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佐藤 浩一郎, 松岡 由幸
セッションID: E19
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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デザイン過程を,上流過程と下流過程の2つに大別すると,まず,上流過程においては不明確な設計目標や条件のもと,ボトムアップ過程とトップダウン過程,双方向の過程を経て広い解空間から多様解の探索が行われる.そして,下流過程においては明確化された設計目標や条件のもと,トップダウン過程を経て狭い解空間から唯一解の探索が行われる.下流過程は,設計者の直観に依存する部分はあるものの,最適化法やCADなどの活用により設計行為に合理化がもたらされている.一方,上流過程は,いまだその多くを設計者の直観に依存しており,大域的な解探索を可能とする数理手法や,それを前提とした逆問題の解法を可能とする設計研究の進展が必要とされている.このような背景を踏まえ,筆者らは,生物における創発過程とデザイン上流過程の類似性に着目した「創発デザイン」の概念を提唱し,それに基づくデザインの工学的支援のための研究を進めてきた.本報では,デザイン方法としての「創発デザイン」の可能性について示すとともに,創発デザインシステムの概要について述べ,「創発デザイン」に基づくデザイン上流過程の工学的支援の可能性を示した.
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栃澤 光彦, 野村 悠二, 氏家 良樹, 松岡 由幸
セッションID: E20
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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人工物の創造行為は,芸術を基盤としたデザインと工学を基盤とした工学設計に分業化された.一般に,デザインと工学設計は質が異なるとされるが,両者が対象とする領域の拡大や両者に相対的な補完関係があることから,両者を統合する統合デザインの可能性が示唆されている.その統合デザインの構築には,デザインと工学設計の特徴把握だけではなく,両者に関する研究の特徴把握も重要と考えられる.そこで,本研究では,デザインの研究を主に行うデザイン系学会と,工学設計の研究を主に行う工学設計系学会における研究対象の比較分析を行った.その結果,デザイン系学会においては価値空間,意味空間,および属性空間に関する研究が特徴的であり,工学設計学会においては状態空間や属性空間に関する研究が特徴であることが分かった.また両学会ともに演繹推論に関する研究が特徴手であることが分かった.また,特徴把握によりデザイン系学会における状態量に関する研究,工学設計学会における価値や意味に関する研究,および両学会における境界設定や仮説形成に関する研究が示唆された.
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田崎 慎也, 竹末 俊昭
セッションID: E21
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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近年、極端に音楽CDの売り上げが減少している。その主な要因が音楽配信サービスであるといわれている。その意見が間違いではないか確認し、日本だけでなく世界的な傾向はどのような現状であるのか把握する。音楽CDの売り上げ量世界1位のアメリカを比較例に挙げ、日本における音楽CDの現状を調査する。更に現状を踏まえて、音楽CDの売り上げ減少の背景には音楽配信サービスのほかにどのような要因があるのか、影響を及ぼしている可能性のある要因を分析し調査する。それら要因より利用者の音楽視聴スタイルの変化したと考え、音楽プレーヤーに対応するニーズにも変化があると考えた。さまざまな音楽コンテンツ(ソフト)に対応した音楽ツール(ハード)を提案する。
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人のふるまいの観察からのインタラクションデザイン
寺沢 秀雄
セッションID: F01
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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インターネットの膨大な情報にアクセスするため,ポータルサイトの専門検索が多く利用されるようになった.本研究の目的は,1)日常生活のシームレスな経験をモデルとし,2)それを活かした専門検索のインタフェースを提案することである.専門検索では,目的ごとの文脈に沿った操作について専門サイトとの整合性が必要である(縦の意識).一方,情報の集約という観点では,さまざまなコンテンツを往来するための横断的な操作が求められる(横の意識).これらを統合的に操作できることがポータルサイトのインタフェースに要求されている.専門検索の操作を自然で直感的なものにするため,日常生活におけるシームレスな経験に着目した.この経験をモデル化し,専門検索のインタフェースについてアイデア展開を行った.ウェブでは,サービスや技術の急速な変化に流されない普遍的なインタフェースが求められている.その解のひとつとして,日常経験から発想するデザインの方法に注目している.
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齋藤 美絵子, 嘉数 彰彦, 末吉 陽子
セッションID: F02
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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現在、経済や社会の複雑化が、社会的・精神的なストレッサーの増加を引き起こし、その結果、多様なリラックスを目的とした商品やサービスを生み出してきた。人間は知的情報の8割を視覚から受信しており、これを利用することで、効果的にリラックスできるのではないかと考えられるが、現在視覚を利用した商品・サービスは数少ない。リラクセーションコンテンツはテレビやDVDで視聴できる視覚を利用したリラクセーション法であるが、その効果は客観的に実証されていない。本研究は実験により客観的にリラックス効果があると考えられる映像の要素を探ることが目的である。実験方法としては、被験者に様々なサンプル映像を視聴してもらい、視聴前後にストレス反応の測定とアンケート調査を行い、その結果であるストレス反応の客観的な増減と、被験者の自己判断を元にリラックスしたかどうかを判断する。
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山下 晋吾, 岡本 誠
セッションID: F03
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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近年の情報技術の発達により、ユーザを取り巻くウェブコンテンツは急速に変化してきた。ウェブコンテンツを記録するブックマークは、その多くがディレクトリ構造による整理を行なっている。ディレクトリ構造は、非日常的で、論理的な整理を強いられるため、ひとたび編成されたディレクトリ構造は、再編成に手間がかかり、日々変わりゆくユーザの状況や視点に柔軟に対応できない。新たに登場したソーシャルブックマークは共有目的で、私的なブックマークとのシームレスな連携が必要であると考えた。
この問題を解決するために、本研究では「使用頻度による分類」と「位置による特徴付け」という実世界の整理法を用いたソーシャルブックマーク“Drawers”を提案した。日常的に使うものは机の上に、滅多に使わないものは押し入れの中に入れておくような感覚で操作することができる。また、Drawersはユーザの関心を表したデジタルダイアグラム“BookmarkStatus”を生成する。BookmarkStatusは全てのユーザで共通の関心領域の指標であり、これはユーザのソーシャルブックマークとしての用途をサポートすることができる。
評価実験の結果、個人のブックマークは良い評価を受けることができた。しかしBookmarkStatusが不完全であり、各ユーザの関心領域を示すパラメータの解析等、改良の余地が見られた。
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土屋 雅人
セッションID: F04
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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紙の防災マップは,自然災害から身を守る有効な道具であり,携帯性と一覧性に優れているが,情報を更新したり追加することが容易ではない.一方,パソコンを用いたインターネット防災マップは,情報を逐次更新可能だが,閲覧時間,場所,設備に制約がある.筆者は2006年,辻堂地区防災マップを改定するにあたり,防災関連情報や復旧支援情報を住民に広く知らせる手段として,QRコードを掲載した防災マップを提案した.これは,携帯電話のバーコードリーダ機能を使用して,紙の地図上のQRコードを読み取ることで,携帯電話の防災情報サイトに容易にアクセスできるものである.紙メディアの携帯性,一覧性と,無線ネットワークを利用した携帯電話の迅速性,適時性のメリットを融合し,必要な時に必要な情報を,QRコードを介して提供できる防災マップである.本研究では,2005年度に作成した「辻堂地域防災マップ」(神奈川県藤沢市)に,利用目的別の10個のQRコードを掲載し,そのQRコードを利用して,携帯電話用の防災情報サイトにアクセスできる仕組みを構築した. この10個の目的別QRコードについて,シナリオライティングの手法を導入し,その有意性の検証を行った.
