形状詞の「ナ」(e.g. 高額なプレゼント)と「ノ」(e.g. 高額のプレゼント)による名詞修飾節の使用実態を均衡コーパスで調査した.調査データとして『現代日本語書き言葉均衡コーパス』を使用し,「名詞- 普通名詞- 形状詞可能+ノ・ナ+名詞」のパターンを検索し,合計頻度10 以上の形状詞可能語(トークン頻度21,734,タイプ頻度277)に対して詳細な分析を行った.データ分析の方法としてクラスター分析と判別分析を使い,グループ分けを行った上で,グループ間の語義数や語彙親密度に差が見られるかを分散分析で検討した.調査の結果,3 つのグループの存在が明らかになった.グループ1(e.g., 最高、大量、大型)はノとの共起が顕著で「量の概念」を表すものが多く,グループ2(e.g., 不明、平等、異質)はナとノのいずれとも共起するグループで「関係概念」を表すものが多い.グループ3(e.g., 複雑、厄介、親密)はナとの共起が顕著で、「出来事的概念」を表すものが多い.一元配置の分散分析を行ったところ,語義数において有意な差が確認された(F(2,274)=3.873, p=.002).
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