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本田 良司, 小笠原 範光, 小玉 亮
セッションID: 1N4-GS-13-01
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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一変量か多変量かに関わらず時系列予測は応用上重要であり,一変量のARIMAから多変量の自己回帰モデルVARなどが機械学習の技術として古くから使われ,RNNやCNNなどの深層学習も時系列予測に使われている.近年では,それらの複合型モデルであるLSTNetやMemory-Networkを使った時系列予測であるMTNetもあり,多変量時系列予測の精度を向上させる試みがなされている.一方,時系列とは異なる自然言語処理の世界ではTransformerが自然言語の系列予測でstate-of-the-artを達成し,その後転移学習を可能とするBERTなどに発展し,大きな進歩を遂げている.本研究の目的は,自然言語処理の世界の系列予測技術を時系列予測に応用できるかを評価することであり,Transformerをベースにして気温予測モデルを設計した.その結果,気象アンサンブルによるデータ同化予報やメッシュ地点などの説明変数が多変量で目的変数が一変量である時系列予測にはTransformerが良い精度を与えうることがわかった.
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小林 洋介, 石塚 師也, 茂木 透, 鈴木 浩一, 渡邉 教弘, 山谷 祐介, 岡本 京祐, 浅沼 宏, 梶原 竜哉, 杉本 健, 齋藤 ...
セッションID: 1N4-GS-13-02
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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政府策定の「エネルギー基本計画」及び「エネルギー・環境・イノベーション戦略」では,地熱発電の導入拡大が掲げられている。これを受けNEDOではより高出力な超臨界地熱水を用いた地熱発電所の建設に必要な技術開発が行われている。我々は,地熱発電に必要な熱流体である超臨界地熱資源の量を推定する際に機械学習技術が利用できないか検討している。本発表ではすでに従来型の地熱発電所などの開発が進み一定の地下データが得られている葛根田地熱地帯を評価対象とした。収集したデータから既存の地下温度の観測値を教師とし,地下の物理探査等で利用される探査坑井の座標,比抵抗,微小地震の下限震度,重力異常値,鉱物の分布を示す鉱物アイソグラッドといった特徴量を入力するニューラルネットを構築,学習して地下温度予測モデルを作成した。そして,これまでに最も深部まで探索した地下温度データでその性能を評価し,RMSEが39.3度での予測が可能なことが示されたので報告する。
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ZHANG YUE, 塩谷 浩之, 和田 雅昭
セッションID: 1N4-GS-13-03
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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港の漁獲量の推定は、漁業情報の効果的な応用である。漁獲量の正確な予測は、輸送システムをより効率的に運用し、輸送の時間とコストを削減し、水産物の鮮度をよりよく保つのに役立つ。漁業のより正確な予測のために、本論文では、 LSTM(Long Short-Term Memory)ニューラルネットワークで、2005年から2015年まで北海道東部の4つの漁港: 根室、落石、歯舞、羅臼の漁獲量を予測した。予測中に訓練データが不足の問題を解決するため、設計されたモデルも使用した。 結果から、このモデルは訓練データが不足の問題をある程度解決できることがわかり、ニューラルネットワークの効率的な使用漁業の技術は、港の漁獲量のネットワーク予測のもっともらしい結果によって支えられた。
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中原 輝昭, 羽室 行信, 中原 孝信, 中元 政一
セッションID: 1N4-GS-13-04
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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アパレル販売における商品推薦システムは、購買履歴データを使用した協調フィルタリングやオンラインショッピングサイトの閲覧履歴などの行動履歴データを使用した手法を用いることが多いが、これらの手法では基本的に過去に販売実績の無い商品を推薦することが不可能であった。そこで本研究では、顧客の購買履歴データに加え商品画像の特徴量を組み入れることで、商品間の関係性の強さをモデル化することを試みた。これにより、従来の手法では推薦不可能であった新商品を、顧客の商品画像に対する嗜好に基づいて商品推薦を行うことが可能となる。今回構築した推薦システムでは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN: Convolutional Neural Network)により商品画像の特徴量ベクトルを算出し、商品画像間の関係性の強さをモデル化するためにシャムネットワーク(Siamese Network)を用いて商品の特徴を捉える事ができた。
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土居 孝寛, 大古田 俊介, 新田 猛, 日高 義将, 山口 康宏, 柳岡 優希, 武政 孝師
セッションID: 1N4-GS-13-05
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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企業の活動履歴から成長企業を予測することは実用上非常に重要である。これまでの成長企業予測では企業の財務情報が主に利用されてきたが、予測企業の取引先情報も重要であると予想される。本研究では企業間の業績相関を調べ、企業の成長予測に応用することを目的とする。東京商工リサーチ(TSR)の2012年から2017年までの企業の財務情報及び取引情報データを使用した。本研究では企業間取引ネットワークを構成し、企業の財務情報から業績相関を調べた。特に売上高伸び率が最も相関が強く、売上高伸び率が大きい/小さい企業の取引先も売上高伸び率が大きい/小さい傾向にあることを確認できた。この傾向は企業の業種や規模、企業間の関係性に依存することがわかった。企業間の売上高伸び率に正の相関があることを企業の成長予測に応用するために、予測企業の財務情報だけでなく取引先の財務情報の一部をインプットデータに加えて機械学習解析を行った。インプットデータを企業の財務情報のみとして成長予測する場合よりも取引先の情報を加えて成長予測した場合の方が精度向上することを確認できた。
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大古田 俊介, 山口 康宏, 新田 猛, 日高 義将, 土居 孝寛, 柳岡 優希, 武政 孝師
セッションID: 1N5-GS-13-01
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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複雑ネットワークの構造を理解するための手段の一つとして,これまで多数のコミュニティ検出手法が提案され,また企業間ネットワークにも適用されてきた.一般的な検出手法はネットワークのクラスタ構造を捉えるものの,検出したコミュニティの特徴と他のコミュニティとどのような関係性を持っているのかについては何らかの追加の分析手法が必要となる.そこで本研究では検出されたコミュニティ同士の関係,特徴の類似性を分析するために,グラフ畳み込みを応用したVariational graph auto-encoder(VGAE)をコミュニティネットワークに適用し,各コミュニティの分散表現獲得を行った.この手法によってネットワーク構造を加味したコミュニティの類似性,コミュニティの関係分析が可能となる.本研究ではこの手法を(株)東京商工リサーチ(TSR)の企業間ネットワークに適用し,コミュニティ間の取引構造について分析を行った.そしてコミュニティ間の関係分析で見られるクラスタ構造が業種や地域性を反映していることを視覚的に示した.
