日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第50回研究発表 50周年記念大会
選択された号の論文の107件中51~100を表示しています
  • 回転カットの左右異形状カットへの展開
    齋江 貴志, 酒井 和平
    セッションID: C-09
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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     本研究は、加工機械"NCヒートカッター"の回転カットによる実験造形をもとに導き出した、プロダクトデザインのための基礎造形研究である。前々回(第48回)の発表大会で行った回転カット実験の一展開例である波状面の形態に着目し、回転の要素をこの加工機械の特徴である左右異形状カットに置き換えて展開した。この展開は、回転を利用したねじれ面をニクロム線両端の軌跡として座標化し、静止させたブロック状の素材を分割する造形である。
     通常、二次元上の外形線での発想を主とするプロダクトデザインの造形において、ねじれた面の把握や発想は難しく、また、このような実際の三次元形態を制作するには相当の労力や手間を必要とした。この加工機械、実験方法を用いることで、比較的手軽に実際の立体製作が可能となり、形態の確認や形態からの発想の可能性が拡がるものと考える。
     今回の発表では、展開の内容と出来た形態のプロダクトへの応用例を示す。そして、ターンテーブルの回転速度が新たな実験展開の要素となること、また、加工機械の問題点、基礎造形教育への可能性、などについて述べる。
  • 井上 征矢, 山本 早里, 三井 秀樹
    セッションID: C-11
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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     明暗のストライプにおいて、斜線に沿って明暗を交替させると、斜線付近の明暗が他の部分の明暗よりも強調されて見える。このような明暗の強調効果は縁辺対比の一種として扱うことができ、絵画やデザインの視覚表現にも頻繁に応用されている。このストライプパターンでは、縁辺対比の効果が顕著であるが、角度が歪んで見えることで知られるツェルナーの錯視図形と同様の骨格をもつため、斜線の角度が歪んで見える錯視も同時に誘発している可能性がある。 そこで本研究では、ツェルナーの錯視図形とこれに塗りを加えたストライプパターンを数種の構成色で作成し、角度錯視量についての測定と比較を行ったところ、以下のような結果が得られた。1)ツェルナーの角度錯視は、等明度の色刺激では非常に弱くなる。2)ストライプパターンでは、構成色に関わらずツェルナーの錯視図形のような角度錯視は測定されない。
  • テキスタイル・デザインにおける構成原理
    金 京姫, 三井 秀樹
    セッションID: C-12
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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    19世紀末の印象派からアール・ヌーヴォーにいたるまで、西欧に巻き起こった日本文化の影響は、20世紀の造形分野に大きな影響を与えた。1960年代のポスト・モダンの源泉としてアール・デコの再興が始った頃、アール・デコはアール・ヌーヴォーと対立的な造形要素として考えられていた。しかし今日では、アール・デコ様式がもつ様々な見地から華麗な装飾や高度の職人的機能、素材へのこだわりによってアール・デコはアールーヌーヴォーと対立するものではなく、むしろその延長として考えられる。本稿は、テキスタイル・デザインにおける紋様の構成原理に着目し、両方の紋様にみる共通する構成形式をとおして、19世紀末からアール・デコへ、日本的な造形がいかに受け入れられたか考察するものである。
  • 帆足 まおり, 三井 秀樹
    セッションID: C-13
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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    尾方光琳の考察した水渦「光琳渦」の成立背景とその特色について構成学見地から考察する。とくに渦の抽象的造形の特徴、表現効果と構造について文化的背景を踏まえながら光琳渦について考察する。また後世の他の作家たちへ与えた影響について作例をあげながら検証する。
  • 徐 希 女正, 三井 秀樹
    セッションID: C-14
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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    モホイ=ナジは、光の物理的な性質を基礎造形に活かした芸術家であり、理論家である。彼は産業化時代に足りうる新しい表現言語として光を注目し、その性質を用い、新しい感覚に訴える新しい表現を追及しようとした。特に彼が造形表現として注目した光の性質は「透明性」であり、その視覚効果である。絵画、写真、映画、キネティック・アートなど表現メディアを変えながら、彼は「透明性」というテーマを展開した。本研究は、モホイ=ナジにおける「透明性」を分析し、これを基にして現代の造形における「透明性」を研究する切り口として提案する。モホイ=ナジ以降の現代にも自然物、ハーフ・ミラー、ガラス、セロファン、レンズのフィルター、ニュー・タイポグラフィ、CGのレイ・トレーシング法など、光の描写、透明・半透明を活かした空間、運動、階調の表現が展開されていると思われるからである。本研究は、モホイ=ナジにおける「透明性」を探ることによって、現代の造形における「透明性」の研究の一つの見本になることを期待する
  • 18次元の座標をもつ形のシステム
    郡山 正
    セッションID: C-15
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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    人類は「デザインとは?」という原点を決して忘れてはならない。何故なら「文化=デザイン」という等式は真理だからだ。文化というものは歴史の中で明らかに進展・進歩するということのほかに,進展せずに順環するか変遷するだけという型の永久持続なのか,更には一定の型に嵌まり,それを確保して,世界遺産的なものに結実してこそ真の文化なのか決定的な答を出すのは難しい。 文化のもつ空間的,時間的拡大と延長は,デザインの多様と精度と人生への必要度を向上強化するので,デザインの諸問題もますます定性的思考から定量的計算へ,アナログからデジタルな操作へと移行せざるを得なくなり,これが「デザイン」を感から学への追求と処理へと歴史が導いたのであり,このプロセスが逆流することは有り得ないと思われる。 私は,色彩の定量的システム(色立体)が色彩デザインを飛躍的に進歩させたように,「形の定量的システム」が確立されるならば,デザイン学にとってのみならず,デザインそのものにとって残された最大の基底問題の解決になると信じている。それを複合3次元の形のシステム(18次元の形のシステム)と呼ぶことにする。
