人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第37回 (2023)
選択された号の論文の942件中601~650を表示しています
  • 西尾 駿斗, 武藤 敦子, 島 孔介, 森山 甲一, 松井 藤五郎, 横越 梓, 吉田 江依子, 犬塚 信博
    セッションID: 3M5-GS-10-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    流行語についての研究は、語の定着の過程の分析や、語のジャンルごとの流行の度合いの分析などがあるが、どれも流行の定義を定量的に行っておらず、流行の定着度の分析を行うには十分でない。そこで本論文では、Twitterにおける単語の流行と定着の定義を定量的に行い、定義に基づいた語の流行期間について、機械学習による予測を行った。まず、ある流行語の一定期間内の使用回数に対し閾値を設定し、流行状態とそうでない状態を定義した。次に、ある期間における語の使用回数の推移を用いて、一定期間後に流行状態であるかを複数の機械学習手法を用いて予測のためのモデルを作成した。作成したモデルを用いて予測を行った結果、高い精度で流行状態の予測が可能であることを確認した。最後に、モデルの各特徴量の重要度を数値化し、流行が長期化するための条件について考察を行った。

  • 易 聖舟, 柗上 純一郎, 山本 拓也, 勝水 行義, 山崎 俊彦
    セッションID: 3M5-GS-10-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    プレゼンテーションスキルは現代人にとって欠かすことのできないビジネススキルの1つである。しかし、そのスキルの習得は属人的であり、困難である。この問題を解決すべく、本発表ではオーラルプレゼンテーションとスライドデザインの両面において客観的に評価し、改善のためのフィードバックを行う深層学習システムについて発表する。特にスライドデザインについては、スライドのファイル形式に依存せずに具体的な改善点を示すことのできる新たな機能を実現し、システム上に実装した。

  • 北原 洋一
    セッションID: 3M5-GS-10-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    提案型オンラインデーティングサービス「knew」における、マッチングされた相手に対する5分間ビデオチャットの満足度に関する因果探索について報告する。「knew」は、ユーザーの登録情報や過去の評価に基づいて、サービス提供者が相手を選定・提案する提案型オンラインデーティングサービスである。選定されたペア同士で行われる5分間ビデオチャット後に、相手に対する全体評価や容姿、印象、性格、会話などの満足度や容姿のタイプなどの情報が収集されている。この評価に基づいて、全体満足度が向上するように次回の相手が選定されるため、全体満足度に関する評価メカニズムの把握が重要である。しかし、複雑な関係性を有するため容易ではない。本研究の目的は、ビデオチャットの相手に対する満足度間の因果関係を見出すことである。因果探索手法LiNGAMを用いて、満足度間の因果関係を分析したところ、男女とも容姿や印象のような外面の満足度が高いと、性格や会話、相性のような内面の満足度が高くなり、最終的に全体満足度が高くなるという結果が得られた。

  • 奥村 明俊, 市瀬 規善, 久寿居 大, 石川 開, 鳥澤 健太郎, 大竹 清敬
    セッションID: 3N1-GS-11-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    企業がDXや女性活躍推進などの経営改革を進める際,状況を調査・分析して自社に適した取組みを計画し実行して評価することが重要である.我々は,各企業の経営改革を支援するため,優良事例を学習データとして企業の活動を評価するシステムWISDOM-DXを開発した.WISDOM-DXは,Webデータに基づく質問応答システムを用いて企業活動を自動的に分析・評価する.WISDOM-DXにより,女性活躍推進に関して東京証券取引所上場企業3380社をランキングし,人手による3種類の評価において高く評価された企業に着目しどのように分布するかを検証した.その結果,着目企業の68.1%から82.3%が,WISDOM-DX上位10%と一致した.

  • 佐藤 優輝, 金澤 輝代士
    セッションID: 3N1-GS-11-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    金融市場では近年高頻度データが入手可能になり,更にはトレーダーの意思決定ダイナミクスを個々人に準ずるレベルでトラッキングできる高精度データの分析のニーズが高まっている.本研究では東京証券取引所のミクロデータを用いて,成行注文流の長期相関の起源を明らかにする.成行注文流には長期自己相関があり,予測可能性があることが確立した経験則として知られている.この長期相関は個々人のトレーダーレベルの注文分割行動に立脚するのではないかと言われていたが,定量的な正当化が不十分だった.そこで本研究では東京証券取引所のミクロデータを用いて本仮説を定量的に検証し,トレーダーの注文分割行動によって精緻にモデル化できることを示した.具体的にはトレーダーの分割発注行動をモデル化したLillo-Mike-Farmer (LMF) モデルの定量的な予言が,実データでも定量的に成立することを示した.

  • 中井 雄一郎, 吉田 光男
    セッションID: 3N1-GS-11-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    企業の財務・非財務情報を統合的に公表する手段として、近年、統合報告書を作成する企業が増加傾向にある。企業からの積極的な情報の開示は、企業と利害関係者間の情報の非対称性を逓減する効果が期待できる。その結果、企業価値等に影響を与える事が想定される為、将来的には、大半の企業による作成・公表が予測される。本研究では、日本に於ける東京証券取引所上場企業を対象に、現状での市場別・業種別による統合報告書の作成状況を分析する。喫緊の資金需要が高いと考えられるグロース市場の企業が統合報告書を作成し、情報の非対称性の解消に努め、資金調達を円滑に進めているものと想定される。

  • 原田 貴史, 笹原 和俊
    セッションID: 3N1-GS-11-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    現在の人と人とのコミュニケーションでは、個々人の持つ情報を完全に共有することはできず情報の非対称性が生じる。情報の非対称性がある中で、個々人が意思決定し行動するために、個々人は日常的に「信頼」の仕組みを利用している。近年、情報通信技術の進歩により、流通する情報は飛躍的に増加しているため、今後、情報の非対称性と「信頼」の関係は変化してくことが考えられる。本研究では、情報の非対称性と「信頼」の関係の変化が、個人と集団の最適化問題である集団行動のパフォーマンスに与える影響を、特定の条件下でシミュレーションを用いて試行し、分析した。シミュレーションの結果、試行した条件においては、情報の非対称性がなく「信頼」が完全にある場合よりも、情報の非対称性がある程度ある又は「信頼」がある程度欠如している場合の方が、集団行動のパフォーマンスが高くなる可能性があることが示された。

  • 鳥海 不二夫, 吉田 光男, 榊 剛史, 小林 哲郎
    セッションID: 3N1-GS-11-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    選挙においてどの政党に投票するか,適切に意思決定できることは民主主義の実現にとって重要である.しかしながら,各政党の主義主張を比較し,正しい意思決定を行うのは容易ではない.そのため,近年投票マッチングと呼ばれるサービスが数多く提供されている.これらのサービスでは ,いくつかの質問に答えることで解答者の考えと近い政党を提示してくれる.本研究ではこのような投票マッチングの分析を行った.投票マッチングのデータを利用して有権者の特徴と投票マッチング結果を受けた行動パターンを明らかにした.