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堀 恵実, ブラムソン アーロン
セッションID: 1N5-GS-13-02
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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ベイジアンネットワークは,条件付き確率を用いてノード間の因果関係を表し,確率伝搬法を繰り返し適用することで各ノードの確率値が計算される.このベイジアンネットワークは,様々な説明変数間の関係性を考慮するスコアリングに対しても利用される.しかし現実のデータには欠損値やサンプル数の少なさに起因する不確実性が含まれるため,データの不確実性を考慮してスコアの信頼度を判断する必要がある.本研究では,ベイジアンネットワークの各ノードで確率と信頼度を並行して計算する.信頼度の感度はノード間の確率的依存性を反映する.このように,最終ノードの確率分布に影響する入力ノードは,スコアの信頼度に対しても影響する.このため,スコアの信頼度に大きく影響するノードが特定可能となる.また,重要なノードの不確実性を低減することで最終ノードの確率分布の信頼度を効果的に高めることが可能となる.さらに,信頼度の感度分析により,スコアリングに使用するべきデータを優先順位付けすることで,効果的にモデルを頑健化できる.本研究では,提案のモデルを不動産の良さを判別する物件スコアリングシステムへ応用した例を示す.
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門 洋一, 広方 崇, 松村 浩二, 汪 雪テイ, 山崎 俊彦
セッションID: 1N5-GS-13-03
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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アパート・マンションといった集合住宅の物件情報は,物件となる各部屋の属する棟単位で情報を整理して有効活用することが期待されている.同じ棟に紐付く複数の物件情報を集める作業,すなわち,棟情報の名寄せについては,棟の名称の文字列や階建て,築年といった属性の類似度を統計的に考慮したルールベースの処理が行われている.しかし,それら物件情報が多くの事業者によって作成・登録される部屋単位の情報である場合,物件の棟情報の記載方法に揺れや漏れ,誤りがあったりするために,ルールベースでの名寄せだけでは十分な精度が得られず,後処理として未だに多くの人による作業を要することが課題となっている.本稿では,不動産の物件情報の名寄せ処理のために,ニューラルネットワークを導入して,物件の棟の名称に対して表音上,および,意味上の前処理を追加して,および当該前処理データを加えた物件情報項目の類似・対比関係から物件棟の同定を行い.名寄せの精度向上が確認された.
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石川 修帆
セッションID: 1N5-GS-13-04
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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身嗜みは、知らない内に乱れてしまうことがある。また、本人が、大丈夫だと思っていても他者からすると乱れていると思われていることもあるかもしれない。そこで、畳み込みニューラルネットワークに服装の状態を学習させることが出来れば、身嗜みが整っているのかの判断や修正の手助けになるのではないかという考えに至った。本研究は、スーツ等の服装を着用した利用者の画像をネクタイ・襟・袖等の各種パーツごとに分け細分化し画像分類を行い、衣服が乱れていないかを判別及び改善点がある場合は、それらの情報を報告し身嗜みを整える手助けをすることを目的としている。
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川野 百合子, 斎藤 奨, 中野 鐵兵, 赤羽 誠, 近藤 育海, 山崎 稜汰, 日下 裕美, 坂口 実, 小川 哲司
セッションID: 1N5-GS-13-05
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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画像から肉牛の乗駕行動を高精度に検知するシステムを構築するには,ラベル付き学習データを効率よく収集することが重要である.そのため本研究では,インターネットを通して不特定多数の人に仕事を依頼するクラウドソーシングを用いて,乗駕行動画像データセットを構築することを試みた.物体検出アルゴリズムYOLOv3により牛領域を検出し,その重なり度合を算出することで2頭の牛を含む領域の画像を得た.得られた領域画像に対し,クラウドソーシングを用いて乗駕行動の有無をアノテーションすることで,乗駕行動画像データセットを構築した.また,データセットが正しく構築されているかを確認するために画像情報を用いた乗駕行動識別実験を行った.乗駕行動29回分の映像データを用いて構築した,合計5020枚の画像からなるデータセットを用いて識別実験を行なった結果,画像単位では適合率0.74,再現率0.77で乗駕行動の識別が可能であった.さらに,29回全ての乗駕行動において,乗駕行動中の画像のうち少なくとも1枚は乗駕行動の検出が正しくできていることを確認した.
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黒田 彗莉, 小林 一郎
セッションID: 1O3-GS-8-01
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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近年、機械学習や深層学習の研究が盛んであり、その中でも、将来を予測する深層学習モデルの開発が注目されている。先行研究としてTD-VAE[Gregor+,18]などが挙げられ、可能世界予測を実現している。一方でヒトの大脳皮質で行われていると言われている予測符号化を模したPredNet[Lotter+,16]も開発されている。本研究では、ヒト脳内で行われている予測のモデルを双方のモデルを融合することにより、TD-VAEにおける信念が観測する系の状態の誤差をPredNetで使用する予測の差分とみなし、新しいモデルを構築し提案した。また、そのモデルを用いて画像に対する予測を行い、提案モデルの有効性を検証した。
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徳原 史也, 沖永 志帆, 宮原 哲浩, 鈴木 祐介, 久保山 哲二, 内田 智之
セッションID: 1O3-GS-8-02
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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グラフ構造データからの機械学習が注目されており,多くの化合物は外平面的グラフの構造を持つことが知られている. 本研究では,正事例のラベル情報を利用する二段階構造の進化的学習を用いて,正事例と負事例の外平面的グラフを分類する複合的なワイルドカード付きブロック保存型外平面的グラフパターンを獲得する手法を提案する.
