消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
42 巻
選択された号の論文の68件中51~68を表示しています
症例
  • 井関 雅一, 新井 一成, 富永 幸治, 小林 英昭, 石代 欣一郎, 田村 清明, 丸岡 義史, 鈴木 恵史, 福島 元彦, 石井 博, ...
    1993 年 42 巻 p. 248-251
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     症例は82歳女性。平成3年11月に食欲不振が出現し,近医を受診した。黄疸を指摘され,腹部超音波検査,上部消化管内視鏡検査で,十二指腸乳頭部付近に腫瘤を認め,加療目的にて平成4年1月当科に入院した。上部消化管造影,上部消化管内視鏡検査,およびERCPにて,上十二指腸角に隆起性病変が認められ,生検にて乳頭状腺腫であった。また総胆管結石も伴っており,ESTにて切石を施行した。その1週間後に完全生検を目的に,ピースミール・ポリペクトミーに準じて切除した。切除標本では,粘膜内に限局したpapillotubular adenocarcinoma in adenomaであり,脈管侵襲はなかった。以上より,内視鏡的ポリペクトミーによる根治が可能と判断した。さらに早期十二指腸癌の症例を文献的考察を加え報告した。
  • 長谷 康二, 竹腰 隆男, 藤井 彰, 馬場 保昌, 武本 憲重, 加来 幸夫, 清水 宏, 小泉 浩一, 尾形 悦郎, 太田 博俊, 西 ...
    1993 年 42 巻 p. 252-255
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     生検で十二指腸球部の腺癌と診断し,切除標本に癌巣を認めなかった症例を経験したので報告する。症例は49歳男性。上部消化管X線検査で十二指腸球部後壁に小隆起性病変を認めた。内視鏡検査で同部に発赤調の約7mmの隆起性病変を認めた。生検では正常十二指腸上皮に囲まれ,粘膜内に限局した腺癌を認めた。第2,3回の内視鏡検査時には,病変は約3mmと縮小していた。外科的に縮小手術を施行した。切除標本では術前の点墨の肛門側に接して3mmの発赤した隆起性病変を認め,病理組織学的に連続的切片を作成して検討した。粘膜筋板の乱れ,線維化を伴うBrunner腺の過形成と再生上皮を認めるのみで,癌巣は認めず,生検により摘除されたと考えた。早期十二指腸癌は1991年までに122例123病変の報告があるが,生検で癌と診断し,切除標本で癌が消失していた報告は本例が1例目である。
  • 片見 厚夫, 前川 勝治部, 劉 星漢, 勝浦 康光, 日野 眞子, 齋藤 興信
    1993 年 42 巻 p. 256-258
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     症例は58歳男性。腹痛を主訴とし,上部消化管造影を行ったところ,十二指腸乳頭上部に長径約5cmの隆起性病変がみられた。内視鏡検査では,十二指腸球後部に表面カリフラワー状の山田Ⅳ型様ポリープを認めたが,ポリープが大きいため肛門側を観察できず,茎の大きさは確認できなかった。生検ではadenoma,borderline malignancy,Group Ⅲであった。内視鏡的ポリペクトミーの適応外と思われ,平成3年8月12日開腹,十二指腸切開ポリープ切除を行った。リンパ節腫大は認めなかった。切除標本では大きさ8.5×4.5cmの有茎性病変で,病理組織学的には高分化型腺癌,深達度m,ly0,v0であった。術後1年4ヵ月以上経過した現在,再発の徴候を認めない。大きさ5cm以上の早期十二指腸癌はまれで,本邦では自験例で18例目であり,ここに報告した。
  • 中塚 雄久, 佐藤 順, 藤森 俊二, 南 定, 三宅 一昌, 立川 裕理, 山田 裕之, 田口 克司, 山門 進, 田口 文彦, 岸田 輝 ...
