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松原 崇
セッションID: 1G3-GS-1-04
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
深層学習は大量のデータを与えて関数を学習する万能近似器としてよりも,むしろ対象が持つ既知の数学的構造を保存するように設計することで高い性能を発揮している.例えば,畳み込みニューラルネットワークは画像に写った物体が移動しても意味が変わらないという平行移動不変性(並進群対称性),グラフニューラルネットワークはノードの順番に意味がないという順序入れ替え不変性(置換群対称性)を持つように設計されている.このように,対象が持つ対称性を考慮したニューラルネットワークを,近年では特に幾何学的深層学習と呼ぶが,これが圏論で言う自然変換であるという解釈がなされつつある.物理現象の測定データからそのダイナミクスをモデル化するようなニューラルネットワークを深層物理モデルなどと呼ぶが,これもまた自然変換としての解釈が可能である.本発表では,数学的構造に基づき設計された深層学習を紹介し,その圏論的な解釈を検討する.
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ホーランド マシュージェームズ
セッションID: 1G3-GS-1-05
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
損失分布の期待値と分散の和を最小化する際、凸性のある目的関数(例:DRO)を導入することが有効であることは知られているが、損失値の裾が重く、二次モーメントの有限性のみ仮定した場合、外れ値に対する脆弱性が避けられず、理論保証が劣り、実用性も限定されてしまう。本提案では凸性を求めず、分散も直接推定せずに、外れ値が起こりうる状況下でもmean-variance最小化をロバストに行う学習アルゴリズム設計法を考案し、その特性と効果を実験と理論の両面で評価する。
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石川 朋親, 谷口 彰, 萩原 良信, 谷口 忠大
セッションID: 1G4-OS-21a-01
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
ロボットが人間の言語に関連したタスクを行うためには,場所に関する意味情報を対応づけた地図(Semantic Map)をロボットが持つ必要がある.そのような地図の学習には人の介在を必要とする場合が多い.本研究では,人の介在を必要としないロボットによる能動的なsemantic mappingを実現し,semantic mappingにおけるユーザの負担を軽減する.本稿では,ロボットが能動的な場所概念の学習と地図生成を同時に行う手法を提案する.場所概念の学習は,教師なしのオンライン学習によるマルチモーダルカテゴリゼーションにより実現される.このとき,画像キャプショニングの基盤モデルであるCLIPにより生成されたキャプションを実世界と言語の対応付けに用いる.どのような空間的探索手法が効率的なsemantic mappingに繋がるかを評価するために,シミュレーション環境において移動先の決定方法を変更した比較手法を用いた実験を行った.また,実世界環境において学習結果の人間の言語に関連したタスクに対する有用性についての評価を行った.
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田畑 浩大, 蒲原 惇乃輔, 海野 良介, 佐藤 誠人, 渡部 泰樹, 久米 大雅, 根岸 優大, 岡田 領, 岩澤 有祐, 松尾 豊
セッションID: 1G4-OS-21a-02
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
世界モデルは外界の観測をもとに外部構造を獲得するモデルのことであり,エージェントの行動に伴って変化する外界の将来の状態を予想することができる.近年の生成モデルや言語モデルの進歩はマルチモーダルな世界モデルの発展に貢献しており,自動運転やロボティクスなどの多くのドメインでの応用が期待されている.映像予測は,高精細さと長期予測という点で進展した分野であり,時間的表現の獲得を目的とする世界モデルの応用が考えられる.モデルアーキテクチャの例として,再構成タスクを学習することによって観測の潜在的な表現を学習するEncode-Decoderベースの潜在変数モデルと潜在変数列を予想するTransformerベースの自己回帰モデルの組み合わせが良い性能を発揮している.本研究では,VQVAEとImage-GPTを用いたVideoGPTと呼ばれる動画予測モデルに行動条件付けを導入することで拡張した.CARLAとRoboNetを用いた検証の結果,条件付けなしのモデルと比較して性能が向上した.
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VAEの潜在空間上の強化学習の考察
中井 眞人
セッションID: 1G4-OS-21a-03
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
画像上での強化学習は多くの訓練画像を必要とするが、画像を低次元の抽象表現にして強化学習する方が効率的であることが示されている。低次元の抽象表現として代表的なものとして変分自己符号化器(以降VAE:Variational Auto Encoder)の潜在空間がある。しかし画像とVAEの潜在空間との間に深層学習が介在しているので、画像と潜在変数の関係が明瞭でなく、潜在変数のサンプリングで強化学習が可能な理由が明らかにできなかった。本稿では、VAEの潜在空間上のサンプリングで強化学習が可能か明らかにして、その理由に基づいて強化学習の効率化を行う。
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伊藤 洋, SIMON Armleder, 鹿田 玄輝, 蔡 賢博, GORDON Cheng, 尾形 哲也
セッションID: 1G4-OS-21a-04
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
本研究では、過去の学習経験に基づいて、実世界に適した動作をリアルタイムに予測することで、未学習の環境や作業対象物に対応することが可能な深層予測学習を用いた双腕ロボットによる柔軟物体操作を提案する。柔軟物体操作としてタオル掛けタスクを対象に、ロボットは机の上に置かれたタオルを把持し、物干し竿にかける動作を実現する。ロボットは視覚運動情報に基づき近未来の状況を予測し、現実との誤差を最小にするように動作を生成し、学習時と現実の差を許容しながらリアルタイムに動作を調整し続けることで、未学習の状況下でも柔軟に作業することが可能である。
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黒田 彗莉, 小林 一郎
セッションID: 1G4-OS-21a-05
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
物理環境におけるヒトの認識や予測機能を機械学習モデルとして表した実世界理解の研究が近年注目されている。ヒトは環境を見たとき、連続的な出来事から重要なタイミングや変化点を認識するとされる。そして認識した場面をもとに、これから起こりうる出来事の変化を予測するだろう。本研究ではヒト脳内で行われているとされる予測符号化を模倣した、物理特性に基づく変化点予測モデルを提案し、予測したタイミングが物体の衝突や消滅のような大きな変化点を正しく示すことを検証する。そのモデルにおいては、環境にある物体の物理特性をグラフ構造で表現し、構造の変化を予測することで環境の物理的変化を予測可能とする。
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中野 聡大, 鈴木 雅大, 松尾 豊
セッションID: 1G5-OS-21b-01
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
