育種学研究
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選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
原著論文
  • 緒方 大輔, 奥野 竜平, 内川 修
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 23 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/06/19
    [早期公開] 公開日: 2021/04/02
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    青立ちしにくいダイズ品種を育成することを目的に,北部九州の主力品種「フクユタカ」よりも青立ち耐性の優れた遺伝資源を探索し,選抜法として,子実肥大期に莢を切除する手法を検討した.北部九州で栽培可能な26品種,および福岡県が育成した11系統の青立ち程度を2015年から2017年の3ヵ年調査した結果,「すずおとめ」が最も低くなった.そこで,「フクユタカ」,「サチユタカ」,「すずおとめ」および「ちくしB5号」を供試し,より青立ちの発生しやすい着莢始期から子実肥大始期の高温・干ばつ条件下で青立ち程度を調査した結果,「すずおとめ」は「フクユタカ」および「サチユタカ」よりも有意に低くなり,「すずおとめ」の青立ち耐性の強さが確認できた.また,上記4品種を用いて子実肥大期に50%の莢切除処理を実施したところ,無処理では認められなかった青立ち程度の品種間差が明確となり,「すずおとめ」は「フクユタカ」および「サチユタカ」よりも有意に低くなった.以上の結果から,北部九州において「すずおとめ」は青立ち耐性の優れた遺伝資源であり,選抜する手法としては子実肥大期の50%莢切除処理が有用な可能性が示唆された.

  • 青木 秀之, 関 昌子, 中田 克, 中野 友貴, 長嶺 敬
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 23 巻 1 号 p. 8-15
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/06/19
    [早期公開] 公開日: 2021/04/20
    ジャーナル フリー HTML

    オオムギの水溶性食物繊維β-グルカンが示す食後血糖値の上昇抑制などの健康機能性が注目されており,高β-グルカン品種の育成が求められている.本研究では,β-グルカン含有率の高いオオムギの育種において,簡易的な選抜技術の開発を目標として,これまでβ-グルカン含有率への強い関連性が示されている高アミロース性遺伝子amo1の極近傍にあるstarch synthase IIIa(ssIIIa)の遺伝子型とβ-グルカン含有率および穀粒形質との関係を解析した.解析には2組合せの交配に由来する後代系統群を用いた.「北陸皮54号」(後の「ゆきはな六条」)とamo1を有するもち性系統「四R系3755」との交配に由来するもち性の94の後代系統(F4–F5),「四R系3755」ともち性系統「はねうまもち」の交配に由来する165の後代系統(F4–F5)について,ssIIIa遺伝子型を識別するdCAPSマーカーで遺伝子型を判別し,β-グルカン含有率,SKCS穀粒硬度,硝子率,千粒重および空洞粒率を測定した.その結果,両組合せともssIIIa遺伝子型によってβ-グルカン含有率,SKCS穀粒硬度および硝子率に統計的有意差が認められ,「北陸皮54号」×「四R系3755」および「四R系3755」×「はねうまもち」の交配後代共に「四R系3755型」では「野生型」に比べ,β-グルカン含有率は約1.6倍多く,SKCS穀粒硬度は約23ポイント高く,硝子率は約7%高くなった.また,β-グルカン含有率はSKCS穀粒硬度と0.75から0.84の高い相関を示し,高β-グルカン化によって穀粒が硬くなる傾向が明らかとなった.これらのことから,amo1系統を母本とした高β-グルカン化を育種目標とする育種計画においては,ssIIIa遺伝子型やSKCS穀粒硬度を指標とした選抜が有効であると考えられた.

  • 上田 忠正, 石丸 健, 後藤 明俊, 一家 崇志, 近藤 勝彦, 松原 一樹, 林 武司, 山本 敏央, 田中 淳一
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 23 巻 1 号 p. 16-27
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/06/19
    [早期公開] 公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー HTML
    電子付録

    イネでは,毎年多くの収量関連遺伝子単離の論文が公表されるが,実際の育種に応用されているものは必ずしも多くない.そこで,日本のイネ品種を遺伝的背景とした収量に関連する9の対立遺伝子について,準同質遺伝子系統を収集・作出し,背景品種との比較試験を実施した.粗玄米重の増加が確認されたものは「コシヒカリ」の遺伝的背景にqCTd11TakanariSD1DGWGTGW6KasalathSD1DGWGの2つの対立遺伝子を導入した系統および「あきだわら」の遺伝的背景にDEP1Ballilaを導入した系統であった.これらの対立遺伝子やQTLは,遺伝的背景が日本の品種の場合でも収量を向上させるポテンシャルが期待できる.一方で,「コシヒカリ」の遺伝的背景にqLIA3TakanariGPSTakanariGS3OochikaraGW2BG1およびGN1ATakanariを導入した系統では粗玄米重の増加が確認できなかった.これらの対立遺伝子やQTLは,単独ではその効果が小さかったり,シンク容量が大きくなりすぎてソース能が不十分である等の可能性が示唆された.また,「コシヒカリ」を遺伝的背景とした複数の準同質遺伝子系統を用いた試験では,穂重と穂数の負の相関が検出された.これは,シンク容量の増加が期待されたGW2BG1およびGS3Oochikara(粒大の増加)やGN1ATakanari(粒数の増加)の多収化の効果が確認できなかった主要な要因と推察された.シンク容量の増加だけでは多収化は達成できず,qCTd11Takanariのように単位葉面積あたりの光合成能力の向上に繋がる対立遺伝子や,sd1DGWGDEP1Ballilaなどのような群落構造を大きく変化させる対立遺伝子を組合せて利用するなど,ソース能の向上と並行して取組む必要があると考察された.

  • 中田 克, 関 昌子, 青木 秀之, 長嶺 敬
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 23 巻 1 号 p. 28-36
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/06/19
    [早期公開] 公開日: 2021/05/19
    ジャーナル フリー HTML
    電子付録

    国内の多様なオオムギ計105品種・系統を用いて越冬性とフルクタン含量およびフルクタン代謝酵素遺伝子多型の関係を調べた.越冬性および越冬前のフルクタン含量は寒冷地育成の品種・系統で高く,暖地・温暖地育成の品種・系統で低い傾向があった.5つのフルクタン代謝酵素遺伝子は塩基配列多型のパターンから,それぞれ6から10の遺伝子型に分類された.5つの遺伝子の遺伝子型の組み合わせが同じ品種・系統をグループ化し,越冬性およびフルクタン含量の平均値をグループ間で比較したところ,越冬前の茎葉のフルクタン含量が高いグループほど越冬性が優れており,特に茎部のフルクタン含量と越冬性の相関が高かった.最も耐雪性が優れるグループ群は特徴的な遺伝子型の6-SFT遺伝子を有しており,その遺伝子型は他のグループには見られなかった.また,1-FEHの遺伝子型により越冬性が高いグループ群,中程度のグループ群,低いグループ群に分けられ,供試した二条オオムギの1-FEH遺伝子は全て越冬性が低い遺伝子型であった.そこで,越冬性が最も高いグループの6-SFTの遺伝子型,1-FEHの各遺伝子型を識別するdCAPSマーカーを開発した.

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