    1993 年 42 巻 p. 259-262
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     症例は26歳男性。25歳時に急性虫垂炎の診断で虫垂切除術を施行された。1992年4月,大量下血とともにショックに陥ったため,当科に入院となった。入院時バイタルサインは正常。高度の貧血所見を認めたが,他の異常所見を認めなかった。大腸内視鏡検査では,盲腸に拍動性出血を伴う絨毛状の隆起性病変を認めたため,電気凝固により止血した。2回目の内視鏡検査時にポリペクトミーを行ったが,このとき病変起始部から絹糸が出現した。病変部の病理組織像はリンパ球,形質細胞の浸潤を中心とした炎症性変化が主体で,異型性は認められなかった。別の部位に出血源が存在する可能性も考えられたため,血管造影,腹部CTスキャンを行ったが,空腸に動静脈吻合が認められるのみで,出血源となりうる病変を指摘しえなかった。以上より虫垂切除術施行後に盲腸に絹糸を核とした隆起性病変を形成し,持続的出血をきたしたと診断した。
  • 木幡 義彰, 内山 和郎, 佐々木 敬典, 土屋 和彦, 須藤 一郎, 杉浦 弘和, 白鳥 泰正, 窪田 良彦, 宮岡 正明, 斉藤 利彦
    1993 年 42 巻 p. 263-266
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     症例1は35歳男性(国籍 : カメルーン)。1992年1月,粘血便を主訴に受診。便潜血反応陽性を認めたため,大腸内視鏡検査を施行し,上行結腸下部の粘膜に刺入した白色調の寄生虫を認めた。虫体は鉗子にて摘出し,検索の結果,鞭虫の雌成虫であった。虫体摘出後も症状持続し,メベンダゾール投与にて軽快した。症例2は29歳男性。1991年1月,2年前から持続する左側腹部痛を主訴に来院。大腸X線検査にて横行結腸にポリープを疑ったが,大腸内視鏡検査にて盲腸の粘膜に刺入した寄生虫を8匹認めた。虫体は鉗子にて摘出し,検索の結果,アニサキス幼虫であった。主訴との関連は考えにくく,緩和型大腸アニサキス症と診断した。大腸内視鏡により腸管寄生虫症を確認し摘出した症例はまれであり,本邦報告例とともに若干の考察を加え報告した。
  • 石井 俊也, 大橋 茂樹, 河口 健, 剛崎 寛徳, 石井 信光, 酒井 義浩
    1993 年 42 巻 p. 267-270
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     46歳男性。平成2年から約2年間ネパールに滞在し,時々生水,生野菜などを摂取していた。帰国後,皮膚の黄染および全身倦怠感を主訴として当科を受診し,急性A型肝炎の診断で入院した。入院中に軟便および腹部不快感が持続したため,大腸内視鏡を施行し,盲腸底に白色の細長い虫体を発見し,内視鏡下に虫体を摘出した。虫体は全長29mmの鞭虫であることが同定されるとともに,症状の改善も認めた。最近,鞭虫症の報告例はまれであるが,A型肝炎を偶然合併し,内視鏡下に虫体を発見し摘出しえた1例を経験したので,文献的考察を加え報告した。
  • 山口 勉, 小山 洋, 岩下 悦郎, 小栗 彰彦, 下屋 正則, 松田 浩二, 笹木 淳司, 徳永 徹二, 福島 義隆, 岩井 淳浩, 川口 ...
    1993 年 42 巻 p. 271-273
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     症例は59歳男性で,平成元年5月(56歳時)に下痢,血便が出現し,近医にて潰瘍性大腸炎(左側型)と診断された。以後当院にて経過観察していたが,平成2年10月(57歳時)に視力低下を訴え,当院眼科にて両側乳頭炎の診断を受け,入院加療を行った。今回われわれは,上記のように潰瘍性大腸炎の経過中に両側乳頭炎を合併した症例を経験した。文献的には,潰瘍性大腸炎の眼合併症の報告は大部分がブドウ膜炎であり,視神経乳頭炎の報告は極めて少なく,眼病変と大腸病変の活動性に関しては,一定の見解が得られていない。本症例の場合も,内視鏡的には慢性活動型で,症状の増悪はなく,視神経乳頭炎を発症した。
  • 中島 俊一, 石井 俊也, 松村 修志, 井上 博和, 小澤 政成, 石塚 俊一郎, 岸 秀幸, 長谷川 毅, 安田 正俊, 藤沼 澄夫, ...