好奇心は、構成的な理解を構築するにあたって、身の回りと相互作用を動機づけるための、重要な能力である。近年、物体中心学習を用いて、動画から構成的な表現獲得が可能となっている。しかし、物体中心の表現獲得を、内的報酬に基づく環境との相互作用を行いながら学習できるかどうかは解明されていない。本研究では、エージェントが自身の予測結果を用いてより不確かな観測を優先して学習することが、効率的な物体中心表現の学習につながるかどうかを検証する。
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石井 慶吾, 平松 駿, 野村 優太, 村田 真悟
セッションID: 1G5-OS-21b-02
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
生産現場や日常生活環境において、ケーブルや布等の柔軟物体を操作可能なロボットの実現が期待されている。柔軟物体は無数の形状を有することからその状態のモデリングが難しいため、データドリブンな深層学習の利用が有効なアプローチとして注目されている。その具体的な方法として強化学習や模倣学習があるが、それぞれ問題点がある。強化学習では、探索に用いるデータが多く必要であることから、データ収集の面で非効率である。一方、模倣学習では、一般にラベル付け(タスクの指定)が必要であるため、ロボットの可能な操作パターンを制限する。そこで本研究は、これらの柔軟物体操作におけるデータ収集コストとラベル付けに対処する新たなフレームワークを提案する。具体的には、人が好奇心のままにロボットを操作することで得られるプレイデータを収集し、そこから取り出された部分時系列を用いてゴール条件付き自己教師あり学習を行う。柔軟物体としてロープを用い、実ロボットを直接教示することで得られたプレイデータを用いて学習を行った結果、提案フレームワークの有用性が示された。
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山蔦 栄太郎, 内山 史也, 関戸 麗矢, 川原 雄登, 鈴木 雅大, 松尾 豊
セッションID: 1G5-OS-21b-03
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
世界モデル(world models)は限られた情報から外界をモデル化することで、将来の外界の状態や観測を予測し、学習に活かすことができる。また、時空間予測では、深層生成モデルを利用した強化学習手法が注目されている。生成モデルにおいては拡散モデルを基盤としたImagenやStable-diffusionが高い画像生成能力を発揮できることで知られている。本研究では、World ModelsにおけるVision部に従来のβ-VAEに合わせて潜在拡散モデル(LDM)を追加し、LSTMの隠れ状態などからより良い潜在表現を生成する手法を提案し、既存のβ-VAEを用いた手法との比較を行う。
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藤崎 勇哉, 南田 桂吾, 土方 祥平, 澤野 千賀, 熊谷 亘, 松尾 豊
セッションID: 1G5-OS-21b-04
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
モデルベース強化学習の一つである世界モデルは,エージェントの行動から生じる環境の遷移を予測するモデルである. 世界モデルを用いることでサンプル効率の向上や未知のタスクへの適応を向上させることが期待されている. しかし,世界モデルは他の強化学習モデルに比べて規模が大きく,モデルの学習時間が長くなることや,モデルの実行が計算機の制約を受けることが懸念される.そのため,モデルの学習の効率化とモデルの規模の縮小を両立させるために転移学習とモデル圧縮を適用することで世界モデルの実用性を高めることを考えた. 本調査の目的は上記の2つの手法の適用による世界モデルの性能への影響を検証にある.調査の結果2つの示唆が得られた.(1)提案手法(モデル圧縮 + 転移学習手法)を適用した場合の方が,モデル圧縮を適用せず目的のタスク単体で学習した場合よりも性能が高くなる可能性があること.(2)提案手法はハイパーパラメタの変更に頑健な可能性があること,である.
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小林 由弥
セッションID: 1G5-OS-21b-05
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
実世界は物理的な要素や概念など様々な因子の組み合わせで実現されており,因子の数と種類のかけ合わせで膨大な状態数が実現され得る.そのため,エージェントは個々の因子をほぼ網羅的に経験できたとしても,無限に近い組み合わせを全て経験することは事実上不可能で,未知の組み合わせにも汎化する必要がある.こうした未知の組み合わせへの汎化は構成的汎化と呼ばれている.構成的汎化に関する取り組みは多用だが,その中に構成性の観点から言語創発との関連を考えた研究がある.言語の創発は複数エージェントのコミュニケーションによって実現されることが多く,深層学習ではオートエンコーダのエンコーダとデコーダをそれぞれエージェントとみなし,それらの間でやり取りされる埋め込みに言語のような構造を仮定する方法がしばしば取られる.本研究では深層生成モデルを用いて言語創発を行い,創発される言語のチョムスキー階層に基づくクラスと,構成的汎化能力の関係について検証する.
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山田 隆弘
セッションID: 1K3-GS-3-01
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
人間の日常生活では、法律、業務規則、操作手順等の様々な規則が使われている。これらの規則は、通常は、条文、フローチャート、状態遷移図等を用いて記述される。一方で、人間の知識を機械で処理できる形式で記述するために知識グラフという技術が開発されている。規則を知識グラフとして表現することができれば、規則を機械的に処理することが可能になり、規則の活用のために有益である。ところが、規則を知識グラフとして表現するための従来の検討は、ほとんど"If X then Y"という形式の規則に限られていた。筆者は、昨年(2022年)の本大会において、談話(複数の関連した文の並び)を知識グラフとして表現するための方法を提案した。本発表では、この方法を応用することによって、様々な規則を知識グラフとして表現するための統一的な方法を提案する。この方法では、まず規則をブロック図(例えばフローチャート)で表現する。得られたブロック図を一種の談話とみなし、昨年発表の方法を適用して知識グラフに変換する。この方法を使えば、ブロック図で表現可能な規則であれば、どのような規則でも知識グラフとして表現することが可能である。
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山縣 友紀, 大浪 修一, 桝屋 啓志
セッションID: 1K3-GS-3-02
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
高齢化社会が到来した現在,老化研究の重みが増し,COVID-19では高齢者の重症化も問題となっている.老化は生命の誕生から死までのシナリオにおいて避けて通れない仕様であるともいえる.しかし,老化は一般に疾患とは異なるものの,慢性疾患等のリスク因子ともされている.老化の基本メカニズムを理解するためには,細胞から個体レベルまで生体の多様な粒度への対処が必要となる.そこで,本研究は,基礎と臨床を横断した老化制御を目指し,細胞老化プロセスに注目したオントロジー工学的アプローチに基づく知識モデリングに取り組む.本研究では,まず細胞老化の過程における多様な生体機能の変化についてホメオスタシスインバランスプロセスオントロジー(HoIP)開発における細胞老化機序に関わる多様な知識の組織化について述べる.次に,COVID-19感染機序と2型糖尿病,細胞老化における複数機序間を横断し,COVID-19重症化に関する因果推論を行う.最後に,オントロジーを基とした細胞老化機序知識の可視化への取り組みについて紹介する.
