職業リハビリテーション
Online ISSN : 2186-1331
Print ISSN : 0915-0870
ISSN-L : 0915-0870
15 巻
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 菊池 恵美子, 道脇 正夫, 池田 勗, 七尾 和之, 大漉 憲一
    2002 年15 巻 p. 1-6
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    肢体不自由者のキャリア (職業経歴) 支援には、当事者と職業リハビリテーションサービス提供者相互の理解と情報の共有が必要不可欠である。しかしペーパーベースの報告書や資料の類は、情報の伝達において制約があり、必ずしも有効に活用されているとは言えない。そこで、得られた情報をより有効に活用するたあの教材として、キャリア探索システム (Career Development Search System: CDSS) を開発し、自己学習ツールとしての有効性を検証した。データベースは筆者らの先行研究である肢体不自由者のキャリア発達 (生育歴、教育歴、医学的情報、職業紹介、訓練、職業生活その他) 調査を基にした。実験の結果1.CDSSを通して、肢体不自由者のキャリアに関する知識が身につくこと、2.結果がCTRの画面上にグラフ化して図示されるので分かりやすいこと、3.短時間で容易に学べること等々、ある程度実用に耐え得ることが示唆された。今後は更に被験者を増やし属性の違いによる「理解力」や「想像力」さらには「共感性」等への影響を明らかにし、教材としてのCDSSを完成させたい。
  • 横浜 勇樹
    2002 年15 巻 p. 7-14
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    本研究は、車いす利用者の職場環境の実態と職場環境改善に関する要望を明らかにするため、現在、仕事に従事している車いす利用者を対象に実態調査を行った。その結果、202人から回答を得た。対象者の就業先は、「特例企業」、「福祉工場」、「一般企業」の順で多かった。「職場環境改善についての要望」は、「作業スペースの改善」などハード面の改善を望む比率が高く、「作業内容の改善」などのソフト面の改善を望む比率は低かった。また、「車いすに対する改善要望」は、車いすの「軽量化」と「操作・移動」を望む比率が高かった。また、「環境改善の方向」としては、「車いすの機能の向上」より「職場の環境改善」を積極的に求める声が多かった。これらの結果をもとに今後、車いす利用者の雇用・職域の促進に何が必要か考察した。
  • 高橋 憲二
    2002 年15 巻 p. 15-22
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    近年、難病患者に対する医療保健福祉関係施策の充実がはかられる一方、雇用面の支援は不十分で、その実態調査例も少ない。本研究では全国の中山間地域を代表する島根県における難病患者の就労実態を調査し、就労支援課題を提示することを試みた。その結果、現時点において最も大きな課題は「雇用する側の理解」であり、この課題に起因する未解決の問題が存在していると考えられる。その他障害者雇用施策の適用や活用、医療機関の整備と対応、保健福祉機関と労働機関の連携、疾患別課題、社会啓発など対応策の検討が必要である。
  • 大手小売店における知的障害者雇用事例から
    牧 裕夫, 谷口 峰夫, 石川 恭子, 古谷 護, 藤井 久美子
    2002 年15 巻 p. 23-30
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    職務分析や課題分析 (以下「職務・課題分析」という) は、障害を有する利用者の作業場面での学習を支援するために有効な支援技法である。筆者らは職務・課題分析を活用して支援する中で、利用者に対する学習支援としての効果にとどまることなく、職務・課題分析の遂行プロセスそのものが、利用者を取り巻く支援システムの形成に対して様々な効果を有していることに気づいた。
    本稿で筆者らは、徳島県内における3つの大手小売店での支援事例を検討した。その結果、職務・課題分析の遂行プロセスの (1) 実施時期、(2) 情報収集の方法、(3) 支援者間の連携といつた支援構造がそれぞれの事例における支援システムに対して異なつた効果を有すること、職務・課題分析の遂行プロセスそのものの波及効果として (1) 職場開拓の推進、(2) 地域ネットワークの形成、(3) 事業所側の支援体制形成等の機能を有していることを示した。
