計量国語学
Online ISSN : 2433-0302
Print ISSN : 0453-4611
29 巻, 6 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
追悼
論文
  • 『和泉式部日記』と『更級日記』を題材に
    太刀岡 勇気
    原稿種別: 論文
    2014 年 29 巻 6 号 p. 187-210
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     計量国語学的分析では,文章をいくつかの計量指標に基づき分析する.このような方法は主に,現代語の分析に使われ,著者同定などに成果を挙げている.しかしながらこの方法を古典文学作品に適用する際には,異本の問題が生じる.原本が残っていないことが通例の古典文学作品には異本が多く,これが時には同一著者のものとは思えないほどの文章の相違を伴うからである.本稿では,編集距離とパープレキシティーを用いることで,異本間の関係性を定量的に表す方法の有効性を示す.提案法が従来の計量指標の主成分分析による分類法に比べて,文献学の分野での知見とよりよい一致を示すことを,中古日記文学の代表的な作品である『和泉式部日記』を用いて検証する.さらに同一作品中の異本間の差異が,他作品との差異に比べて十分小さいことを,『更級日記』との比較を通じて示す
  • 金 愛蘭
    原稿種別: 論文
    2014 年 29 巻 6 号 p. 211-266
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     20世紀後半の新聞文章では,具体名詞のほかに,抽象的な意味を持つ外来語も増加し,基本語化している.その多くは,和語・漢語の同義語・類義語があるにもかかわらず基本語化しており,その増加および基本語化の理由は言語内的に説明しなければならない.先に,金(2006a)は,抽象的な外来語の多くが(和語・漢語の)類義語の上位語となることによって基本語化していることを明らかにし,その背景に20世紀後半の新聞文章の概略化をあげ,「概略的な文体が概略的な上位語を必要とした」という語彙論的な説明を行った.本稿では,これに加えて,上位語が「先行叙述の指示・再表現(名詞化)と後続文脈への展開」という文章構成機能をもつ点に注目し,自作の通時的新聞コーパスを用いた調査によって,抽象名詞の外来語が,指示語句と同格連体名詞という二つの形式(用法)によって,再表現を核とする文章構成機能を獲得・発展させ,その使用量を増やしている事実を発見・提示する.これにより,抽象的な外来語の基本語化には,語彙論的な側面だけでなく,文章構成機能という文章論的な側面も関係するという見通しの妥当性を確認することができる.
研究ノート
  • 大久保 博美, 大久保 起延
    原稿種別: 研究ノート
    2014 年 29 巻 6 号 p. 227-234
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     夏目漱石の小説9篇と随筆1篇を助詞・助動詞の出現の仕方により分類した.対象とした作品(略号)は,書かれた順に,吾輩は猫である(Wa),坊ちゃん(Bo),草枕(Ku),虞美人草(Gu),三四郎(Sa),それから(So),門(Mo),こころ(Ko),硝子戸の中(Ga),道草(Mi)であった.助詞・助動詞の出現頻度を算出し,階層的クラスター分析と主成分分析を行った.その結果,Wa,Bo,Ku,Gu の群とSa,So,Mo,Ga,Ko,Mi の群に分類され,後者はSa,So,Mo,Ga の群とKo,Mi の群に分類され,随筆1篇(Ga)を除けば小説9篇は書かれた時期ごとに群を形成した.この結果は作品の傾向・特徴の変遷と関係するとみられるが,作家の精神変調の推移と関係するとしても矛盾しないと考えられた.文学作品の助詞・助動詞を通して,作家の病的なものを含む情緒や思想へのアプローチができることが示唆された.
学会参加報告
  • (2014年5月29日~6月1日,於オロモウツ(チェコ)・パラツキー大学)
    真田 治子
    原稿種別: 学会参加報告
    2014 年 29 巻 6 号 p. 235-238
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    International Quantitative Linguistics Conference at Palacký University in Olomouc, Czech Republic International Quantitative Linguistics Conference 2014 (QUALICO 2014) was held at Palacký University in Olomouc, Czech Republic from May, 29th to June, 1st. The 20th anniversary of the International Quantitative Linguistics Association (IQLA) and the 20th anniversary of the Journal of Quantitative Linguistics (JQL) were celebrated. 65 talks and posters were accepted from 85 submitted abstracts, and there were ca. 60 participants coming from over 20 different countries. The sessions started with the opening lecture "Quantitative Linguistics: Some Characteristics" by Reinhard Köhler (Germany), followed by sessions on the Menzerath’s Law. There were four papers on Japanese quantitative linguistics by not only Japanese linguists but also Czech researchers. IQLA Council Business Meeting was also held and the new president was selected. The next conference will be scheduled in August 2016 at Trier University in Germany.
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