  • 着やせして見えるスカートの色
    田中 美遠, 宮崎 紀朗, 玉垣 庸一, 小原 康裕
    セッションID: C-16
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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    近年、若い女性の過剰なやせ願望やダイエット志向が問題視されている。そこで、直接的な体型の補正ではなく、被服選定により理想とする体型を目指す方法に着目した。本研究は、「着やせする衣服は存在するのか」を明らかにすることを目的とする。日常的に着用する衣服の中でも本研究では対象をひざ丈の台形シルエットのスカートとし、その色による見え方の違いについて調べた。 研究の流れとしては、文献や先攻研究の調査の後、実験方法の検討を行い、それにもとづいて第1実験、第2実験、第3実験を行った。実験には写真サンプルを用い、2つのサンプルを比較してどちらが細く見えるか被験者から回答を得る実験を行った。第1実験では無彩色のスカート、第2実験では有彩色のスカート、第3実験では無彩色有彩色含めたものについて実験を行った。第1実験では人の顔などが及ぼす影響、第2実験では上半身に着用する衣服の色が及ぼす影響を、同時に調べた。
  • 視覚障害児が触察を通して形成するイメージと玩具の形状との関係についての実験的研究
    中村 美香
    セッションID: C-17
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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    本研究は誰もが遊ぶことができるユニバーサルプレイシングを目指している。目標として盲児のためのユニバーサルなおもちゃの制作である。推測として既存の玩具に立体表現、輪郭および3D表現のような触覚の情報を加えることで、盲児と晴眼児がともに遊ぶことができると仮定した。しかし、この段階を達成するために、彼らの間にある共通の知覚を探る必要がある。したがって、動物フィギュアのピースに、それらを触覚の表現を変えたモノを追加し、盲児のための最も効率的な触覚の情報の検証を行う。
  • 梨原 宏, 千葉 晋矢, 橋本 陽子, 波多野 弘英
    セッションID: C-18
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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    肢体不自由児、高齢者を対象としたユニバーサルプレイシングの開発を進めている。本報告では最近行った視覚、聴覚、触覚を生かしたユニバーサルプレイシングの開発内容とそれの適用効果について明らかにする。一つは肢体不自由児のための音による作業、言語療法に生かす遊具、一つは高齢者を対象とした身体機能、認知機能、感覚機能を総合的に訓練できるゲーム装置である。前者は子どもの視覚、聴覚、触覚に直接働きかけるように、色彩、音色、触れ方に配慮し、思わず触りたくなるものとし、夢中にさせる効果を持たせた。後者は既に主にデイケアに使用されており、7から8名のお年寄りが集い、相互にコミュニケーションを図りながらゲームを共に楽しめる工夫が施されている。両者とも機能は単純でありながら総合的な訓練に役立つ要素から構成されており、ユニバーサルプレイシングの設計要素が見出されている。
  • シーソー・ロッカーのデザインとその検証
    細野 幸敏
    セッションID: C-19
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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    2人乗りのシーソーと1人乗りのロッカー(木馬)を一つにした動く遊具のデザインを提案し、その揺れについてVICON(3次元動作解析システム)を使って分析した。1秒間に60個のデータを得ることが出来る。動きにおける肩マーカーポイントの最高速度および平均速度また、XY平面上での動きの軌跡などのデータを分析した。遊びの発展段階毎の相違についての客観的な記述を試みた。夜間保育所でVTRによる検証も同時に行った。
  • 姜 南圭, 山中 敏正
    セッションID: C-20
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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    公園のベンチは休息施設物の一つとして不特定の多数の公園利用者が使うストリートファニチャーである。その数多いベンチの中には、ユーザーの利用率が高いベンチがあるかと言えば、利用率が低いモノもある。本研究は、ベンチにおいてどの要素とどんどん多くなるベンチの多様な形態や材質、色の製品の中で、嗜好感性はユーザーの心の中で、人の座りたいという欲求の関係について、製品選好の観点から検討した。具体的に、多様な種類と形態の製品が開発される視点で、気に入ることを選択する時に作用する嗜好感性をベンチの分類法を利用して実験した。その実験は、性別・血液型・性格(モースレイ性格検査による)に分けて、分類にかかった時間・分けたグループ数・分類の基準と評価・選ばれたベンチ・嗜好感性の集中度などを把握した。その結果は、嗜好感性は血液型や性格とは一定な関係があるが、性別とはあまり関係がないことが分かった。この結果を製品デザイン開発過程に適用して使用性が低い製品の生産をあらかじめ防止し、進んでは快適なストリート休息文化の創出に寄与できると考えられる。
  • 朴 信映, 坂田 昌克, 原田 昭
    セッションID: C-21
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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    ネットワークコミュニケーションにおいて文字情報だけではなく、自然なマウスの動きをコミュニケーションに活用することによって、つながり感を感じさせる方法を提案する。ネットワーク環境で扱えるノンバーバル情報では手振り・身振り・音声などの多様な手法があるが、それらを情報として取得するためには、別の入力装置をユーザに装着しなければならないという問題点がある。本研究で開発したトラッキングツールは現在使っているマウスをそのまま利用できる。また、インターネットを経由することで同時に多数のユーザがアクセスし、お互いにマウスの軌跡を辿ってみることによって新たなコミュニケーションが可能になる。従来では、インターネットにおけるユーザとユーザとのコミュニケーションは、掲示板に書き込むだけだったが、さらにマウス操作ログという新たなデータを加えることによってユーザ間のコミュニケーションも可能になることを示した。開発したトラッキングツールを用いた実験を行い、ダイナミックなコンテンツに対するユーザの主観的な楽しさがトラッキングツールによって定量的に把握できるということが検証できた。
