仕事を進めるうえでビジネススキル(以下,スキル)を向上させていくことが必要だ。スキルは仕事の成否に大きな影響を与える。なぜなら,他部署と連携した仕事や新しい仕事では利害対立が起きやすく,利害対立を解消するための調整が必要となるからだ。スキルは考え方を知り,話し方・書き方のルールを覚え,実際の業務で使うことによって身についていく。さらに,スキルの向上にはフィードバックが必要だ。フィードバックが得られる仕組みづくりができれば,職員は均質な仕事ができるようになる。また,仕組みづくりが軌道に乗れば,教える側も教わる側も仕事時間の自由度が上がり,付加価値の高い仕事ができるようになる。最後に,今回の事例報告で使用した資料を紹介する。
米国国立医学図書館(NLM)は1836年に軍医総監図書室として創設されて以来多くの変遷を経て,Index MedicusからPubMedへとつながる医学文献情報を世界の人々へ提供するという役割を果たしてきた。そうした中で,1956年にはNational Library of Medicine Actが成立し,軍から保健福祉省への移管が行われ,図書館長が軍人から民間人へと代わり,NLMの役割が拡大してきた。研究開発部門であるLister Hill Center設立のほか,ClinicalTrials.gov(2000年)やPMC(2000年)などがスタートした。中でもNCBI(1988年)が遺伝子情報などを公開し,コロナウイルス研究にも貢献した。さらに1997年にはPubMedを無料で公開した。2017年にはStrategic Plan 2017-2027が作られ,PubMedの論文収録数増加やデータ駆動型研究開発を目標とし,エンドユーザーサーチングに適したリニュアルも行われた。今後も「データ」と「市民」を重視し,世界への情報発信を続けることが期待される。
2023年7月1日(土)2日(日)に高知県高知市にあるオーテピア高知図書館にて,第38回医学情報サービス研究大会をオンライン参加も可能なハイブリッド方式で開催した。対面での開催は2019年度以来4年ぶりとなる。
参加者数は268名(現地参加者169名,オンライン参加者99名。実行委員,協力委員,企業14社を含む)であった。
38回を数える医学情報サービス研究大会であるが,ハイブリッド方式での開催は初めてである。その準備状況とノウハウなどをまとめる。
生体内では事象は相互に関連しており,全体像を把握しながらメカニズムを発見していくことが研究者にとって重要である。しかし,昨今では膨大な研究結果が発表されており,それらを俯瞰することは容易ではない。エルゼビアは,文献情報から数百万の生物学的関係性を抽出・視覚化し,そこで抽出された事象や関係性を分類,絞り込みすることで,関係性を加味した文献検索を可能とするデータベース,EmBiologyを開発した。EmBiologyは,文献検索での問題点である検索バイアスのリスクを極力減らし,研究者が狙ったデータを素早く提供できる。本稿ではEmBiologyの仕組みと検索事例を紹介する。
大学の研究力は,質の高い論文数によって評価されます。ただ,論文には盗用や剽窃といったネガティブな側面もあります。意図しない不正を防ぐためには,論文盗用・剽窃チェックツールの活用が不可欠です。CopyMonitorは日本語の解析能力に優れた論文盗用・剽窃チェックツールです。文章がどれだけ類似しているかを判定するもので,2つの文書間の比較のほか,1対多の比較も可能で,類似度とともに,類似箇所を具体的に比較してレポートする機能も備わっています。未発表論文の事前チェックに活用できるのはもちろん,講義レポートのチェックにも活用できるため,大学の研究力の向上に寄与するだけでなく,教育力の強化にも活用できます。