【目的】本研究では,肩関節拘縮を有する患者に対する運動療法が肩関節の機能改善だけでなく,胸郭の可動性や呼吸機能に与える影響を明らかにすることを目的とした。【方法】当院整形外科外来通院中の肩関節拘縮を有し運動療法実施中の患者を対象とし,運動療法の前後で,肩関節屈曲,外転の可動域と,肺気量分画測定,胸郭拡張差,呼吸中枢出力の指標である気道閉塞圧(P
0.1)を計測した。【結果】肩関節の可動域(屈曲,外転)は運動療法後に有意に改善した(屈曲
p<0.01,外転
p<0.05)。一方,予備呼気量が運動療法後に有意に向上したが(
p<0.05),P
0.1やその他の換気諸量,胸郭拡張差についてはいずれも有意差を認めなかった。【考察】肩関節拘縮に対する運動療法は即時効果として肩関節可動域を改善させる。しかしながら胸郭に及ぼす影響はほとんどないかきわめて小さいと考えられる。
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