  • 恩田 浩司, 岡崎 章, 菊池 司
    セッションID: C-22
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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    CGアニメーションの制作プロセスでは、絵コンテからCGを制作するという方法が採られている。 しかし、もともと動的なものであるイメージを絵コンテによって静的な画、文面として描き、それをCGによって動的イメージとして再現する(制作する)という作業は、 イメージにズレを生じさせる。このズレに関する要素とその要因を探ることができれば、最初のイメージと完成時のイメージのズレを最小にすることができる。 そこで本研究では、CGアニメーションにおける、絵コンテを用いた映像制作手法のイメージの具現化性を測ることを目的とした。 自己の映像制作プロセスを顧みることでイメージの具現化の過程を探る。3DCGを用いた短編のアニメーション制作を例に取り、絵コンテから映像を制作する過程の、映像を構成している要素の変化を捉える。本研究では様々な要素の中から映像表示時間 とカメラワークの2つを選び、その変化を捉え、意図した内容と照らし合わせながら比較し検証を行った。 その結果、それぞれの要素の具現化性と構成要素関における変化の相関を明らかにした。
  • 車 政弘
    セッションID: D-02
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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     現代日本住宅内で保有,使用される食卓の種類とその使われ方を,成熟期世帯について調査した。その問題意識はダイニングキッチンが誕生してほぼ50年を経過しようとしているが,実際の食卓使用の実態を把握するためには,電気やぐらごたつの使用実態を併せて,捉える必要があるのではないかということである。 かつて関東以西の356例で得られた結果と今回行った北部九州の事例177例の結果を比較検討する。 使用される食卓を次の区分で整理した。1椅子式テーブル,2椅子またはこたつ・椅子または座卓,3電気やぐらごたつ,4座卓(応接台),5こたつまたは座卓,6掘りごたつ,7応接テーブルの7種である。日常の朝食,夕食,昼食では椅子式テーブルが60-67_パーセント_使用されているが,正月や各種接客ではユカ坐が半数を超える実態は先の調査と基本的に変化はない。イス坐とユカ坐の混合した使用実態が明らかで,電気やぐらごたつや座卓の重要性が指摘できる。
  • 石川 善美, 内海 康雄, 佐々木 睦史, 佐野 裕志, 小林 仁
    セッションID: D-03
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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    室内環境を人間(居住者)にとって適切なものに整えてやることは、インテリアデザインの基本である。とくに、室内環境の中でも空気環境の計画は、最近のシックハウス問題をみても明らかなように、最も重要な項目の一つであることは間違いない。室内空気環境の計画は換気の計画でもある。換気は、「室内の汚れた空気を排出し、新鮮で清浄な空気を供給する」ことと定義されるが、これまでは、その計画が、室内に入ってくる空気と出ていく空気の量だけで検討されることが多く、実際にそこにいる人間に必要な換気が行われているかどうかについては、室内での空気の流れを把握することが大変困難であるため、不明な点が多かったのが実状である。本研究はその点に着目し、人間(居住者)にとって真に適切な換気はどうあるべきか、を考えるための基礎的資料の整備を目的とする。本稿では、まず、換気による室内空気の流れの性状はどのようなものであるか、実験と数値計算から、現象の把握と予測を試みた。
  • 公園づくりのためのワークショップと利用実態調査との比較から
    森田 昌嗣, 畠本 洋子
    セッションID: D-05
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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    都市公園は住民に日常的に利用されることが大切であり、それにより安全性や清潔さが保たれ、そこで人々のつながりも生まれてくる。公園整備と住民の利用といったハード面とソフト面の調和がとれてはじめて地域の中で生きた公園といえる。
    そこで本研究では、日常生活に最も身近な街区公園に注目し、福岡市内の公園3ヶ所における人々の利用実態調査と公園づくりのためのワークショップ事例調査を行った。両調査を比較してみると、利用実態と話し合いの間に様々なずれが生じていることが分かった。この比較結果から、より生活に密着した今後の公園づくりのための指標を導き出した。また、この利用実態と話し合いの間にずれが生じる背景には、ワークショップへの参加者、話し合いを進めるコンサルタントや行政、公園の管理体制等に問題があることが分かった。
     これらの問題点を解決し、ワークショップを有効なものにするためには、現在の福岡市のワークショップ作業体制に問題点があると考え、現在の作業体制である行政と住民とコンサルタントの間に、3者間をコーディネイトする役割を担う機関を取り入れた場合の作業体制の提案を行った。
  • 一海 有里, 清水 忠男
    セッションID: D-06
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    南フランス・プロヴァンス地方の独立住居にみられるテラス空間について、その空間の鍵ともなっている樹木・植物に焦点を当てて調査を行った。このテラス空間では強い日差しに対する防御策として特に緑陰が重要な役割を果たす。この緑陰の存在によってテラスは四季のリズムに沿った快適な空間として創出され、戸外でありながら、その空間は住宅内の部屋の一部のように機能する。それは場合よって食事の場、安らぎの場、あるいは社交の場と変幻し、生活に欠くことのできない重要な役割を果たしている。ここにおいて、植物・樹木は単なる鑑賞の対象から、さらに能動的な生活に参加する緑として人々の生活を潤している。戸外に「居る」、戸外を「楽しむ」というライフスタイルは、この地方の暮らしに欠かせないものであり、かつ、この地方の文化的基盤ともなっているが、この場合、そのスタイルはテラス空間における緑的要素を介して可能となっている。都市空間における緑と人間の付き合い方について今後の展望を考えるとき、このように日常生活に根ざした視点を持つ緑のデザイン、つまりライフスタイルと密接に結びついた緑のデザインというものがますます重要になると思われる。