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坂野 孝広, 鈴木 麗璽, 有田 隆也
セッションID: 1O3-GS-8-03
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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我々は,自然に偏在する音響ノイズを起源とする音声コミュニケーションの進化シナリオを検討するため,物理接触による音の発生を取り入れた3次元仮想生物進化環境を構築している.生物は直方体を接続して構成され,各ブロックは他個体を認識する視覚とブロック同士や地面との接触で発生する音を認識する聴覚をセンサとして持つ.センサ情報はブロック内の神経結合で処理されブロック間の関節へのトルクに反映される.生物は体構造とネットワークを記述する遺伝子を持つ.本稿では,音源と資源から構成される環境構造が仮想生物の進化に与える基本的な影響を明らかにすることを目的とする.具体的には,中心に定常音源とその周囲に複数の資源ブロックが存在するフィールドに仮想生物集団を配置し,一定ステップ後に各資源から配分半径内に入った個体で等分して得られる資源量を適応度とした.資源の共有特性を決める配分半径が異なる条件で実験した結果,半径が中程度の場合に音情報を利用してより均一な資源共有が可能な集団へと漸進的に進化することが判明した.また,集団行動データの次元圧縮による可視化が複雑な集団構造の進化傾向の比較に有用であることが判明した.
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入江 穂乃香, 林 勲
セッションID: 1O3-GS-8-04
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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We have already proposed pdi-Bagging as one of ensemble learning methods of クラスタリングのアンサンブル学習法の一つとしてpdi-Baggingが提案されている.しかし,正判別型では,バーチャルデータの発生位置をデータ空間の全領域としているため精度が安定しない.また,発生クラスの変更の評価指標が単次元で定義されているので評価指標の精度が高くない.本論文では,バーチャルデータの発生領域を特定化して,発生クラスを変更する新たな手法を提案する.判別線の領域に集中してバーチャルデータを発生させて,正誤判別データの分布性と方位性を考慮して発生領域を特定化する.また,多次元上で正誤判別データとの類似度を導入した新たな評価式を定義する.ここでは,pdi-Baggingのアルゴリズムを定式化し数値例により本手法の有用性を議論する.
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~説明性のある人工知能システムを目指して~
川村 隆浩, 江上 周作, 松下 京群, 田村 光太郎, 角田 充弘, 外園 康智, 黒川 茂莉, 鵜飼 孝典, 古崎 晃司
セッションID: 1O4-GS-4-01
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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本発表では,ナレッジグラフ推論チャレンジの2回目について報告する. 近年,さまざまな社会システムにAI技術が組み込まれつつあるが,そうしたシステムを安心・安全に使っていくため,AIによる判断・動作を適切に説明する技術が重視されている. そこで,本会セマンティックWebとオントロジー研究会では,データセットとしてシャーロック・ホームズの小説を題材としたナレッジグラフを構築,公開し,説明付きで犯人を当てる(推論または推定する)技術を募集するコンテストを2018年よりスタートした. 本発表では,2回目となる2019年のチャレンジの概要について述べた後,仮説推論と解集合プログラミングを用いたアプローチ,およびGraph Embedding等機械学習を用いたアプローチを紹介し,それぞれの結果と評価について述べる. 最後に,2020年に予定している次回チャレンジの計画について紹介する.
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自然言語文を理解し、ホームズのように推理できるか ~第2回ナレッジグラフ推論チャレンジ2019~
田村 光太郎, 角田 充弘, 外園 康智
セッションID: 1O4-GS-4-02
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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ナレッジグラフ推論チャレンジは、解釈性の良いAI技術を開発するために、推理小説を題材とした、推論を行うAIのコンテストである。我々は、小説文を知識表現するために述語論理式に直し、その述語論理式を仮説推論と充足可能問題により、犯行状況を表す解を導いた。具体的に、まず、人物とその行為から網羅的に生成した文と、小説文をBERTモデルにより比較し、知識処理すべき文を抽出する方法を提唱した。この生成文は述語論理式に直すことが可能である。次に、この小説内の事実を表す述語論理式と一般知識から、仮説推論を行い、犯行状況の仮説を導いた。さらに、人物の発言の真偽を考慮した充足可能問題の解として、犯行状況の可能性を列挙した。発言の真偽や情報不足による解の分岐が起きるが、その分岐条件を特定することで、解を一意にするために必要となる、小説内で言及されていない事実を導いた。
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濱 健太, 松原 崇, 上原 邦昭
セッションID: 1O4-GS-4-03
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
フリー
知識グラフは2つのエンティティと, それらが満たす関係の3つ組の集合で表現され, 情報抽出や質問応答, 文章理解など様々なタスクに活用されている. しかし多くは関係やエンティティの欠損を含むため, 知識の欠損をいかにして補完するかが課題となっている. そこで Translation-based Models と呼ばれるエンティティの埋め込み間の関係を遷移関数で表現するモデルを用い, 欠損しているエンティティと関係を予測する手法が注目されている. しかしこれらの多くは, 関係による推移を複数回適用するようなタスク (Path Query Answering) において, 予測精度が大幅に低下することが知られている. 本研究は, Translation-based Models において, 遷移関数とスコア関数を分離することで, この問題を解決する手法を提案する.
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上松 大輝, KERTKEIDKACHORN Natthawut, 市瀬 龍太郎
セッションID: 1O4-GS-4-04
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
フリー
近年,スマートフォンやIoT機器,デジタルサイネージ等の普及により,位置情報をベースとしたサービスが多く運用されているが,各システムで使用される位置情報は主に緯度経度や,住所など位置情報が一意に定まる情報を使用している.特に,住所などの地名情報は地図をもとにした行政区画であるが,旅行者や順になどユーザの目的によって,その空間を住所ではない地名や建物,ランドマーク等で呼ぶことがあり,ユーザが生活する社会空間を正しく表しているとは言い難い.そこで,本研究では空間情報における知識を,物理的な緯度経度や行政区画としての地名ではなく,社会的な位置情報としてSpatial Knowledge Graphとして拡張する.また,ソーシャルメディア上で投稿された位置情報と,その投稿に紐付けられたタグやコメントをもとに構築されらSpatial Knowledg Graphについて分析を行った.
