名古屋文理短期大学紀要
Online ISSN : 2433-6548
Print ISSN : 0914-6474
22 巻
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  • 原稿種別: 表紙
    1997 年 22 巻 p. Cover1-
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1997 年 22 巻 p. Cover2-
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 杉江 晶子, 森 博
    原稿種別: 本文
    1997 年 22 巻 p. 1-7
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    近年, 汎用機からパソコン及びワークステーションへのハードウェアの移行に伴い, アプリケーションソフトウェアも, グラフィカル・ユーザインタフェースをベースとしたビジュアルなイベント駆動型プログラムに変化してきた.一般にこれらのプログラミングは, 従来のテキストベースの手続き型プログラミングに比較して作成が難しいと言われている.それゆえ, そのプログラミング教育についても未だに手探りの状況が続いている.そこで, 本稿では, 短期大学等の情報処理関連学科において, 手続き型プログラミング教育が主流の状況下で, 新しいプログラミングパラダイムに対応したビジュアルなシステム環境におけるプログラミング教育方法の一案を提示するものである.
  • 長谷川 聡, 山住 富也
    原稿種別: 本文
    1997 年 22 巻 p. 9-14
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    学生を対象としたプログラミング教育において,学習者がプログラムの制御構造を理解できず,初期の段階でプログラミング技術の修得に挫折する例がしばしば見受けられる。このような事例では,学習者が, ソースレベルでプログラミングを行う時点で, プログラム実行時の処理の流れをイメージ出来ていないと考えられる.一方, スポーツにおけるイメージトレーニング1)をはじめとして, 様々な分野で, 学習段階でのイメージ形成が, 学習効果の向上に寄与するという結果が報告され, 有効な教育法として実践されている.筆者らは, プログラミングの学習において初期段階でのイメージ形成が有効であるかどうかを検討するに先だって, プログラムの制御構造に対応する処理の流れのイメージとはどのようなものであり, どう表現されるのか, また, そのイメージの有無や内容の個人差と, プログラミングの理解度には関係があるのか否かを検討するため, 短期大学の情報処理学科の学生を対象に調査を行った.その結果, 分岐・反復のような基本的な制御構造に対するイメージに関しても, 多様なイメージが有り得ることが判った.また, イメージの有無とプログラムの理解度の間の関係について考察した結果, より抽象的な流れのイメージを, 明確に表現できる場合ほどプログラミングの理解度が高いことが見いだされた.本報告は, これまでに行った調査の内容と結果について報告するとともに, プログラミング教育におけるイメージ形成の効果についての考察をおこなうものである.
  • 田中 正
    原稿種別: 本文
    1997 年 22 巻 p. 15-18
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    自我の形成は個体の素質的要因と環境要因との相互作用によって決定される.今回の研究の目的は環境因子としての親子関係と子の自我確立との間の関連が個体の素質的要因(今回は性格)の差異如何にかかわらず一定の関係を示すのか, それとも差異の影響を受けるのかをみることにあった.結果としては, 性格の差異が親子関係と子の自我確立との間の相関に少なからず違いを生じさせることが分かった.<内向性群>と<神経症的傾向なし群>は両者の間に相関関係があり, <外向性群>と<神経症的傾向あり群>では相関がほとんどなかった.これは父-子関係, 母-子関係のいずれにおいてもほぼ同じ結果であった.以上のことは, 親子関係と自我確立との関係をこれまでの研究結果のように素質的要因を考慮せず一律的に論ずることに問題があり, もっときめの細かい研究が必要であることを示した.
  • 小俣 謙二, 天野 寛
    原稿種別: 本文
    1997 年 22 巻 p. 19-27
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    現代青年の心理的特徴を理解するための一つの基礎的資料を得る目的で, 若者の日常生活で身近なものの一つであるテレビCMに対する女子短大生の評価とその理由について分析を行った.方法は, 好きなCMと嫌いなCMおよびその理由の自由記述を求めるアンケート調査と, 実際にCM(10本)を呈示し, そのイメージを調べる実験の二つを用いた.その結果, いずれの方法でもタレントに代表されるCMキャラクターのイメージ(親しみやすさ, かわいらしさ)と音楽の好み, CM全体の明るさ, 愉しさが重要な判断基準となっていることが示された.同時に, 明るさやユーモアも, それが知性に欠けると受けとめられる場合やくどいと思われる場合には否定的に評価されることも示された.また, 全体的には判断基準にこうした共通性がみられるものの, どのタレント・音楽が好まれるかなど, その内容には多様性がみられた.こうした特徴は現代青年の明るさ志向や自己感性の重視とその表現への拘りなどの心理的特徴と関連があると思われる.