  • 明治通り[福岡市]の公共沿道空間の実態調査3とキャンパス内の実験
    千代田 憲子, 森田 昌嗣
    セッションID: D-07
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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    本研究は,建物のセットバック空間や公開空地など半公共的な空間である公共沿道空間に着目して,その状況と歩行者の行動の関わりを明らかにすることが目的である。 前回は,公共沿道空間の状況を把握するために街路調査から公共沿道空間の構成要素の整理を行い,その結果から調査地点を選定して,行動を詳細に検討するために行動観察を行った。 今回は,詳細な観察とキャンパス内の実験を加えた結果,公共沿道空間は歩行空間の有効な緩衝空間であることが明らかになり,また公共沿道空間を「視覚に影響する景観型」と「通行に影響する連続型」と「快適な行動につながる滞留をおこす分節型」に再構成することができた。さらに,構成要素と行動の関係を検討するために構成要素の増加による実験と行動観察を行った結果,滞留時間が長くなると滞留の種類が増え,また構成要素が増加すると滞留の種類が増えて「快適な行動」に高まることを示唆することができ,公共沿道空間と歩行者の行動の密接な関連性を導いた。
  • 1960年代後半から1970年代にかけるアメリカを中心に
    高 台泳
    セッションID: D-08
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    1960年代後半、アメリカ建築界で登場したスーパーグラフィックは、まもなくその魅力が当時の若きデザイナーたちによって受け入れられ、数々の作品が創られた。それに伴い、70年代のスーパーグラフィックは、形式や内容の面で多様に展開され、社会の各分野で少なからぬ影響を与えるようになったのである。今回は、60年代後半から70年代にかけるアメリカを中心に、スーパーグラフィックの展開様相とその特徴、そしてデザインや社会への影響について考察し、発表する。
  • 中嶋 猛夫
    セッションID: D-09
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    シッキムはヒマラヤ山脈の南側、西のネパールと東のブータンに挟まれた標高1500m以上の地域で現在はインド領である。住民はチベット民族が多く宗教はチベット仏教である。今回はシッキッムの調査した仏教寺院の報告とチベットの寺院境内とを比較考察する。
  • 田中 靖己, 平田 克二, 寺島 信義
    セッションID: D-10
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、住民参加のまちづくりを推進するために実際のまちづくり景観整備事業を目的とした都市モデルデータのシーングラフを作成し、マルチユーザによって操作・利用可能なネットワーク型仮想現実協調空間システムをまちづくり景観整備用のワークショップ事業において適用し実際のまちづくり事業での使用を検討した。システムはPC上に構築し仮想現実強調空間を介し、作業可能な環境を提供し、様々な立場の関係者・利用者の合意形成に基づいた設計の試行を目標としている。このシステムを用いる事により、既存メディアおよび手法における問題点である、様々な立場の参加者の意見反映、参加者による試行錯誤付与、合意形成にもとづく協調作業、個別の視点に立った確認の提示等の支援を行う。またネットワークを介して遠隔地の関係者が協調作業に参加等、機会拡大の可能性がある。また、システムを専門家に対し、既存メディアおよび手法との比較検証及び評価実験による有効性を、実際のまちづくり景観整備事業の対象となるユーザに評価実験を行い、その有効性を明らかにした。
  • 平田 克二, 田中 靖己, 寺島 信義
    セッションID: D-11
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、サーバ・クライアント方式により構成されたマルチユーザ型仮想現実協調空間を利用したシステムを用いた空間デザイン手法について検討を行っている。システムはPCで構成されたサイバースペース上の仮想現実空間を共働のデザインの場として利用する。ユーザはこの仮想現実空間に三次元の人型を模した化身(アバタ)として没入し、空間内で合意形成に基づいた自立的コミュニケーション、デザイン作業が可能である。またシステムは遠隔地間での同期的な協調作業および各ユーザの作業履歴を記録することで非同期的な協調作業も実現した。本研究では複数のユーザ・デザイナーによるデザイン作業が可能な空間デザインシステム構築およびデザイン手法について、2つの異なる規模の空間および対象に向けた仮想現実空間のデータ構成、機能拡張を実際の事例に基づいた運用により検討をおこない、デザインシステム構築およびデザイン手法における問題点を提示し、システム利用者を対象としたシステム評価およびシステム運用のワークフローに関し報告する。
  • 永井 祐二, 永田 勝也, 納富 信, 小野田 弘士, 寺島 信義
    セッションID: D-12
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    汎用産業機器(主に汎用の小型ポンプ)を対象に製品のライフサイクルに関わる情報を生産者から消費者、回収・再生業者に効率的に受けわたす方法として、設計・運用から使用後に至る過程での情報をICタグに記憶させ、運転効率向上に資する情報や、パーツレベルでのリユースに関する情報を提供し、省エネ・省資源を実現する環境配慮型の生産・運用・リサイクル技術を開発する。特に本研究では、リサイクル工程における設計データ(CADデータ)の有効活用が、とりわけ汎用の産業機器に対して行われていない部分に注目し、リサイクル現場での解体、分解に資する情報(パーツのリユース可否情報、解体手順情報を含んだ3D形状データ)をWeb上で提供するシステムのコンセプトデザインを提案する。 本システムは、運用情報、リサイクル情報を継続的に蓄積することで、その結果を設計にフィードバックできる有意義な技術体系デザインである。
  • 「水戸芸術館(Art Tower Mito)」を事例として
    水野 雅生
    セッションID: D-14
