脳血管内治療
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2 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 中原 章徳, 尾上 亮, 荒木 勇人
    2017 年 2 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
    [早期公開] 公開日: 2017/01/30
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】急性脳主幹動脈閉塞に対するPenumbra system を用いた再開通療法の有効性と安全性について検討した.【方法】急性脳主幹動脈閉塞に対して,Penumbra system を用いて再開通療法を行った45 症例(男26 例,平均年齢75.5 歳)を対象とした.全例において,発症から再開通までの時間,動脈穿刺から再開通までの時間(PtoRT),再開通程度(TICI grade),来院時のNIHSS,退院時modified Rankin scale を記録した.【結果】閉塞部位は,頭蓋内内頚動脈(ICA)9 例,中大脳動水平部(M1)17 例,中大脳動脈島部(M2)9 例,脳底動脈(BA)9 例,後大脳動脈(PCA)1 例であった.45 例の内,27 例でrt-PA 静注療法が無効であった症例であった.発症から再開通療法開始までの時間は,1.5 から6 時間(平均5.9 時間)であった.TICI IIb 以上であった29 例のPtoRT の平均は,28.9±10.8 分であった.再開通療法後,TICI IIa 以上の再開通は,40 例(91%)に,TICI IIb 以上の開通は33 例(73%)に得られた.ICA とM2 の再開通率は,M1 や椎骨脳底動脈と比較して低かった.Penumbra system の世代間で,PtoRT,再開通率ともに差は認めなかった.発症時のNIHSS は5–36(平均18.3)点で,退院時のmRS は2 以下が16 例(36%)で,閉塞部位別では,IC,M1,M2,BA+PCA それぞれ,11.1,50.0,11.1,100%であった.再開通療法による合併症として,出血性梗塞による死亡が1 例に認められた.【結論】Penumbra system を用いることにより短時間で,高率の再開通が,安全に得られると考えられた.内頚動脈閉塞および中大脳動脈M2 部閉塞は,再開通率が低く,予後不良例も多く認められた.この部位の再開通には更なる検討が必要と考えられた.

症例報告
  • 小林 望, 眞野 加奈子
    2017 年 2 巻 1 号 p. 6-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
    [早期公開] 公開日: 2017/02/08
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】脳神経系の血管内治療後のステント内血栓症に対しプラスグレルを投与し危機的状況を回避できた2 症例の経験を報告する.【症例】症例1:ステント補助コイル塞栓術中に発生したステント内血栓症.プラスグレルの内服を行ったところ血栓の消失が得られた.症例2:経皮的頚動脈ステント留置術後にステント内血栓症を発症した.抗血小板療法の強化および厳密なヘパリン化を行ったがステント内血栓の増大を認めたためプラスグレルの内服を行ったところ血栓の消失を得られた.【結論】ステント内血栓症に対する対応は未だ決定的なものは無い.プラスグレルの投与も一つの方法として検討する余地はあるものと考えられた.

  • 野村 達史, 野中 雅, 恩田 敏之, 米増 保之, 高橋 明, 橋本 祐治, 本田 修, 大坊 雅彦
    2017 年 2 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
    [早期公開] 公開日: 2017/02/08
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】コイル塞栓術後15 カ月で発症したステント内血栓症を報告する.【症例】54 歳,女性.未破裂左内頚動脈瘤と左前大脳動脈瘤を認めた.左内頚動脈瘤にステント支援下コイル塞栓術を施行した.抗血小板剤は術後12 カ月で終了し,15 カ月で左前大脳動脈瘤にクリッピング術を行った.術後右片麻痺と失語症が出現し,CTA でステント内に血栓を認め,再開通療法を行ったが脳梗塞が出現した.手術による血小板凝集能,血液凝固能の亢進により,ステントの血管壁への密着が不良であった部分に血栓が生じたと考えられた.【結語】ステントの留置に注意を払うのは無論のこと,多発脳動脈瘤におけるコイル塞栓術と外科手術の治療順は,症例に応じて検討する必要がある.