  • 浅谷 公威, 門間 卓也, Oki SUMIHIRO, 坂田 一郎
    セッションID: 3N5-GS-11-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    研究者が研究トピックを選択することは、その研究成果や将来のキャリアに影響を与える。科学情報、資金、施設などにおける国家間の格差は縮小しているが、最先端のトピックの研究が特定の地域に集中する分野別の事例が報告されている。研究トピックの先進性は研究戦略の重要な焦点であるものの、研究トピックの先進性を直接測る指標は提案されていない。我々はScopusの7100万件の論文を用いて、論文の参考文献リストの時系列比較から、国家の研究トピックの相対的な進度を定量的に評価した。その結果、欧米諸国やアジアの都市国家とそれ以外の国の間には、研究トピックのタイムラグが長期間に渡り維持され続けることが分かった。さらに、共著者ネットワークにおいて情報の中心にいる研究者の割合が、その国の研究トピックの進度と高い相関があることもわかった。これらの結果は、研究者の人的関係が科学の発展に重要であり続けることを意味しており、国家の科学への投資の失敗や成功の事例に一定の説明を与えるものである。

  • 左野 寛之, 吉田 光男
    セッションID: 3N5-GS-11-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    機械学習に関する論文は指数的に増加しており、SNS上でもarXivなどのプレプリントサーバー上で公開されている学術論文が多くシェアされている。これらの論文は査読前で学術的な質は担保されておらず、SNSの投稿に含まれるタイトルや紹介文から読者のスキルやニーズにあった論文を見つけ出すことは難しい。 本研究では、Twitter上のリツイートとarXivを紐付けた情報を用いて、SNS上の言及に基づいたネットワークを構築し、これにmetapath2vecと呼ばれる手法を用いることで、学術論文の特徴を表すような分散表現を同時に獲得する。従来研究では、共著関係など学術的に閉じたネットワークを対象としているが、SNSユーザーと学術論文が混在するネットワークを利用することで、SNSユーザーの嗜好性を反映した学術論文の分散表現が得られた。また、プレプリントなど被引用数が少ない論文において、引用関係を元にした手法などと比較し、類似する文書の探索やクラスタリングの計算などで良好な結果が得られた。

  • 高橋 茶子, 吉田 光男, 安田 宗樹
    セッションID: 3N5-GS-11-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    本研究では、ソーシャルメディア空間全体における特定のユーザ集団の偏りを測る方法を提案する。 Twitterの1%サンプル・ストリームデータにより取得したユーザ属性を用いてユーザ空間全体を混合ガウスモデルでモデル化する。このモデルにおいてユーザ集団が存在している属性値の空間の確率を計算し、これをユーザ集団の偏り度合いの指標とする。 数値実験において、混合ガウスモデルにより算出された偏り度合いがユーザ空間全体のモデル化に用いたデータにおける偏りをおおむね反映していることから、提案手法がユーザ集団の偏りを定量化する方法として利用できる可能性があることを示す。

  • 前山 皓亮, 風間 一洋, 吉田 光男, 佐藤 翔, 桂井 麻里衣
    セッションID: 3N5-GS-11-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    近年,arXivなどのプレプリントサーバが普及し,学術情報の迅速な情報公開が可能になったために,深層学習の急速な発展や,COVID-19の診断,理療,創薬技術に大きく貢献している.しかし,査読を経ていないために質は玉石混交であることから,重要で信頼できるプレプリントの発見を支援する方法が必要であるが,今まで用いられてきた被引用数は値が増加するまでに年単位の遅延があることが知られており,速報性が要求されるプレプリントには別の指標が必要である.本稿では,被引用数とオルトメトリクスの一つであるTwitterの言及数の関連性と高被引用数のarXivプレプリントの言及数の時系列変化を分析した.さらに,言及数が将来的に被引用数が高くなるプレプリントを言及数を用いて早期発見するために利用できるかについて考察する.

  • 佐久間 洋司, 早原 利香, 山下 和也, 本村 陽一
    セッションID: 3N5-GS-11-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    AI人材の需要が増大し、適性に基づく人材アセスメントや職場とのマッチングへのニーズが高まっている。しかし従来の人材採用は、スキルの自己申告や分野を問わない汎用な性格診断によってのみ行われることが多かった。今回、AI分野にチューニングした応募者の性格や潜在的な能力の推定を行う診断システムについて報告を行う。ベイジアンネットワークの構築とデータ収集・更新ができる開発環境(POSEIDON)を用いてシステムを開発した。システム構築にあたっては、AI人材を採用する企業からアセスメント項目を収集した分析や、データサイエンティスト協会が発表しているスキルセットなどとの比較を通じた検討を行った。また、ベイジアンネットワークを学習するためのユーザからの回答データの収集と分析にあたっては、第3回インダストリアルAIシンポジウムなどで実証実験を行った。回答率を高めるために行った、インタラクティブなUIや診断を擬人化したキャラクタで可視化するなどの行動変容を促進する工夫についても報告する。これらはAI分野に限らず設計・開発可能な内容であり、あらゆる分野における人材アセスメントに応用可能なものである。

  • 坂本 有紀, 内田 貴久, 石黒 浩
    セッションID: 3O1-OS-2c-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は,パーソナライズされた対話システムのためのユーザモデルの推定である.本研究では,意味ネットワークで表現されたユーザモデルを考える.そこで,大規模言語モデル(GPT-3)を用いて,対話からユーザモデルを推定する手法を検討する.対話によって得られた情報を基に,大規模言語モデルをプロンプトにより制御し,ユーザモデルを獲得・更新する.そこでは,大規模言語モデルの出力文からグラフを生成する方法を整備した.これらを統合した対話システムを構築し,ユーザモデル獲得手法の有効性と対話の質について検証を行った.