  • 山田 ゆかり
    原稿種別: 本文
    1997 年 22 巻 p. 29-35
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    青年期における自己概念の形成を, 自己同一性の主要な一側面である職業的同一性(occupational identity, vocational identity)の確立過程と関連させて検討する試みを継続してきている.前稿(山田, 1996)では, まずその手始めとして, 西平(1970)による「自己同一性」調査項目表を適用して, 「自分自身の特性」と「看護婦に必要と思われる特性」を5段階評定させた結果に因子分析を行い, 看護学生としての職業的同一性を構成すると思われる8つの基本因子とこれらの因子にかかわる21項目を抽出した.本稿では, これら21項目への評定結果に基づいて設定した, 職業的同一性の確立の程度を異にする3群での, 20答法における自己記述の特徴について比較検討を行なった.その結果, 職業的同一性の確立の程度が高い群では, 職業的同一性の確立に直接かかわるような自己および積極的な自己のあり方について記述する傾向が強いのに対して, 職業的同一性の確立の程度が低い群では, 自己の内面的特性および消極的な自己のあり方について記述する傾向が強いなど, 興味ある知見を得ることができた.
  • 山本 和子
    原稿種別: 本文
    1997 年 22 巻 p. 37-45
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    わが国の商法は, 商号自由主義を採用しており, 商人がどのような商号を使用するかは, 原則として自由である.また, 自己の氏名や商号を使用して営業をなすことを許諾することも自由である.商法第23条は, 自己の氏, 氏名, または商号を使用して営業をなすことを他人に許諾した者は, 自己を営業主であると誤認して取引をなした者に対し, その取引によって生じた債務につき, その他人と連帯して弁済の責に任じなければならない旨を規定している.これは, 商号自由主義と外観を信頼した第三者の保護との調整をはかるため, 禁反言の法理と同じ思想から, 名板貸の場合における名義貸与者の責任を定めたものである.商法23条の要件に関し, 第三者の過失の程度-名板貸人が営業主であると誤認したことに過失があった場合-と名義の使用方法が論議されてきた.名義貸与者の責任の範囲については, 次の場合に適用範囲の拡大の傾向がみられる.①名義貸与者の氏名等に支店, 出張所等の付加語が加えられたり, 簡略化される場合にも名義貸与と認め, ②営業のための名義貸与以外にも, 広く他人名義の経済取引全般にも本条を類推し, ③貸与者の許諾は黙示の許諾で十分である.平成8年の最高裁判決は, ③の貸与者の許諾について, 明示は勿論黙示の許諾さえなく, むしろ名称使用の禁止の特約さえある場合にも, 外観が第三者を誤認させるものであるなら, 本条の趣旨から類推適用を認めるものである.この方向が商法23条の解釈として妥当なものか否かを考察する.
  • 須藤 裕之
    原稿種別: 本文
    1997 年 22 巻 p. 47-58
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿の目的は, 近年成長著しい東南アジア, 特にマレーシア, タイ, フィリピン, インドネシアからなるASEAN4ヵ国の経済発展の軌跡を「経済政策」という側面からトレースすることにある.そこでの最大の関心は, 韓国, 台湾など東アジアNIEsの発展において近年特に強調されるようになった内生的要因としての「政府政策能力」の存在が, 果たして東南アジア諸国の経済発展においても明確に見い出せるのかどうかという点である.この点に関し本稿では, 開発戦略における経済政策のもつ意味をいま一度整理してみるとともに, ASEAN4ヵ国における長期的な経済政策の効果を, 1960年代から今日に至るまでの過去30年間にわたり概観することで, 検討している.結論として, ASEAN4ヵ国やラテンアメリカ, そして世界の途上国が60年代以降, 同様の対外・対内的開発政策を立案しながらも, 運営, 管理といった政策能力全般にわたる相違がその有効性を大幅に左右してきたという意味で, 東南アジア諸国の経済発展における「政府政策能力」の重要性が指摘されている.
