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31 巻, 2-3 号
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  • 羽田 健三, 岩崎 文
    1982 年31 巻2-3 号 p. 41-56
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    (1)1978年から1981年にかけて,長野県北部に位置する善光寺平において,コサギの分布と個体数変動に関する調査を行なった.
    (2)繁殖コロニーと塒は,河川にそって形成されていた.塒が使用される時期は,塒ごとに毎年ほぼ決まっており,規則的であった.
    (3)個体数は,繁殖終了後急増し,翌年の繁殖期にかけて徐々に減少した.しかし,繁殖個体数の年々の増加とともに,繁殖終了後の増加は年々小規模となった
    (4)日中の分布は,繁殖期にはコロニー周辺に集中していたが,繁殖終了後まもなく調査地域全域に広がった.
    (5)採食範囲は,繁殖期にはコロニーから7kmないし13kmであった.しかし,非繁殖期には,繁殖期のほぼ半分で,塒から7.4km内と狭まった.
    (6)採食範囲の重なりは,繁殖期にはなく,非繁殖期にだけみられた.コロニーの大きさと採食範囲の広さとの間には,明確な相関関係が見い出せなかった. (7)コサギは1970年頃までは長野県下でまれであった.それが善光寺平で個体数が増加し,繁殖が開始され,繁殖個体数の増加後に減少がみられた理由,および非繁殖期に塒を分散させる要因について考察した.
  • 唐沢 孝一
    1982 年31 巻2-3 号 p. 57-68
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    千葉県千葉市の千葉大学西千葉キャンパス内で繁殖したモズ(孵化後4-5日の育雛初期)の捕食行動を,1977年7月22日-23日に調査し,以下の結果を得た.
    (1)雌雄のモズによる捕食行動は,7月22•23日の両日に,195回(雄149回,雌46回)観察され,捕食に成功したのは137回(雄107回,雌30回)であった.捕食に成功した回数のうち,50回については捕食した動物を観察できた.それによると,無脊椎動物が88%を占め,脊椎動物ではスズメ,カナヘビが観察された(Table1).捕食成功率は,雄71.8%,雌65.2%であった.また,雄の捕食した餌の84.1%(90回)は雛に給餌され,雄中心の給餌がみられた.
    (2)捕食法は,飛びおり捕食法,フライキャッチ法,追撃法の3タイプが観察された.このうち,飛びおり捕食法は113回(57.9%),フライキャッチ法26回(13.3%),追撃法11回(5.6%)であった.観察回数は飛びおり捕食法が多いが,捕食成功率では,飛びおり捕食法の69.9%に対し,フライキャッチ法が92.3%と著しいく高い功率を示した.追撃法による捕食成功率は9.1%であった.
    (3)捕食のために飛び立つ地点,すなわち出撃ポストの地上高としては,3-5m,8m付近が最も多く利用された.雄では0-16mの広域に及ぶのに対し,雌では8m以下の出撃ポストが利用された.また,獲物を捕食した地点の分布についても,雌雄での重複をさける傾向がみられた.
    (4)雛への給餌では,スズメ若鳥を捕食し,小枝に刺し,これを次々と肉片に引き裂いて雛に与えるのが観察された.このようなはやにえ給餌は,給餌回数の31.3%を占め,7月23日では,雄の給餌した50.7%に達した.こうしたモズのはやにえ給餌は,繁殖期のモズにごく普通にみられる習性であり,雛が丸のみに出来ない比較的大きな獲物を捕えたときの餌の処理法として,モズの育雛にとって重要な意義をもっていると考えられる.
    (5)観察したつがいのモズの行動圏は,雄2,500-3571m2,雌1,071-1,786m2で,雄ではやや広く,雌では巣の周辺に限定されていた.また,すでに報告のあるモズのテリトリー面積よりも著しく狭いものであった.
  • 福田 道雄
    1982 年31 巻2-3 号 p. 69-74
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    (1)1981年4月から9月までの間に,青森県下北半島にある2か所のカワウのコロニー(市柳沼コロニー43巣,山辺沢沼コロニー34巣)で繁殖状況を調査した.
    (2)コロニー内の造巣位置と造巣時期との間には一定の傾向はみられなかった.コロニー全体では巣の密集した部分と分散した部分があり,造巣密度に片寄りがみられた.
    (3)巣の密集部と分散部で繁殖成績を比較したところ,育雛のあった巣の割合は,市柳沼のコロニーでは密集部の方がよかった.
    (4)繁殖期を前半期(5-6月)と後半期(7-9月)に分けて繁殖成績を比較すると,平均巣立数は前半期の方がよかった.
  • 唐沢 孝一
    1982 年31 巻2-3 号 p. 75-76
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    An experiment on germination of the seeds collected from bird droppings was carried out from February 3 to March 25, 1978. The species of the seeds were Ligustrum japonicum and Paederia scandens, both of which are widely distributed and are abundant in urbanized areas in Tokyo. The seeds of these plants are found quite commonly in the droppings of fruit-eating birds, such as Brown-eared Bulbuls, Hypsipetes amaurotis. The material of the experiment consisted of the following 3 groups; (A) seeds obtained from bird droppings, (B) seeds with the pericarp removed artificially, and (C) seeds with the pericarp intact.
    The results of the experiment are given in Figs. 1-2. The seeds of A group, which passed through a bird's digestive tract, showed a tendency to germinate earlier and have a higher germination rate than the others (B and C groups). In the case of L. japonicum seeds, A and B groups showed 100% rate of germination, This suggests that a germination-inhibiting material included in the pericarp was removed in the course of digestion in the digestive tract of birds. But in the case of P. scandens seeds, B group showed a lower germination rate than A group. Consequently not only the removal of the germination-inhibiting material but some other factors, such as physical impact on the seeds by the bird bill, may also be involved.
    Recently the population of Brown-eared Bulbul is increasing in urbanized areas. They eat fruits of L. japonicum and P. scandens, digest part of the pericarp, and drop the seeds with their droppongs. Such seeds have a higher percentage of germination. Thus it apears that fruit-eating birds such as the bulbuls is taking part in vegetation changes in the urbanized areas.
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