26.5分であった.
  • 鮫島 正道, 大塚 閏一
    1984 年33 巻1 号 p. 29-38
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    18目42科105属147種(亜種を含む)353個体の日本産および外国産の成鳥と推定した鳥類の晒骨標本を作成し,胸椎について胸椎数とnotariumの形成様式を検索した.
    (1)胸椎は6-12個と変異に富んでいた.椎骨数は同一科内,同一種内でも変異が大きかった.
    (2)Notariumは9目12科42種103個体の鳥類に存在した.
    (3)Notarium の存否,それを形成する胸椎の数や位置,胸椎の synsacrum への参加数は胸椎数と同様に同一科内,同一種内においても変異が大きかった.
    (4)Notarium は飛翔力の弱いキジ目の全種に存在する一方ゴハト科,ハヤブサ科,ツル科そしてフラミンゴ科などにも存在するので notarium の存否を飛翔と短絡的に関係づけることはできないと推察された.
  • 大原 均, 山岸 哲
    1984 年33 巻1 号 p. 39-41
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    長野県下伊那郡喬木村字大和知地籍(標高約700m)のヒノキ林で,1981年4月29日に,ヤブサメの1巣を発見した.育雛中期の5月30日に,3羽の成鳥がこの巣へ通っているのに気付き,5月31日日に228分間の連続観察をして,各個体の育雛活動を記録した.3羽のうち2羽は両親で,残りはヘルパーであると推測される.ヤブサメのヘルパーの観察例は本邦初記録である.
  • 福田 道雄, 金田 彦太郎, 荒井 秀一郎
    1984 年33 巻1 号 p. 43-44
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    An adult male Ring-necked Duck Aythya collaris was observed at Shinobazu Pond, Tokyo, from February 29 through April 9, 1984. It was seen with flocks of Pochards Aythya ferina and Tufted Ducks A. fuligula. This is the second record of Ring-necked Duck in Japan.
  • 飯嶋 良朗
    1984 年33 巻1 号 p. 44-46
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    1973-1983年の間に,北海道では稀なアマサギ,ダイサギ,チュウサギ,コサギが十勝南部の大樹町において観察された.アマサギは1973年に初めて観察され,1977年以後は毎年観察された.飛来数は年々増加し,おもに中•東部の牧草地や畑で観察される.ダイサギとチュウサギは1981年および1983年の5月に歴舟川河口および周辺の池で観察されたが,行動を共にしている場合が多かった.観察数はダイサギが1-2羽,チュウサギは1羽であった.コサギは1976.1978,1981,1982,1983の各年に,主として歴舟川河口で観察された.1981年4月には,市街の歴舟川川原に1羽が飛来した.1976年に2羽で観察された以外は,すべて1羽の観察であった.
feedback
Top