    1993 年 42 巻 p. 274-276
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     患者は67歳女性。軟便と便秘を繰り返すため,大腸内視鏡を施行したところ,上行結腸に径4mmの半球状ポリープを2個,S状結腸に径4mmの半球状ポリープを認め摘除したが,いずれも腺腫であった。さらに直腸中部に径7mmの球状ポリープを認めた。ポリープは周辺粘膜と同色調であり,表面平滑で,その基部に接して境界明瞭な白色調の微小領域を認めた。同病変に対し,局注を加えた摘除を施行した。組織学的には,過形成性ポリープの一部に黄色腫が併存していた。消化管の黄色腫は,胃については多く報告されているが,大腸での報告は少ない。また黄色腫と過形成性ポリープは同一分節で合併して認められた例の報告はあるが,過形成性ポリープ内に併存した症例はまれと思われ,文献的考察も加え報告した。
  • 吉田 誠, 坂本 輝彦, 小林 出, 石原 弘, 岡野 博, 猿谷 哲也, 猿谷 真也, 斉藤 伸一, 小林 恒太, 鷲田 雄二, 家崎 桂 ...
    1993 年 42 巻 p. 277-280
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     Peutz-Jeghers症候群は消化管ポリポーシスの概念に入る疾患で,消化管での多発ポリープを認めるが,今回われわれは結腸に大きさ4×5cmの巨大ポリープを伴う症例を経験したので報告する。症例は16歳女性。家族歴に特記すべきことなし。平成2年12月,口唇および四肢末端に黒褐色の色素沈着を指摘され皮膚科を受診した。Peutz-Jeghers症候群を疑われ,当科を受診し,胃および大腸内視鏡検査,小腸造影検査にて多発ポリープを認め,大腸ポリペクトミー目的にて当科入院となった。入院後,大腸内視鏡にて,上行結腸の大きさ4×5cmの巨大ポリープに対する内視鏡治療は困難と考え,当院外科にて結腸部分切除,空腸部分切除および術中空腸ポリペクトミーを施行した。また,当科再入院にて胃ポリペクトミーを施行した。本例はPeutz-Jeghers症候群に伴う消化管ポリープに対する内視鏡治療の可能性と限界を示す症例と考えられた。
  • 松田 浩二, 小山 洋, 木本 賀之, 下屋 正則, 笹木 淳司, 徳永 徹二, 岩下 悦郎, 岩井 淳浩, 永尾 重昭, 宮原 透, 日野 ...
    1993 年 42 巻 p. 281-284
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     びまん浸潤型大腸癌は比較的まれであり,本邦では1976年以来244例が報告されている。50歳の女性が腹痛と腹部腫瘤を主訴として入院した。理学的所見では,左下腹部に8×5cmの硬い腫瘤を触れた。腹部単純X線像では,左下腹部に石灰化の像を得た。注腸像では,S状結腸に13cmの狭窄像を得た。大腸内視鏡像では,肛門縁より50cmの部位に狭窄を認め,そこから先への内視鏡の挿入は困難であった。生検組織像は印環細胞癌であった。術中所見では,腫瘍は後腹膜と左の卵巣に浸潤していた(H0,P3,S3,N2(+),Stage Ⅴ)。そのため非治癒切除例と診断し,S状結腸切除術および左卵巣摘出術を施行した。切除標本の肉眼像では,線維化を伴った高度に肥厚した壁と腫瘍の浸潤を認めた。顕微鏡像では,低分化型腺癌を主体とし,一部に石灰化を伴った粘液癌の像を認めた。
  • 高森 頼雪, 横手 美智子, 久山 泰, 滝川 一, 山中 正己, 手塚 万由里, 富岡 峰敏, 冲永 功太, 今村 哲夫
    1993 年 42 巻 p. 285-288
