育種学研究
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15 巻, 3 号
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原著論文
  • 松井 崇晃, 石崎 和彦, 橋本 憲明, 中村 澄子, 大坪 研一
    原稿種別: 原著論文
    2013 年15 巻3 号 p. 83-89
    発行日: 2013/09/01
    公開日: 2013/10/23
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    イネにおいて突然変異遺伝子であるLgc1遺伝子は,胚乳タンパク質の組成を変化させ,易消化性タンパク質であるグルテリンの低減を引き起こす.Lgc1によって低グルテリン化された米は,タンパク質の摂取制限が必要な腎臓病患者などの病態食として利用されている.一方でLgc1が胚乳タンパク質の組成以外に与える影響を検討した例は少なく,その生産物である米の食味や加工特性との直接的な関係が報告された例もわずかである.特定の遺伝子の多面的な働きを調査する場合,遺伝的背景を同一にした同質遺伝子系統間で比較することが有効である.本報告では,同質遺伝子系統の選抜において有効なPCRを用いたDNAマーカーを開発し,その有効性を確認した.さらに,これを用いて低グルテリン品種である「春陽」を1回親とし,通常のタンパク質組成を持つ「こしいぶき」を反復親とした戻し交配法によってLgc1に関する2組の準同質遺伝子系統対を作製した.また,この準同質遺伝子系統対を用いて基本的な農業形質を調査した結果,玄米千粒重では低グルテリン型が野生型を有意に上回った.また,玄米の外観品質においては低グルテリン型が野生型より優れた.しかし,到穂日数,登熟日数,稈長,穂数,精玄米重,玄米粒形,玄米タンパク質含有率において異なるタンパク質組成の準同質遺伝系統間で有意な差は認められなかった.これらのことから,今回作製した2組の準同質遺伝子系統対はLgc1の多面発現の検討において有効な素材となると判断された.
  • 飯村 一成, 田﨑 公久, 中澤 佳子, 天谷 正行
    原稿種別: 原著論文
    2013 年15 巻3 号 p. 90-97
    発行日: 2013/09/01
    公開日: 2013/10/23
    ジャーナル フリー HTML
    イチゴ炭疽病(病原菌:Glomerella cingulata)耐病性に関する遺伝領域を解析するため,イチゴ品種「とちおとめ」と「いちご中間母本農2号」を交雑したF1集団を用いて,QTL解析を行った.F1集団で1:1に分離する各種DNAマーカーを開発し,シュードテストクロス法を用いて連鎖解析を行った.この結果,「とちおとめ」で376個のマーカーが座乗する30連鎖群(全長1005.4 cM),「いちご中間母本農2号」で506個のマーカーが座乗する29連鎖群(全長1448.1 cM)からなる連鎖地図が得られた.F1集団の炭疽病発病度のデータを用いてQTL解析を行った結果,計9か所の領域にQTLが検出された.また,マーカーのF1集団での分離比や,連鎖地図の相反関係から,イチゴ染色体は異質倍数体構造を持ち,二倍性の遺伝様式をとっていると推察された.
ノート
特集記事 2012年第54回シンポジウム(シンポジウム・ワークショッ プ)報告
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