  • 有本 庸浩, 杉山 弘晃, 成松 宏美, 水上 雅博
    セッションID: 3O1-OS-2c-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    近年、大規模言語モデルによる雑談応答生成の研究が盛んであり、対話履歴中のユーザ情報やインターネット上の外部知識を用いることで、人と長期にわたり雑談するシステムの実現が期待されている。長期の雑談は、対話者間の交流度合いや日々の出来事に応じて多様に変化すると考えられるが、既存研究は収集しやすさから時間経過を仮定して疑似的に作成した対話データや、初対面相当の対話データを活用しており、そのような変化を捉えることが難しい。そこで本研究は初対面の2人が8週間、任意のタイミングでチャットするデータを収集し、長期雑談の全体像と課題を明らかにする取り組みを進めている。本発表では構築したコーパスの概要と予備分析結果を報告する。

  • 成松 宏美, 杉山 弘晃, 水上 雅博, 有本 庸浩
    セッションID: 3O1-OS-2c-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    テキストベースの雑談対話システムの応答性能向上に伴い,対話システムの共感スキルに期待が高まっている.共感スキルに着目した近年の雑談対話システムの研究では,人同士で行われた大量の会話を用いて深層学習モデルを学習する手法が主流であり,具体的にどのような発話がユーザの"共感してくれた"という印象を向上できるかは明確ではない.本研究では,対話システムが共感を行う際に重要とされている,"システム自身を体験可能な他者として把握させる"ことに着目し,対話システムが共感の根拠として,自身の体験を提示する手法を提案する.根拠の伝え方を変えた複数のシステムを構築し,評価を行った結果,システムが自身の体験を根拠に共感するよりも,伝聞体験を根拠とする方が,ユーザーの共感に対する印象が向上することがわかった.

  • 橋川 莉乃, 内田 貴久, 石黒 浩
    セッションID: 3O1-OS-2c-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は、非タスク指向型対話を通じたコミュニケーションロボットの対話デザインを提案することである。思考や感情といった内部状態をロボットが表現することは、円滑なコミュニケーションや親密な関係の構築に役立てられている。一方、内部状態を発話で表現した先行研究において、ユーザがロボットから文面通りの内部状態を感じられない場合があることが指摘されている。本研究ではこの問題を解決するため、伝達を目的としない発話(いわゆる”独り言”)を取り入れた対話ロボットを提案する。心理実験の結果、主観的意見を発話する際には話しかけるよりも独り言の方がロボットの擬人化度合いに効果的であると示された。さらに実験結果を踏まえて、内部状態の表現方法のひとつとして独り言を導入した自律対話アンドロイドを開発し、システムの有効性について検討した。

  • 森脇 恵太, 石垣 龍馬, 杉山 弘晃, 酒造 正樹, 前田 英作
    セッションID: 3O1-OS-2c-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    現代のニューラルネットを使用した文章生成モデルは人間の書いた文章と相違ない自然な文章生成が可能になりつつある.しかしながら,生成文章には事実と異なる事実不整合(factual inconsistency)が含まれることがあり,実用上の課題となっている.複数モデルを組み合わせることで事実不整合の修正を行う研究がなされているが,一方のモデルによる誤りが他方のモデルに伝搬するといった問題が指摘されている.本研究では文章内に事実不整合が含まれるかを判別する検出器と文章内に含まれる事実不整合を書き直す修正器とを利用した共同学習を提案する.ニューラル文章生成モデルの出力を用いて本手法の有効性を検証した.

  • 古志野 瑛元, 内田 貴久, 伴 碧, 酒井 和紀, 吉川 雄一郎, 石黒 浩
    セッションID: 3O5-OS-2d-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    本研究の目的は対話ロボットを用いてグループ内の人間関係の構築を促進することである.人間関係の構築には,互いについて知っている情報量を増やすことが1つの方法である.そこで,本研究では,グループ内のメンバの選好が持つ情報量をもとに情報量の大きい共通選好について言及する対話ロボットが人間関係に及ぼす影響について評価した.同一グループに属する学生を対象としてロボットと対話させる実験を行い,メンバ間の対話意欲と類似性について検証を行った.本発表では,提案システムの有効性について議論する.

  • 酒井 和紀, 光田 航, Yoshikawa YUICHIRO, 東中 竜一郎, 港 隆史, 石黒 浩
    セッションID: 3O5-OS-2d-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    議論は合意に至るための過程であり,この能力をロボットに持たせることで,よりよい対話サービスを提供できることが期待される.これまで,議論構造を利用して2つの対立する意見について2台ロボットによる議論の様子をユーザに提示するシステムが開発されている.しかし,ユーザの意見に応じて意見を変容させるための対話展開方法は明らかではない.また,ロボットの見かけの違いによる効果は明らかではない.そこで本研究では,2台のロボットを用いてユーザの意見に応じてその後の議論展開を変化させられる議論システムの開発を行う.このシステムを用いて議論展開の違いと見かけの違いによる効果を検証するため,展示会でのフィールド実験を約1月間行った.約8000人の体験者の内,最後まで体験した2925人のデータを分析した結果,ユーザが選んだ意見に同調することで意見に対するユーザの理解度が高まることがわかった.またユーザの意見に反論するように議論を展開する場合,人に酷似したロボットよりも小型の人型ロボットの方が意見の確信を強めることがわかった.

