理学療法の歩み
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21 巻, 1 号
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特別寄稿
  • 近藤 和夫
    原稿種別: 特別寄稿
    2010 年 21 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    心臓リハビリテーションは心大血管疾患リハビリテーションとなり,参入する理学療法士も増加してきたが,運動療法に積極的な医師からはまだ十分な理解を得ているとはいえない現状である。
     急性心筋梗塞や冠動脈バイパス術後も早期離床が可能となり,患者のデコンディショニングは減少したが,長期予後において心臓リハビリテーションは重要である。そのため理学療法士には運動療法のみならず,疾病管理に対する幅広い知識と患者教育が求められている。
     今後益々増加傾向が予測される高齢心不全患者の身体機能の低下に対して,理学療法士の活躍が期待されているが,反面,過負荷な運動療法による心不全の増悪に細心の注意を払っていかなければならない。
  • 星 文彦
    原稿種別: 特別寄稿
    2010 年 21 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    運動行動を対象とする理学療法学の立場から,「姿勢をアクティブにとらえる」という視点で姿勢制御や運動・動作について考えてみた。姿勢は,単なる人の形や形態だけを意味するものではないようである。ひとの思いや考えの表現系であり,また環境との適応状態を示すものであると解釈できる。姿勢は,定位と安定と定義でき,結果の表現系と過程の表現系,開始の表現系の3つの視点で姿勢の観察評価を行うことが理学療法における問題提起に結びつく。理学療法技術の一つであるハンドリングにおいては,患者の自発運動を促すための生体力学的保障を提供するとう観点から,姿勢をアクティブにとらえることが重要である。
  • 藤澤 宏幸
    原稿種別: 特別寄稿
    2010 年 21 巻 1 号 p. 14-22
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肩関節の形態と機能は,進化の歴史を紐解くことにより,繊細な機構であることが明らかとなる。本論文では四足歩行から二足歩行へ移行し上肢が自由となったこと,そのことが重力との闘いを招来することになり,最後には大きな可動域をもつ自由な腕を得たことを概観したい。そのうえで,ヒトの肩関節の身体運動学的特徴,肩関節疾患と機能障害,機能障害に対する理学療法について最近の知見をまじえ解説する。
研究報告
  • 藤澤 宏幸, 武田 涼子, 村上 賢一, 鈴木 誠, 吉田 忠義, 梁川 和也
    原稿種別: 研究報告
    2010 年 21 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,姿勢最適化トレーニングのモデルとしてファンクショナル・リーチ(FR)を用いて,最適な姿勢を言語教示する場合のinternal focus of attention(IFA)とexternal focus of attention(EFA)の効果を明らかにすることにある。参加者は健常な大学生20名(年齢19.8±0.6歳)であった。プレテストにて外果から指尖までの水平距離(FR距離)を測定した。その後,参加者をIFA群(10名)とEFA群(10名)に無作為に分け,FRの練習を連続5日間,各日10回実施した。その際,全ての試行でFR距離を測定した。また,練習最終日の翌日(第1保持テスト)とその1週間後(第2保持テスト)にもFR距離を測定した。FR距離はプレテストと比較して,両群で有意に変化した。また,練習初日にIFA群のFR距離の増加量はEFA群よりも有意に大きくなった(p<0.01)。しかし,IFA群の顕著な増加は持続せず,第1および第2保持テストにおいて両群の増加量に差はなかった。IFAはEFAよりもパフォーマンスに即効的な効果のあることがわかった。しかし,最終的な運動学習の効果としては両群に差はなかった。今後,IFAと適切な外在的フィードバックとの組み合わせにより,運動学習に対して効果的な練習方法の検討が必要である。
講 座
  • 小野部 純
    原稿種別: 講 座
    2010 年 21 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    浮腫とは,組織間隙(Interstitial space)に生理的な代償能力を越えて過剰な水分の貯留した状態を指し,臨床でもよくみうけられる症状である。しかし,発症の機序をよく理解しないまま慣習的に行われている理学療法に終始し,十分な治療効果を挙げられないことが少なくない。その対策には,なぜ浮腫がおこるのか,どうすれば改善できるのかを解剖・生理学的知見を踏まえ,理学療法における介入方法を構築し直すことが重要であると考える。
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