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、都市リゾートとしての芸術文化施設(美術館・博物館、音楽ホール等)のあり方と、そのサービスシステムの構築に関する基礎研究を目的とする。 21世紀に入り、高齢者を中心とする国民の主体的な自由時間の過ごし方が、これまで以上に強く問われるようになった。叉、高齢者ばかりでなく若年層に至るまで多くの人々が日常生活での物質的な充足感だけでなく、むしろ精神的な豊かさや創造的な自由時間の過ごし方を模索し希求する傾向が、より顕著に現れてきている。一方、「総合保養地域整備法」がもたらした全国的なリゾート開発やテーマパーク等の建設は、バブル経済の破綻と共に何れも十分な機能と役割を果たせず荒廃し、自然環境の破壊という大きなツメ跡を残す結果を招いた。こうした問題は、全国の美術館や博物館、音楽ホール等の文化施設についても同様に指摘できる。 本報は、日本の代表的な総合芸術センターである「水戸芸術館(Art Tower Mito)」を事例とする環境デザイン調査の概要報告である。
  • 生活から生まれる良質な環境デザインの研究
    小林 令明
    セッションID: D-15
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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     北海道ニセコは、雄大な自然に包まれたスキー場と温泉で有名である。そのニセコ町は、注目すべき特徴もなく時代への対応に遅れた、うらぶれた田舎町であった。1990年ニセコ町は、商工会に属する青年会が中心となって、「うるおいのある街づくり推進協議会」を設立した。以後、町と住民側との頻繁な対話とコンサルタントの知恵をかりて、建設に際しての環境デザインの決まりである「街なみ形成ガイドライン」を作成した。これに従って道路、住宅の建設が始まり、2002年に良質な街なみ環境を造り上げた。「綺羅街道」と命名し、道路と住宅が魅力的に一体化した田舎町を出現させた。 ニセコ町の例をとらえて、日本の良質な街なみ環境のあり方を追求するものであると共に、生活者側からの街なみ形成の参加のあり方を追求するものである。
  • 久保 光徳, 寺内 文雄, 青木 弘行
    セッションID: D-16
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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    車椅子や乗用車用のシートに着座する人は,基本的に動的な力学環境である振動環境下に曝されることになる。本研究では,振動環境下において人が主観的に感じる「快適性」の解明を基本的な目標とし,複数のシート条件と加振条件等の組み合わせによる人の物理的,心理的,そして生理的振動特性の「快適性」との関係についての検討を,6つの実験条件下において実施した。これらの実験においては,剛性材料で構成されたリジットシートを始めとし,軟質ポリウレタンフォームをクッション材とした一般的乗用車用シート,そして車椅子のシート部をシート条件とし,それと同時に,垂直方向の正弦波による周期的な加振,ランダム加振,そして実車走行による実路面加振の3加振を振動条件とした。また,シートに着座する人としての被験者の選定においても,各実験条件に応じて,共通性の強い被験者群を選定した場合と,逆に身体的な個人差のばらつきが大きい被験者群を選定して行った実験もある。このような複数の実験条件を通して「振動環境下におけるシートに着座する人の快適性」に見られる基礎的な共通性と個人差ばらつきの傾向が明らかになった。
  • 白石 光昭
    セッションID: D-17
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
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    椅子の購買時には,椅子の見た目の(視覚的)イメージに配慮する人が多いと思われる。椅子は家具の中でも特にこの傾向が強いと思われる。このイメージは形態や色そして素材等に影響を受ける。本研究では,椅子のファブリックの柄(水玉柄,チェック柄,ストライプ柄)を主に変え,このイメージがどのように変化するかを確認し,その重要性を再認識しようとするものである。調査対象は形態に特徴がなく,ファブリックがイメージに大きく影響すると考えられる椅子を選択し,アンケート調査を行った。被験者は18-20才の男女33名である。結果としては,無地(黒)のイメージに対して男子ではチェック,ストライプ(縦),ストライプ(横)柄の場合に「都会的な」イメージを感じるようになった。女子では,水玉柄が「かわいい」と感じる傾向が見られた。なお,無地(赤)の場合より,無地(黒)の場合の方が柄によるイメージの変化が大きかった。
  • 村上 慎一郎, 塩見 弘幸
    セッションID: D-18
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    人の視覚に関する空間周波数特性(MTFと呼ぶ)の概念を用いて、構造物のテクスチャーが論じられている。その際、テクスチャーの大きさとコントラストが識別距離に関する主要因であることから、画像工学分野で用いられているMTFを直接用いることができれば便利であるが、屋外でかつ視距離が長い土木的なスケールを有するテクスチャーには直接適用できない。何故なら、物体表面のコントラスト(真のコントラストと呼ぶ)と人が知覚するコントラスト(みかけのコントラストと呼ぶ)は、視距離が短い場合はほぼ等しいといえるが、視距離が長くなれば、真のコントラストに対し見かけのコントラストとが小さくなるからである。このことから、屋外における人の視覚の空間周波数特性を実験的に求め、MTFが直接使用できるように、視距離に応じた低減係数を提案した。
  • 外観構成要素と注視行動の関係について
    寺島 正之, 山岡 俊樹
    セッションID: D-19
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
     本研究の目的は住宅外観におけるイメージ構造と認知構造を明らかにすることにより,住宅デザインのコンセプト立案,顧客の望む住宅イメージの実現および建築部材使用の効率化などに役立てることである. 既報では因子分析および数量化I類の結果,住宅イメージを表現する『現代性』,『グレード感』および『情緒性』の3つの因子があり,それらに対して影響をおよぼすデザイン要素が明らかとなった. 今回アイマークレコーダーを用いた実験の結果,住宅外観に関する視覚情報の処理過程が明らかとなった.住宅イメージに影響をおよぼすとされる外観構成要素は実際に注視されており,注視点数,注視時間および走査経路との関係性が示された.また注視される住宅部位の傾向が明らかとなった.これは住宅外観イメージを左右する住宅外観構成要素と一致しており,いくつかの建築部材は住宅イメージを形成するうえで重要な働きをしていることがわかった.