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臼田 大輝, 櫛田 達矢, 小林 紀郎, 桝屋 啓志
セッションID: 1O5-GS-4-01
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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理化学研究所バイオリソース研究センター(BRC)では、マウス、植物、培養細胞、遺伝子クローン、微生物株の5種類のバイオリソース(生命科学研究に用いられる材料)を提供している。生命科学では、遺伝子、疾患との関連性、物質産生など、様々な情報と紐づけてバイオリソースを利用するため、我々は情報統合に適したセマンティックウェブ技術を用いてバイオリソースカタログを開発、運用することとした。バイオリソースデータは、担当する各部署で独立して運用されているため、横断的なカタログシステムを開発する必要がある。そこで部署ごとに異なる形式でもたらされるデータを、標準化策定が進みつつあるスキーマに合わせてRDF化するパイプラインを構築した。このパイプラインで構築したRDFに対して、効率良く検索でき、比較的容易に拡張可能システムを構築したので紹介する。
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山口 敦子, 小林 紀郎, 山本 泰智, 桝屋 啓志, 古崎 晃司
セッションID: 1O5-GS-4-02
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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連合検索を利用してLOD上の情報をクラス間関係で切り取るシステム LOD Surfer およびその基盤となる技術について紹介する.まず,LOD Surfer上で必要となる機能を検討し,それらの機能をLOD Surfer APIとよぶウェブAPIとしてプロトタイプ実装した.さらに、タンパク質アラインメントビューアという,ドメインを絞った具体的なアプリケーション上で利用することにより,実用上の課題の洗い出しを行った.洗い出しによって必要となった機能のうち,特にクラス間のパス選択に関するものに着目し,LOD Surfer API に追加実装した LOD Surfer API ver.2 を実装した.このウェブAPIを基盤として,LOD上に分散するデータの統合利用を可能とする方法を紹介するとともに,さらに必要となる技術を議論しつつ,今後の展望について述べる.
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佐々木 明, 大倉 俊平
セッションID: 1O5-GS-4-03
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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記事からその主題となる地域を推定するタスクは,様々な応用先のある重要なタスクである.例えば,ニュースサイトでは,主題地域の推定結果を用いて個々のユーザーの関心が高い地域についての記事を提供できる.本稿では,ナレッジベース(以下KB)を用いて地域やランドマークの情報から地名辞書を生成し,記事の主題となる地域を推定する学習データ不要のシステムを提案する.地域推定にKBを用いる利点は,都道府県や市区町村等,地域名への直接的な言及だけではなく,その地域に含まれる駅や公園などのエンティティへの言及も地域推定に生かせる点である.我々は,ニュース記事と,その記事の主題となる地域を付与した正解データセットを人手で作成した.このデータセットを用いて提案手法と単純な都道府県や市町村の名称だけから地域を推定するベースライン手法とを比較することで,提案手法の有効性を示した.提案手法は,すでにヤフー株式会社が提供しているサービスの一部で利用されている.
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大塚 洋平, 秋田 祥平, 奥岡 耕平, 木本 充彦, 今井 倫太
セッションID: 1P3-GS-7-01
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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デジタルサイネージや道案内ロボットの登場でデジタルエージェントと人間の距離は確実に縮まりつつある。エージェントとの円滑な対話のために人間に対して意図を感じさせることは非常に重要である。その実現のために視線制御やエージェントの擬人化などの研究が存在する。本論文では人間が内部にもつエージェントモデルに対する違和感を表すモデルであるPredGazeを提案する。被験者実験ではインタラクション時間の増加が違和感の増加につながるという人間特性を検証した。
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永井 明日美, 竹川 高志
セッションID: 1P3-GS-7-02
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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ビジネスではない個人的な頼み事では金銭のような明確な利得ではなく,貸し借り・達成感といった心理的な要因を効用として評価し意思決定が行われていると考えた.そのため,個人の感じ方を含んだモデルを作成した.依頼されるタスクについて,依頼側の効能と引き受け得る側のコストを伴うが,両者が交渉の際にそれらに誇張を入れることがあると考えた.誇張は一見,自己利益のためであり利己的な行動のようである.しかし,実際には双方にプラスの効果を発揮し,双方の利益につながることもあるのではないかと予測した.今回は誇張する程度について,毎回同じ程度の誇張をする戦略を固定戦略,強化学習を用いて誇張する程度を決める戦略を学習戦略とした.また,誇張は大きくしすぎると交渉が成立しなくなる可能性がある.そのため,固定戦略では引き受けるか否かを決定する式を用意しており,学習戦略では強化学習を用いて引き受けるか否かを決定する.誇張の大きさを変化させることで総利得が変化する様子を確認し,学習エージェントを用いたシミュレーション結果を紹介する.
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山本 隆太郎, 片上 大輔
セッションID: 1P3-GS-7-03
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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本研究では、ユーザの動きを反映できるエージェントをアバターとして表示するコミュニケーションツールを提案する。 提案手法は会話に対して苦手意識を抱いているユーザのコミュニケーションへの積極性を高めることを目的としている。提案手法を実現するための準備段階として、ユーザの対人恐怖心性とアバターの関係性について調査と検討を行った。対人恐怖心性–自己愛傾向2次元モデル尺度を用いてユーザを対人恐怖心性ごとに分類した。分類されたユーザがそれぞれアバターの評価をする実験を行うことで、ユーザの対人恐怖心性とアバターとの関連を分析し、その結果を報告する。
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高橋 唐樹, 藤田 桂英
セッションID: 1P3-GS-7-04
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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マルチエージェントシステムの研究において,自律的に行動するエージェント同士で競合を解消し合意形成を行う手段として自動交渉への関心が高まっている.自動交渉はサプライチェーンマネジメントやスマートグリッドなどの実社会への応用も多く考えられ,人間同士の交渉と比較して交渉に必要な時間・コストを削減するだけでなく社会的により良い合意の形成を行えるという利点もある.一方で,実社会に応用する上での問題点として交渉戦略・交渉シナリオの多様性が挙げられる.この問題を解決するため,様々な交渉戦略・交渉シナリオに対応できる汎用的なエージェントの作成を目的とする. 本研究では汎用的なエージェントを作成する方法として,深層強化学習による手法を提案する.また,深層強化学習を行う環境として,交渉相手の効用関数を推定する効用推定によって推定された推定効用関数を用いて状態を観測する環境を提案する. 交渉シミュレーション実験の結果,提案手法によって学習を行ったエージェントは効用推定を用いずに学習を行ったエージェントと比較して有意に高い個人効用を獲得することが確認された.