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趙 領逸, 五十嵐 浩也
セッションID: F05
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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人間は外部からの様々な情報獲得の大部分を視覚刺激によって行なっている。最近は情報伝達の多くの部分がTVやコンピューター及び携帯電話などの映像媒体を通じた情報取得方法となっており、増加傾向にある。このため、映像媒体を通じた視覚的刺激に対する視覚伝達デザインの立場での研究が必要となる。この研究を進めるためには、より細分化された分類が必要である。色彩, 形態, 動き等の視覚的刺激がどんなパターンで認知されるかについて、実験を通じて検証する必要があるが、 本研究ではこれらの視覚的刺激の中で色彩を中心にして実験と考察を行なった。本研究の最終的な目的は、映像媒体を通じた視覚的刺激に対する人間の感性的反応を基にした視覚伝達デザインのデザインコンセプトを確立することである。
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近藤 雅人, 岡本 誠
セッションID: F06
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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本研究では、市民参加型の新しいコミュニティシステムを提案する。その際に、シナリオベースドデザインというデザイン手法を用いた。近年の地域社会は人口減少・高齢化の影響により生活の質の向上が求められるようになり、市民参加によるまちづくりが重要視されるようになった。しかし、従来型の行政主導のまちづくりでは、まちづくりに関する法律制度が住民の参加の権利を限定していたことで、住民たちの想いや暮らしの実態にそぐわないまちづくりが行なわれていた。北海道函館市の函館駅前にある大門商店街は、典型的な地方都市である。この商店街を研究対象とした。
インタビュー調査で得られた要求事項をもとに、市民参加型のまちづくりコミュニティシステム「まちツク!」を提案した。まちづくりに住民の意見が反映されるためには、住民からの発想を引き出し、知恵を結集させ、広く住民に開かれたシステムが必要であると考えた。そこで、システムはまちづくりのプランを住民のアイデアをもとに作り込み、住民の意見を反映したまちづくりの実践を目指す。
評価の結果、提案したシステム「まちツク!」は、今までは、意見を言うことができなかった住民にメリットがあるということがわかった。
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視覚特性に考慮したデザイン
伏見 清香, 茂登山 清文
セッションID: F07
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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本研究では,色覚特性をもったユーザを含め,美術館を訪れる機会の少ない一般生活者を対象とする.都市空間全体を美術館と考え,歴史的建造物,工作物,屋外彫刻物といったパブリック・アートを鑑賞対象として,生活者が日常空間の生活の中で作品鑑賞を行うことによって,それぞれの美的経験を豊かにすることを目標に,携帯電話を使用した鑑賞支援のデザインを行う.作品感想の記録を蓄積し,キーワード検索により,膨大な感想から興味に合わせた絞り込みが可能である.他者の感想と映像の閲覧は鑑賞の視野を広げることが目的である.また,名前の検索機能により過去の自分の体験記憶を呼び出し再会することが可能である.この機能と感想の記入,撮影は自身の美的経験を深めることを目的とする.