  • 鈴木 健太郎, 青木 淳哉, 沓名 章仁, 坂本 悠記, 金丸 拓也, 阿部 新, 須田 智, 大久保 誠二, 木村 和美
    2017 年 2 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
    [早期公開] 公開日: 2017/02/08
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】2015 年に脳梗塞の機械的血栓回収療法の有用性が示されたが,一方で頭蓋内/外の主幹動脈狭窄を有する脳梗塞例に対する血管形成術の有用性はいまだ明らかになっていない.われわれは急性期脳梗塞に対し血栓溶解療法,機械的血栓回収療法およびステントを用いた血管形成術を施行し奏功した症例を経験した.文献的考察と合わせて報告する.【症例】62 歳の男性が前医で右内頸動脈閉塞に伴う脳梗塞と診断され,発症158 分で当院に搬送された.Tissue plasminogen activator(tPA)静注療法後に血管内治療を行い,撮影で内頸動脈破裂孔部から海綿静脈洞部にかけて閉塞を認めた.内頸動脈に誘導した9Fr Optimo から用手吸引術を行うと内頸動脈破裂孔部に狭窄を確認できた.同部位にPercutaneous Transluminal Angioplasty(PTA)施行後,Penumbra 5MAX ACE を用いて右M1 閉塞に対し機械的血栓回収療法を行い完全再開通が得られた.内頸動脈破裂孔部の残存狭窄に対し冠動脈ステントを留置し手技を終了した.翌日の頭部MRA 検査では前方循環の描出は改善しており,臨床所見も著明な改善を認めた.【結語】頭蓋内内頸動脈内での用手吸引術,頭蓋内PTA,右M1 での機械的血栓除去術,頭蓋内内頸動脈の残存狭窄に対する冠動脈ステント留置術によって良好な経過が得られた1 例を報告した.

  • 鈴木 啓太, 有村 公一, 今村 博敏, 足立 秀光, 谷 正一, 船津 堯之, 別府 幹也, 柴田 帝式, 武部 軌良, 奥田 智裕, 松 ...
    2017 年 2 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
    [早期公開] 公開日: 2017/02/14
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】塞栓術直後に術前認めなかったfeeder が顕在化し追加塞栓を要した海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻(CS-DAVF)の1 例を報告する.【症例】76 歳女性,耳鳴・複視・右眼球突出・右眼結膜充血で発症.右海綿静脈洞(CS),Posterior intercavernous sinus,および左海綿静脈洞(CS)にシャント部位を認め,さらにbasilar sinus を介して右CS から右上眼静脈へと流出するCS-DAVFを認めた.経静脈的に左CS のシャント合流部を選択的に塞栓したが,確認造影で塞栓術前の血管撮影上明らかでなかった右内頚動脈から右CS に直接流入するシャントが顕在化したため追加塞栓を要した.【結論】CS-DAVF では術前に認識できなかったfeeder が塞栓術後に顕在化してくる可能性があるため注意が必要である.

  • 佐口 隆之, 蠣崎 昭太, 細野 篤, 田部井 勇助, 安達 忍, 伊地 俊介, 鈴木 一郎
    2017 年 2 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
    [早期公開] 公開日: 2017/02/08
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】頭蓋内外主幹動脈病変を有する脳虚血症例(tandem lesions)に対する血管内治療は治療機器の選択等に工夫を要するため自験例を報告する.【症例】66 歳男性.意識障害(JCS 100)と左片麻痺(MMT 0/5)で発症.National Institute of Health Stroke Scale(NIHSS)31.MRA で右内頚動脈(ICA)閉塞を認めた.未発症確認時刻から2 時間後に組織プラスミノーゲン活性化因子(recombinant tissue-type plasminogen activator: rt-PA)を投与しNIHSS 11 に改善.DSA で右ICA 起始部狭窄と右中大脳動脈(MCA)閉塞を認めた.頚動脈ステント留置と脳血栓回収を行いthrombolysis in cerebral infarction(TICI)IIb の再開通を得た.退院時mRS 2.【結論】適切な患者および治療機器選択,血栓回収施行でtandem lesions の治療転帰は改善し得る.

テクニカルノート
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