  • アプローチ空間の計画手法に関する研究(4)
    大森 正夫
    セッションID: D-20
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    京都の東山慈照寺(通称・銀閣寺)には、建造物のみならず庭園内に向月台や銀沙灘など月に由来するものが数多く、その回遊式庭園における誘導性の因子として「観月」が重要であったことが偲ばれる。また、現在の庭園は樹木が茂り、十分な観月環境にはなっていない。そこで、東山殿として創建された室町時代の庭園池と銀閣が観月施設として如何に機能していたのかを検討するために、その当時(1489年)の月の軌道をサイバースペース上に再現し、視点移動に伴うヴィスタを再現した。観月空間のCGシミュレーションによって建物の配置、庭園池の位置づけなどを明らかにすることができた。さらに、園池で催された観月の宴日として想定される十五夜(中秋の名月)と十三夜(後の名月)での軌道の相異は、観月の場所と銀閣の配置にも大きな影響を与えていることが推察できた。
  • -その4-
    川合 康央, 池田 岳史, 益岡 了
    セッションID: D-21
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、京都の歴史的空間構成要素のある、連続した町並み景観のシークェンスを、注視を促す空間構成要素より表す。また、数学的処理を行うことで、景観の複雑度を情報エントロピーを用いて数量化する。
  • -その5- JR富山駅における駅利用者行動の考察
    池田 岳史, 川合 康央, 益岡 了
    セッションID: D-22
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    空間把握,位置同定の必要性が高い都市空間として,場所の経験に乏しい他都市からの来訪者が多く利用し,複数の交通機関が集中する基幹ターミナル界隈を研究対象として取り上げ,前報までにJR名古屋駅,JR金沢駅,及び,JR岐阜駅における調査結果を述べてきた。そこで本稿では,前報に引き続き,新たに調査を行ったJR富山駅における調査結果を中心に,目的地を持った人間がどのようなサインを利用し,行動するのかといった点についての調査結果を報告する。
  • 横川 浩大, 竹末 俊昭, 阿部 眞理
    セッションID: Po-01
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
     搬入業者が駅の売店に新聞や雑誌などの物品を搬入する場合、階段を利用して搬入している。搬入には平台車を使用しているが、階段部分では荷物と台車を抱えて運び、昇降する。このような作業は効率が悪く、スムーズな搬入は難しい。そこで、駅における搬入の現状の観察及び市販台車による階段昇降実験を行った。そこで、これらで得た結果をもとに新しい物品運搬器具を提案した。 提案した運搬器具は、車輪の外側にある高密度ポリエチレン製のブレードを使用し、階段をなめらかに滑らせて昇降するので階段も平地もスムーズに移動することができる。したがって、効率よくトラックから売店までダイレクトに搬入することができるようになるだけでなく、彼等の作業負担を大幅に軽減したものとなった。
  • 阿部 岳文, 阿部 眞理, 竹末 俊昭
    セッションID: Po-02
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    日本の童話の多くは起承転結で構成がはっきりしており、日常的な場面から始まり新たな場所や人物が登場し、クライマックスの後物語が終結する形をとっている例が多い。このような童話の各場面構成には様々な行為が存在している。これらの行為を(1)維持、(2)集合、(3)分散、(4)終息に分けて各童話にあてはめると、その組合せによって場面構成をパターン化できるのではないかと考えた。例えば「桃太郎」では、(1)維持→(2)集合→(3)分散→(2)集合→(4)終息といった構成パターンとなる。このパターンを利用し、素材に自然木材を適用したからくり玩具を提案した。玩具は4枚のパネルで構成され、登場人物や自然が織りなす行為をからくりによって表現している。登場人物や背景はマグネットでパネル上に貼付ける方法をとったため物語によって入替えが可能である。また、4枚のパネルの順番や使用回数を変えることで色々な童話に対応でき、読み聞かせはもとより子供達自身もからくりを動かしながら童話を楽しむことができる。従来の絵本では1冊でひとつの物語しか楽しめなかったが、今回の提案では複数の童話を組合せることにより子供達の創造力の発達に貢献できるものと考える。
  • 広瀬 正美, 竹末 俊昭, 長井 浩二
    セッションID: Po-03
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    「色」自体が人に与える印象は様々であることが色々な研究で明らかになっている。また、人間の目に飛び込んでくる「色」はデザインされた「形」の印象を決定する大切な要素であるといっても過言ではない。工業デザイナーを目指す学生を対象にデザインしたモノに色付けをする決定要素とは何かを調査した。その結果、形が見えてきた段階で色の展開を行うことが多い。さらに第三者の意見を重視している事が多いこともわかった。配色決定も大切なデザイン作業であるのだが、意外にも他人からの何気ない言葉であったり、既製品を参考にするなど、十分な考察なしで決定している事がわかった。そこでデザイナーがイメージする色を簡便なツールで意思決定支援できるツールを開発したいと考えた。いくつかの専門研究所の培ってきた情報を参考にし、形容詞などの単語から連想されるイメージカラーをデータベース化し、デザイナーが容易に使用できるツールとしたい。画面上に一覧できる色見本を参考にしながらアイデアスケッチ等と照らし合わせ、バーチャルな色の検討を行うことで新しいモノの表情を発見・展開が行えるものと考える。
  • 平石 亜希子, 三橋 幸次
    セッションID: Po-04
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の目的は、人、モノ、それらを取り巻く環境において、単純な構造による機能や価値観を追求し、それに基づく製品開発を行うことである。 多くの家具製品にノックダウン方式が用いられているのに対して、本研究では、この過程を簡潔にし、使い手にとって最小のエネルギーでセットアップできるモノが、人とモノとの間に新しい価値を発生させると考える。 こうした価値観に基づいた提案として、一枚の板を壁に立て掛けるだけで本棚になる「leaning style」、また一枚のシートで椅子が形成される「a sheet of chair」を制作した。そしてこれらの制作から、本研究テーマである「単純な構造と最大の果」という価値観についてのプロダクトデザインにおける意味、位置付けを考察した。
  • 阿部 眞理
    セッションID: Po-05
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