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坪田 健士郎, 山下 遥
セッションID: 1K3-GS-3-03
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
囲碁や将棋,オセロなどの完全情報ゲームにおいて,AIが人間の世界王者を破る事例は数多く起きている.しかしこれらのAIは純粋な強さを求めているため,楽しむというゲームの本質に経験値の低いプレイヤーが到達することは難しい. そこで,本研究では対戦するプレイヤーの能力に合わせ試合が拮抗するような,すなわち引き分けになりやすいようなAIを提案する.その際に様々なゲームAIに取り入れられてきたモンテカルロ木探索(MCTS)を用いたアルゴリズムを提案する.これまでのオセロAIでは,難易度の設定はアルゴリズムの目的関数に対して勝率が高くなるハイパーパラメータの調整に基づいて行われていた点に着目し,本研究ではアルゴリズムにおける2種類の評価関数を設定し,それぞれを組み合わせたアルゴリズムを提案する.これにより試合が引き分けになりやすいAIが構築され,幅広いレベルのプレイヤーが楽しめるAIの実現が期待される. さらに本研究では提案モデルといくつかの一定のレベルのAIを複数回対戦させるシミュレーション実験を行い,提案モデルと複数のレベルそれぞれとの対戦成績を比較することで提案モデルの妥当性を評価する.
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小林 暁雄, 桂樹 哲雄, 森 翔太郎, 橋本 祥, 川村 隆浩
セッションID: 1K3-GS-3-04
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
持続可能な社会の実現に向けて、余剰食材の削減や、健康に役立つ食品の拡充による医療費削減が求められている。このような食材・食品に関する情報は、これまでもレシピデータや栄養成分データなどがさまざまな形で公開されているが、日常的な食事にそれらを摂り入れるには美味しさに関する情報が必要である。近年、食の美味しさをデータとして表現する研究も進められているが、栄養・機能性成分などの健康維持に関する情報と結び付けられてはいない。そこでムーンショット型研究開発目標5では、栄養・機能性成分に関するデータと、美味しさに関するデータを結び付け、持続可能な食の基盤となるデータベースを構築している。 本研究では、農研機構が保有する機能性成分データに美味しさ、特に味と香りに関する化合物データベースを結びつけ、さらに栄養成分やレシピデータなどを結合した食に関する統合的な知識グラフを提案する。
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薦田 怜奈, 山下 遥
セッションID: 1K3-GS-3-05
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
近年インターネット広告費が増大しており,今後も市場の拡大が予想される.その中でも,消費者の属性によるターゲティングが可能であり,広告配信媒体を決定できる運用型広告が市場の大半を占めている.したがって,消費者ごとの最適な広告配信先を明らかにし,運用型広告での広告効果を高めることができれば企業にとって大きなアドバンデージになると考えらえる.しかしながら,これまでインターネット広告に関する研究は多数行われてきたが,消費者の属性による広告配信先の最適化に関する研究は行われていない.そこで本研究では,消費者の属性の違いを考慮した柔軟なモデル構築を可能とする階層ベイズモデルを用いて,最適なインターネット広告配信媒体推定モデルの構築を行う.消費者属性ごとに広告効果の最大となる配信媒体が異なるという仮定のもと,階層ベイズの枠組みを導入した分析モデルを提案する.まず,階層ベイズモデルを用いて消費者属性と任意の商品における購入意向の変化,各Web媒体の利用頻度の関係性を分析する.更に,得られたパラメータ値を用いて,ターゲットとする消費者の属性における各媒体の効果を算出し,最適な広告配信先を決定する.
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西田 知史
セッションID: 1K4-OS-11a-01
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
人間とAIが良好な共存関係を築く社会の実現に向けて、AIの支配や暴走といったAIに対する人間の潜在的な不安感は大きな障壁になる。本研究は、AIに対する不安感の払拭に向けた基礎的探究として、不安感の個人差をもたらす脳内メカニズムの解明を目的とする。そのために、AIやロボットに関連する映像を視聴中の59名の被験者から脳応答をfMRIで計測し、脳応答の個人差と、アンケートで評価したAIに対する不安感の個人差の関係を分析した。その結果、社会性認知に関わると考えられている上側頭皮質をはじめとして、複数の脳領域における脳応答の個人差がAIに対する不安感の個人差と相関を示した。この発見は、AIに対する不安感の個人差をもたらす脳内メカニズムの一端を初めて明らかにした成果だといえる。
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田和辻 可昌, 村松 慶一, 松居 辰則
セッションID: 1K4-OS-11a-02
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
ヒトの外見に極めて類似したエージェントに対して,ヒトは否定的な感情を抱き,これは「不気味の谷現象」として知られている.これまで多くの研究が進められ,predictive codingやcategorical ambiguityなどの観点からそのメカニズムが議論されてきた.しかし,これらは相対した存在がヒトかそうではないかといった異常の検出という短期的な応答に対しては説明力があるが,不気味に感じるという中期的に持続する感情形成に対して説明を与えていない.そこで我々は,不気味の谷現象とは脳内にカテゴリ記憶として形成されたアトラクターに対して,その周りを周回するある種の非安定周期解への収束状態である,という仮説モデルを提案する.このモデルに基づくと,安定解であるアトラクターに収束しない状態はヒトにとってネガティブに作用し,この結果エージェントに対して持続的に否定的な印象が形成されると解釈できる.本発表では,上記モデルに基づいた課題と今後の展開について述べる.
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末光 揮一朗, 高橋 英之, 伴 碧, 石黒 浩
セッションID: 1K4-OS-11a-03
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
本研究では,ロボットと友好的な関係性を長期的に持続する方法として,ユーザとロボットによる主体的な共通点の構築を提案する.先行研究では,ロボットとの友好的な関係性構築のため,ユーザとの外見や動きに共通点を持たせる等の手法が提案されてきた.しかしこれらの方法では,ユーザが共通点の情報を一方的に受け取るのみである.そこで本研究では,主体的に共通点を構築することが関係性の持続に貢献するのではないかと考え,その手段として「共有現実」に注目した.我々は,共有現実を通じた二個体の関係の形成と持続に二つの段階があると考えている.初期段階は, 相互作用の中で,二個体が次第に同じ感性を共有するようになり,それが二個体の共有現実として規範が定着していく段階である.次の段階は, 形成された共有現実が個体間の行動に影響を与える規範として機能する段階である.それぞれの段階について,人間とロボットの間で成立するのかを検討し,実験結果から初期段階の妥当性が示唆された.
