職業リハビリテーション
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4 巻
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  • 安西 信雄
    1991 年 4 巻 p. 1-8
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    精神障害者の職業リハビリテーションを推進するためには, 患者の職業的能力の発展と就労支援のシステムを整備し関係者の理解と連携を強めていくことが必要であるが, それと同時に, 精神障害者の職業的・社会的能力を高めていくための技法を開発・普及していくことが必要である。東大精神科デイホスピタル (DH) ではそのために生活技能訓練 (social skills training) を1988年から取りいれ実施しているが, 従来の治療方法では得難い改善を示した患者がある。生活技能訓練はわが国ではまだ新しい治療方法であるので, その概略を説明するとともに, 東大DHで生活技能訓練に参加した患者の治療転帰と症例を紹介した。さらに, 生活技能訓練の一部としてアメリカで実施されている就労支援プログラムである「仕事さがしクラブ (Job Finding Club)」を紹介し, わが国での応用の可能性について検討した。
  • 「改訂版山口職リハ研式調査票」にみる精神年齢5歳の作業人格の発達を中心にして
    岩崎 貞徳, 吉田 一成, 松田 信夫, 佐々木 光雄
    1991 年 4 巻 p. 9-20
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    精神薄弱養護学校の卒業者61名を主たる対象として就職レディネス (作業人格) について分析したところ, 精神年齢 (以下「MA」と略) と関連して次のような結果が得られた。
    (1) 職業自立の可能な水準の作業人格はMA5歳で形成され始め, MA9歳でほぼ安定する。(2) MA5歳からMA6歳の問は, 基礎的な作業人格が形成される時期であり, MA6歳頃までに徐々に充実する。(3) MA6歳からMA7歳の問は, 主に言語的な面において作業人格が発達する。(4) MA7歳からMA8歳の問は, 身体的及び精神的な面において作業人格が飛躍的に発達する。(5) MA8歳からMA9歳の間は, 主に総合的課題遂行能力の面において作業人格が発達する。
    また, 運動能力, 基本的生活能力, 適応行動, 作業能力, 知的能力の5つの観点から分析したところ, MA4歳から5歳の作業人格について, 知的能力を除いた4つの発達的側面において著しい差異が認められた。
  • 鈴木 良子
    1991 年 4 巻 p. 21-27
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    軽度精神薄弱者の職業生活については, 一般雇用こそ望ましい就労形態であるとされ, 福祉的就労は一般雇用が困難な者に対するやむをえない措置であるとされてきた。しかし今後は, 福祉的就労も一般雇用とならぶ職業生活の場であるという認識を高め, 的確な評価のもとに職業人としての地位を保障する方向に進むべきものと考える。
    本研究では, 一般雇用と福祉的就労とのいずれが適当であるか分からない程度の者を対象として, IQ及び生活行動の面から適性が決定できるかどうかを検討した。その結果IQがおおむね50以上であれば一般雇用及び福祉的就労のいずれかに従事できること, しかしそのいずれが適当であるかは生活行動の特性によることが明らかとなった。両者の大きな相違は生活行動にみられ, 特に責任感と協同行動の面での相違が顕著であった。
  • 丹 直利
    1991 年 4 巻 p. 28-36
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    項目反応理論に基づいて作成されたテストの場合, 被験者の能力の推定は, 得られた反応パターンかモデルからみてどの程度生起しやすいのかを最大尤度 (実際には最大対数尤度) によって検討することができる。したがって, 最大対数尤度の大小を調べることによって被験者の反応パターンのモデルからの逸脱の度合いを評価できる。
    そこで本研究では, 項目反応理論に基づいて作成された語彙理解力テストを用い, 最大対数尤度の値によって, 聴覚障害者の中の言語獲得に偏りのある人を特定できるのかを, 健聴者との比較と, 数値と実態との突き合わせによって検討することにした。
    健聴者の通常の反応パターンと比べ, そこから逸脱している反応パターンを示す被験者を, 最大対数尤度を用いて示すことができることを確認した。そして, 最大対数尤度の低い聴覚障害者の場合, 単に言語力が低いというのではなく, 言語獲得に偏りがある人をチェックできる可能性を, 事例との突き合わせによって示した。
