山階鳥類学雑誌
Online ISSN : 1882-0999
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46 巻 , 1 号
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原著論文
  • 越田 智恵子, 上野 裕介, 中津 弘, 永田 尚志, 山岸 哲
    2014 年 46 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    新潟県佐渡島では2008年から日本におけるトキNipponia nipponの野生復帰に向けた放鳥が行われている。放鳥2年目の2010年,6組のつがいがはじめての繁殖を試みた。最終的にはいずれのつがいも雛の孵化までは至らなかったものの,4組のつがいの5巣について3か月間,巣から数百m程離れた場所から望遠鏡等を用いて行動を観察し,巣作りおよび抱卵における雌雄の役割を調べることができた。その結果,トキは雌雄で協力して巣作りを行い,造巣期には主にオスが巣材(枯枝が中心)運びを担当し,メスはオスが運んできた巣材を受け取って枝の配置や産座づくりを担当することが明らかとなった。また,産卵以降はメスも巣材運びに参加し,運ばれる巣材は枯葉や枯草など産座部分の材料が中心となった。次に,雌雄は交代で抱卵を行っていたが,抱卵時間の分担割合は巣ごとに大きく異なっていた。また,4つがいのうち2つがいは抱卵の放棄,1つがいは両親による卵の巣外破棄によって繁殖の中止に至った。残りの1つがいでは,第1クラッチは原因不明で初期に巣が放棄され,続いて別の場所で試みた第2クラッチはハシブトガラスCorvus macrorhynchosによる卵の捕食によって中止した。抱卵を放棄した2巣については,抱卵日数が増すにつれ,まずメスの抱卵時間が減少し,その後に交代すべきメスがいない状況でオスも抱卵を中断した結果として繁殖中止に至るというパターンが見られた。今後トキの繁殖を成功させるためには,メスが巣を離れてしまう原因をさらに解明し,巣を離れなくても良い環境を整えていく必要がある。
  • 鳥居 憲親, 江崎 保男
    2014 年 46 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    イソヒヨドリは,国内ではもともと,崖や岩のある海岸に生息し繁殖するが,近年になって内陸の都市での繁殖が確認されるようになった。そこで,2011年5月から2012年12月までの20ヶ月間,海岸から20 km離れた内陸部に位置する兵庫県三田市のニュータウンでセンサスと行動観察を行なった。本種は調査地に周年生息する留鳥であったが,特に高層建築物が密集する地区に多く出現し,オスのなわばりもこの地区に偏って存在していた。オスは高い場所において高確率でさえずり,隣接オスとのなわばり闘争においては,隣接者よりも高い場所でさえずろうとした。イソヒヨドリのオスは高層建築物をソングポストとして利用し,高い位置からさえずることによって,なわばりの形成と防衛を行なっていると考えられる。また,本種は高層建築物に隣接した草地の地表面で,地表性の小動物をとっていた。したがって,都市においては高層建築物と草地のセットこそが,イソヒヨドリの好適なハビタットを形成しており,本種のハビタットに必要な空間構造は,高さを生み出す崖地形と,これに隣接し地表性動物が豊富に存在するオープングラウンドのセットであることが示唆される。また,人が創り出した崖地形としての高層建築物と芝生などのオープングラウンドのセットを巧みに利用することにより,本種は都市への進出を果たしたのだと考えられる。
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