  • 関川 靖
    原稿種別: 本文
    1997 年 22 巻 p. 59-66
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    平成8年4月に保険業法が, 45年ぶりに改正された.これにより, 生命保険業の規制緩和が実施されるようになった.しかし, この規制緩和は, 金融自由化からの影響や消費者のニーズ及び経済環境の変化からそれに対応する経営方針の変化が不可欠であるため, 必要に迫られて生じたものと言われているが, 必ずしもそうではないと考えられる.この規制緩和は, 外国からの圧力や規制緩和の時勢と平仄を整えるために, そして政府の失敗を解消するために行なわれたのではないかと思われる.規制緩和は, 本来資金の効率的配分と消費者に利益をもたらすことを目標とするものであるが,実際にこの保険業法改正に於いてこのことが必ずしも該当するとは思われない.規制緩和の最初の段階だからといって, 規制緩和の方針が不明確で良いとは言えない.どこまで規制緩和すれば, 消費者の効用が最大になるかを明示すべきである.本論文は, 保険業における規制緩和の要因を明確にし, この規制緩和が経済環境の変化によるなものかどうかを検証するとともに, 保険業の特殊性も考慮に入れて規制緩和の範囲を明らかにするものである.
  • 吉田 洋
    原稿種別: 本文
    1997 年 22 巻 p. 67-74
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は, オーストラリアの会計制度を会計規制, 財務報告, 監査制度から考察し, その背景と特質を明らかにしようとしたものである.オーストラリアの会計制度はイギリスの会計制度の発展に影響され, その特徴はオーストラリア会計基準審議会による会計基準の認可制度であるといわれている.現在では, 企業活動の国際化にともない, 国際会計基準委員会や国際会計士連盟のような国際的な会計団体の影響力が強まってきた.オーストラリアでは, イギリス会社法の伝統的な概念である「真実かつ公正な概観」は時代錯誤として扱われてきている.監査制度においては, 従前の監査基準書と監査実施準則は監査基準と監査指針書として, 逐次改訂され1995年10月に再公表されている.オーストラリアは監査基準も1960年代からアメリカの影響を受けるようになり, 現在は, 国際監査基準-国際会計士連盟の国際監査実務委員会の影響を受けている.したがって, 監査に関する基準の基礎を国際会計士連盟が公表した意見書である「国際監査ガイドライン」に求めており, 会計基準と同じ傾向にある.
  • 林 慶雲
    原稿種別: 本文
    1997 年 22 巻 p. 75-78
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は, 中国において企業と国家との関係の変化, 企業経営の充実, さらに企業経営における管理会計の適用に対する期待の増大によって, 管理会計がどのように進展してきたのかを考察し, 将来の発展方向を探ってみたものである.管理会計は, 企業経営管理のために情報を提供するという情報システムである.そのような観点からみて, この数十年, 中国の企業の経営管理が劇的に変化しており, それをサポートする管理会計も大きく変化している.本稿では, アンソニーによる3つのレベルのプロセス理論をフレームワークとして, 分析, 展開を行なう.
  • 松田 秀人
    原稿種別: 本文
    1997 年 22 巻 p. 79-84
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    女子大生553名を対象に, 食習慣に関するアンケートと食品嗜好調査を実施した.被検者をBody Mass Index(BMI)により肥満群(BMI26.4以上, 30名)と非肥満群に分類した.その結果食習慣に関しては, 肥満群は非肥満群に比べて食べるはやさがはやかった.また, 肥満群は非肥満群より夕食にかける時間は長く, 夕食後の間食も少なく, 良い食習慣を有していた.食品嗜好調査に関しては, 肥満者は牛乳, チーズの摂取頻度が低く, カルシウム不足が懸念される.一方, コーンフレーク, ハンバーガー, フライドポテト, クッキー, ケーキ, ドーナツなどは, 予想に反して, 肥満者のほうが非肥満者に比べて摂取頻度が低かった.
  • 江上 いすず, 長谷川 昇, 国友 宏渉, 鈴木 真由子
    原稿種別: 本文
    1997 年 22 巻 p. 85-90
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    女子学生の生活行動におけるアルバイト実施の有無や運動歴, 身体特性などと健康度との関係を明らかにし, 青年期の段階での健康管理や意識を高める一資料となることを目的とした.対象は食物栄養専攻の女子短大生194名で, 1995年11月に調査を行った.調査内容は, 身体特性の計測と運動歴, アルバイトの有無・時間などであった.健康状態を把握するために, 慢性疲労, 保健行動, 自己管理, タイプA行動パターンなどの60項目の質問調査を行った.運動状況は中学時代が最も高い割合で, 高校, 大学と低くなっていた.高校時運動時間と中学, 大学時運動時間とは正の相関を示し, 高校時代の運動時間の長い者は, 大学時代の自発的な運動を促進させると考えられる.また, 中学・高校・大学と継続して運動している者は保健行動は良好であった.慢性疲労の少ない者ほど保健行動が良好で, ストレスも少なかった.さらに, アルバイト実施時間が長い者ほど体脂肪率は低く現れ, 大学運動時間は短く, 保健行動は劣る傾向であった.以上より, 運動状況やアルバイト実施時間などの日頃の生活行動が, 健康状態に影響を及ぼすことが示唆された.
