症例は67歳女性で,主訴は全身倦怠感である。昭和29年に輸血歴がある。入院時検査所見では血小板が8.9万と低下し,血液生化学検査ではTTT 30.3U,ZTT 26.1U,GOT 71 IU,GPT 57 IUと上昇し,γグロブリンも2.3g/d
lと高値を示した。LE細胞は陰性であったが,抗核抗体が1,280倍と強陽性を示した。HBs抗原は陰性であるが,HCV抗体ならびにHCV-RNAが陽性であった。腹腔鏡所見では,肝の大きさは正常で赤褐色調を呈し,表面はやや凹凸不整であった。近接像では不規則な赤色紋理および区域化を認め,左葉の一部に溝状陥凹が観察された。組織所見は線維化を伴った慢性活動性肝炎の像であった。HCV抗体は陽性であるものの,臨床像から自己免疫性肝炎(AIH)と診断し,ステロイドを経口投与し,TTT,ZTT,トランスアミナーゼ,γグロブリン,抗核抗体の力価は低下し,退院となった。
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