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岸田 聖, 平井 優芽, 宮澤 和貴, 日永田 智絵, 長井 隆行
セッションID: 1K4-OS-11a-04
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
人間は,その受容器の種類に応じて,外受容感覚,内受容感覚,固有感覚の3つに分類される感覚信号を受け取っている.その中でも,人間の感情や意思決定は,特に内受容感覚と密接に関係しているといわれている.しかしロボットには人間のような内受容器が存在せず,人間のような豊かな感情をもつロボットは実現されていない.一方で,外受容器に相当するセンサは様々存在し,外界の情報を自己組織化する統合的な認知モデルが議論されている.本研究では,著者らのグループで提案した統合認知モデルを基盤に,ロボットの内受容を想定し統合した新たな統合認知モデルを提案する.提案する統合認知モデルを搭載した実ロボットを用いて,親子間のインタラクションを想定した実験を実施した.その後,モデルが学習した潜在空間を定性的に評価した.結果として,環境や身体情報に応じて,ロボットが適切な行動を学習できることを確認した.さらに, ユーザからの言語情報やロボットの身体情報に応じた概念の形成を確認した.
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西堤 優
セッションID: 1K4-OS-11a-05
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
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昨今、人工主体(AI)による人の感情の分析・認識の技術開発が活況を呈している。この技術が進展し、さらにAIが人から読み取った感情の情報をもとに適切な仕方で応答するようになれば、AIはますます本物の人間と区別がつかないような振る舞いをするものになるだろうし、私たちはそのようなAIに対して、感情を帰属させるようになるかもしれない。しかし、実際にAIが感情を持つことはできるのだろうか。本発表ではAIが感情を持つことが可能なのか、もしAIが感情を持ちうるとすればどのようなものなのかについて考察する。そのために、心理学や哲学において現在提案されている感情についての理論を比較検討しつつ、感情における身体性の役割について論じたい。また、AIが感情を持つなら、もしくは、持たないとしても私たちが感情を帰属させるなら、どのような倫理的配慮が必要となるのかについても検討を加える。
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ロボットに関する実証的心理学研究を中心に
中分 遥, 五十里 翔吾, EMILY Burdett, 佐藤 浩輔
セッションID: 1K5-OS-11b-02
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
近年、接客ロボットの普及や大規模言語モデルを用いた対話モデルの躍進により、人間と、ロボットやAIなどといった人工主体との関わりが重要になっている。本発表では、こうした背景を受けロボットやAIに関連した道徳的問題、特にロボットに対する道徳的配慮に関する問題について、既存の知見ならびに発表者らが行ってきた実証的な心理学研究に基づいて考察する。具体的には、宗教や教育といった社会的ドメインでロボットを用いることに対する評価は年齢によって異なることを示す研究や、ロボットに対する道徳的な態度が宗教といった文化的背景に影響を受けることを示す研究を紹介する。これらの知見に基づき、人間とそれら人工主体からなる社会の将来像について議論する。
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竹下 昌志
セッションID: 1K5-OS-11b-03
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
フリー
人間とAIやロボットなどの人工物との親密な関係の価値について様々な仕方で議論されており、一部の人々は、そのような親密な関係には人間同士の場合と同等の価値があると主張する。だがそのような主張は正当化されるだろうか。本発表では人間とAI・ロボットの親密な関係の価値を擁護する上で次のようなジレンマがあると主張する。一方で(1)人間同士の親密な関係の価値の典型的な説明を前提とすると、人間と現状のAI・ロボットは価値ある親密な関係を築けると言うのが困難になる。仮に高度なAI・ロボットとの価値ある親密な関係が築けるとしても、その関係がここで擁護したい人間とAI・ロボットの親密な関係としてみなされるかどうかは疑わしい。他方で(2)人間同士の親密な関係の価値の説明を前提としなければ人間とAI・ロボットの親密な関係の価値を認めることができるが、親密な関係一般の価値を十分に捉えることが困難になる。本発表ではこのジレンマを説明した後、ジレンマから抜け出す方法を整理する。次に既存研究を検討し、それらはジレンマから抜け出せていないと主張する。最後に、筆者が望ましいと考える方法を提示する。
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宮原 克典
セッションID: 1K5-OS-11b-04
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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2022年6月、Googleのエンジニアが、大規模言語モデルLaMDAには意識があり、一人の主体として扱われるべきだと主張した。Google社は主張を退け、多くの論客がそれに賛同した。大規模言語モデル(LLM)への主体性の帰属を否定する理由は、いくつかある。(1)LLMの内在的特性に関わる理由:LLMは意識も意図ももちえない。(2)LLMへの主体性の帰属の帰結に関わる理由:LLMを主体として扱うことは、より重要な問題から社会の注意や関心を逸らせる。(3)個人のウェルビーイングに関わる理由:LLMを主体として扱うことは、本人の社会的孤立につながりうる。本発表では、これらの理由を検討し、LLMを主体として扱うべきではないと断言するのが意外に難しいことを示す。また、ロボットの道徳的地位やフィクトフィリア(架空の存在への性愛)をめぐる議論を引きながら、LLMへの主体性帰属の正当性を判断するためのポイントを整理する。
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内出 崇彦, 緒方 淳, 堀川 晴央, 深山 覚, 椎名 高裕, 雨澤 勇太, 佐藤 圭浩, 黒田 大貴
セッションID: 1L3-OS-17-01
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
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微小地震は地震発生場の物理的条件を反映して発生する。我々はこれを利用して、地震発生場の状態を微小地震の性質を介して理解し、大地震発生の想定に資する研究を行っている。その一つが、内陸地震を引き起こす内陸活断層の形状を地震データから客観的に決定することである。内陸活断層の特徴は、これまで地形・地質を通して詳しく調べられている。微小地震の分布も活用されてきたが、断面図などを用いた主観的な方法が取られており、3次元的な断層形状を客観的に得ることは容易でない。そこで我々は、概ね同一面にあると考えられる微小地震をクラスタリングすることで、この過程を自動化している。さらに、断層や地下の構造境界で反射した地震波も断層面検出の手掛かりとする研究も進めている。茨城県北部地域や熊本地域をテストケースに、断層や構造境界が概ね抽出できていることを確認した。また、より良いデータ解析を目指して、地震計の異常を地震波形データから検出する研究も行っている。変分オートエンコーダによる地震時データの処理により、実際の観測データの異常を検出できていることを確認した。
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直井 誠, 平野 史朗
セッションID: 1L3-OS-17-02
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
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地震学において相関係数を元に類似波形を抽出する技術は,地震,低周波地震の検出で重要な役割を果たしているが,その計算コストの大きさが大規模なデータセットへの適用の障壁となっている.本研究では,1つの波形を64bitのバイナリコードに変換するハッシュ関数を深層学習を用いて作成し,室内水圧実験で得られた16チャネルのAcoustic Emission記録に対して類似波形探索を実施した.10 MHz samplingで収録された30分の連続データに対して,古典的手法でカタログ化されたイベントをテンプレートとした新規イベント検出を実施し,2.5倍のイベントを検出することに成功した.また,通常は計算量が膨大となる,テンプレート波形なしに自己相関が高い窓を探索する処理を,得られたハッシュ値間の距離の総当り計算によって実施したところ,120スレッド並列化の下で,15.5時間で上記の連続波形記録全てを処理できた.本手法は,先行研究で提案されていたランダム置換に基づくhashingを用いた方法よりメモリ使用量が小さく,類似波形探索を大規模に実行するうえで効果的である.