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岡本 誠, 松山 克胤, 小川 貴生
セッションID: F08
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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この研究は情報デザインに関する基礎研究です。デジタルダイアグラムはコンピュータを用いてインタラクティブにダイナミックな情報を提供することが可能です。この研究は、コンピュータグラフィックスとインタラクティブナ操作環境を備えた世界地図(MIKAN Globe)を提案することです。対話的な世界地図は、開かれた理解のモデルを提供してくれることが分かりました。
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長田 純一, ぜんじろう ., 藤田 善弘
セッションID: F09
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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近年研究開発が著しいパートナー型ロボットにおいては、何らかの機能を持ち人にサービスを提供するだけでなく、一緒にいることやインタラクション自体に価値を持たせることが求められている。つまり、ひとつひとつのインタラクションが、人にとって心地よく楽しいものである必要がある。この問題に対し、我々は「お笑い」に着目し、ユーモアを人とロボットとのインタラクションに応用することを試みた。我々はこれを「ユーモラスインタラクション」と名付けた。本稿では、ユーモラスインタラクションのための共同研究でおこなったロボットを使った漫才ショーについて報告する。
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大橋 裕太郎, 鈴木 啓太, 永田 周一, 馬島 洋, 小川 秀明, 有澤 誠
セッションID: F10
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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ZOO PROJECT(ズープロジェクト)は、新しいIT技術である携帯電話やポッドキャストなどを利用して動物園での情報デザインを実践する試みである。ITを取り入れることで、来園者が情報を取得・共有・発信できる新たな情報環境を構築することができる。
本論文では、私たちが開発・提案した動物園という環境に適した情報ツールを紹介する。提案ツールはこどもたちが作成した音声ナビゲーションシステム、携帯電話を利用した参加型情報発信ツール、こどもでも簡単に利用できるインタラクティブなウェブサイトなどである。
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桑畑 健, 須永 剛司
セッションID: F11
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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本研究では企業研修や学校教育でおこなわれている表現活動を図解化する。本研究で扱う表現活動として、企業や学校が研修生や学生に行なうゲーム形式のグループ活動や、博物館や美術館の関係者が市民に対して行なうワークショップ形式の活動を指す。
図解化することによって、活動を企画・設計・実践した人々が自分たちの行なった活動を振り返り、その意味や価値を手に入れることを目指す。これら表現活動の研究と実践は、教育における方向性の変化とメディア機器の発達を受けて急速に進歩しており、社会での位置付けも大きく変わりつつある。しかしその活動の記録を知識として利用できるようにする手法は確立しておらず、表現活動の設計に比べて遅れている。記録の利用目的として、表現活動の企画や運営を行なう活動実践者が、活動を他者にプレゼンテーションすること。また、活動の分析に利用することが挙げられる。これらが実現することによって、よりよい表現活動の企画・運営ができるのはもちろん、部外者に対して活動の価値を的確に伝えることが可能になる。図解化したものは実際にファシリテーターの評価をもらい、そのノウハウを形成して仮説を生成することを目指す。
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幼稚園の教育実践「作品展:乗りものランド」を事例として
植村 朋弘
セッションID: F12
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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Web環境における市民芸術表現は、どのような仕組みによって効果的な表現及びコミュニケーションを構成できるのか。市民芸術の活動事例として幼稚園の教育実践『作品展』を紹介し、そこでの組織運営の仕組みについて捉えた。それを手がかりにWeb上で市民芸術表現を展開できるプラットフォームのデザインの枠組みを明らかにした。それはWeb環境としての道具と空間の設えが状況に応じ、参加者同士の関係及び運営者の関係を多層的に設定する。表現作品を通してその制作者についての語りを設定する。これらによって効果的な表現とコミュニケーションを創り出すことができる。
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一過性の強いグラフィックを中心に
高 台泳, 西川 潔
セッションID: F13
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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環境グラフィックは、その種類が非常に多いとされている。その中で、塗る、描く、貼るなどの普遍的な描画技法からなるものは勿論、技術と科学の発展によって登場した写す、映す、照らすなどの技法によるものも環境グラフィックの事例に含めることができる。前者の場合は、壁画やモザイク画などが代表的であり、後者の場合は、レーザーやLED等によるライトペインティングなどが挙げられる。特にこれらのものは、環境グラフィックの中でも一過性を特徴としている。そして、20世紀後半以降、益々都市空間の中で存在感を増しており、その役割に対する期待は今後さらに高まると予想される。そこで本研究では、一過性の強いグラフィックに注目して、期待される効果と問題点を探り、都市空間における環境グラフィックの提案を行いたい。
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平松 早苗
セッションID: F14
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
フリー
本研究は、パブリックアートが作家・鑑賞者にとって、どのような思考で、どのような位置を持ち、公共空間における私的・公的な存在意味を有するのか、その可能性を考える。今回の発表では、公共事業の側面からパブリックアートの存在の仕方を、茨城県笠間芸術の森公園・陶の杜を例に、他事例の調査と併せて、どのような作用を場所に与えているか考察する。
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湘南台駅における人間行動について
川合 康央, 池田 岳史, 益岡 了
セッションID: F15
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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本研究は、都市空間における人間行動とその空間の性質を、実際の都市空間における利用者行動の実態調査から明らかにするものである。対象空間として、中規模ターミナル駅舎である湘南台駅(神奈川県藤沢市)を対象とし、利用者行動を追跡調査から明らかにする。湘南台駅に乗り入れいる3路線の各改札口と、利用頻度の多い4出口の7箇所を起点とし、利用者の追跡行動について調査を行った。また、これらを元にCGモデルを作成することで、新しい駅空間の空間モデルを検討する。