  • 梅永 雄二
    1991 年 4 巻 p. 37-44
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    本研究においては知能障害児・者の就労を促進するために考えられるいろいろな条件の中から, 職業能力の評価とその評価結果から導かれる就労可能かどうかの判定において, 精神薄弱児・者と自閉症児・者それぞれの就職可群と就職不可群における各検査の相違を検証し, 精神薄弱児・者と自閉症児・者との職業能力評価の違いを明らかにすることを目的とした。
    その結果, 自閉症児・者においては, たとえ作業能力が高く, 検査結果から就労可能群に分類されても, 就労判定会議では就職可能であるとは必ずしも認められず, 自閉症児・者の就労判定にもっとも問題となっているのは, 人間関係がうまく行くかどうかであることが立証された。
  • 能力開発センター1期生のフォローアップ調査から
    小川 浩
    1991 年 4 巻 p. 45-50
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    七沢第二学園から一般企業に就職して1年を経過した17名の精神薄弱者を対象に職場適応に関するフォローアップ調査を実施した。調査の内容は, 職場で実際に必要とされている職業的能力, 職場適応に関わる22の具体的項目, 総合的評価, の3つの柱から構成した。調査の記入は企業の担当者に依頼した。
    職場で必要とされている能力としては, 単純作業の反復と立ち姿勢の持続力が上位であり, 専門的な技術と力仕事に関する能力はあまり必要とされていなかった。職場適応の状況は全体的に良好であり, 総合評価においては半数以上が肯定的な評価を得ていた。22項目の分析的な評価においても, 著しい職場適応上の問題性を示唆する項目や領域は見出されなかった。22の項目と総合評価の相関関係を求めたところ, 作業スピード, 真面目さ, 素直さ, 周囲に迷惑をかけない, の4項目が総合評価と高い相関を示した。
  • 能力開発センター1期生のフォローアップ調査から
    赤司 伸吾
    1991 年 4 巻 p. 51-55
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    職業訓練法人神奈川能力開発センター第1期生が, 七沢第二学園を卒園して約1年が経過する。現在, 比較的高い割合で就労が継続しているが, 今回この1期生の就労状況を把握するため, 企業対象, 保護者対象, 本人対象の3部門で構成される定着状況調査を実施した。
    本研究では, そのうち保護者並びに本人対象のアンケート結果をもとに, 雇用が継続している精神薄弱者の家庭生活面に視点をあて, 基本的生活習慣, 金銭管理及び金銭使用, 余暇活動の3域領にわたり, その全体的な実態を把握し, 傾向や特徴を明らかにした。全体的には, 生活のリズムや食事の摂取などごく基本的な生活習慣の乱れを生じている者は少なかったが, 保護者の援助は程度の差はあれ, 生活習慣の維持から余暇に至るまで生活全般にわたり必要とされていた。また本人たちの余暇時間の活用については, 充実したものとは言いがたい顕著な傾向が伺われた。
  • 高山 茂幸
    1991 年 4 巻 p. 56-60
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    筆者の担当とする精神薄弱者は, 主に農芸作業をとおして社会性の向上や, 基本的な作業習慣の形成等を訓練目標とする人たちで構成されている。具体的には, 挨拶, 報告, 許可を得る等のスキルの学習や改善の他, 対人関係の改善, 自信をつけるなどの目標を設定する。農芸作業では, 課題として主に協同作業を行なっているが, 協同作業ではさまざまな対人的なスキルを用いる場合があり, スキルの学習場面として有効ではないかと考えられる。今回はその中で, 「作業中のけんかを先生に相談して解決する」スキルに関しての社会的スキル訓練の概要と有用性を報告する。また, 社会的スキル訓練を行なう過程で, 自らの行動が誉められることは, その経験が少ない精神薄弱者にとって正当な自信を獲得できるよい機会であろう。さらに, 系統的な社会的スキル訓練は, 作業課題をとおして具体的にどのように目標に対する援助をするか, 指導を顧みるよい視点となる。
  • 伊藤 豊
    1991 年 4 巻 p. 66-70
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
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