     これまでにスギ圧縮材とその突き板化粧単板の「硬さ特性」、「摩耗特性」について報告した。今回はスギ圧縮材及びその突き板化粧単板の「接着性能」を明らかにした。使用した接着剤は、酢酸ビニル樹脂エマルジョンで、使用した材種は、スギ圧縮材、スギ、ナラである。スギ圧縮材はナラとほぼ同等の接着強さを示し、また、柾目どうしの接着においてナラを上回る強さを示した。スギ圧縮突き板化粧単板においてはスギ突き板化粧単板と同等の接着力を示した。
  • 白石 照美, 深水 義之, 吉田 登美男
    セッションID: Po-06
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
     これまで、「景観の図形認識の立場からの解明と評価に関する研究」として、視空間伝達特性モデルの構築とその景観デザイン、特に橋梁のデザインへの応用について一連の研究を行ってきた。この中でミューラー・リヤー錯視図形については一対比較法を用いて、錯視量の測定実験を行うと同時に、視空間伝達特性モデルによる解析を行い、両者が高い整合性を示すことはすでに報告済みである。 この結果をもとに、本研究では室内の入隅および出隅図形の高さに関する錯視現象について、心理実験によって定量的にとらえることを試みる。空間の表現方法のひとつである2点透視図法を用いて室内の入隅と出隅をあらわす図形を作成し、これと高さを示す直線図形とを比較して恒常法によって錯視量を測定する。 これらの図形はM・L錯視図形の変形とみなすことができるが、上下の矢線の角度が異なる図形や、上下左右の矢線の角度がそれぞれ異なる図形については、実験の結果、出隅図形ではM・Lの内向図形と同様、過小視があらわれたものの、入隅図形では外向図形の過大視がほとんどあらわれていない。矢線の長さや、主線と矢線のなす角度が、錯視量に影響を与えていると考える。
  • 展示会による廃棄物の実態
    金 惠蓮, 寺澤 勉
    セッションID: Po-07
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    展示会開催にともなって生じる廃棄物については、建築や一般的な工業製品とは異なった考え方が求められている。展示会は開催期間が短く、展示ブースは仮設であることから、展示会終了後にほとんどが廃棄物になってしまうためである。また、展示会の開催期間が短い割に廃棄物が多いと見える点において展示会の廃棄物への注目度は高い。本研究は展示会の小間展示構成における廃棄物の質と量を予測できる設計デザインシステムの構築を目的とした基礎研究である。 日本の産業界の重要なプレゼンテーションの場である展示会は、一般大衆へ企業による新製品をアピールし、その業界の未来情報を提供するなどの目的をもって開催されている。そうした展示会の開催により排出されている廃棄物の実態は定量的かつ定性的に、把握できていないのが現状である。そこで、展示会の小間設計図から廃棄物の総量を推計する方法を提案した。そして、今回は展示会の撤去時の現場調査を行い、廃棄物の量と質の実態を明らかにする。このような実態調査の結果を通じて展示会の小間展示構成における廃棄物アセスメントを提案したい。
  • 平田 克二, 田中 靖己, 寺島 信義
    セッションID: Po-08
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    本研究はインターネット接続が可能な仮想現実空間による参加型まちなみ景観デザインシステムを提案するものである。提案するシステムはTCP/IPプロトコルを用い、サーバ・クライアントシステムにより構成され、ユーザはアバタとして仮想空間に没入し、自立的に仮想空間内でデザイン検討作業が可能である。またシステムはサイバースペース上で同期的・非同期的に複数のユーザ間において合意形成にもとづいた作業が可能なシステムとその運用法を検討した。本研究では上記システムを用いデザイナー、利用者を含めた複数のユーザが協調可能な参加型デザイン作業が可能なまちなみ景観デザインシステムの提案を行う。また作成した仮想現実協調空間のデータ構成および機能について実際の事例に基づき報告を行う。本システムは実際の運用が計画されており、その運用に先立ち、システム利用予定者を対象としたシステムの事前評価およびシステム運用の検討に関し報告をおこなう。
  • 永井 祐二, 寄本 勝美, 縣 公一郎, 中根 甚一郎, 吉田 賢一, 武山 尚道, 寺島 信義
    セッションID: Po-09
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    地域のコミュニティをベースとした持続可能な循環型社会づくりに資する経済的インセンティブと情報戦略を融合した政策手法として、環境活動に新しい交換価値を見出し、ある「循環財」の「循環圏域」の環境効率を高めることを可能とする「地域環境通貨(LEMS: Local Environmental Monetary System )」の提案を行う。「循環圏域」の物理的あるいは時間的な広がりにより循環のネットワークが人間の認識可能域を越えてしまうことに起因しているモラルハザードを、心理的に認識可能な仮想空間に可視化表現することで、情報の透明性を確保し、防止するシステムをデザインする。また、「地域環境通貨」に電子マニュフェスト的な意味合いを持たせることで、ネットワークが成立しなければマネーが決済されないシステムを検討する。具体的な地域環境通貨の流通媒体は、従来のエコマネーのような紙幣等によるものでなく、貨幣の流通にICカードあるいは携帯電話端末(もしくはその組み合わせ)を用い、GISと連動した情報の集中管理を可能とするシステムを提案する。
  • 菊池 健治, 深水 義之, 白石 照美, 吉田 登美男
    セッションID: Po-10
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    これまで「景観の図形認識の立場からの解明と評価に関する研究」として、視空間伝達特性モデルを構築し、このモデルの工学的利用の可能性について検討を進めてきた。このモデルから得られる心理生理ポテンシャル値がどのような生理現象を反映しているかについて、事例の解析を通して解明することを目指している。これまでに、ミューラー・リヤーの錯視図形、および斜張橋の側面形状を図形化した基本図形について、錯視量の測定の有効性を確認した。また、3種類の斜張橋のケーブルの張り方(ハープ、ファン、スター)の違いごとに、ケーブルの上端部から塔先端部の高さを0mmから6mmの範囲で変化させて錯視量の測定実験を行ったところ、塔の高さが高くなるにつれ錯視量が減少する結果を得た。この部分は橋梁デザインの一つのポイントとなる部分であることから本研究では、さらに塔先端部の高さを延長し0mmから14mmの間で錯視量の変化を測定した。そして、塔の高さが高くなるにつれて錯視量が減少するという結果を得た。すなわち、錯視量を抑制するために塔の高さを伸ばすことは有効であると考える。
  • 鶴巻 史子, 石野 順子
    セッションID: Po-11
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    情報デザインにおいて、情報がどのようなプロセスを経て変化し、完成に至ったを考察することは重要である。本研究では、HPデザインプロセスにおける情報の変化に注目し、初期情報がどのような変化を遂げ、完成に至ったかの分析を試みた。そこから抽出した変化の種類と、その特徴について報告する。
  • 石野 順子, 鶴巻 史子