  • 野村 竜也
    セッションID: 3O5-OS-2d-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、これまでロボットに性別特性を付与することへの期待とその対話への影響、および性別付与ロボットの存在が引き起こす社会的問題について検討を行ってきた。本発表ではこれまでの成果の概略を示し、対話知能としてのロボットと人が共生する上で必要な条件について議論する。

  • AI・ロボットの責任明確化と社会受容のためのシステム
    長島 光一
    セッションID: 3O5-OS-2d-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    AI・ロボットをめぐる事故が発生した場合、どのように紛争解決をするのかを考える必要がある。本報告では、医療での活用場面を例に、その責任の所在と社会的な受容性を満たすための総合的な法政策とその実現性を明らかにする。結論としては、AI・ロボット利用の選択の機会を与えること、事業者等のリスクを回避すること、被害救済制度を設けることなど、多角的な対応策を実現する必要がある。

  • 中川 裕志
    セッションID: 3O5-OS-2d-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    自然人の代理として行動するAIエージェントや自律型アバターは、インターネット世界の複雑化やメタバースの発展により、個人と社会の双方にとって重要なAI応用分野である。しかし、安定した信頼性の高い、言い換えればトラストできるAIエージェントや自律型アバターを実現するためには、多くの問題がある。本発表では、個人ID認証に始まるトラストの確立と、乗っ取りやなりすましに技術的だけでなく法制度や社会制度でどう対処していくかを議論する。さらに個人の死後に残されるAIエージェントや自律型アバターに関する問題を明らかにし、社会的合意によって採用可能な対策を模索する。

  • SNSカウンセリングにおける共感的感情同期の検討
    中山 真孝, 畑中 千紘, 鈴木 優佳, 粉川 尚枝, DE Almeida Igor, 内田 由紀子, 杉原 保史, 河合 俊雄
    セッションID: 3Q1-OS-19a-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    これまでの研究では、感情は個人の内的な状態であるという前提で理論や推定技術が構築・開発されている。しかし、「相手が嬉しいと自分も嬉しい」といった共感や、場の空気感もまた感情の重要な側面であり、個人間の相互作用の中で動的に創発する場の状態としても感情を定義することが可能である。本研究では、このような「場の感情」を定式化し測定することを目的とした。具体的には、テキストベースのチャット形式で行われるSNSカウンセリングという二者間相互作用の中での感情の変化を分析し、共感的感情同期の定式化・測定を行なった。のべ2259セッション・17913メッセージのデータを、感情語辞書と混合分布モデルを用いて個人レベルのメッセージごとの感情価(ネガティブかどうか)を推定した後、各メッセージの感情価がその1つ前の自己及び相手のメッセージの感情価から予測可能か回帰分析を行なった。その結果、各メッセージの感情価は1つ前の自己の感情価から正に予測され、内的な状態としての感情の安定性を示すとともに、1つ前の相手の感情価からも正に予測され共感的感情同期が示された。さらにカウンセラーの方が、安定性・共感性ともに高かった。

  • 原田 誠一, 佐久間 拓人, 加藤 昇平
    セッションID: 3Q1-OS-19a-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    本研究では,感情モデリングのデータ駆動アプローチとして,人間が感情表出したセンサデータから,感情を意味する潜在表現を獲得することを目指す.特に人間が相手の音声や顔表情から共通の感情を認識することに着目し,深層表現学習手法により,マルチモダリティの感情表出データを共通の潜在表現(感情空間)に埋め込むことで,人間の感情を表現する空間を獲得する.提案手法では,教師あり対照学習により,モダリティによらず感情が似ているデータ対を近くへ,似ていない対を遠くへ埋め込むように学習する.人間の感情は特定のラベルに分類されず,複雑に混在していると考えられる.そこで,一つのデータに対して複数の評定者の回答を用いて評定分布を考え,これをソフトラベルと扱い,ラベル間類似度を用いて教師あり対照学習の損失関数を拡張する.音声と顔画像を用いた実験で,モダリティが欠損した際の感情認識の頑健性を評価し,提案手法によりモダリティに共通した感情空間が低次元で得られることを確認する.また,感情空間を可視化し,表出者の性別など感情でない情報の分布を観察し,提案手法により人間の感情の意味的関係性を表現することの妥当性を評価する.

  • 田中 智也, バブ シャリフ, 坂戸 達陽, 中野 有紀子
    セッションID: 3Q1-OS-19a-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    カウンセリング手法の一種に動機付け面接(MI:Motivational Interviewing)という手法がある.MIでは,クライアント(CL)自身の行動変容の理由を引き出すことを目的としている.本研究ではこのMIに注目した. MIでは,CLの前向きな発言をChange Talk(CT)と定義している.先行研究により,CTが多いCLは,CTが少ないCLよりも行動変容への動機づけが高いと示された.他にも,CLの発話ラベルの分類をCTとNot CTの2クラス分類問題として定義し,言語と顔情報のマルチモーダルモデルを用いたCTの検出モデルの研究が行われている.その中で,言語と顔情報のコンテキストを考慮したモデルが有効であることが示された.しかし言語,顔,音声情報を用いたCTの検出研究は行われていない.そこで本研究では,音声情報を追加したCT検出マルチモーダルモデルを提案する. 実験の結果,音声情報を追加したことによる性能の大幅な向上は見られなかったが,音声情報に限りコンテキストを考慮しない方が分類に有効であると分かった.また音声情報に関しては,発話長による重み付けが有効であることも分かった.

  • 林 貴斗, MAWALIM Candy Olivia, 石井 亮, 森川 輝, 深山 篤, 中村 高雄, 岡田 将吾
    セッションID: 3Q1-OS-19a-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    ラポールは,他者との調和した関係であり,話者間の高いラポールは社会的相互作用の質を向上させる.そこで,我々はラポール推定をランク学習として定式化し,会話中のマルチモーダル情報から推定されたラポールの程度に基づいて会話相手をランキングするモデルを提案する.このモデルは,オンライン語学レッスンや音声チャットを使用するゲームにおいて,ユーザーが過去にコミュニケーションした人物の集合から,ラポールが高い相手(教師,プレイヤー)を選び,ユーザーと再マッチングさせることを可能にする.会話相手のランク推定のために、ラポール評価を直接予測する回帰モデルを用いることができる.しかし,ラポールは主観評価であるため,回答スタイルや積極性効果などの知覚者効果の個人差によるバイアスが介入する可能性がある.一方,提案モデルは,同じユーザーから報告されたラポール評価に基づく2人の会話相手間の順序を学習するPreference Learningにより,知覚者効果の問題を回避できる.ランキング評価指標を用いて,提案モデルと回帰モデルを比較した結果,提案モデルがこのタスクにより適した手法であることが示された.