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福嶋 陸斗, 加納 将行, 平原 和朗
セッションID: 1L3-OS-17-03
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
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Physics-Informed Neural Networks (PINNs)は、物理法則に従う微分方程式と初期条件・境界条件を取り込んだ損失関数を用いて、その両方を満たすニューラルネットワークを構成し、微分方程式の解を求める方法である[Raissi et al., 2019]。PINNsは順問題に加え物理法則に現れるパラメータ推定などの逆問題を容易に扱える。地震学では断層すべりを計算する簡単なモデルとして、摩擦の働くブロックとばねの物理を考えるばねブロックモデル[Yoshida and Kato, 2003]が用いられる。本研究ではPINNsをばねブロックモデルに適用し、準動的運動方程式と速度状態依存摩擦構成則[Ruina, 1983]に従う摩擦構成則を解くことによりスロースリップの時間発展の再現を試みた。次にPINNsの因果律を考慮できないという欠点を克服したCausal-PINNs [Wang et al., 2022]を適用した。またすべりデータを学習し摩擦パラメータを推定する逆問題への適用を試みた。以上の結果よりPINNsが断層すべりの時空間発展の数値計算や逆問題に有用であることを示した。
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松本 雄馬, 八百山 太郎, 李 尚元, 肥田 剛典, 糸井 達哉
セッションID: 1L3-OS-17-04
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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構造物の耐震性能の詳細な評価には、地震動の時刻歴データを入力とした応答解析による評価が有効である。その際、地震にまつわる不確実性を考慮するために確率論的な評価に基づく入力用の地震動データの選定・作成手法が提案されている。構造物に大きな影響を与えるような地震動について検討するためには、確率論的な評価に基づいて想定される様々な特徴を有する地震動データについて時刻歴応答解析を行うことが望ましい。しかしながら、そのような多数の地震動データを用いた応答解析は計算コストの点から非効率的で困難となる場合がある。そこで本研究では、著者らがこれまでに構築した地震動時刻歴データの深層生成モデルの潜在変数を活用したマルチタスクガウス過程回帰モデルを構築することで、構造物の時刻歴応答解析のサロゲートモデルを提案する。確率的に生成された地震動時刻歴データのデータセットを対象として、少数の応答解析結果を基にサロゲートモデルの構築を行い、新たな地震動データに対する構造物の応答を回帰モデルで予測するとともに、構造物に影響を与える地震動の効率的な探索を試みる。
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金子 亮介, 長尾 大道, 伊藤 伸一, 鶴岡 弘, 小原 一成
セッションID: 1L3-OS-17-05
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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1995年兵庫県南部地震を契機に、わが国には二千点を超える地震計からなる観測網が整備され、それにより「スロー地震」と呼ばれる通常の地震とは異なる地球内部起源の振動現象が発見された。スロー地震はプレート境界型の大地震発生と関連すると強く推認され、中でも「低周波微動」と呼ばれる微弱な振動は、かなりの高頻度で発生している。大地震が100〜200年周期で発生していることから、現代の地震観測網が整備される以前の昔の地震計によって記録された微動を調べることは極めて重要である。 本研究では、残差学習器(ResNet)を用いて、半世紀前に東京大学地震研究所の熊野観測所(三重県)の地震計によって紙に記録された地震波形からの微動の検出を試みた。実際の紙記録を模した人工画像に基づく事前学習、およびHi-netデータから生成した地震波形画像に基づくファインチューニングを行ったところ、現代のデータに基づく検証において98%以上の正答率で微動を検出できることを確認した。最後に、熊野観測所において1966〜1977年に得られた地震古記録に学習済みResNetを適用し、当時の微動を網羅的に検出することに成功した。
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和田 洋貴, 内田 滋穂里, 佐々木 勇輝, 小泉 昌之, 柳川 由紀子, 中嶋 宏
セッションID: 1L4-OS-18a-02
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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日本人の死因で1位の「がん」に続く2位,3位は「心疾患・脳血管疾患」であり、高血圧がそれを引き起こす要因として挙げられている。心疾患、脳血管疾患は初期段階では自覚症状がないことが多いため、毎日の血圧測定によって健康状態を正しく把握することが重要である。近年、ウェアラブル型の血圧計が開発されており、日中の活動時や就寝時の血圧計測を行うことで、より詳細な健康管理が可能になってきている。しかし、ウェアラブル型の血圧計はデバイスの小型化によって、従来の据え置き型よりも計測精度が悪くなる課題がある。筆者らは、オシロメトリック波形に関する新しい特徴量の導入を行い、血圧推定の精度向上を試みた。高血圧者を含む85名の被験者、1名あたり3回計測のデータに対して血圧推定を行った結果、従来法との比較において、SDE(standard deviation of error)が最高血圧で1.177、最低血圧で0.657向上した。
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藤本 隆晟, 中村 優吾, 荒川 豊
セッションID: 1L4-OS-18a-03
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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近年,ウェアラブルデバイスやそれに搭載されるセンサの普及により,ヘルスケア分野の研究において時系列心拍データの解析が進められている.時系列心拍データからは不整脈の検知や心理的ストレスの推定が可能なため,心拍データを用いた医療・健康管理サービスは多く存在する.一方,時系列心拍データには多くのプライバシー情報が含まれており,サービスを利用するユーザのプライバシー保護には十分な配慮が要求される.そこで,本研究では時系列心拍データから不整脈検知を行うサービスを対象に,「差分プライバシー」を用いたプライバシー保護メカニズムの提案と評価を行った.評価結果では,提案手法が従来の差分プライバシーを用いたメカニズムと比較してユーザのプライバシー保護を実現しつつ,サービス有用性を両立するための手法として有効的であることを示す.