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加々美 淳, 赤松 明, 久下 靖征
セッションID: F16
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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都市空間にあふれている屋外広告物は,多くの情報を人々に提供し,人々の店舗への誘導を促している。しかし,屋外広告物の設置場所や形態によっては,分かりにくく,集客性の低下をもたらす可能性があると考えられる。そこで本研究では,アイマーク・レコーダを用いて屋外広告物に対する歩行者の注視特性について検討した。調査範囲は相模原市橋本駅周辺の主要4街路とした。各街路を60秒間デジタルビデオカメラで撮影し,その映像を,スクリーンを通してアイマーク・レコーダを装着している被験者に見せた。被験者が映像のどこを注視しているか正確に分析するために,アイマークデータを0.17秒ごとにキャプチャー画像としてパソコンに取り込み,その画像をもとに歩行者の注視特性を明らかにした。実験の結果,歩行者の注視特性として,街路形状による注視点分布の相違,看板の種類や設置場所による,注視距離の相違が明らかになった
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福岡県筑紫野市の集合住宅開発計画を事例として
佐伯 謙吾, 森田 昌嗣, 岡 泰雄
セッションID: F17
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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昨今、日本の集合住宅においては、その死角を突いたような事件や事故、犯罪などが頻発している。その背景には、建築設計上の課題だけではなく、核家族化に伴う世帯あたり構成人数の減少や地域内のコミュニケーション低下など、日本の社会的な変化が起因していると予測される。集合住宅には多くの人々が集まり住むが、建築技術の発達によって住民のプライバシーが保護されるあまり、日本で古くから形成されていた地域のコミュニティは崩壊しつつあると考えられる。
本計画の対象となる集合住宅は、200世帯を超える規模が開発の条件であり、計画地周辺では大規模な住宅開発である。計画を構築する上では、開発テーマである「豊かさのユニバーサルデザイン」の実現に重点を置いている。機能的なユニバーサルデザインだけではなく、多くの人々が集まり住む上での心の豊かさについて、ユニバーサルな観点からの価値提供に重点を置いている。
計画は2007年中の販売開始、ならびに2008年冬の竣工を予定しており、竣工後は当初計画に対する検証を図ることで、以降の集合住宅開発計画に反映する事を目標としている。
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-その3-
池田 岳史, 川合 康央, 益岡 了
セッションID: F18
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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現代都市空間において,空間からもたらされる情報は多種多様である。我々は多様な構成要素が存在し,位置同定,経路探索といった行動が頻繁に行なわれる空間として公共空間である駅構内を採り上げ,サイン設置形態,表示形態の分析を進めるとともに,実際の駅利用者の行動調査を行ってきた。本稿ではこれまでの調査を踏まえ,サイン設置状況の経年変化に関する調査,デジタルハイビジョンビデオカメラを用いた駅空間利用者のサイン利用行動調査を行った結果を述べる。既設のサインを含めたサインの設置状況に関する調査の結果,依然としていくつかの問題点がある。またサイン利用行動調査の結果,同様に動線密度の高いエリアに存在し,構内空間に対称に設置されたサインであってもその利用状況は大きく異なることが明らかとなった。要因として,構成が変化する空間や動線の交わる空間のように,利用者が空間把握や他の利用者との衝突を避けるための行動を優先する等,サインによる情報提供には不向きな空間でのサイン掲出が挙げられる。これらの問題は改善傾向にあるものも見られるが,今後予定される北陸新幹線福井駅開業に伴う駅構内空間拡張の際は更なる改善を望みたい。
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-京都、清水寺とスペイン、モンセラート寺院ー
中嶋 猛夫
セッションID: F19
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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今回の東西の山岳寺院における境内構成研究では、ユーラシア大陸の東端の島国の日本と西端のスペインという気候も文化、歴史も宗教も異なる土地にある山岳寺院において類似の要素、空間構成などが認められた。
同様のパターンの幾つかは各国の山岳寺院に共通するものであり、これは仏教、キリスト教以前からの人類の原始的な山岳信仰から続くものなのか偶然の類似性なのか、今後も調査事例を重ねて研究を続ける予定である。
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デザイン・マインド・シティ 浜松に向けて(1)
井口 朋之
セッションID: F20
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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静岡県浜松市の風土性とデザインに関する研究です。
本研究は、浜松における地域性や風土性の特徴を活かした文化の発信としてのデザインを考察しました。
本研究は、以下の3段階にて実施中です。
第1段階:
まず、地勢学的にも国土軸が交差し日本の中心的位置にある浜松と、それに共通した欧州におけるスイスの風土性とデザインをモデルに比較研究を行ないました。次に、日本で巡回展示したスイスデザインの展示会浜松展の実行委員会主要メンバーとして企画・運営に参加しました。また同展開催中に関連シンポジウムを開催し、国内外のパネリストによる発表と127名の参加者による活発な意見交換が行われました。
第2段階:
浜松の風土性とデザインの果たす役割についての考察を行ない、本学が機能して地域のデザインコミュニティづくりを推進中です。
第3段階:
上記成果より、浜松地域のデザイン力発信の恒常的装置化を図ることを予定しています。
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柳澤 秀吉, 村上 存
セッションID: G01
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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顧客の意匠形状に対する潜在的な感性要求の外在化のための,形状生成支援システムを提案する.本システムは,顧客自身をユーザとし,感性要求を形状として直接的に外在化する.他ユーザ間でデザイン解,および視点の交換を可能にすることにより,ユーザは相互に想定外の視点を相互に獲得させる.これにより,顧客の潜在感性の喚起を促す.本システムは,計算機による複数の形状代替案の生成とそれに対するユーザの選択および注目形状特徴の指定の繰り返しによりなる.注目点形状特徴量は,計算機による推定,もしくはユーザによる指定によりおこなう.システムは,指定された注目形状特徴量をもとに,新たな形状を生成する.この操作を繰り返すことにより形状をユーザのイメージへと収束させる.また,形状生成の過程において,他者が作成したモデルおよびその視点を参照可能とし,これにより,潜在感性を喚起させ,局所解への収束を抑制する.評価実験では,被験者に,視点の共有ありとなしの2種類のシステムを操作させ形状を作成させる.そして,作成した形状モデルについて,後日一対比較評価させる.実験の結果から,視点共有の有効性を示す.
