数学教育学会誌
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Print ISSN : 1349-7332
54 巻, 1-2 号
数学教育学会誌
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 中村 好則
    2013 年54 巻1-2 号 p. 1-11
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    近年,小中学校の通常学級や高校に,算数数学の学習に著しい困難を示す算数障害の児童生徒が在籍し,指導上の重要な検討課題となっている。しかし,彼らへの支援は,プリント学習などの個別指導が中心で,一斉指導で活用できる教材や指導法はあまり検討されていない。そこで,本研究では,小中高校に在籍する算数障害児童生徒への一斉指導における支援の現状と課題を調査し,彼らの学習上の困難を改善する教材や指導法を検討するための基礎的な資料を得る。そのために,質問紙調査及び授業観察を行い,それらを分析した。その結果,算数障害児童生徒への一斉指導における支援は,(ⅰ)算数障害児童生徒を含むすべての児童生徒を対象とした支援と,(ⅱ)算数障害児童生徒を対象とした個別の支援の2 種類があり,多くの学校では(ⅰ)のすべての児童生徒を対象とした支援を複数取り入れた指導が行われていることが明らかとなった。一方,一斉指導においては,(ⅱ)の個別の支援はあまり行われておらず,補償教育的アプローチの考え方を取り入れた個別の支援を考慮した教材や指導法の開発が課題であることが示唆された。
  • 松崎 和孝
    2013 年54 巻1-2 号 p. 13-22
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    2012 年度より実施された新たな高等学校学習指導要領において,数学A にオイラーの多 面体定理が加わったため,いくつかのオイラーの多面体定理に関する教材を開発した.凸でない 多面体の見取図においてオイラー数を求めるためには,頂点・辺・面の個数を正確に数えること が重要であるが,頂点・辺・面の個数を大学生に数えさせたところ,正答率が低かった.このよ うなことから,大学生の解答内容および誤答を分析した結果,解答方法と頂点・辺・面について の誤った図形認識にそれぞれ共通点があることが判明した.
  • 個人・集団研修におけるRTMaC 授業研究の取り組み
    渡邉 伸樹, 開 猛雄, 口分田 政史, 小田 翔吾
    2013 年54 巻1-2 号 p. 23-33
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    現在,算数・数学科を指導する現職教員の再教育に関して,効果的な研修ができていないとの指摘が多くある。そこで我々は,この課題を解決する研修の一方法として,学校全体の校内研修,及び有志の個人・集団研修で取り組みが行えるRTMaC 授業研究を開発した。本稿では,実際に有志の個人・集団研修で取り組みを行った結果,教員の力量が向上する,子どもの学力が向上するなどの効果が認められ,現職教員の再教育の研修として有意義である取り組みであることが示唆された。
  • カザフスタンの教科書を参考にして
    守屋 誠司
    2013 年54 巻1-2 号 p. 35-48
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    カザフスタンで使用されている数学の教科書では,小学校1 学年から等号・不等号や文字式が導入され,逆思考を使って解く簡単な方程式も扱われている。文字式の導入に関わる多くの先行研究とこの教科書の扱いとを考慮して,小学校1 学年からの代数指導のカリキュラムを提案した。
  • 二澤 善紀, 渡邉 伸樹
    2013 年54 巻1-2 号 p. 49-64
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    学校数学では,数値計算や問題解法のパターン学習に偏る傾向にあるためか,子どもがさまざまな数学概念を理解することが課題に挙げられることが多い。そこで本研究では,特に小学校において数値計算はできるものの,その概念の理解が困難とされている面積に焦点をあて,小学校・中学校・高等学校の教育内容の連携を意識し,子どもに見合った教育内容を検討した。その結果,子どもの面積という量の概念の理解には不定形の面積を考察することが適切であり,高等学校で学習する積分につながる可能性が示唆された。
  • 佐藤 宣明
    2013 年54 巻1-2 号 p. 65-70
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/04/21
    ジャーナル フリー
    平成20 年(2008)告示、平成24 年(2012)施行の中学校学習指導要領の改訂で、「円周角の定理」そして「円周角の定理の逆」が中学校3 年数学科で扱われることになった。本稿は、中学校検定済教科書数学3で扱われている「平面幾何の定理の逆」(「円周角の定理の逆」と「三平方の定理の逆」) と、その間接証明指導に関する指導実践を踏まえた教材研究である。
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