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大槻 恭士, 今田 佑生也
セッションID: 1P3-GS-7-05
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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不完全情報コミュニケーションゲームである人狼ゲームをゲームAIの標準問題として提案している人狼知能プロジェクトでは,プレイヤーエージェント(人狼知能)の競技会である人狼知能大会を毎年開催し,集合知的アプローチによって人狼知能の発展を図っている.人狼ゲームでは,通常人狼陣営側が村人陣営であると偽って敵を攪乱する戦術がとられるため,村人側には,会話に基づき相手の嘘を見破り,自分が味方であると自陣営を説得して協力するなど,従来のAIに比べ高度な知的タスクを遂行する能力が必要となる.しかし近年,勝率の高い他エージェントを優先的に排除することで自勝率を上げるような非協調的な戦術がトレンドとなり,人狼知能研究の本来の目的からの乖離が危惧される状況である.そこで本研究では,説得・被説得機能を持つエージェントが勝率面で有利であることを示すため,これらの機能を持つエージェントと持たないエージェントの対戦を5万回行い,説得・被説得機能により総合勝率が有意に向上することを確認した.
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三宅 陽一郎
セッションID: 1P4-GS-7-01
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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ディジタルゲームの大規模化・複雑化は、ディジタルゲームの人工知能の発展を促し、ゲーム全体を動的に制御する「メタAI」、自律的エージェントとしての「キャラクターAI」、空間認識をサポートする「スパーシャルAI」の3つに分化し、連携するモデルとなった。これを「MCS-AI動的連携モデル」と呼ぶ。このモデルは、過去のゲームタイトルのAI構造を的確に分析すると同時に、ゲーム制作時においても明確な設計モデルとして機能する。各AIはそれぞれ問題領域(ドメイン領域)を持ち、それぞれが問題を解決し連携することで、全体として知的機能を実現する。その連携の仕方は、クエリーベースであり、クエリとその返信のやり取りによって、或いは命令と報告によって連携する。本発表では、本モデルを提案し、その有効性を検証する。
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山崎 陽斗, 大沢 英一
セッションID: 1P4-GS-7-02
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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本研究の目的は,セマンティックスコア法をマルチエージェントシステムを用いたゲームシナリオの生成に適用することである.セマンティックスコア法とは,映画の構造を分析する方法で,物語の意味単位であるシーンを複雑化・解決化の尺度で評価するものである.評価されたセマンティックスコア間の複雑度を横軸に,シーン番号を縦軸に設定したセマンティックグラフを作成することができる. 本研究では,役割,関係性,感情といった要素をもったゲームの登場人物をエージェントとしてモデル化する.そのエージェントをシミュレーション上で相互にやりとりをさせ,短いゲームシナリオを生成させる.そのエージェントの行動に複雑化・解決化のスコア付けを行い,セマンティックグラフがどのように出力されるかを検証する.結果として,マルチエージェントシステムベースのゲームシナリオの生成システムにおいて山型のセマンティックグラフを生成することができた.
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立木 創太, 菅原 俊治
セッションID: 1P4-GS-7-03
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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本研究では、マルチエージェント巡回問題において、一度に複数台のエージェントを停止させたときに生じるパフォーマンスの急激な悪化を緩和する手法を提案する。近年の人工知能(AI) への関心の高まりの中で、 エージェントの数は増加し続けている。また、ロボットの利用も身近になっており、巡回問題のような複数のエージェントが協調する機会が今後増加すると予想される。これまでマルチエージェント巡回問題を扱った研究はすでに多く存在するが、 複数台のエージェントがインスペクションや交換などにより計画的に一斉に停止をする、 計画停止を考慮した効率の良い手法はまだ提案されていない。本研究では、巡回清掃問題を例題として、既存の手法をベースに、新たな交渉手段を追加することで、 急激なパフォーマンス低下を緩和する手法を提案する。 提案手法の効果を確認するため、 評価指標を用いて計画停止前後のパフォーマンスの悪化を従来手法と比較し、従来手法よりもパフォーマンスの低下が抑制できることを示す。また、別の評価指標を用いて、提案手法が巡回清掃以外でも有効であることを議論する。
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松井 俊浩
セッションID: 1P4-GS-7-04
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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複数エージェントの協調問題解決や交渉において,各エージェントから漏洩する情報の抑制は重要な課題である.本研究では各エージェントが関連するエージェントの意思決定に対して固有の目的関数値を持つ,非対称な制約最適化問題のための非集中型解法を,情報漏洩を抑制しつつ解を求める交渉の基本的な枠組みとして捉える. 1) 本研究の目的は,各エージェントの目的関数値を最適化する解法の過程で公開され漏洩する,各エージェントの目的関数値の情報を削減することである.このために,段階的に情報を公開し解品質の妥協の元で,漏洩情報を抑制して得られる解にエージェントが合意しうる過程を,非集中型の発見的手法により達成する解法の枠組と,その情報公開のための指標について検討する. 2) 本研究の結果として,エージェントが公開する情報の選択のために解法において考慮する指標が異なる,複数の発見的手法の有効性と影響のを実験的な評価により示し,今後の研究の方向性について議論する.
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櫻井 祐子, GUO Mingyu, 小山 聡
セッションID: 1P5-GS-7-01
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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データ分析の重要性に対する認識が高まるにつれて、データの価値を公平に評価し、データ提供者に正当に報いることが求められるようになった。協力ゲーム理論におけるシャプレイ値の考え方に基づき、機械学習モデルの精度向上への貢献に応じてデータ価値を評価する方法が提案されているが、それらはデータ収集者が十分なテストデータを持っていて、モデルの精度を正確に評価できるという仮定に基づいている。しかし実際には、データ収集者は事前には全く、もしくはわずかしかテストデータを持っていないことが多い。本稿では、このような場合におけるデータ価値評価の問題を、教師なし/半教師ありデータ価値評価として定式化し、その解決方法について論じる。
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協力の認知・数理原理とその応用展開
岩橋 直人, 岡田 浩之, 船越 孝太郎
セッションID: 1P5-GS-7-02
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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人間と協力できる人工知能を作るために、協力を成立させる認知原理および数理原理を検討した。さらに、原理に基づき、自動運転技術、インタラクティブロボット、対話システムを開発・評価し有効性を示す。
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鳥居 拓馬, 日高 昇平
セッションID: 1P5-GS-7-03
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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繰り返し囚人のジレンマ(IPD)は社会的ジレンマ状況を理論的に調べる標準的なツールのひとつである.標準的なゲーム理論の分析において標準的な IPD ではエージェント集団にとって望ましくない相互裏切に陥ることが示され,過去の研究においては別のゲームクラスとして強化学習エージェント間の IPD が研究されてきた.しかし,このクラスのゲーム(学習エージェント間のゲーム)はいまだ十分に解明されていない:標準的なゲーム理論の分析方法を適用することは難しいため,さまざまな近似的な解析手法が用いられている.本研究では,強化学習エージェント間の IPD がもつナッシュ均衡を調べた.その結果,標準的な IPD では相互裏切が唯一のナッシュ均衡だが,強化学習エージェント間の IPD では相互協調が唯一のナッシュ均衡である可能性が示された.以上は,強化学習エージェント間の IPD では,個人最適な選択(ナッシュ均衡)と集団最適な選択(パレート効率解)が一致し,その意味で社会的ジレンマが解消されたことを示唆する.