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佐藤 弘喜
セッションID: G02
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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本研究は美術作品に対する鑑賞者の見方を明らかにし、鑑賞者の印象と結び付けることを目的とした。美術大学の学生による多様な平面作品7種類を研究対象として選定した。男女大学生25名を対象に、発話による特徴記述と印象評価の実験を行った。各作品ごとに、値が高かった印象評価のデータと特徴記述データの間で重回帰分析を行うことによって、相関の有無を調べた。相関の高かった印象と特徴の結びつきを考察し、それぞれの作品に関する鑑賞者の視点と印象の関係を読み取ることができた。したがって、発話による特徴記述と印象評価によって、見方と印象の関係を明らかにしようとする試みは有効であった。
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動いているアイコンを対象として
柴 嘉一, 五十嵐 浩也
セッションID: G03
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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音声対話は発話者の感情や情緒が基本的な言語情報によって成立している。直接対面の状況では、特定のメッセージの移動の手段として表情、体の動き、手のジェスチャー、ポーズ、瞬いている目の変化などであり、これらは身体的なコミュニケーションに関連している。これらの非言語的表現は、感情の表現を理解する際に重要な役割をしている。本研究は、ヒトの感性表現語としての、 アイコンの感情を表す動き、ジェスチャ-、状況などを分類し、この結果をコンテクストとの関係に着目して比較分析をした。この結果に基づいて、コミュニケーションが豊かになると考えられる。ヒトの感性変化に対応する統合的コミュニケーションツールの開発可能性と方向を模索するものである。
本研究の成果は、動きと感情との関連性を試してみたことである。動きと各基本感情の間の関連性が分かった。アイコンの動きの変化によって、人間が感じる感情、意味は違うように現われた。動きはそれぞれのコンテクストに影響を与えると考えられる。
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郭 龍旻, 五十嵐 浩也
セッションID: G04
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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デザイナーが創造行為を行う時、デザイナーは何によってアイディアを出すのか。 本研究では、デザイナーが具体的なアイディアが決まる時の感性特性と造形行為の思考を考察する。すなわち、創造行為の特性と感性の変化に対する客観的なデータを抽出するのが研究の目的である。デザインコンセプト・アイディアスケッチ・レンダリングの段階での創造行為と思考に関する実験を行った。ビデオで記録された実験データを他人と共に見ながら、アイディアが表現される時の思考と行為に対する内部観察を行った。 経験があるアイテム、そして経験がないアイテムに対して、それぞれの感性特性を比較された。デザイン経験を持っている自動車を対象としてアイディアスケッチの実験を行った。そしてデザイン経験が持っていない鞄(日本の小学生用)を対象としてアイディアスケッチの実験を行った。レンダリングの段階の実験は、アイディアスケッチと同じアイテムを対象として、同一方法で実験を行った。 抽出されたデータの分析によると、アイディアスケッチとレンダリングの創造行為ときのデザイナーが気づかなかった項目が抽出された。そして、デザインの経験と非経験のアイテムについて、デザイナーの感性を数量化し、客観化することができた。
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行動分析を用いた、LOHAS指向ユーザのデザインに対する興味測定
水谷 奈那美, 中森 志穂, 永盛 祐介, 宮地 良治, 斉藤 典央, 山中 敏正
セッションID: G05
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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今後、デザインはユーザの潜在的な指向に対応しなければならない。本研究は、ユーザの潜在的な興味をデザインの現場に対してフィードバックするために、ユーザの潜在的な興味を測る方法を探った。本研究ではユーザの興味を考察するため、ユーザの行動観察をもとに分析した。本研究の対象はターゲット自身もその潜在的な傾向を意識化していないと思われるLOHASと言われるユーザカテゴリーに属する人とした。ユーザのプロダクトに対する行動観察は4日間の展示会を利用した。被験者はインターネット上でのアンケートにより選定し、ロハスをテーマにデザインされた車のメーターのアドバンストデザインが8点展示されていた。展示会では被験者の自由な鑑賞行動をビデオで撮影した。撮影はそれぞれのデザインの前方上部からと、真後ろからの2カ所である。その映像から観賞中の行動を拾い出し、2分法を用いて行動のカテゴリー分けと点数化を行った。そのデータを数量化3類とクラスターにより解析し、行動の分類を行った。5つのクラスターに分類された行動の意味付けを行い、興味や関心に関係していると思われる行動クラスターを考察した。
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言語指標を用いた、LOHAS指向ユーザのデザインに対する興味測定
中森 志穂, 水谷 奈那美, 永盛 祐介, 宮地 良治, 斉藤 典央, 山中 敏正
セッションID: G06
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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本研究の目的はデザイナーとユーザの情報のやり取りを通じてデザインを活性させることである。
DENSOのデザイナー主催で展示会を開催し、そこでユーザの嗜好を言語指標及び行動から計測することを目指した。展示会は2006年9月1日から9月4日まで渋谷区のギャラリーにて行った。展示物はデザイナーは4名により「LOHASデザイン」をテーマにデザインされた車のメータのアドバンストデザイン8点であった。被験者はLOHAS傾向をもつ首都圏在住の103名であった。デンソーのデザイナーがアンケートを作成し、筑波大学でデータの分析を行った。プロダクトは全てLOHAS向けにデザインされていたにも関わらず、実際のLOHASユーザには好きなデザインと嫌いなデザインがあり、デザイナーの想定したLOHAS志向と実際のLOHAS志向に開きがあったといえる。また、その開きを作っている原因として、色、イメージワード,ライフスタイルをモデルごとに限定することができた。ユーザサイドへの展示会の効果は狙い通りの結果であった。今後、デザイナーサイドへの展示会の効果を探っていきたい。
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山田 知幸, 大坪 牧人
セッションID: G07
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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情報技術の進歩とともに、高齢者は、好むと好まざるとにかかわらず情報機器とつきあうことを余儀なくさせられている。高齢者が情報機器をうまく使えないという声をよく耳にするが、その原因を明らかとし、高齢者が無理なく使いこなせる情報機器を、世の中に提供することが急務と言える。本研究では認知心理学などの知見を参考として、ユーザがポジティブな感情である場合には道具に対して主体的に向き合える。さらには道具使用の学習も促進できると考えた。そこで、「新奇な道具」との相互作用にみられる高齢者の認知特性を明らかにすることを目的として認知心理学的実験を行った。その結果、ポジティブ感情は、高齢者の主体的態度に影響することが確認された。
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井上 征矢, 玉置 淳
セッションID: G08
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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聴覚障害者に対する適切な情報保障方法を探るため、聴覚障害者と健聴者に対して、駅空間画像を用いた視覚実験を行った。その結果、聴覚障害者は、路線色やピクトグラムとともに表示される文字が読みにくい場合や、文字が(間に数字等が入ることによって)離れて表記されている場合に、健聴者よりもターゲットの探索に時間がかかった。健聴者は色やピクトグラムを見るだけでターゲットの方向を判断する場合も多いが、聴覚障害者は隣に表記された文字までを確認して判断しようとする傾向が強いのではないかと考えられる。従って聴覚障害者に対する情報保障を充実させるには、サインを掲示する側としては、文字の可読性に充分に配慮したサイン計画を、逆に聴覚障害者に対しては、サイン計画への理解を深め、色やピクトグラムによる誘導にも慣れるための教育を進めることが必要といえる。