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角 幸頼, 藤原 幸一, 岩崎 絢子, 尾関 祐二, 角谷 寛
セッションID: 1L4-OS-18a-04
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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睡眠時無呼吸症候群 (sleep apnea syndrome: SAS) は、睡眠中の無呼吸または低呼吸など呼吸イベントにより、眠気や倦怠感が引き起こされる疾患である。SASは、冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)や心房細動、脳卒中など危険因子である。SASの有病率は成人の2-7% とされるが、自覚症状の乏しい患者はさらに多いと見積もられている。 SAS は一般的には、睡眠専門機関における検査(睡眠ポリグラフ, PSG)で診断される。PSG は限られた施設でしか行われておらず、本疾患のスクリーニング法の開発が必要であった。 そこで、呼吸イベントに関連した心拍変動に着目し、心拍変動解析とニューラルネットワークを用いた睡眠時無呼吸症候群スクリーニング手法を開発した。 大規模な PSG データセット (N = 938) を対象に、心拍データに対して長期・短期記憶を用い、SAS の検出を試みた。 重症 SAS の検出は、area under the curve (AUC) 0.92、感度 0.80、特異度 0.84 で検出できた。 今後、SAS 患者の早期発見のため、ウェアラブルデバイスを用いた簡易なスクリーニング手法の開発を目指している。
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久保 孝富, 和田 有里菜, 丸野 由希, 奥村 美生, 浦 優輝, 吉村 愛琉, 永澤 美保
セッションID: 1L5-OS-18b-01
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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イヌは我々ヒトにとって非常に身近な動物でありながら,いまだにイヌの認知・行動・情動などについて盛んに研究がなされている.その中でも定量的評価についての試みは,近年の機械学習手法の発展とともに進展を示している.用いられる入力情報として画像・映像,心電図など生理的信号,慣性センサ信号などが挙げられる.本稿では,計測が簡便で頻用される画像・映像を入力として用いる手法について調査内容・基礎的検証結果を報告する.イヌを対象とした画像・映像処理は,イヌ身体が含まれる画像領域を検出する処理,体部位位置を推定する処理,感情認識処理など多岐に渡る.本稿ではそれぞれの処理について概説するとともに,主要な手法の適用可能性に関する基礎的検証結果を示す.
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中西 俊之, 藤原 幸一, 仙頭 佳起, 祖父江 和哉
セッションID: 1L5-OS-18b-02
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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痛みは主観的な感覚であるため,自己評価スケールで評価されてきた.しかし,自己評価スケールは時間的に連続評価ができず,意識レベル低下時や小児では実施が難しい.そのため,熱や電気刺激に対する生体信号の変化を痛みの正解データとして用いることで,痛みの客観化が試みられてきた.しかし,実験環境での解析結果をそのまま実際の患者に適応できるかどうかは明らかでない.我々は,患者自身が痛みの増強時に鎮痛剤を投与する経静脈的患者自己調節鎮痛法(IV-PCA)の使用記録から痛みの経時変化を推定できると考えた.本研究の目的は,ウェアラブル心電計とIV-PCAを用い,生体信号と機械学習により術後の痛みを連続的に評価し,その増強を予測することである.時系列性を考慮した異常検知モデルである自己注意機構付きオートエンコーダ(SA-AE)を採用し,心拍変動指標を入力特徴量に用いて痛み増強を予測するAIを構築した.IV-PCAの使用を痛みの増強と定義し,8人の術後患者において痛み増強の15分前にTPR 54%,FPR 1.76 回/hの性能で予測できた.今後,データを蓄積してモデルの性能を改善する.
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Nawara Mahmood BROTI, Masaki SAWADA, Yutaro TAKAYAMA, Masaki IWASAKI, ...
セッションID: 1L5-OS-18b-03
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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Interictal high-frequency oscillations (HFOs) are potential biomarkers to identify epileptogenic brain regions of epilepsy patients and track disease activity. We have previously developed a Convolutional Neural Network (CNN)-based automated HFO detection method from electrocorticogram data. However, the clinical use of HFO information with the proposed method might be limited due to the need for extensive training datasets to achieve sufficient accuracy. This study therefore aimed to improve the accuracy of the classifier even with the small training dataset. We adopted a hybrid system where features selected by the CNN model are further transferred to a state-of-the-art classifier. We experimented with 6 pre-trained CNN models and 6 classifiers on our dataset. Results suggest transferring the feature information from the trained VGG19 model to the Linear Discriminant Analysis classifier provides the best result; an accuracy of 87% was achieved for 50 training images. Our proposed method could contribute to clinical research by reducing the size of annotated datasets required for the personalized and accurate HFO detection.
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鈴木 圭, 菅谷 みどり
セッションID: 1L5-OS-18b-04
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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近年,少ない電極の脳波信号による機械学習を応用したうつ病検知モデルの構築手法が研究されている。しかし,その精度は80%程度であり,高精度な手法は明らかではない。そこで本研究では,単一電極の脳波信号による機械学習を応用した精度が高いうつ病検知モデルの構築手法を提案する。脳波信号をクリーニングするため,フィルタリング,Epoch rejection,外れ値検知などを実施した。その後,脳波信号の複雑度などを脳波指標として特徴量抽出した。この脳波指標は決定木ベースのモデルであるLightGBMに学習された。そして、交差検証の結果,うつ病患者と健常者との2値分類において,精度90%程度の結果が得られた。この結果から,本研究で示した提案手法がうつ病検知において一定の有効性があることが示唆された。
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國丸 裕太, 田谷 昭仁, 鈴木 経, 菅谷 みどり
セッションID: 1L5-OS-18b-05
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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近年,うつ病をはじめとした精神疾患の判別のために生理指標を機械学習する手法が注目を集めている. 特に脳波は診断における恣 意が入りづらいことから,将来的には診断支援に用いられることが期待されている.一方,脳波をはじめとした生理指標は,年齢や性別などの要因による個人差がある.そのため,これらを考慮しない機械学習は精度が上がりにくいという課題がある.本研究では,生理指標における個人差の評価を行いうつ病判別を行うことを目的とする.目的の達成のため,ドメイン適応で用いられるドメインシフト評価指標により個人差を評価する手法を検討し,うつ病判別を行う手法を提案する.ドメインシフト評価指標はデータセット間の同時確率分布の不一致度(ドメインシフト)を評価する指標であり,これを個人ごとのデータ間で評価する.精神疾患判別用のデータセットに本検討手法を適用した結果,個人差を用いたクラスタリングにおいてうつ病者と健常者の間に顕著な差がみられ,有効性が示唆された.