  • 下田 隆信
    原稿種別: 本文
    1997 年 22 巻 p. 91-97
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    プラスチック廃棄物より有効物質の回収を目的として, ポリエチレンをオートクレーブを使用して水素化分解と窒素雰囲気中で熱媒体として水を添加して熱分解し, その影響について検討し, 下記の結果を得た.(1)H2O存在下での熱分解では水蒸気によってポリエチレン分解時の局部過熱が抑制され, スチームクラッキングのような状態になり, ガス化が抑制されて液化率が上昇した.(2)H2Oの添加量は試料10gに対して約5mlが最適であった.(3)水素化分解での液状生成物のオレフィン分はH2初圧が高いほど, 反応時間が長いほど減少した.(4)水素化分解, H2O存在下での熱分解の液状生成物の平均分子量(M)は170前後で, 市販の灯油の成分に類似するものが得られた.
  • 畔柳 英世
    原稿種別: 本文
    1997 年 22 巻 p. 99-108
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    米飯の特性を物理的に把握するため, 米飯塊に一定の応力を加えた後, それが緩和される時間を測定したところ, 以下のような結果がえられた.1.米飯塊の応力緩和時間は稲品種間で明らかな差がみられた.2.精米を室温と冷蔵庫に1ヶ月間保蔵したときの飯塊は, 応力緩和時間が延長し稲品種間, 保蔵条件間で有意な差がみられ, 保蔵に対する品種の反応差が認められた.3.玄米を284日間保蔵し, 期間中に4回とう精, 炊飯し飯の応力緩和時間を測定したところ, 保蔵期間の増加につれて応力緩和時間は延長した.白米で保蔵したものは, いっそう影響が大きく表れ積算温度に比例するようにみられた.
  • 伴野 泰弘
    原稿種別: 本文
    1997 年 22 巻 p. 109-115
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    明治20年前後, 全国的に評判を博した<林遠里と勧農社>をめぐって, 最近研究の進展している分野が2つある.第1は, 遠里と勧農社をそれ自体として深く掘り下げるものである.第2は, 遠里や勧農社派遣教師たちが全国各地へ出向いて, 実地に指導したことがそれぞれの地域でどの程度受容されたかの解明である.本稿は, この第2の系列に属する.本稿では, 愛知県において, 遠里の農法と一口でいってもさまざまな要素が含まれており, 教師に接する地元ではそれらの諸要素を取捨選択し, 地元の条件に適合した形で受容していることを明らかにしようとした.近世農法と明治農法との継承性と断絶性という観点から, 遠里の農法のうち受容されたものとされなかったものと整理すると, 対照的な傾向を検出できる.①肥培法における基本的継承性と部分的断絶性.②牛馬耕という革新的技術における基本的断絶性と部分的継承性.その導入普及に基本的には成功しなかった.それが可能であり, またある程度成功したのは部分的限界的な地域と階層にとどまる.
  • 原稿種別: 付録等
    1997 年 22 巻 p. 117-123
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 神谷 勝広
    原稿種別: 本文
    1997 年 22 巻 p. 132-126
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
    羅山の評判は,従来あまり良くない。封建制の維持に関わった御用学者というのが,大方の見方のようである。中には,「羅山の人格・品性が立派ではなく,魅力に乏しい点があるらしい」といったものまである。確かに,家康の命で剃髪するなどを,従俗の姿勢がある。しかし,より巨視的な視点に立てば,羅山には,もっと積極的に評価すべき面が存在する。羅山は,時代の変革期に当たる江戸初期に登場し,それまでの閉鎖的な学問世界に強く反発する。具体的には,今日の公開講座のごときものを催したり,自己の編書を出版機構に乗せたり,さらに学校を組織しようとする。これらからすれば,羅山の最も重要な特徴は,<知識を伝播することへの強い意欲>と考えられる。従来,日本文化史上,知識の公開を強く提唱した人物には,明治初期の福沢諭吉があげられる。文明開化の中で平等を唱えた諭吉に対し,羅山は,封建制度成立に荷担した人物として対立的に見なされがちだが,知識の公開の流れは,羅山を含めた江戸初期の啓蒙家達と,諭吉を含めた明治初期の啓蒙家達によって,二段階で大きく進展した。知識の公開へと進もうとした方向性において,羅山と諭吉は,むしろ近似するのではないだろうか。
  • 原稿種別: 付録等
    1997 年 22 巻 p. App1-
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1997 年 22 巻 p. Cover3-
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1997 年 22 巻 p. Cover4-
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2019/07/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
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