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     症例は69歳男性。昭和63年に当科で成人T細胞白血病(ATL)と診断されていた。平成4年5月より微熱あり,精査のため同年7月14日当科に入院となった。入院時便潜血(⧺)となっていたため,注腸検査を施行したところ,下行結腸,脾彎曲部近くにほぼ全周性の隆起性病変を認めた。このため大腸内視鏡検査を施行したが,同部位に広基性の隆起性病変を認め,表面は結節状であった。生検により分化型腺癌と診断した。ATLはいわゆるくすぶり型であり,末梢血に時々異型細胞が出現するものの安定した状態であると考え,平成4年9月14日当院第2外科で手術を施行した。ATLと他臓器の合併率は高いといわれており,この点に関し文献的考察を加え報告した。
  • 緑川 昌子, 斉藤 有一, 宮岡 正明, 川口 実, 斉藤 利彦
    1993 年 42 巻 p. 289-292
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     Chlamydia trachomatisによる直腸炎の1例を経験したので報告した。症例は37歳女性で,粘血便を主訴に来院した。注腸造影および大腸内視鏡検査で,下部直腸に限局し,集簇した小顆粒の粘膜を認めた。生検組織はリンパ濾胞の増生を多数認めるのみであったが,直腸擦過診でChlamydia trachomatis抗原が陽性,また血清でのChlamydia trachomatis抗体のIgG,IgMともに陽性であったため,クラミジア直腸炎と診断した。テトラサイクリンの経口投与による治療を開始したが,治療効果がなく,特別に同剤の坐薬を作製し加療した。大腸内視鏡での経過観察で小隆起の減少および扁平化,またクラミジア抗原の陰性化,クラミジア抗体IgMの陰性化を認めた。以上より,クラミジア直腸炎にはテトラサイクリン坐薬が有効であると考えられた。
  • 河辺 朋信, 原 正樹, 坂口 正巳, 大川 康彦, 奥秋 靖, 都野 晋一, 穂苅 厚史, 林 昭太, 新 智文, 蔵本 暁, 小池 和彦 ...
    1993 年 42 巻 p. 293-297
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     9年の長期経過中に2回の腹腔鏡検査を施行し,経時変化を観察しえたサルコイドーシスの1例を経験し,興味ある所見を得た。症例は24歳男性,霧視,体重減少の精査目的にて入院した。ダニエル生検,腹腔鏡下肝生検にてサルコイドーシスと診断し,プレドニゾロンを投与した。初回腹腔鏡検査時には黄白色斑や結節,白色陥凹などのサルコイドーシスに特異的とされる所見は認めず,肝表面は白色紋理を伴う軽度の不整像を呈していた。一方,プレドニゾロン投与9年後に施行した2回目の腹腔鏡検査では,経過中の活動性肝病変は乏しいと考えられたにもかかわらず,肝表面は白色の溝状陥凹と多数の半球状の粗大隆起により構成された不整隆起像へと変化していた。組織学的には,器質化したサルコイド結節に伴う線維化が互いに融合して線維帯を形成し,その搬痕収縮の結果,実質部分が半球状に突出してくると推察された。
  • 久内 理映子, 白井 邦博, 鴨志田 佐智子, 中村 比呂志, 天木 秀一, 田中 直英, 相沢 敏晴, 荒川 泰行
    1993 年 42 巻 p. 298-301
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     症例は67歳女性で,主訴は全身倦怠感である。昭和29年に輸血歴がある。入院時検査所見では血小板が8.9万と低下し,血液生化学検査ではTTT 30.3U,ZTT 26.1U,GOT 71 IU,GPT 57 IUと上昇し,γグロブリンも2.3g/dlと高値を示した。LE細胞は陰性であったが,抗核抗体が1,280倍と強陽性を示した。HBs抗原は陰性であるが,HCV抗体ならびにHCV-RNAが陽性であった。腹腔鏡所見では,肝の大きさは正常で赤褐色調を呈し,表面はやや凹凸不整であった。近接像では不規則な赤色紋理および区域化を認め,左葉の一部に溝状陥凹が観察された。組織所見は線維化を伴った慢性活動性肝炎の像であった。HCV抗体は陽性であるものの,臨床像から自己免疫性肝炎(AIH)と診断し,ステロイドを経口投与し,TTT,ZTT,トランスアミナーゼ,γグロブリン,抗核抗体の力価は低下し,退院となった。