  • 大庭 知也, 黒木 春樹, マワリム ケンディ オリビア, 岡田 将吾
    セッションID: 3Q1-OS-19a-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
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    我々は,VR体験型の人型エージェントシステムを構築し,就職面接対話データコーパスを収集した. このデータコーパスには,第三者の専門家が採点した面接スキルのスコアと、被面接者が記入した自己効力感のアノテーションが,質問-回答ごとに含まれている. また,音響・生体信号・視線・言語などの様々なマルチモーダルデータも含まれている. 本研究では,就職活動面接訓練を自動で行うためのフィードバックシステムを開発し,そのフィードバックの影響について分析を実施した. フィードバックシステムには音響・言語特徴を利用した機械学習モデルを利用している. 対照群では,本を用いたフィードバックを実施した. 本と提案システムの効果を比較した結果,本と比較したときに,提案システムによるフィードバックが自身を過大評価する傾向のある群に対して,自信を抑制できる可能性が示唆された.

  • 稲邑 哲也, 髙橋 七海, 永田 広平
    セッションID: 3Q5-OS-19b-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    自己効力感は心理学の用語で,「将来,自分はこの行動を実行できる」と確信している状態を認知する感覚と定義されている.AIやロボットによるアシストシステムが介護支援などを行う際,対象タスクの難易度を個人の状態に応じて調整することで自己効力感を向上させることが望まれる.本稿では,VR環境におけるけん玉タスクを例題とし,個人のスキルに会わせた難易度調整を行うことで,自己効力感の向上に資する難易度調整法を考察する.実験結果から,自己効力感の向上のみを考慮して難易度を下げる方策は妥当ではなく,過去の想起や将来の予期にポジティブな影響を残すように難易度を高めることも求められることが示唆された.

  • 吉岡 佑, 馮 晨, 菅谷 みどり
    セッションID: 3Q5-OS-19b-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    覚醒度は日常生活のさまざまな状況において作業効率とも関係があると言われている.生理的覚醒と作業効率の間には逆U字関係があり,過度な低下のみならず、過度な上昇も作業効率の低下を招くということである.本研究では,「覚醒度を中程度に維持するのは難しいタスクをトレーニングとして行わせることで,自然に覚醒度を中程度に制御する能力を身につける」という仮説を立て,トレーニングに用いるための「覚醒度制御用バイオフィードバックゲーム(BFG:BioFeedbackGame)」と,その評価のための「視覚的バイオフィードバック(VBF:VisualBioFeedback)評価システム」を設計した.その結果、BFGのプレイ前後では覚醒度が緩やかに変化していた.これは,本研究で提案した覚醒度制御用BFGをプレイすることによって,覚醒度を中程度に制御する能力が向上していることを示唆している.

  • 清水 友貴, 高橋 英之, 伴 碧, 石黒 浩, 石塚 裕己
    セッションID: 3Q5-OS-19b-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    冒険心を持続させることは、人生の機会の可能性を向上させるために重要である。本研究では、個人の冒険心を高める感情状態を醸成することを目的として、感情喚起を促すウェアラブル触覚提示デバイスを提案する。そして、デバイスが発生する触覚リズムの種類によって、ユーザーの感情状態がどの程度影響されるかを調査した。その結果、提案デバイスによる触覚の提示は、一貫して感情価を変化させることはなかったが、覚醒度は触覚提示リズムによって変化することがわかった。さらに、「楽観的な態度」や「気楽さ」といった冒険的な態度に関連する認知状態を高めるリズムパターンの存在が示唆される結果が得られた。今回の結果は、リズムを伴った触覚の提示が、人間の感情を、冒険を促すように変化させることができる可能性を示唆している。

  • 佐藤 幹晃, 寺田 和憲, ジョナサン グラッチ
    セッションID: 3Q5-OS-19b-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    Win-Winな交渉をするためには,事前にコミュニケーションすることで相手について(特に相手の選好やリミット)について学ぶことが重要である.人-人の交渉において,感情表現は偽りがなく,信頼できる信号だと考えられているが,感情表現により選好やリミットを符号化して伝えることが人-AIエージェントの交渉結果にどのような影響を与えるかは未知であった.そこで本研究では,交渉前のコミュニケーションにおいて,感情表現からAIエージェントの選好を学習することが,Win-Winな交渉結果に寄与するか検討した.参加者(n=147)はAIエージェントと複数論点最後通牒ゲームを行った.参加者は,交渉内容を提案する前に,事前に1フェーズまたは2フェーズ,AIとコミュニケーションをした.その結果,選好学習と選好とリミットの同時推論を行う2フェーズを経験した参加者は,選好学習の1フェーズのみの参加者に比べてよりWin-Winな交渉結果となることが示された.この結果は,事前コミュニケーションにおいて,選好を符号化した非言語信号を交換することが,交渉において人間とAIが協力するために有効であることを示唆している.

  • 野田 和弥, 寺田 和憲, セルス ドゥメル
    セッションID: 3Q5-OS-19b-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    近年,ロボットやバーチャルAIエージェントに感情表出機能が搭載され,人と社会的な関係を築き始めている.しかし,道具的性格の強い産業用ロボットに感情を取り入れることの意義や効果については十分に理解されていない.本研究では,ロボットが人をアシストする状況で,ロボットの表出する感情が人の意思決定にどのような影響を与えるか,また感情表出が,言語表現による情報提示とどのように相互作用をするかを調査した.実験参加者は,実験室でアームロボットとデザートサバイバルタスクを行った.参加者はLCDに表示した目による感情表出の有無,音声によるアイテムの説明の有無によって構成される4条件のうちいずれかに参加した.本発表では実験の結果について報告する.