    セッションID: Po-12
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    情報デザインのプロセスにおいて、情報がどのような変化を遂げ完成に至ったかを考察することは重要である。 本研究では、デザインプロセスにおける複数の情報メディアの使用に注目した。 テキスト、グラフィック、Webの3つの情報メディアを単に表現形式として使用するのではなく、各メディアの表現特性を生かして、デザインプロセスを促進させるための手だてとして使用することを試みた。 この情報デザインのプロセスにおいて、言語化、視覚化、統合化のそれぞれの段階で、各段階特有の情報のみいだし方があることに着目した。それらが情報デザインのプロセスをどのように促進しているかについて報告する。
  • 丸山 人詩, 若林 尚樹, 高橋 里奈
    セッションID: Po-13
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、コンピュータ上で視覚的に情報を分類し、構造化するための操作を提案する。まず、情報構造化のための5つの基準(カテゴリー、時間、位置、アルファベット、連続量)と、問題解決手法における情報構造化の手法(空間型、系列型、ハイブリッド型)との対応関係を述べる。次に、問題解決手法における空間型・系列型・ハイブリッド型のそれぞれに対して、構造化のための操作を検討し、5つの基準への適性を調べる。これは、検討した操作をモデルに実装し、ユーザビリティ評価を参考に評価実験を行って検証を行う。この評価実験の結果を解析し、構造化のための操作と、それに適した基準との対応関係を明らかにする。最後に、適性が確認できた操作手法に関して、Webコンテンツへの応用の可能性を論じる。
  • 浅沼 千春, 若林 尚樹, 青木 香織
    セッションID: Po-14
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    時間経過には、月や週のように繰り返す時間経過と、年表のように1本の軸で表される時間経過がある。この繰り返す時間経過をサイクリックな時間経過、1本の軸で表される時間経過をリニアな時間経過ということができる。この2つの視点の特徴としては、リニアな時間経過の方は、始めと終わりがある流れる時間であるという点、サイクリックの方は、時間の流れを一定の枠で区切り、節目を付けるという点が挙げられる。サイクリックな時間経過の特徴にある「枠」は、例えば1日を例とすると、1時間や1分、1秒のように様々に設けることができる。そのため、リニアとサイクリックは、入り組み合っているという構造を持っていた。この構造を、より分かり易く可視化するために、X・Y方向に加えて、Z方向を利用した擬似3次元表現での時間経過の表現の提案を目的とし、研究を行った。
  • 内山 鮎美, 若林 尚樹, 高橋 里奈
    セッションID: Po-15
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    道具などのものを介して手を動かして遊ぶという体験は理解を深めるために有効な方法であると言われており、多くの知育玩具によってそれが実証されている。しかし、デジタルに目を向けてみると楽しみながら体験を通して知識を得ることができるコンテンツが少ないという実情がある。そこで、本研究では利用者が積極的に働きかけ体験することができるインタラクティブコンテンツの実現を目指し、デジタルの特性を活かした「組み合わせる」操作の表現手法を検討し提案する。研究の方法として、実際の知育玩具が持つ機能を分析することからアプローチを図り、画面上でその機能と操作性のシミュレーションを行なうことによってコンピュータ上での「組み合わせる」操作を実現する。また、「組み合わせる」という操作を通して理解を促すことを目的とした応用モデルを制作する。利用者が対象を組み合わせていく試行錯誤の過程を目に見えるようにすることによって体験することができる概念として提唱することができ、その構造や仕組みを理解することにつながると考えられる。
  • Touch the Soundを例に
    早瀬 将一, 若林 尚樹, 高岡 明
    セッションID: Po-16
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    音楽的知識、技術を備えていない人でも直感的に演奏できるユーザーインターフェイスの研究をした。 重要視した点は、視覚情報と聴覚情報を連動させることである。そこで、ユーザーインターフェイスとしてボールを用い、ボールの連続的な動きと音の連続的な動きを結びつけた。ボールを用いた理由としては他にもある。ディスプレイ上で操作するよりも、より直感的だからである。
  • 馬場 泰久, 伊原 久裕
    セッションID: Po-17
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    インターネットで扱うことのできる情報を可視化するGUIは数多く試みられている。本研究では,そのなかで「ブックマーク」情報に着目し,ブックマーク情報の可視化を試みた。インターネットユーザはネットスケープの「ブックマーク」(Internet Explorerでは「お気に入り」)を用いて、個人個人がそれぞれのネットでの経験を管理している。したがってブックマークにはインターネットでの個人の性質や関心事の分類などの個人的な情報の傾向が強く反映されることになる。本研究では,まずこのようなユーザ個人のプロファイルの傾向が,ユーザ自身により直感的に把握できるようなGUIの可能性を探った。プロファイルの相互比較によく用いられるレーダーチャート・グラフに類似した表現方法を採用し,時間の経過によってユーザのネット経験が変化している状況が分かるような視覚化を試みた。
  • 基盤技術の発展とWebサイトトップページのデザイン的な変遷について
    鈴木 拓弥, 山中 敏正
    セッションID: Po-18
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    多くのオフィシャルなWebサイトは十年にも満たない短い歴史の中で社会的なニーズを拾い上げて発展してきた.基盤技術の発展により,Webが利用され始めると,多くの組織が自分のWebサイトを立ち上げた.そしてHTML以外の基盤技術の発展と共に,多様且つ独自のサービスを展開するに至ったのである.基盤技術の発展がサイト開発・運営に与えた影響は大きいが,現在のサイトには多くの機能が求められており,開発・運営に携わる人間にとって,推移する基盤技術の仕様全てを正確かつ広範囲に把握することは非常に困難である.本研究ではWebサイトについて「画面デザイン」と「サイト設計」というそれぞれの側面を,情報デザイン的な見地から検証した.合意形成とサイト構築のための最適なマネジメント手法を得ることを目的に,基盤技術の発展が「画面デザイン」と「サイト設計」にどの様な影響を与えたのかを追跡し,歴史的な観点から時間軸に従ってまとめた.「画面デザイン」と「サイト設計」について,基盤技術の変遷がもたらした職能や立脚点の違いを明確にし,職能分離と共創(コラボレーション)の必要性を示した.
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