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川口 皓幹, 鈴木 麗璽, 有田 隆也
セッションID: 1P5-GS-7-04
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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個体間の利害対立のモデルとして繰り返し囚人のジレンマゲームはよく知られているが,Press & Dyson(2012)は自分と相手の利得期待値に線形関係を強いるZD戦略を提案し,注目を集めている.その一種,Extortion戦略は相手を上回る利得期待値が可能であるが,他のZD同様,自分自身との対戦の利得が小さく,進化的安定性に欠ける.本研究では戦略に移動性を導入し,別種と対戦し続けうる状況を設定した場合のZDの性能を検証することを目的とする.具体的には,二次元平面上で,全面協力,全面裏切り,しっぺ返し,ZDのいずれかを持つ個体が移動しながら,近傍内個体との対戦を繰り返すとともに,利得に応じて戦略が伝搬する.実験の結果,全面裏切りがいずれの条件でも存在率が最大になること,ZDは移動性がある場合の方が存在率が大きくなること,ZDの存在率の増加としっぺ返しの増加が連動することが示された.さらにZDの存在率は,移動速度や近傍の大きさがある値で最大となることもわかった.これは,移動による他戦略と対戦が重要である一方,速度が大きすぎると繰返し対戦が成立しづらくなり,ZDの特性が発揮されなくためである.
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吉田 悠人, 谷口 彰, 林 楓, 谷口 忠大
セッションID: 1Q3-GS-11-01
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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本研究では、マルチモーダルセンサー情報を用いたロボットのためのニューラルネットワークベースの教師なし物体カテゴリ分類手法を提案する。 提案手法は、マルチモーダル変分オートエンコーダー(MVAE)の拡張である。 提案手法では、ロボットによる物体カテゴリの分類に用いられるMultimodal latent dirichlet allocation (MLDA)と同様に、ディリクレ事前分布を導入する。 実物体と人工データを使用し、MLDAとの比較実験を行うことで提案手法がカテゴリ形成可能か検証する。 結果として、MLDAと比較して提案手法が計算コストを削減しカテゴリ形成を行った。
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古川 和磨, 萩原 良信, 谷口 忠大
セッションID: 1Q3-GS-11-02
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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人間は,視覚,聴覚,触覚などの感覚モダリティを介して物体から取得した様々な情報を統合することにより,物体のカテゴリを形成している.萩原らは,2者エージェント間におけるカテゴリ形成と記号創発を行うモデルを提案し,2者エージェント間で物体カテゴリに紐付けられたサインが共有されることを示した.しかし,この研究では各エージェントが単一モダリティでカテゴリを形成する場合しか考慮されていない.本稿では,各エージェントがマルチモーダルな情報からカテゴリ形成を行えるように,Multimodal Latent Dirichlet Allocation (MLDA) を使用して,萩原らのモデルを拡張した.拡張したモデルを用いて,一方または両方のエージェントのモダリティを欠損させた状態でコミュニケーションをし,カテゴリを形成させる実験を行った.実験結果において,コミュニケーションによってモダリティを欠損させたエージェントのカテゴリ分類の精度が向上したことを示した.さらに,マルチモーダルに拡張した場合でも,単一モダリティの場合と同様に2者エージェント間でサインが共有されることを示した.
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國安 瞭, 中村 友昭, 長井 隆行, 谷口 忠大
セッションID: 1Q3-GS-11-03
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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人間のような知能を人工的に実現するためには,ロボットに搭載されている様々なセンサから得られるマルチモーダル情報から,ロボットが環境を理解するためのモデルが必要である.そこで,我々はロボットがマルチモーダル情報を分類することで語意や概念を獲得するモデルを提案してきた.これらのモデルは,MLDAを基盤に各モダリティ情報の特徴量の関係を教師なしで学習している.しかし,特徴抽出に教師ありで学習されたCNNを用いていた.さらに,不可逆な特徴抽出を行っていたため観測そのものの生成ができなかった.本稿では,VAEを拡張し潜在変数が多項分布にしたがうMultinomial VAE(MNVAE)を提案し,MNVAEとMLDAを統合したモデルを構築することで,ロボットから得た画像と単語のマルチモーダル情報の分類を行う.MNVAEとMLDAの相互作用によって分類に適した潜在空間が学習され,単語から画像が生成可能であることを示す.
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久良木 優太, 宮澤 和貴, 青木 達哉, 堀井 隆斗, 長井 隆行
セッションID: 1Q3-GS-11-04
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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人間は複数の感覚情報を利用することによって,1つの感覚情報よりも正確で抽象度の高い情報表現を得ることができる.とりわけコミュニケーションにおいてこの情報表現は重要となる.コミュニケーションでは,話し手が自らの感覚器官により観測した情報を言語化して表現する一方で,聞き手は話し手から得た言語情報を自らの感覚器官で得られる情報へと変換することで話し手の言葉を理解する.このように情報は双方向にやり取りされるため,マルチモーダル情報を単方向に予測するだけでは不十分であり,双方向に予測可能でなければならない. 本研究ではBERTを用いて物体画像と言語情報を相互に予測可能なモデルを提案する.提案モデルの有用性を検証するためにクロスモーダル情報予測とマルチモーダル情報の分類タスクを行った.結果として,マルチモーダル情報表現を獲得し,物体画像と言語情報に関するクロスモーダル情報予測が可能なことを示した.また,マルチモーダル情報を利用することで,単モダリティのみを利用した場合よりも分類精度が向上することを示した.