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伝統的生活文化と現代的住み方の考察
大北 志帆, 久保 雅義
セッションID: G09
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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京都の歴史をずっと生き続け、使われ続けた都市民衆の住まいが京町家であり、『歴史的財産でかつ人が住むための空間』である。しかし、年々京町家は減少の一途にある。本研究は今後も住居として京町家が存在していくことを意図し、住人が京町家の伝統的生活文化に現代の住み方をどこまでとりいれることができるのだろうかということについて、考察を加えるものである。
研究手法としては、_丸1_京町家数件を訪問・実測し、高齢者住宅(高齢者住居法)との比較を行いった。 _丸2_京町家内で生活がどう展開しているか、市中心部と職住近接地区で住人に対して調査票調査 を実施し、その住まい方の意識を確認した。さらに_丸3_京町家の改装について仮説提案を作成し住人の意見聴取・検証を実施した。その結果、今後京町家に住み続けるためには、
_丸1_高齢者が負担なく日常生活を送れるような生活空間(段差なしワンフロア)
_丸2_UD化、身体能力の低下を補い、自立と共生をはかり、安全性に配慮した生活空間_丸3_自然と共生できる生活空間などの視点が重要ということが判明した。
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ヘッドアップディスプレイの視認性に影響を及ぼす要因について
千葉 茂, 川崎 晃義, 鈴木 隆
セッションID: G10
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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研究の目的は、ヘッド・アップ・ディスプレイの視認性の実験をおこない、ヨーロッパ人や米国人(青い眼)の視認性を明らかにすることである。
被験者は、上智大学の教員及び学生で、アメリカ人24名、ドイツ人9名、イギリス人8名、スウエーデン人4名など合計60名を対象におこなった。
実験方法は、「俯角」「輝度コントラスト」「表示距離」「表示サイズ」「色波長」の5要因に3水準を設定したスネレン視力表を、表示してから認識するまでの時間を測定した。
実験結果では、「輝度コントラスト」と「表示サイズ」が最も視認性に影響した。認識しやすい輝度コントラストは0.3以上であった。また、大きい表示サイズほど認識しやすく、20-30歳代と60-70歳代では0.4sec以上の差があった。
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吉田 泰三, 梨原 宏
セッションID: G11
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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わが国の車いすの歴史は、外国の車いすを真似することからはじまり、その後独自の材質と技術の開発によって世界でも最先端を行く車いすが数多く研究・開発・生産され、流通させてきた。
一方でほとんど技術革新がなされていない車いすもまた市場に流通している。
そこで本研究では、車いすの構造が抱える問題と生産方法の違いによって発生する諸問題を抽出するとともに、それらの問題を解決するための方策について検討を加える。
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浅沼 則之, 平田 圭子
セッションID: G12
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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まちづくりの中で、ユニバーサルデザインの視点で考えるサインのあり方は、五感全体で捉えられるサイン計画が必要ではないだろうか。本報では、広島市佐伯区のコイン通りを対象としてサインについてのアンケート調査を行った。その結果、「範囲」と「時間」を考慮したコイン通りらしいサインの計画要件の指針を得た。
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UDマトリックスを用いた京都駅乗換えツール作成事例
佐藤 圭一, 久保 雅義
セッションID: G13
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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本研究は、公共空間のUDとして、多様な人が利用するターミナル駅における課題と解決策の提案をおこなっている。
一連の会場アクセスの中でも、特に乗換えという、公共の交通サービスと公共施設のすきまの部分の利便性に注目している。
UDマトリックス及び実地検証によって、JR線から地下鉄への乗換えをする際の課題の抽出をおこなった。
最終的に、その課題に対する解決策の提案として、各利用者別の乗換えマップと音声読み上げ機能による案内などを作成し、「第2回国際ユニヴァーサルデザイン会議in京都2006」のホームページに提供をした。
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クオリティカルテ評価・診断システム構築に関する研究1
曽我部 春香, 石橋 伸介, 北村 真吾, 森田 昌嗣
セッションID: G14
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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本研究の目的は、評価者を立場により作り手・送り手・受け手の3つのユーザーグループに分類し、評価調査を実施し収集した評価データを統計的に分析することで、この3者間に存在するデザイン評価のズレを明らかにすることである。そして、その事実を広く知らしめ、ものづくり活動を行ううえでの支援システムを構築することにある。今回は調査の一例として、Gマーク受賞作品5アイテムを選出し、クオリティカルテを用いた評価調査を実施した。クオリティカルテとは九州大学ユーザーサイエンス機構評価・マネジメント部門において、グッドデザイン賞の審査講評から抽出したデザイン評価指標群である。このデザイン評価指標は、安全性、アクセシビリティ、ユーザビリティ、サスティナビリティ、審美性・品質、独創性などの内容が評価できる。本調査では全国4会場において評価調査を実施し、分散分析を行うことにより3ユーザーグループ間に統計的に有意なズレが存在することを明らかにした。そして、それらの結果をもとに、デザイナーを招聘しワークショップを実施することでそのズレの要因を探ることが出来た。
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クオリティカルテ評価・診断システム構築に関する研究 2
石橋 伸介, 曽我部 春香, 北村 真吾, 森田 昌嗣
セッションID: G15
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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ユーザーの立場の違いによる評価のズレを可視化するために、モニター付ドアホンを対象とした評価実験を行った。評価実験から得られた評価データを統計的手法を用いて分析した結果、有意差のある評価のズレが各製品でみられた。ユーザーの立場の違いや地域の違いによって、評価のズレにいくつかの特徴がみられた。次に、評価のズレがなぜ起こったか、その要因を明らかにするために、デザイナーやドアホンのメーカーの方に集まってもらい、ズレの読み取りを行うためのワークショップを実施した。その結果、ズレの要因についてたくさんの意見を集めることが出来た。
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クオリティカルテデザイン評価・診断システム構築に関する研究3
北村 真吾, 曽我部 春香, 石橋 伸介, 森田 昌嗣
セッションID: G16
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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ユーザーの立場の違いによる評価のズレを可視化するため,製品開発に関わる作り手(デザイナー・技術者など),送り手(経営者・営業マンなど),受け手(エンドユーザーなど)の3者が共有可能な評価・診断軸として構築した評価診断シート“クオリティカルテ”を用い,立場と地域による評価の差異を明らかにする目的で,椅子を対象としたデザイン評価実験を行った.多重比較の結果得られた立場間の有意差は55対であり,作り手-受け手間での評価差が40対と最も多くみられた.また椅子の中では,デザイン性が高いが外見的にはシンプルに見える製品において,主に審美性,安心・安全,親しみに関する項目での差がみられ,製品に対する知識や理解の差の反映として現れていると考えられた.また地域間では114対の有意な評価差が得られ,その内東京-大阪間での評価差が61対と最も多く,次いで東京-福岡間での37対となった.地域間の評価の特徴としては,主に審美性,安心・安全,親しみに関する項目で,東京が大阪・福岡に対して異なる評価をする傾向がみられた.こうした評価差は,特に実用性よりも嗜好性の強い製品に対してより多くみられ,地域間での評価軸の違いが伺えた.