  • 青柳 智夫, 小笠原 眞佐子
    2002 年15 巻 p. 31-37
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    近年の、てんかんリハビリテーションの発展に向けた諸処の事象を意識しつつ、国立療養所山形病院と山形障害者職業センターがハローワーク等との連携もとりながら実践してきた・てんかんがある人々の小グループによる職業準備訓練について取りまとめ、実施方法、帰趨状況等について検討した。
    その結果、病院と地域センターの密接な情報交換に基づく必要な配慮があれば・てんかんがある人々の公共交通機関を用いた通所による職業準備訓練が安全に実施できること、病院と職リハ機関のネットにより安心して自らの課題克服に努められることにより、修了者の多くが、てんかんを告知しての就職に至れるようになること、というふたつの有効な知見が得られた。
    今後、同様な取り組みが多方面でなされるようになれば、てんかんがある人々や家族のみなさんがより前向きに競争的雇用の場に挑戦することができるようになるのであろう。
  • 春名 由一郎, 松為 信雄, 松井 亮輔, Fred R. McFarlane
    2002 年15 巻 p. 38-44
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    2001年5月の世界保健総会で「国際生活機能分類」(ICF: Intemational Classification of Functioning, Disability and Health) が正式に採択された。これは1980年に試案として出されたICIDH (国際障害分類) の20年目の抜本的な改定である。ICFは、近年の職業リハビリテーション分野の認識の進歩や課題に適合した改定版となっており、その応用可能性は広範囲に大きなものとなると考えられる。ICFは、現在存在する唯一の、国際的かつ分野横断的な障害や健康についての科学的かっ実際的な共通言語を提供している。本稿では、職業評価、リハビリテーション技術、リハビリテーションの領域における多領域の専門職の連携やマネジメント、国際的な情報交換について応用可能性がを指摘したが、これ以外にも応用可能性は広いと考えられる。
  • 精神障害者観の意識調査と実践教育
    立石 宏昭
    2002 年15 巻 p. 45-51
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    社会福祉の教育現場における学生の認知や行動は個人の価値観に委ねられている。その精神障害者観は、妄想を持ち犯罪に大きく関与し、危険で症状が固定化し社会生活のできないなど偏見と誤解を持ち合わせているものと考えられる。偏見や誤解についての価値教育は、学習・経験・討議など集団力学的な作用により関連付けられるものである。
    本論は、精神障害者観に関する意識調査として、一般国民と社会福祉系学生との価値観の差異を確認し、接触経験と理解度の関係性を考察することである。更に、実践教育における他者や集団との検討から人の行動や意見が変化し、意識としての価値観の変容がおこりうるかを試みることである。
  • チェック表の活用
    泉 忠彦, 川邊 循, 鈴木 綾乃
    2002 年15 巻 p. 52-58
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    中度・重度の知的障害を持っ人の作業訓練を進める際、注意の集中ができず安定した遂行が難しい、目的意識を持つことが難しい人がいる。神奈川県総合リハビリテーションセンターではこのような人に対して、TEACCHを応用し「いつ」「どこで」「何をどれくらい」に関する情報を視覚的に提示している。さらに作業が終了した際には「その結果どうなるのか」の情報についても作業開始前に提示している。本稿は「その結果どうなるのか」を示す手法の一つ、チェック表を活用した効果を検討している。チェック表とは訓練課題を終了した際に、課題の達成度、達成した結果どうなるのか、職員からの評価を視覚的に示すものである。事例を考察した結果、(1) 自信付けに繋がる、(2) 適切な行動が引き出せることが示唆された。また、これまでの実践の検討では (1) 能力開発に寄与している、(2) 肯定的な関わりが持てる、(3) チームとしての援助が可能であることが示唆された。
feedback
Top