理学療法 - 臨床・研究・教育
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15 巻, 1 号
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講 座
  • 望月 久
    原稿種別: 講 座
    2008 年 15 巻 1 号 p. 2-8
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    本稿では,バランス能力の測定法としての直立検査について,筆者の考えを述べた。バランスを保つには,安定性限界とよばれる機能的な支持基底面内に体重心を収めることが必要になる。直立検査では,足位を変えることで支持基底面の大きさを変化させて,立位保持の可不可や立位保持時間を測定する。支持基底面が小さくなるにつれ安定性限界は減少し,重心動揺は増加する。立位を保てる限界の足位では安定性限界と重心動揺の大きさはほぼ等しくなり,重心動揺の大きさが安定性限界を上回れば立位姿勢を保持できない。直立検査は静的バランス能力,安定性限界は動的なバランス能力の評価指標とも位置づけられるので,立位を保てる限界の足位は静的バランス能力と動的バランス能力の接点に相当する。直立検査の結果と歩行能力レベルには強い関連性があるが,安定性限界と重心動揺の挙動から考えると,直立検査には動的なバランス能力の要素も含まれており,このことが歩行能力との強い関係に関連すると考えられる。
  • 伊藤 俊一
    原稿種別: 講 座
    2008 年 15 巻 1 号 p. 9-20
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
研究と報告
  • 小沼 佳代, 田口 孝行, 相馬 正之
    原稿種別: 研究と報告
    2008 年 15 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    障害物を回避する際の準備時期を歩幅と歩行速度の変化から特定できるか否か,また,障害物回避のために歩幅と歩行速度にどのような変化が出現するかについて明らかにすることを目的とした。健常大学生女性15名を対象とし,2種類の障害物(高さ20cm×幅10cm,高さ4cm×幅12cm)を越える際の歩幅と歩行速度を測定した。歩幅の比較では,障害物前1-2歩間と障害物前5-6歩間の歩幅の間に有意な差が認められた(p<0.05)。また,歩行速度の比較より,障害物前4歩の歩行速度が,歩行計測開始直後6歩までの歩行速度より有意に延長していた(p<0.05)。これらの結果より,障害物回避において,歩幅と歩行速度は障害物4-5歩間で変化することが明らかとなった。したがって,スムーズに障害物を回避するような歩行を獲得させるためには,障害物直前の回避方法の練習のみならず,障害物前の歩幅や,歩行速度の変化に注意を払った練習が必要であることが考えられた。
  • ―当施設の紹介を兼ねて―
    合志 俊雄
    原稿種別: 研究と報告
    2008 年 15 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    介護保険の現場で働く多くのスタッフは,様々な問題に直面しており,さらに,2006年4月の介護保険改定においては,新たな問題に悩まされていると思われる。当施設においても同様に,少ない人数でありながら,求められる事は多く,できる事は限られているなどの問題に頭を悩ませてきた。そのなかで,少ない人数でありながら,入所,通所,訪問,居宅介護支援事業所などと多くの部門との関わりを持つ現場での体制作りをしてきた。介護老人保健施設(以下:老健)でのリハビリテーション部門での体制と役割について,当施設の紹介を兼ねて述べていきたい。老健では,色々な方法や体制などがあり,その中の一例として参考にして欲しいと思う。
  • ―関節運動学を考慮したアプローチ―
    小林 薫, 佐藤 仁, 吉井 啓敏, 伊得 貴之, 坂本 千奈津, 岡田 祐輝, 江原 康明
    原稿種別: 研究と報告
    2008 年 15 巻 1 号 p. 32-36
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    関節運動学的アプローチ-博田法は,徒手的疼痛治療の他に運動療法技術としての役割もある。その一手技に抵抗構成運動が存在するが,本手技に関する報告は数少ない。本研究では中枢性運動麻痺を有さない高齢者の両側膝関節伸展へ本手技のみを施行し,歩行能力変化について検討した。被験者は,歩行自立レベルの高齢者14名とし,抵抗構成運動を施行する群(平均年齢76.7±7.4歳)と抵抗構成運動を施行しない群(平均年齢73.6±3.5歳)にカードを用いて無作為に各7名ずつ分けた。10 m最大速度歩行時間と歩数の計測は,前後2 mを助走距離とした室内14 m歩行路を使用した。結果,抵抗構成運動を施行した群のアプローチ施行後の歩行能力が有意に向上し(p<0.05),本手技が歩行能力向上に有用である可能性が示された。
  • 須永 康代, 久保田 章仁, 中山 彰一
    原稿種別: 研究と報告
    2008 年 15 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    温熱療法として広く使用されている超音波と極超短波の特性や危険性について,疑似生体組織として豚肉片組織を用いて検証を行った。対象の2.5 cmの深さに骨片または金属片を挿入し,超音波・極超短波を照射後,表面温度と深さ1 cmの部位の深部温度を測定した。骨片挿入時,超音波照射後の表面温度は出力1.0 W/cm2で,深部温度は出力2.0 W/cm2でより高い値となった。極超短波照射後は表面・深部温度ともに出力120 Wで80 Wよりも高く,また40分後まで超音波照射後よりも表面・深部温度が高くなり,1 cmの深さまでの温熱効果は即時性・持続性が超音波より極超短波で優れていた。金属片挿入時,超音波照射直後の表面・深部温度は骨片挿入時と比較してやや低い値であったが,30分後以降は骨片挿入時とほぼ同様の値となった。極超短波照射後も,骨片挿入時よりも表面・深部温度が低値となり,金属片の存在により温度変化に影響を受けることが確認された。
  • ―母趾通過回数による比較―
    村田 佳太, 久保田 章仁, 細田 多穂, 小澤 佑介
    原稿種別: 研究と報告
    2008 年 15 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    本研究では歩行時における外反母趾類似群の特性について検討し,運動介入による変化を,その適応も含め検証することを目的とした。対象は20名の某大学在女子学生とし,歩行時の足尖離地期における足底分布圧についてPEL38を用い,母趾通過回数を測定した。外反母趾角20°を基準として,健常群と外反母趾類似群に群分けし,外反母趾類似群に対し2種類(タオルギャザー,レンガ上両側足底内側接地立位)の運動介入を行い,その後の変化を比較した。結果として,外反母趾類似群の足尖離地期では有意に母趾通過回数が減少していることが明らかとなった。また,母趾通過回数はレンガ上両側足底内側接地立位後で有意に増加した。以上より,外反母趾類似群は足尖離地期の母趾通過回数が少なく,外反母趾角20-25°の外反母趾類似群においてはレンガ上両側足底内側接地立位により母趾通過回数が改善する可能性が示唆された。
  • 山田 佳子, 原 和彦, 源 啓介
    原稿種別: 研究と報告
    2008 年 15 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    本研究では義足足部の動的特性による非義側肢(義足を装着していない下肢)の代償性について,模擬義足歩行にて各足部間の関節モーメントを比較し,その動的な足部特性が及ぼす力学的影響の検討を行うことを目的とする。対象は従来足部であるモールドSACHとConventional Foot,エネルギー蓄積型足部であるFlex Foot Walk IIの3種類である。方法は,三次元動作解析装置(アニマ社製MA2000X)にて歩行計測し,義足側と非義足側における股・膝関節最大伸展モーメント,足関節最大背屈モーメントを各足部間で比較した。その結果,エネルギー蓄積型足部は他の2足部より大きな最大底屈モーメントが認められ,エネルギー蓄積型足部の蹴りだし能力という足部特性が認められた。また,足部特性の違いにより,代償方略には被検者間で相違はみられるものの,非義足肢による推進力にて代償することが認められた。
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