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小椋 忠志, MAGASSOUBA Aly, 杉浦 孔明, 平川 翼, 山下 隆義, 藤吉 弘亘, 河井 恒
セッションID: 1Q3-GS-11-05
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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生活支援ロボットは,在宅介護労働者の不足に対する有望な解決策である. 一方で,生活支援ロボットの主な制限の1つに,言語を介して自然に相互作用できない点がある. 近年の研究では,data-drivenのアプローチがあいまいな指示の処理に有効であることが示されているものの,大規模なデータセットを必要とすることが多く,その構築は時間と費用を要する. したがって,生活支援ロボットにおける命令文の自動生成手法は,このコストを大幅に削減し,アノテーション作業の負担を軽減することが期待できる. そこで本稿では,入力画像から把持命令文を生成する手法を提案する. 提案手法は,subword-levelの注意機構を持ち,subword embeddingに基づいて文を生成するMultimodal Attention Branchを有する. 実験では,画像キャプショニングに適した4つの標準的な尺度を使用して提案手法とベースライン手法との比較を行った. 実験結果では,提案手法がこれらの尺度においてベースライン手法を上回ることを示した.
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嘉藤 佑亮, 中村 友昭, 長井 隆行, 山野辺 夏樹, 永田 和之, 小澤 順
セッションID: 1Q4-GS-11-01
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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本研究では人が行う巧みな動作をロボットに学習させ,小売店舗における商品整列動作を行う.人は初期環境が異なれば同じタスクであっても異なる戦略を使うことでより最適な動作を行うことができる.そこで我々はロボットが初期状態に応じた戦略を自律的に選択できるシステムを提案し,シミュレーション上の強化学習によって獲得した複数の整列動作モデルとそれらを使い分けるための判別器を作成した.このシステムを使用して整列タスクを実施した結果,1つの動作モデルのみを使用した場合よりも精度の高い整列を実現した.また,シミュレーション上で学習した動作モデルを使用し,実環境においても整列動作が可能であることを確認した.
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柳沼 和樹, 中村 友昭, 嘉藤 佑亮, 長井 隆行, 小澤 順
セッションID: 1Q4-GS-11-02
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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ロボットが効率的にタスクを達成するため,エキスパートによるデモンストレーションから得られた軌道を強化学習によって補正する手法が提案されている. しかし,従来手法のエキスパートの軌道は一つを想定しており,複雑なタスクではエキスパートが複数のポリシーを利用する場合が考えられる. 本稿では,エキスパートのデモンストレーションから複数のエキスパートポリシーを学習し, 強化学習によって補正を行うResidual Reinforcement Learningを提案する. 実験では物体の整列タスクにより,複数のエキスパートポリシーを活用することで,エキスパートによる軌道のみを用いた場合よりも高精度な整列が可能となることを示す.
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内部 英治
セッションID: 1Q4-GS-11-03
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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強化学習は環境のモデルを陽に推定し学習に利用するモデルベース法と,実際または仮想的に得られた状態行動遷移対から学習するモデルフリー法に大別できる.我々はこれまでに性質の異なる複数のモデルフリー強化学習器を並列に学習させつつ性能に応じて学習器を動的に切り替える手法CRAILを提案し,単純なアルゴリズムが複雑なアルゴリズムの学習に貢献することを示した.本研究はCRAILを拡張し,モデルベースとモデルフリー強化学習アルゴリズムの動的な切り替えが学習効率の改善に寄与するか,また切り替えがどのようなタイミングで発生するかを調査した. 提案手法をベンチマーク課題であるMuJoCoに適用しモジュール構造を用いない場合と比較した.学習の初期段階では単純なネットワークを使ってモデルを推定するモデルベース法が選択され,学習後期ではモデルを複雑なネットワークで推定するモデルベース法が選択され,モデルフリー法はほとんど利用されなかった.一方で,推定モデルの精度が低い場合には経験再生を用いたモデルフリー法を最終的に使用する結果が得られた,これは神経科学で得られた知見とは異なっており,その理由について考察する.
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牛田 裕斗, 石津谷 駿汰, HAFIYANDA Razan, 加藤 昇平, 佐久間 拓人
セッションID: 1Q4-GS-11-04
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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近年,物流業界ではネット通販の普及により荷物取扱量が増加している一方で,労働者が不足している.そこで我々は労働者の負担軽減のために倉庫内を自律走行する荷物運搬ロボットの開発を目指す.倉庫内の障害物回避のために測域センサのデータを用いて強化学習による自律行動制御を獲得する.強化学習を実機ロボットに応用する場合,シミュレーションで事前学習した行動制御則を実機に転用することが一般的だが,その場合,シミュレーション上で想定していない不確実性が存在する.そこで,本稿では,この不確実性に対処するために実機上で転移学習を実行することでロボットの行動制御の精緻化を目指す.4輪オムニホイールロボットを用いて実環境で迷路探索実験を実施し,シミュレーションのみで獲得した制御を転移学習により獲得した制御を比較検証する.
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吉沢 崚, ジメネス フェリックス, 村上 和人
セッションID: 1Q4-GS-11-05
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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近年,教育支援ロボットが注目されている.本研究では,教師のように振る舞う教師型ロボットに注目する.従来研究では,学習者が問題を解きながら学ぶ状況において,学習者の学習成績に応じて学習支援を提供する教師型ロボットは,学習者に高い学習効果を与えることが示された.しかし,従来の教師型ロボットは問題が提示された時,または学習者のボタン操作により学習支援が要求された時に,学習支援を提供している.そのため,従来の教師型ロボットは学習者が問題を解けず,悩んでいる状態(困惑状態)を推定して自律的に学習支援を提供できていない.本研究では,学習者の困惑状態を推定し,自律的に学習支援を提供する教師型ロボットを開発する.本稿では,解答中の学習者の表情から,CNNにより学習者の困惑状態を推定する手法を提案する.提案手法では,1フレームごとの学習者の顔画像を入力とし,困惑状態を推定する分類器を作成する.また,従来研究における学習済モデルを用いて,学習者の顔画像から得られる,基本6感情と「無表情」の確率分布を入力とする分類器を作成し,前述の分類器との組み合わせによりアンサンブル学習を行うことで,困惑状態を推定する.