  • 山本 泰智
    セッションID: 3R1-GS-3-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    生命科学分野で興味のあるオントロジーを検索するサービスとして,BioPortalやOntology Lookup Service,Ontobeeが広く使われている.しかし,著者が新規にオントロジーとそれを利用するRDFデータを構築するために利用したところ,これらのサービスに新たに追加すると望ましい機能があった.それは,所望のクラスが得られた場合に,当該クラスと共によく利用されるプロパティを簡単に見つけられる機能である.また,逆向きの検索,つまり,プロパティが得られた場合に,関連するクラスを見つける機能も望まれる. そこで,これらの機能を持つ,新たなオントロジー検索サービスを提案する.著者はこれまで,与えられたRDFデータセットで利用されているクラスやプロパティの関係を取得するツールTriple Data Profilerを開発してきた.そこで,本ツールで取得したデータに対して適切な検索を行うことで実現できると想定し,実際に複数のデータセットに対して検索を試みた.これまで得られた結果に基づき,データセットの追加や使いやすいインターフェースの開発を進める予定である.

  • 西尾 俊紀, 毛利 考佑, 松原 行宏, 岡本 勝, 田中 昂文
    セッションID: 3R1-GS-3-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    昨今,デジタル教科書システムや様々な演習支援システムが教育機関に導入され,教育・学習改善の為にログを収集・分析する研究が行われてきた.また,概念モデリングの講義において,理解度の差が生じる事を防ぐためにグループワークを演習に取り入れる研究が行われており,学習者の理解度に基づいた効果的なペアリング手法が提案されてきた.従来のペアリング手法に関する研究では,演習の成果物や教科書の閲覧状況といった学習行動のログ及び対話についての分析や調査が行われ,理解が出来ている学習者でも自信のなさが原因で相手の間違った意見に流されてしまう事が問題点として挙げられた.そこで,本研究では,学習者の理解状況と議論の状況に基づく第三者の意見を議論に取り入れることで,成果物の改悪を防止し正しく修正する為の支援を行うチャットボットシステムを提案する.

  • 非専門家向けの協働ロボット組み立てマニュアルを例題として
    久保 里紗, 平岡 あおい, 松本 健汰, 甲斐 雄大, 山口 知彦, 笹嶋 宗彦
    セッションID: 3R1-GS-3-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    筆者らは協働ロボットの組み立てコストを下げるために,現場で協働ロボットを利用するユーザが,タブレット型の電子マニュアルを参照して自力で協働ロボットを組み立てられる仕組みの実現を目指している.この仕組みを実現するためには,作業の妨げにならないような電子マニュアルのインタフェースが必要である.非専門家を被験者として,協働ロボットを電子マニュアルと専門家による遠隔サポートによって組み立てる実験を数回行った結果,電子マニュアルのインタフェースが原因で起きた組み立て作業の失敗がいくつか観察された.例えば,同じような作業を繰り返して行わなければならない作業で被験者がうっかり電子マニュアルを読み飛ばしてしまう失敗があった.本発表では,これらの失敗とインタフェースの問題点を整理し,改良の方針について述べる.

  • 前原 太陽, 竹中 要一
    セッションID: 3R1-GS-3-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    近年、単語をベクトルで表す「分散表現」を利用することでコンピュータが言語の意味を扱いやすくなった。しかし、多義語については語義曖昧性解消という課題が残っている。語義曖昧性解消とは複数の語義をもつ多義語において、文中でどの語義として利用されているかを判別することであり、コンピュータが言語の意味を扱うために重要なタスクである。本研究では、日本語の語義曖昧性解消を目的として、異なる語義のクラスタ間分散を大きくし、クラスタ内では分散が小さくなるように単語の分散表現を生成する方法を提案する。提案するモデルは分散表現の生成時に、従来の入力に加え、分散表現を作成したい多義語を含む段落の前後の段落を入力するモデルである。語義曖昧性解消の対象とした単語の分散表現を従来の手法と提案手法によって生成し、語義数を岩波国語辞典に掲載されている語義数でクラスタ数を指定した階層型クラスタリングを行った。2つの分散表現のクラスタ間分散とクラスタ内の値を比較したところ、提案手法による分散表現の方が優れた値を示した。

  • 非専門家による協働ロボット導入作業への適用事例と分析
    平岡 あおい, 久保 里紗, 松本 健汰, 甲斐 雄大, 山口 知彦, 笹嶋 宗彦
    セッションID: 3R1-GS-3-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    筆者らは協働ロボットの導入コストを下げるため,非専門家(ロボット利用者)が自力でロボットの導入作業を行えるような,タブレット型の電子マニュアルを研究している.こうしたマニュアルの作成には手間がかかるため,協働ロボットを普及させるためには,知識エンジニアが個別のロボットごとにマニュアルを作り続けていくのではなく,専門家(ロボット販売メーカー)自身が非専門家向けマニュアルを作れるような方法論が必要である.本研究では,非専門家向けマニュアルの作成方法論の確立を目指し,協働ロボットの導入マニュアルをモチーフとして,非専門家向けマニュアルに必要な要素について基礎的検討を行った.非専門家を被験者として,我々が試作した非専門家向けマニュアルを使用して協働ロボットを実際に組み立てる評価実験を数回行い,マニュアルの変更によって作業の成功率がどのように変わったかを比較,考察した.例えば,誤差を数ミリ以内に収めることが要求される協働ロボットのティーチング手順のマニュアル作成から,作業の成功を直接表現するパラメータとそれにかかわる作業については,マニュアルで多角的に説明すべきであるという知見を得た.

  • 桜岡 良樹, 有村 柊一, 甲野 佑, 高橋 達二
    セッションID: 3R5-GS-2-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    対人型のゲーム AI の分野では今でも木探索の手法が使われており,それを深層強化学習と組み合わせた AlphaZero が優れた成績を有している.一方で,単純な強さを追い求めるだけではなく対戦相手に合わせた難易度で対戦できる人工知能も,現実のサービスにおいては重要な研究であると考えられる. その様な難易度調整において最も重要なのは,相手に対して常に任意の勝率になるような戦い方であり,自然な目的勝率水準の達成を目指した AI が必要になる.その様な合目的的探索を行うアルゴリズムとして Risk-sensitive Satisficing (RS) が存在する. 本研究では AlphaZero の評価関数をPUCT から RS に変更した AlphaZeRS を提案した.RS は目的水準への素早い探索と発見を特徴としているため,既存手法と比べてノード展開数も少なくて済む可能性がある.そこで二人対戦ゲームでのシミュレーションを通してAlphaZeRS の強さの異なる相手への目的勝率水準の達成やノード展開の節約の観点から検証,考察を行った.