  • 伊原 文恵, 山田 秀一, 武藤 ます江, 近藤 栄作, 松崎 浩司, 成木 行彦, 大塚 幸雄, 野中 博子
    1993 年 42 巻 p. 302-304
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     症例は52歳女性。23歳時から黄疸を指摘され,体質性黄疸を疑われていた。平成3年10月,HCV抗体陽性のC型慢性肝炎と診断されている。平成4年5月,全身倦怠感が出現し,某院にてDubin-Johnson症候群とC型慢性肝炎の合併を疑われたが,BSP,ICG,ビリスコビンにアレルギー反応を示し,肝機能面からの検討が不可能であったため,確定診断を目的に当科で腹腔鏡下肝生検を施行した。肝表面は典型的黒色肝の色調を呈し,腫大はあるものの陥凹は目立たなかった。組織学的には小葉中心帯中心にメラニン類似色素顆粒を認め,典型的Dubin-Johnson症候群と考えられた。なお肝炎合併例であったが,色素顆粒消失および黒色肝褪色を認めず,これはC型肝炎の漫性期で非活動型のためと考えられた。本症例では腹腔鏡検査が確診に非常に有用であった。
  • 石井 博, 新井 一成, 亀山 秀人, 佐藤 徹, 星野 光典, 丸岡 義史, 加藤 貴史, 福島 元彦, 村上 雅彦, 河村 正敏, 小池 ...
    1993 年 42 巻 p. 305-308
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     症例は67歳女性。主訴は心窩部痛・発熱。内視鏡的逆行性胆管造影では胆囊管は造影されず,三管合流部に楕円形の透亮像が造影され,confluence stoneと診断した。腹部CT検査で胆囊壁は肥厚し,不均一に造影され,胆囊癌の合併を疑い,手術を施行した。切除胆囊および膵頭後部リンパ節の迅速組織診断で,胆囊癌,リンパ節転移の診断が得られ,肝床切除,R2,膵頭十二指腸切除術を施行した。confluence stoneはしばしば萎縮胆囊を呈するが,壁肥厚萎縮胆囊では胆囊癌合併の有無の診断が極めて困難であるため,経皮経肝胆道鏡を含めた種々の画像診断を施行すべきであり,また治療に際しては癌合併の可能性を考慮し,術中迅速組織診断などを含めた十分な対応をすることが肝要と考えられた。confluence stoneに胆囊癌を合併した興味ある1例を経験したので,文献的検討を加えて報告する。
  • 高野 浩一, 大橋 計彦, 猪狩 功遺, 亀井 明, 二宮 栄司, 赤松 將之, 関 誠, 堀 雅晴, 西 満正, 柳沢 昭夫, 加藤 洋
    1993 年 42 巻 p. 309-311
    発行日: 1993/06/18
    公開日: 2015/07/15
    ジャーナル フリー
     症例は48歳男性。自覚症状なし。人間ドックで膵の異常を指摘され,当院に紹介となった。US,CTでは体尾部主膵管の著明な囊胞状拡張がみられたが,その頭側に明らかな腫瘤は描出されなかった。ERPで主膵管はSantorini管とWirsung管の合流部付近で閉塞していた。血管造影は,後上膵十二指腸動脈分枝にencasementを認めた。以上の所見から,小膵癌を疑い膵頭十二指腸切除術を行った。切除標本の検索で膵頭部に径11mmの腫瘤を認め,組織学的には膵島腫瘍と通常型膵管癌の併存癌であった。膵の併存癌は極めてまれで,しかも興味ある画像を呈したので文献的考察とともに報告する。
消化器内視鏡の進歩 カラー付図
feedback
Top