日本運動器看護学会誌
Online ISSN : 2435-001X
Print ISSN : 2186-635X
10 巻
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 中島 史子, 藤田 君支
    2015 年 10 巻 p. 56-61
    発行日: 2015年
    公開日: 2020/05/14
    ジャーナル オープンアクセス
    人工膝関節全置換術(以下TKA)の術前と術後6か月の日常生活における一日当たりの歩数と健康関 連QOLの変化を明らかにする. さらに歩数と健康関連QOLの関連を調査する. [方法] 自宅で生活する患者に, 手術前後の2回の調査にて歩数は加速度計で測定し,健康関連QOLのEuroQol(以下EQ-5D)とOxfordKnee Score(以下OKS) を含む質問紙調査を行った.【結果】分析対象者は41名で,手術前3382歩/日から手術後 4224歩/日と有意に増加した(p= 0.000). EQ-5D (効用値)においては,手術前0.54から手術後0.73(p = 0.000), OKSでは,手術前40.0から手術後25.0(p = 0.000)と有意に改善した.術後の歩数とEQ-5D (効用値)で,正の 相関(r= 0.453, p = 0.003) を認め,歩数とOKSでは,強い負の相関(r= -0.574, p = 0.000) を認めた.歩数が 増加することでEQ-5DとOKSは高い傾向が示された. [考察】TKA後は.歩行障害の改善に伴い,術前に比べ 平均歩数が増加し.日常生活活動批が増えたことが示唆されたまた,歩数は手術後の健康関連QOLとの関連が 示され,今後は長期的な歩数の変化と共に活動内容の質的な把握が必要である.
  • 黒木 明美
    2015 年 10 巻 p. 62-68
    発行日: 2015年
    公開日: 2020/05/14
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,整形外科病棟に就業する看護職者の特性及び看護実践能力の質と学習ニードを明らかにし,院内教 育の構築への示唆を得ることを研究目的とした.整形外科病棟に就業している看護職者の看護実践は,患者が理 解しやすい言葉や表現を使って説明し,意図的に患者の話す内容に耳を傾け,患者の苦痛や恐怖に対していたわ る態度で接する行動能力が高かったしかし,看護問題の解決状況を自己評価する振り返りが十分に行われてい ない傾向にあった.整形外科病棟に就業している看護職者の学習ニードは,所属する病棟にて看護を実践するた めの専門的な知識,患者の急変時の対応,看護過程の展開などと整形外科の特殊性・専門性を踏まえた看護職者 として成長するための学習内容であった.整形外科認定看護や院内教育に関心がある看護職者は,関心がない看 護職者より看護実践能力の質と学習ニードが高いことが示唆された.君護職者が関心をもてる院内教育の企画・ 運営と認定看護師として認められたい看護職者への学習支援体制の整備が重要である.
  • 平塚 知子, 梶谷 みゆき
    2015 年 10 巻 p. 69-77
    発行日: 2015年
    公開日: 2020/05/14
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は.初めて人工膝関節全置換術を受けた高齢者が退院後の生活の再構築過程のなかでどのような体験を しているのかを明らかにすることを目的とした初回の人工膝関節全置換術を受けた高齢者9名を対象として半 構成的面接を行い,質的記述的に分析した,分析の結果.高齢者は退院後の生活において[制約を感じるなかで の暮らしにくさ][片時も膝のことを忘れられない緊張感][新しい生活習伯確立への困難感]【加齢とともに感じ る身体の不調】[思い描いた術後の自分とのずれ][このくらいの生活でよしとする現状への妥協】[生活が広がる なかでの暮らしやすさ】[影押し合う手術をした膝としていない膝]【悪化させないための努力]【新しい自分への 期待】という体験をしていた.このうち, [制約を感じるなかでの暮らしやすさ】と【生活が広がるなかでの暮ら しやすさ]は本研究の全対象者が体験していた.
  • 二次性サルコペニア予防が必要であった事例
    吉田 玉美
    2015 年 10 巻 p. 78-83
    発行日: 2015年
    公開日: 2020/05/14
    ジャーナル オープンアクセス
    術後誤感性肺炎を併発しADL回復に難渋していた大腿骨近位部骨折患者において,多職種による介入を行った事例を報告する.患者は,受傷5日目に観血的骨結合術が施行され,手術翌日に大量の嘔吐物誤燕による肺炎を発症した.約2週間の人工呼吸器管理ののち,咤下摂食機能訓練と運動器リハピリテーションを開始した.一時的に歩行器歩行が可能なレベルまで回復したものの.徐々にベッドから起き上がれないほど衰弱した. 二次性サルコペニアがADL回復阻害要因であると考えられ,看護師からの働きかけにより多職種合同カンファ レンスを行い,介入内容を再検討した体位調節による不顕性誤燕予防とリハピリテーション栄養の観点から栄養機能食品の追加と疲労時の機能訓練内容の低減を図った.転院先の施設にも介入内容の継続をサマリーにて依頼したその結果,骨折前のADLレベルに近い状態で自宅に帰ることができた. 様々な職種と協慟する看護師は.患者の状態に適切な介入がなされているか.多職種とチーム連携を促す役割を果たさなければならない.
  • 堀之内 若名, 笹本 喜美江
    2015 年 10 巻 p. 84-91
    発行日: 2015年
    公開日: 2020/05/14
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は整形外科外来に勤務する看護師のストレスの内容を明らかにすることである.A市内の2医療施設の外来に勤務する看護師7名を対象に半構成的質問紙を用いたインタビューを行った.インタビュー内容をき起こして逐語録とした記述査料から,対象者が整形外科外来看護の中でストレスと感じていることやその対処方法について述べている部分を抜き出し,言葉の意味を損ねないような簡深な一文とし.内容の類似性でまとめていった.111のコードから,最終的に【整形外科外来における看護の専門性を模索】[スキルアップヘの欲求l【患者との関わり】【医師との関わり】[多職種連携の必要性】[人的・物的システムを十分に活用できない現状][看護師一人一人の責任の重さ] という7つのカテゴリーに統合された.これらは,整形外科外来看護師の専門性の確立と発揮・外来看護のシステム・多職種との連携という3つの側面から考察することができた.整形外科外来に勤務する看護師から,ストレスを自己の成長意欲へとつながるような快ストレスととらえて取り組む実態が浮かび上がった.
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