  • 伊東 将吾, 水野 桜, 坪谷 朱音, 高橋 達二, 甲野 佑
    セッションID: 3R5-GS-2-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    広告配信やレコメンドシステムの選定アルゴリズムは,Web サービスには不可欠な存在となっている.人々の趣味嗜好は流動的であり,アルゴリズムにおいては非定常環境下での追従性が重要になってくる.そこで我々は最適化ではなく目的達成を重視する,人間の意思決定傾向に着目した.このような目的志向型の探索を行うエージェントは,環境の変化ではなく目的の達成度に応じた探索を行うため,環境変化に対して頑健で,柔軟かつ追従性の高い意思決定が期待できる.目的志向型の意思決定を取り入れたメタ方策としてRisk-sensitive Satisficing (RS) が考案されている.先行研究では非定常環境下での追従性に優れていた.しかし文脈付きバンディット問題における非定常環境下でも追従性が保たれているかは未検証であった.本研究では RS を近似関数に拡張した Regional Linear Risk-sensitive Satisficing (RegLinRS) にも忘却という概念を導入することにより,時間経過とともに変化する非定常な報酬環境下での文脈付きバンディット問題への追従性を検証し,その有用性を示す.

  • 石倉 圭悟, 久米 淳, 高橋 達二, 甲野 佑
    セッションID: 3R5-GS-2-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    人間は目的水準を徐々に更新することによって高い目標の達成を試みる.そして目的水準に対する達成への試行錯誤は非常に素早い.それにより効率的で段階的に手順の最適化を行う事ができる.後者の試行錯誤能力は先行研究から強化学習の文脈で Risk-sensitive Satisficing (RS) なるアルゴリズムが存在する.一方で前者と組み合わせた枠組みでの段階的な目的水準の更新について議論が欠けていた.目的を持つ利点とはその設定に事前知識を使える事だと思われる.動物であれば消費カロリーを最低基準として餌を探すことや,産業応用では業務コストや投資家向けの数値目標に対応する.それが達成されれば目標を上方,達成不可能となれば下方に目標を修正していく.また他エージェントが良い成績記録を出したなどから,伝聞情報に基づく目的の変更も可能であり非常に柔軟である.本研究では合目的探索である RS と目的水準の段階的修正についてバンディット問題シミュレーションを通して検証を行う.それにより事前知識や身体構造に基づいた事前分布に相当する初期目的水準を持つことで効率よく行動を最適化する自然な形式を提案する.

  • 水野 桜, 伊東 将吾, 坪谷 朱音, 高橋 達二, 甲野 佑
    セッションID: 3R5-GS-2-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    強化学習は実世界のノイズに弱く,人工環境と現実環境のギャップに適応するのが困難である.この問題は運動制御課題で有名であり,レコメンドシステムなどに用いられる文脈付きバンディット問題でも顕著に現れる. 文脈付きバンディット問題では状態の特徴で線形近似する必要があるが,人工データで優れていても,ノイズの多い実世界データには有用とは言い切れないアルゴリズムが多々ある. 人間であれば複雑な現実環境で動的に,かつ限られたデータサンプリング下で適応するため,最適化ではなくある目的水準への到達を重視した試行錯誤を行う. このような人間の認知傾向を取り入れた目的志向型アルゴリズムが Risk-sensitive Satisficing (RS) である. 文脈付きバンディット問題において RS は人工データのみならず実世界データでも高い成績を有することが示唆されていたが,実世界データのフィッティングではある種の事前分布に対する採択荷重率をパラメータとして持つ必要があった. 本研究では採択荷重率を動的に決めるメタアルゴリズムを導入し,より広範のデータに素早く柔軟に対応することが可能か検証を行った.

  • 有村 柊一, 高橋 達二, 甲野 祐
    セッションID: 3R5-GS-2-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    人間は目標である希求水準を定めることで探索と知識利用のバランスをとり,目標を満たす行動系列を効率的に学習できる.この合目的解を高速に探索できる意思決定傾向を,強化学習での探索手法として応用したのが Risk-sensitive Satisficing (RS) である. しかし RS は状態行動系列を上手く扱うことができず,強化学習全般への適応が完全とは言えない.その理由は RS で参照する行動の試行度合い(信頼度)を系列や方策全体へ拡張する方法が不明であったためである.それに対し系列からの信頼度の学習を可能にした手法に, 深層強化学習で用いられる経験記憶を利用し現在状態を照合し,過去の経験から未来を考慮した信頼度を動的に計算するものが提案されている. この手法は非定常環境における追従性を獲得しており, 既存手法を上回ることが期待されている. 一方でその性能は限られたタスクのみで検証されているもので, 広く強化学習タスクにおいて有効かどうかはわかっていない. 今回我々は未来考慮型信頼度を様々な強化学習タスクで検証・考察することによって, 強化学習全般への適応を目指す.

  • 益子 怜, 越仲 孝文
    セッションID: 3T1-GS-6-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    宿泊施設予約サイトのユーザにとって,以前に宿泊施設を利用した顧客のレビューとその施設からの応答は重要な判断材料である. 一方で, 施設側が一つ一つのレビューに対して応答をすることは大きな負担である. そのため, 応答のサポートを行うシステムが期待されている. しかしこの種のレビューの多くはポジティブな内容となっており, ネガティブなレビュー(クレーム等)に対する応答の生成は機械学習によるアプローチでは困難となる. 本研究では, 感情付与を用いた応答制御を行うことにより, ネガティブなレビューに対して適切な応答生成を試みる. GPT-2によるsequence-to-sequenceモデルにBERTによる感情分類モデルを組み合わせたシステムを構築し, 楽天トラベルのレビューデータでその評価を行う. 客観評価により, 人間による応答に近い応答ができていること, および感情が正しく付与されていることを示す. また主観評価を通して, 感情を考慮したモデルの方がネガティブなレビューに適合した応答を生成できることを示す.