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梅谷 智弘, 松河 剛司, 横山 清子
セッションID: G17
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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近年の計算機や計測機器の能力の向上とともに,複数の情報を同期して計測し,それらの関連性について統合的に解析する手法が研究されている.例えば,人間の動作を理解するためには,人間の動作の計測時に,生体信号などを同時に取得し,それらを統合的に解析し結果を可視化する手法が開発されている.また,ロボット分野においても,動作を確認するだけでなく,その結果の検証が望まれている.複数の取得情報を統合することで取得情報に意味付けができ,それらの結果は,広範囲の応用が期待できる.本報告では,位置情報を計測するモーションキャプチャシステムおよびその他の計測装置を用いて,統合的に空間内の人物や物体の状態を解析できる空間の構築手法を紹介する.正確な位置情報を取得できるモーションキャプチャシステムを利用することにより,生体信号との統合解析や,ロボットシステムのモデルの検証に利用できる.統合計測空間を利用した設計支援への適用,動作情報を利用した生体信号の推定とその可視化,および,知的空間における情報取得を想定した空間情報処理への適用を通してモーションキャプチャシステムを利用した統合解析空間の可能性を検討する.
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松永 絵美, 金子 絵里, 氏家 良樹, 松岡 由幸
セッションID: H01
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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曲線デザインにおいては,形状要素の組合せによって発現するマクロ形状情報を把握することが重要である.これは,ゲシュタルト心理学で指摘されたように,ヒトには形状全体の特徴を巨視的に認知する特性があるためである.しかし,従来の寸法や曲率など微視的な形状特徴を定量的に表現する情報の提示では,マクロ形状情報の定量化は困難であり,定量化法構築が望まれている.過去の研究においては,定量化の対象としてマクロ形状情報「複雑さ」を選定した.マクロ形状情報「複雑さ」とは,「美しさ」や「類似性」のように,スタイリングにおいて外観の評価に影響を与えるものである.
そこで本研究では,過去の研究においてマクロ形状情報「複雑さ」の定量化法として示された曲率エントロピーおよび曲率積分の使い分けに関する指針についてより詳細な検討を行うことを目的とした.まず,「複雑さ」の認知実験を行い,曲率エントロピーと曲率積分および「複雑さ」の定量化法について関係解析を行い,両手法の比較を行った.また,前述の認知実験での提示サイズおよび提示時間を変動させた実験を行った.最終的に,曲率エントロピーと曲率積分を活用する指針を示した.
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~飲食店の和風・洋風を対象として~
白石 光昭
セッションID: H02
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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飲食店の室内空間を見て受ける「和風である」や「洋風である」との印象は個人により様々であり,その内容も個人によって少しずつ異なるものであろう。ただ,ほぼ同じような文化・環境の中で暮らしている日本人にとって,空間の要因が「和風である」や「洋風である」との印象評価へ与える影響には共通する部分も少なからず存在すると考えられる。本研究では,この共通部分が存在すると仮定し,和風・洋風との印象を持たれる空間を対象とし,写真をもとに空間の構成要素と印象との関係について,ラフ集合理論を応用して検討した。
その結果,和風・洋風の印象はそれぞれいくつかの特徴によって評価され,影響度が異なるということが分かった。和風・洋風の印象評価に最も影響がある構成要素は,畳,石の床,床の面積割合である。これから,床の見え方が影響を及ぼしていると考えられる。また,障子,ガラス窓及び太陽光有りの抽出結果から,開口部は重要な構成要素と考えられる。なお,「やや洋」は,木の床以外は強い傾向は見られなかった。
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共働き夫婦の育児環境に関する研究 その1
吉住 優子, 辻川 ひとみ
セッションID: H04
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
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本研究ではインターネットによって得ることのできる子育てに関する情報内容と量により、職業を持ちながら結婚、さらに出産を選択する、もしくは選択を希望している女性たちによる、情報収集と情報交換内容の調査を行った。今日の日本ではインターネットの普及が進み情報化社会といわれており、情報豊富かつ選択自由な状況下において、女性たちがどのような情報を参考とし自らのライフプランを選択しているのかを把握することが目的である。調査方法は、Google、Yahooにおける「ワーキングマザー」検索にてヒットした各上位10サイトと先行研究よりキーワードを110個抽出し、Google上位100サイトによるキーワード検索数を計った。結果として、キーワード検索数の上位の内容は、育児に関する出来事の情報交換とそれに伴う子どもの成長確認、妊娠中の体の変化や留意点の情報提供、地域毎による保育園の利便性に関する情報収集であった。またそれに続き、社会制度や身内・地域によるサポートや家事負担の軽減方法についての情報交換が数多く見受けられ、働き方についての不安感や自分の時間を大切にしたいといった意識の現れも窺うことができた。
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共働き夫婦の育児環境に関する研究 その2
辻川 ひとみ, 吉住 優子
セッションID: H03
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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本研究は仕事を持つ女性が仕事と子育てや出産を両立させるにあたり、どの様な事柄に不安を抱いているのかその要因の所在について再考したものである。前稿その1において抽出されたキーワードと上位100件のサイトにおける情報数のデータを統計手法により分析し、これらのサイトがどの様な情報や内容から構成されているのかを見てみる事によって、現在の職業を持つ女性が妊娠や出産、子育て期間中に何を考え、どの様な情報を必要としているのか探ることを目的としている。結果、5つの成分が抽出され、その内全体の8割以上を占めている3つの成分は、第1成分が「母親としての知識と女性としての生き方」、第2成分が「ワーキングマザーとしての仕事と妊娠・育児の両立」、さらに第3成分が「子育てに関わる社会の関心事」に関わる成分である事が分かった。母親になっても女性としての豊かな生活を送れるのか、その為にどの様な子育てをして行けばよいのか、仕事をしながらの妊娠や育児に伴い、どの様な状況が訪れるのかをといった不安感やその際利用できる諸制度に関する情報収集、さらに子どもを取り巻く環境問題にまで、彼女らの不安は多様に及んでいる事が分かった。
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石川 加容子
セッションID: H06
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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本研究は,身体が不自由な人や高齢者が,安全かつ負担が少ない電動車いすの音声指令走行の実現を目指した研究である.
