小稿の目的は,第三次近似(3-gram)の自動作詞実験のためのテクスト生成語彙表を公開することにある.第三次近似と第二次近似の作詞実験の計量的性格については,すでに伊藤(2006,2007)で報告しているので,今回はごく簡単に触れるにとどめる.同様のテクスト生成語彙表はこれまで樺島(1970)と伊藤(2002)で公表されているが,これらはどちらも第二次近似実験用の語彙表であった.今回のテクスト生成語彙表は第三次近似実験用である点に独自性がある.
テクスト生成語彙表を公表する意義はひとえに教育にある.つまり,日本語・日本文学科の学生にシャノンの情報理論を講義だけで理解させるのは不可能なので,具体的な歌詞の合成作業の体験を通して,その原理を理解させることに主眼がある.
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