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鈴木 貴大, 岡野 謙悟, 中村 龍馬, 松平 正樹
セッションID: 1M3-GS-10-01
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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我々は、交通渋滞緩和や交通事故削減に貢献することを目的とし、プローブデータを用いた交通流の予測方式を研究している。本稿では、交通流を予測する2種類の予測方式と、交通流に応じた予測方式の切り替えについて提案を行う。まず、交通事故や交通規制といった突発事象の影響が少ない自由流や交通集中による渋滞流については、蓄積データから算出した交通密度の各日付の推移を学習し、予測実行時の交通密度と学習データから統計的に交通流を予測する方式を用いる。一方で、突発事象が発生した場合には、渋滞発生の位置や時刻が限定されず、渋滞規模も様々なため前述の統計的な予測方式では上手く予測できない。そこで突発事象発生時の渋滞流は、蓄積データから算出した交通密度を位置や時刻に依存しない形でパターン化して学習し、予測実行時の各地点における交通密度パターンと学習パターンをマッチングして交通流を予測する方式に切り替えることにする。さらに、突発事象が発生した際の交通流について評価を行い、その結果、突発事象発生日において2時間先まで交通流を予測した場合に、実測に近い交通流の予測が可能であることを確認した。
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緒方 陸, 宮﨑 利行, 菊池 恵和, 村野 祐太郎, 菅原 宏明
セッションID: 1M3-GS-10-02
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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渋滞発生の抑制を目的に,リアルタイムの交通速度予測や動的な交通制御を行う必要がある.近年では深層学習手法であるGraph Neural Network (GNN)を用いた例も多く報告されているが,データ規模が大きい場合には,学習時間が長い,メモリ使用量が大きいことが問題となる.そこで,高い精度を目指しつつ,かつ効率的なモデルの学習が重要な課題となる.本稿では,公開されているMETR-LAデータセットとイングランドの道路交通データを用いた交通速度予測において,学習時間を短縮する改良を試みた.モデルにはGNNを用い,隣接行列の初期値を操作的に変化させた場合の学習時間と予測精度の感度分析を行い,データにより最適な初期値が異なるという知見を得た.またイングランドのデータにおいては,本稿で提案した方法は既往手法と比較して精度を犠牲にすることなく,学習時間を短縮する結果が得られた.
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岡野 謙悟, 鈴木 貴大, 中村 龍馬, 松平 正樹
セッションID: 1M3-GS-10-03
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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我々は交通渋滞緩和や交通事故削減に貢献するべく、正確でリアルタイムな道路交通情報を提供することを目的とし、プローブデータを用いた交通流予測方式を研究している。本稿では、2種類の学習データの拡張方式を説明し、交通集中渋滞を対象とした交通流の予測方式において、学習データとは異なる傾向をもった交通流の予測精度の向上について評価結果を報告する。まず、過去の蓄積データから算出した各日付の交通密度の時間推移を学習し、予測時の直近30分間の交通密度と学習データから統計的に数時間先の交通流を予測する方式を用いて検証実験を行った。しかし、学習パターンから逸脱する交通流に対しては、一定の時間帯における渋滞の発生・解消や一定以上の渋滞長の延伸を予測できず、精度に課題を抱えていた。そこで、渋滞の発生・解消時刻の予測精度向上を目的とした交通密度の変化に応じた学習データの時間拡張方式、および渋滞長の予測精度向上を目的とした学習データの時空間拡張方式を開発し、本予測方式に適用した。その結果、過去に学習していない時間帯における渋滞の発生・解消と渋滞長の延伸の予測が可能であることを確認し、精度向上を達成した。
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中村 龍馬, 岡野 謙悟, 鈴木 貴大, 松平 正樹
セッションID: 1M3-GS-10-04
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
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我々は交通渋滞緩和や交通事故削減に貢献するべく、正確でリアルタイムな道路交通情報を提供することを目的とし、プローブデータを用いた交通流予測方式を研究している。本稿では、交通集中渋滞を対象とした交通流を予測する方式と、その際のデータの遅延の対応について説明し、交通集中渋滞が発生した際の交通流について実際のプローブデータを利用した評価結果を報告する。予測方式としては、蓄積データから算出した交通密度の各日付の推移を学習し、予測実行時の直近30分間の交通密度と学習データから統計的に交通流を予測している。しかし予測実行時の交通密度を算出する際に、プローブデータの遅延により、一部地点の交通密度データが予測実行時に取得できない状況が生じて、実際の道路状況に沿った交通密度を正確に算出ができず、交通流の予測がうまく予測できない場合があった。本研究ではプローブデータの遅延に応じて、直近30分間よりも過去の交通流データを使うことで交通密度を算出する方式を検討した。その結果、より実測値に近い交通流の予測が可能になったことを確認した。
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齋藤 一誠, 中村 友昭, 八田 俊之, 藤田 渉, 渡邉 信太郎, 三輪 祥太郎
セッションID: 1M3-GS-10-05
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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生産現場における作業の効率化において,生産設備から収集したデータの自動分析による改善の取組みが盛んに進められている.しかし人の作業では,その動作や順序が多様なため,分析の自動化が難しい.そのため多くの生産現場では目視に頼る作業分析が主流であり,多くの手間と時間を要するという課題がある.そこで本稿ではGaussian Prosess Hiden Semi Markov Model(GP-HSMM)に基づく二重分節解析によって教師なしで分析を行う手法を提案する.このモデルにより,短い時間で行われる局所的行動と,局所的行動の特徴的な出現パターンを抽出することができる.実験では,作業行動を3台のRGB-Dセンサを用いて計測したデータに対して,OpenPoseを用いて動作を計測した.この際,計測誤差を低減させるため,前後のフレームの整合性から候補点を選択する手法を利用した.このデータを解析した結果,繰り返し現れる局所行動と,それらを組み合わせた特徴的なパターンが抽出できることを確認した.
