目的:人工膝関節全置換術(TKA) 後疼痛,持続的他動運動(CPM)後痛,関節可動域拡大に対する漸進的筋
弛緩法(PMR) の効果を検証した.方法:非ランダム化試験による介入研究で,患者23名(平均年齢72歳,女
性83%) について,鎮痛剤投与にPMRを補完した患者12名を介入群,鎮痛剤投与のみの患者11名を対照群と
して, TKA後痛, CPM後疼痛,術後早期ROMの差を比較した.結果: 1) 介入群ではPMRはCPM前のTKA
術後痛を術後第1,2週で有意に緩和させる, 2)2群間でCPM前の値とCPM後の値に有意な差はなかったが,
CPM前後の痛みの差はPMR介入群では有意な差はなく.対照群では術後1,2週で有意に増強した, 3)PMR
は術後早期ROM拡大には影響しなかった.考察:本研究が示したPMRがTKA術後痛とCPM後痛の緩和効果
については,介入群の術前膝機能の良さ, PMRへのコミット形成による影響も無視できない.対象者が少なく
さらなる検証が必要である.結論: PMRはTKA術後関節痛に鎮痛効果がある, しかし,その効果は術後早期の
ROM拡大に影響するほどではなかった.
抄録全体を表示