イチゴ萎黄病(Fusarium oxysporum f. sp. fragariae)は,イチゴ栽培における難防除病害で,イチゴ萎黄病に対する抵抗性はイチゴ育種における重要形質の一つである.本研究では,抵抗性品種の育成の効率化を図るため,イチゴ萎黄病抵抗性に関する遺伝領域の解析を行った.罹病性品種「とちおとめ」と抵抗性品種「アスカウェイブ」を交雑したF1集団のランナー苗と培養苗を作出し,それぞれ異なる条件で接種試験を行った結果,F1集団の発病度の分布から「アスカウェイブ」の抵抗性は,一つの主働遺伝子と複数の量的形質遺伝子が関与していることが推察された.また,「とちおとめ」と「アスカウェイブ」の連鎖地図を用いてQTL解析を行った結果,「アスカウェイブ」の連鎖地図上に,主働遺伝子に連鎖すると考えられる1領域を含む複数のQTLが検出された.