  • 堀尾 海斗, 村田 栄樹, 王 昊, 井手 竜也, 河原 大輔, 山﨑 天, 新里 顕大, 中町 礼文, 李 聖哲, 佐藤 敏紀
    セッションID: 3T1-GS-6-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    大規模基盤モデルは,少数の例をプロンプトとして入力に与えるFew-Shot学習によって様々なタスクに対応できる.Few-Shot学習の精度をさらに向上させるための手法として,思考の過程をステップに分けて与えるChain-of-Thought (CoT)プロンプトが提案されている.CoTの有効性は,論理的な推論を必要とするタスクに関する英語のデータセットで示されているが,日本語では検証されていない.本研究では日本語の基盤モデルであるHyperCLOVAを用いて,CoTの日本語における有効性を検証する.まず,算数,常識推論,記号推論の3つのタスクにおいて日本語データセットを構築する.次に,4種類のモデルサイズのHyperCLOVAを用いた検証実験を行った結果,CoTプロンプトは通常のプロンプトより精度が高く,またCoTプロンプトの性能はモデルサイズと相関があることが明らかになった.

  • 宇田 陽斗, 松本 和幸, 吉田 稔, 北 研二
    セッションID: 3T1-GS-6-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    昨今では,SNSを活用することで多種多様なテキストデータの収集が容易となった.しかし,SNS上のテキストデータには省略表現や口語表現などの短い文により,ラベル付けが難しいことや,短期間で大量のデータ収集が難しいことなどの問題点を持つ.これを解決するために機械学習向けの大規模かつ高品質なラベル付きのテキストデータを効率よく準備する手法として,データ拡張が有効である.本研究では,日本語テキストにデータ拡張を行うことにより,感情分類の学習精度の向上を目指す.データ拡張の手法としてEDAを用いた.EDAのテキスト操作に様々なモデルを用いることで,データ拡張の拡張幅を大きくした.また,意味的類似度とテキストの変化度によってデータ拡張で生成された拡張テキストを評価した.そして,閾値を決めることで学習に最適なデータを選んだ.データセットには,WRIMEコーパスを用いてることでラベルの信頼性を確保した.本発表では,データ拡張を用いた感情分類の学習精度の結果について報告する.

  • 大平 盛斗, 白松 俊
    セッションID: 3T1-GS-6-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    因果関係知識は、議論のポイントや参加者の意見を理解できるファシリテーターエージェントを開発するために必要である。しかし、Wikidataなどのナレッジグラフに含まれている因果関係知識だけでは不十分である。そこで本研究では、原因抽出の手法として、Wikidataの因果関係知識を用いてGPT-3再学習用の訓練データの拡張を試みてきた。その結果、従来手法より精度が向上することを確認していた。本稿では、単なるデータ拡張ではなく多段階の再学習の方が精度が向上するという仮説を立て、実験により検証した。その結果、単なるデータ拡張と比べ、多段階の再学習をした方が抽出精度が向上した。さらに、抽出された原因が社会一般に広く知られているかどうかを判定する尺度である「一般度」を設計し、社会一般に広く知られている因果関係の「一般度」が高いという傾向を確認した。

  • 宮下 佳也, 綱川 隆司
    セッションID: 3T1-GS-6-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    生活環境に影響を与えるような概念の創出は, イノベーションが求められる企業にとって重要な課題である. 心理学の分野において, 既存の概念の結合により創発的な概念が生じることは概念合成と呼ばれ, しばしば名詞の組み合わせを言語で解釈する課題として行われる. 一方, 視覚情報は対象を解釈する上で役に立つため, 未知の概念に対する視覚表現の生成は重要な課題である. 本研究では, 人間の創造的な思考の過程で重要とされている連想に着目して概念を結合する過程に連想を組み込むことで概念合成を実現し, その言語的な解釈から画像を生成する. 実験では, 提案手法の出力の創造性を人手で評価し, 提案手法の有効性を確認する.

  • 細井 太智, FISHER Bob, 日置 尋久
    セッションID: 3T5-GS-7-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    近年,画像認識技術が高度に発達しており,スポーツにも活用されている.本研究はさまざまな競技で,より簡単にスポーツの動作を解析できるようにすることを目的として,今回はとくにスポーツ用具を扱う競技としてテニスに着目し,1台のカメラで単視点から撮影された動画において,ラケットの先端位置をキーポイントとして推定する手法を開発した.本研究では提案するネットワークをRTD3Dと呼ぶ.提案手法では,3D Convolutionに基づいた深層学習モデルを構築して,動画中の連続した数フレームを入力し,キーポイントの推定結果としてテニスラケット先端位置に強いピークを示すConfidence mapを出力するように学習を行った.また推定精度を向上させることを目的として,推論時に画像に施すデータ前処理やモデルの出力に対するデータ後処理についても提案する.結果として,提案したRTD3Dと細井らの手法とをサーブのシーンに関する実験によって比較したところ,提案手法が推定精度において細井らの手法を大幅に上回る結果が得られた.またデータ前処理およびデータ後処理手法は推定精度をさらに高める効果を発揮することが分かった.

  • 森川 靖仁, 花沢 明俊
    セッションID: 3T5-GS-7-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    会議録・要旨集 フリー

    近年CubeSatをはじめとする超小型人工衛星が様々な機関で開発されている。超小型人工衛星は通信容量および計算処理のリソースが限られているため、撮影した衛星画像の送受信には画像圧縮を省計算リソースで行う必要がある。本研究では、超小型人工衛星に搭載可能な省計算リソースの畳み込みオートエンコーダの設計について、ダウンサンプリングの手法を変えて復元精度の比較を行った。プーリング層を搭載しているモデル、プーリング層の代わりにストライド幅の広い畳み込み層を用いたモデル、ストライド幅の広い畳み込み層のみを用いたモデルの3つについて、圧縮前後の画像に対してSSIM、PSNRでの評価を行った。その結果、プーリング層の代わりにストライド幅の広い畳み込み層を用いることによって復元精度が向上し、加えて画像のエッジがより再現されることが確かめられた。

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