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副島 涼, 田島 遼太郎, 福永 真一, 北西 由武
セッションID: 1M4-GS-10-01
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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【背景】会社経営において、事業目的を達成するために、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営リソースを活用する。目まぐるしく外部環境が変化する中で、適切な経営リソース量と配分を算出することは、経営の意思決定に重要である。医薬品産業では、生命や健康に密接に関連する医薬品を扱うため、適正使用に繋がる情報提供が経営リソースとして必要である。【目的】適切な経営リソース量と配分をシミュレーションすることで、経営層の意思決定を補助し、事業目的の達成を目指した。【手法】各顧客をセグメント化し、セグメントごとの製品シェアを確率分布として扱い、月次データを尤度分布としてベイズ推定で製品シェアの事後確率分布を算出し、リソース量から事業目的を達成できる確率をモンテカルロ法によって区間推定でシミュレーションすることに加え、多変量解析によって効率的な活動を探索した。【結果】適切な経営リソース量と配分をシミュレーションするモデルを構築できた。【考察】本モデルの特性を踏まえると、医薬品産業だけではなく他業界にも実用化可能なフレームワークになり、本モデルが経営領域において確率に基づく意思決定の一助になると考えている。
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赤松 朋哉, 中川 慧
セッションID: 1M4-GS-10-02
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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リスクの定量化およびその評価は金融分野にとっての中心的な課題である.これまで様々なリスク定量化手法が提案されてきたが,特に金融ネットワークの脆弱性の測定は,根本的に重要な課題である.先行研究では,離散曲率が金融ネットワークを特徴付けること,特にネットワークの脆弱性とリッチ曲率が負の相関関係を持つことが示された.一方で,先行研究では距離付き重み無しグラフ上での離散曲率を計算しているが,この設定では本稿で指摘する通り適切に曲率を計算できない.そこで本研究では,最適輸送する段階で先行研究の金融ネットワークを距離無し重み付きグラフとして修正し,指標となる離散曲率を適切な形で提案する.またグラフの距離と重みの,離散曲率への影響を理論的に導出した.数値例で提案した曲率が適切であることを示すとともに,実際の価格データを用いた分析の結果,平常時の曲率値が低くなり,結果としてイベント発生時に曲率がよりシャープに上昇することを確認した.
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三橋 俊介, 服部 俊一, 小野田 崇
セッションID: 1M4-GS-10-03
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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「2023年現在,日本の電力需給が逼迫し,需給バランスの維持が深刻化している.電力需給の逼迫に対して,需要ピーク時の需要抑制への取り組み研究が行われている.関西電力は一般家庭における電力需要を抑えてもらうため,需要ピーク時にクーポンを配布して外出を促進するフィールド実験を行った.この外出促進の実験では,ランダムにクーポンを配布したため節電効果が薄かった.そこで,本研究はSVMを用いて一般家庭における在不在判定を行い,各家庭の節電可能な消費電力(節電ポテンシャル)を推定する方法を提案する.実験により,在不在判定を行った場合とランダムにクーポンを配布した場合の節電ポテンシャルを推定し比較を行った.在不在判定を行った場合の節電ポテンシャルはランダムに配布した場合の節電ポテンシャルと比較して高い効果が確認された.節電ポテンシャルを推定することで,クーポンを配布するなどによる需要抑制策による節電効果を推定できる可能性が確認できた.」
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松原 亮馬, 小野田 崇
セッションID: 1M4-GS-10-04
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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現在、大口需要家への配電線における地絡様相の診断は、専門家が地絡時の電流波形を見て行っており、復旧までに時間を要している。そこで、診断を自動化し、復旧までの時間を削減することが求められている。先行研究では、SVMを用いることで、地絡発生時の電流波形の見た目から5つの地絡様相(ケーブル、ギャップ、碍子損傷・汚損、完全、鳥獣接触)を高精度に診断できる可能性が示されている。一方、先行研究では配電線の負荷を考慮していなく、負荷が入ることで電流波形の見た目が複雑になることが知られている。そこで、本研究では、負荷のある配電線に対しても診断を可能とする特徴量を提案する。実データを用いた実験により、提案した特徴量を用いることで、負荷のあるデータに対しても約90%の正解率で診断できることを確認している。
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木村 雄喜, 杉村 修平, 藤井 啓祐
セッションID: 1M4-GS-10-05
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
会議録・要旨集
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昨今、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、配電網の管理が複雑化している。配電網最適化問題は配電網内に含まれる開閉器の開閉状態の制御により、なるべく電力損失を最小化するよう供給経路を決定する組合せ問題となるが、開閉器の数の増加に伴って指数関数的に組合せは増加する。このような組合せが膨大な数になる問題に対し、従来からメタヒューリスティクス手法が取られてきたが、それらは局所解に陥る可能性があるという問題を抱えている。 近年、このような大域的な探索が困難な問題に対し、量子コンピュータを適用する研究が活発に行われている。その一つとして汎用量子コンピュータを用いたVQEやQAOAなどの変分量子アルゴリズムが注目されている。 変分アルゴリズムは、汎用量子コンピュータの汎用性を利用することで、特に特別な定式化をすることなく高度な組合せ最適化問題をそのまま解くことができ、さまざまな種類の最適化問題を扱うことができる可能性がある。 本稿では、配電網最適化問題への QAOA の適用方法と実際に適用した結果を示す。
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アイトラッキングに基づく分析
福田 亮子, 宮下 ゆかり, 松本 知恵, 祝田 健
セッションID: 1M5-GS-10-01
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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専門性の高い介護職「マジ神」による利用者の状態把握とケアの実践を経験が浅い介護職でも再現できるよう支援する「マジ神AI」構築のため、介護職の情報収集の様相を分析した。日々の記録に基づき判定した認知症の行動・心理症状(BPSD)の発生状況や、食事・排泄・睡眠状況やバイタルデータの経時変化を表示し気づきを促す、プロトタイプ版のマジ神AIモジュールを組み込んだ介護記録システムを用いて利用者の現状把握をする介護職の視線と思考をアイトラッキングとインタビューにより分析した。マジ神はマジ神AIモジュールを活用してBPSDの発生状況から注目すべき時期を同定し、各種データの経時変化から変化の全体像・要因を捉え、日々の様子の記録から具体的変化を把握していた。一方、マジ神でない介護職は日々の様子の記録や申し送り事項から注目すべき時期を探索し、日々の各種データを見比べて変化の要因を分析しており、マジ神AIモジュールを活用していないケースもあった。普段からマジ神AIモジュールを活用している介護職の情報収集の様相はマジ神に類似しており、利用方法の教育によりマジ神同様の情報収集が可能となることが示唆された。
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櫻井 勇輔, 内田 智之, 川本 佳代, 重田 大門, 小崎 和治
セッションID: 1M5-GS-10-02
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/10
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失語症とは,脳梗塞,脳出血,脳外傷,脳腫瘍などが原因で引き起こされる大脳の言語中枢の損傷による後天的な言語障害である. 失語症者の言語機能の維持向上のための検査・助言・指導などは言語聴覚士が行う. 失語症を患っている人(失語症者)の社会復帰を目指し開発されたAndroidアプリに失語症者リハビリテーション支援システム(AphaRehaSys)がある. AphaRehaSysでは,言語聴覚士により作成された,聞く・話す・読むについての課題を通してリハビリテーションを行う. 本稿では,自然言語処理モデルであるBERTを用いて,AphaRehaSysで課す択一問題などを自動作成する手法を提案する.
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