相談室で行われる一般の心理臨床では、同じ相談室、固定された机、椅子の配置等の物理的な治療構造があり、各理論的立場から提供される治療、相談を方向づけているものとして検討されている。一方、職業リハビリテーション分野での支援は、相談室にとどまらず、公共職業安定所、事業所等様々な場所、利用者と支援者の様々な位置関係により展開される。職業リハビリテーション分野でも、支援の枠組みとなる相談・支援構造を検討することは基本的な作業であると考える。
筆者の事業所での支援体験に基づき、事業所内支援の枠組みとなる物理的位置関係、さらに、事業所における支援者の視座から相談・支援構造を検討した。考察では、事業所内での支援における物理的位置関係の移行そのものも「依存一信頼」関係から「独立一信頼」関係の形成として相談・支援構造となっていることとともに、それぞれの構造における支援のポイントを指摘した。
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