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Encoder-Decoder Networkと確率的論理プログラミングの活用
内藤 太智, 廣田 直也, 萩原 良信, 岩橋 直人, 谷口 忠大
セッションID: 1Q5-GS-11-01
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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本研究では,ロボットがユーザの発話から達成しなければならない目標を予測し,環境を考慮して目標を解決するためのロボットの行動列を取得することを目的とする.また本研究では,ロボットに「キッチンからコーラを持ってきて」のような明示的な命令だけでなく,「喉が渇いた」のような暗黙的な命令を理解し,環境の変化に応じて適切な行動列を計画することを目指す.提案手法では,Sequence-to-Sequenceを使用してユーザの発話から目標を予測し,論理プログラミングを使用して各環境でロボットの行動列を計画する.実験では,環境を考慮した提案手法と,環境を考慮せずseq2seqによって行動列を予測する従来手法とを比較した.実験結果は,提案手法により,ロボットが暗黙的な命令で発話命令を達成し,各環境で適切な行動列を計画できることを実証した.
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谷口 巴, 長野 匡隼, 持橋 大地, 中村 友昭, 高野 渉, 長井 隆行, 小林 一郎
セッションID: 1Q5-GS-11-02
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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近年、重要性が高まってきている家庭用ロボットには、日常生活において人と同じ感覚を共有した動作が期待される。そこで副詞などで表現されるあいまいな言葉を理解し、動作へ結びつけることが必要となる。 特定の副詞を表現する複数の動作に共通する特徴を見つけることができれば、ロボットはその副詞の意味を理解したといえる。本研究ではGaussian Process Latent Variable Model[Lawlence+,2010]を用いて動画像中の人の姿勢情報を多次元から2次元に圧縮した後、Spectral Mixture Kernel[Wilson+,2013]を用いて、各時系列データの中で使用される複数のカーネルを特定し、その中で共通するカーネルを発見することで副詞の意味理解を目指す。
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長野 匡隼, 中村 友昭, 長井 隆行, 持橋 大地, 小林 一郎, 高野 渉
セッションID: 1Q5-GS-11-03
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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統計的時系列モデリングでは,Forward filtering-Backward sampling (FFBS)によってパラメータを推論することが可能である.しかし,FFBSではあらゆる隠れ変数の組み合わせに対して確率を計算する必要があり,計算コストが非常に大きい.そこで,Slice sampling(SS)をFFBSに導入し,計算する隠れ変数の組み合わせを確率的に制限することで,精度を保持したまま計算コストを小さくする. 本稿では,教師なしで時系列データから,意味を持つ単位系列に分割・分類可能なGaussian Process-Hidden Semi-Markov Model (GP-HSMM)にSSを導入したGP-HSMM*を提案する. GP-HSMM*は,BSでサンプリングされた隠れ変数の集合を基に, SSにより計算する隠れ変数の組み合わせを確率的に制限することで高速化を可能とする.実験では,人工データとモーションキャプチャデータを用いて,提案手法がGP-HSMMと同等の分割・分類精度を保持したまま,高速化した結果を示す.
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日浦 美咲, 川本 佳代, 内田 智之, 岩城 敏, 林 雄介, 平嶋 宗
セッションID: 2B6-GS-12-01
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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現代社会において,論理的表現力,構成力,読解力から成る論理的思考力は最も重要な能力の1つである.課題解決には,その課題の本質を読み取り論理立てた解決策を与える必要がある.課題解決までの過程を自律的に論理立てて組み立てる活動を,問題解決のためのフローチャート組み立て課題と捉えることができる.これにより,フローチャートの組み立て活動の訓練は,論理的思考力の育成に有効だと考えられる. 本研究の目的は,自学自習による育成のため即時に正誤判定ができるキットビルド方式を採用することで,フローチャートの組み立て課題を導入した論理的思考力育成システムを開発することである.このシステムをアンドロイドタブレット上に実装し,その評価実験結果より,開発したシステムによりフローチャート組み立てによる論理的構成力を中心とする論理的思考力の向上が期待できることがわかった.
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油谷 知岐, 瀬田 和久, 林 佑樹, 池田 満
セッションID: 2B6-GS-12-02
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
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知的学習支援システムに関する研究領域では,テクストに記載された事柄のより精緻な理解を促すことを目掛け,学習者の理解構造を捉える学習者モデルの構成法が提案されてきた.一方で,学習対象領域について,わかったつもりになっているが,物事の背景や意義といったテクストには明記されていない事柄も読み取るスキルに目掛け,学習目標設定の妥当性・洗練への意識を促すことを狙いとする学習者モデルは検討されていない.そこで本研究では,学習者がわかったつもりになりながらも,何を学習目標化できている/できていないのかを捉える学習者モデルを検討する.具体的には,学習者がセマンティクスアウェアなプレゼン教材と学習目標語彙を用いて,プレゼンテーション課題に取り組む状況を設定する.プレゼン教材には,学習者が目にする学習トピック情報と計算機処理可能な情報に非対称な構造を持たせ,陽に記載されていなくとも学習者が読み取るべきと考えた学習内容と,読み取れなかった学習内容を区別して学習者モデルとして構成する手法を提案する.
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和田 拓也, 林 佑樹, 瀬田 和久, 小尻 智子
セッションID: 2B6-GS-12-03
発行日: 2020年
公開日: 2020/06/19
会議録・要旨集
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初等・中等教育の自然科学の分野において,観察学習がしばしば試みられている。観察学習では,学習者は主体的に観察を進めて既習の概念を確認したり新しい概念を発見することで,概念と観察した実体を紐づけることが可能である。しかし,学習者の主体性に委ねた観察では,対象を漠然と観察してしまうことで概念と実体の結びつきが薄い学習となる可能性がある。また,学習者は自身の概念と観察結果の間に不一致があったとしても必ずしもそれを認識できない.不一致を認識したとしても,不一致の種類を捉えて概念を再構成するような観察に必ずしも至らないといった問題点がある。これらの問題点を解決するために,本研究は,学習者の主体的な観察活動に基づく概念と実体を正しく紐づけるための学習支援方法を明らかにすることを目的とする。本稿では,特定の観点に焦点化した観察を促す仕組みとして,学習者が有する概念と観察結果を体系的に整理するための概念マップによる表現方法を提案した。提案した表現方法に基づいて,不一致の種類とそれに応じた誤りの種類を定義し,各誤りを棄却するための観察対象の選別方法とそれに基づく支援方法を提案した。
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