骨計測法は,骨格標本の形状の類似度から種間差を推定する系統分類学の手法として用いられてきた。しかしながら,従来の骨計測法は,実際には骨格の全形状ではなく,標本上の特徴的な2点の間の距離の測定にすぎず,結果として,骨格の大きさといった,わずかな特徴しか推定に利用できなかった。
そこで本論文は,レーザスキャナと様々なコンピュータビジョンの技術を組み合わせて精密な3次元形状計測技術を頼りに,鶏頭骨の2次元輪郭形状を用いた新たな骨計測法を提案する。これにより,本手法では,従来法と異なり,より多くの特徴を用いて種間差を推定することが可能となり,また貴重な標本を非接触,非破壊に繰り返し測定することができる。実際に,5品種24個体(岐阜地鶏5,シャモ5,薩摩鶏5,小シャモ4,白色レグホーン5)に対して分析を行った結果,提案手法の有用性が示された。
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