すでに,音声指令のみで操作が可能な試作機による障害者用トイレを用いた走行テストを行っている.それらのテスト結果から,狭い空間ではどのような指令語が必要であるのか考察し21語の指令語を決定した.また,操作方法の違い,ユーザの違いによってどのように走行の差がでるのか実験を行い,音声指令走行の可能性について検証した.その結果,音声指令のみの操作でも安全に走行することが出来ることがわかった.
しかし,狭い場所での走行など細かい操作を要する場合は常に指令をだす必要がある.そこで,さらに安全性と操作性の向上をはかるために,試作機に超音波センサを追加し,音声指令と超音波センサから情報を組合せ操作するシステムに改良を行った.その結果から,障害物回避走行,壁沿い走行,人間追尾走行,の3つの走行が自動的に行うことが出来るようになり,ユーザの負担を減らすことができた.今回の報告では,超音波センサを追加したシステム構造およびシステムを用いた走行の有効性ついて報告する.
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Arif Affendi Bin Jamal, Yoshiaki Kudo, Shigeru Furuya
セッションID: H07
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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Design is a very important aspect regarding to the
lifecycle of a product. The design of a product has to
maintain with the current trend and because of this
sometimes a product comes to a slow sales. Redesign of the
same product has to be implemented to make it look new.
This paper proposed a cost effective time saving method
of redesigning a product to catch up with the
ever-changing consumer needs. The method requires the
recognition of tone gradation of designer`s 2D drawing.
This understanding of tone and gradation is important
mainly because drawing from designer is very much
related with it.
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製品デザインにおけるデザイン認識の構造化に関する研究-3
篠崎 広和, 工藤 芳彰, 古屋 繁
セッションID: P01
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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本研究は既報の知見とマーケティングの初期段階における調査をもとにデザインへの展開方法を提案した。まず、市場の現状とトレンドをマクロ的な視点から調査したことにより、今後のプロフィット・ゾーンの推定と、そこへ導くための新しいデザインのテイストを探ることができた。そして、これらの知見をもとにユーザが特徴を認識しやすい新しいデザインの方向性を3つ設定し、デザイン提案を行った。
ユーザの知識構造と形状認識の関係ならびにデザイン展開に必要なデザイン要件を抽出した本研究の成果は、現在の多様なデザインにおいてデザイナがより的確に新しい造形を創出する際の一つの指標となり得ると考える。また、この方法と成果をプラットフォームとすることにより、デジタルオーディオプレーヤに限定されない他の製品にも適応する概念として応用することも可能であり、その場合の基礎資料ともなり得ると考える。
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檜林 勇吾, 有賀 義之, 工藤 芳彰, 古屋 繁
セッションID: P02
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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ロボットは情報伝達能力が拡張されることでメディアとしての機能を持とうとしている。そこで本研究はメディア論の視点でロボットを捉えることで、ロボットの概念を拡張し新しい用途を提案した。そのために、ロボットとメディアの情報処理の仕方について調査し、その構造をモデル化した。そして、このモデルを用いてロボットとメディアを比較し、メディアのデザイン要件を抽出し、メディアとしてのロボットの特性を明らかにした。さらに、そのデザイン要件を用いてロボットの用途提案を行った。これにより、ロボットの概念を拡張し、ロボットの新たな用途開発の指針を示すことができたといえる。
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佐々布 裕季, 工藤 芳彰, 古屋 繁
セッションID: P03
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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本研究は、理系を指向する女子の人数を増加させることを目的に、「理
系女子」のイメージの向上に寄与する製品をデザインした。その手順は
次のとおりである。まず、文献調査をもとに、憧れの対象としての「理
系女子」キャラクタに必要な構成要素とその属性を設定した。次に、
フィールドサーベイをおこない、現在の「理系女子」のファッションを
分析した。以上の結果をもとに、3人の「理系女子」キャラクタを決定
した。そして、それぞれが使用する携帯電話、携帯オーディオ機器、鞄
をデザインした。
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湯本 徹朗, 工藤 芳彰, 古屋 繁, 竹末 俊昭, 小出 昌二, 菊池 司, 永見 豊, 小幡 真也
セッションID: P04
発行日: 2007年
公開日: 2007/06/09
会議録・要旨集
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本研究は、無線LAN及びネットワークストレージ技術を利用したサービス・サービスの提案を行った。主な提案内容は、(1)アウトドア無線LANサービスと製品(2)利用者層に応じた音楽配信サービスと製品、ブランドである。
なお、本研究は株式会社バッファローと拓殖大学工業デザイン学科による産学共同プロジェクトによるものであり、製品開発の前提となる周辺機器メーカとして、共同研究者の所属する株式会社バッファローを設定した。
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