【目的】「体幹を脛骨と平行か床に垂直に近く保った状態で深くしゃがむ能力」をスクワットのコンピテンシーと定義し,筋シナジーとの関係を明らかにする。【方法】成人男性20名のコンピテンシーをFunctional Movement ScreeningTMのディープスクワットで評価し,基準を満たして行える者をFMS3群,踵へ5 cmの台を入れて行える者をFMS2群,踵へ5 cmの台を入れて行えない者をFMS1群とした。パラレルスクワットを実施した際の関節角度,関節モーメント,CoM後方変位率,筋シナジーを算出した。【結果】FMS3群で体幹前傾角度が小さく,膝伸展モーメントが大きく,CoM後方変位率が大きかった。筋シナジーはFMS3群,FMS2群で2つ,FMS1群は1つであった。【結論】スクワットのコンピテンシーレベルの違いは筋シナジー数の違いとして現れ,コンピテンシーが低い場合に筋シナジー数は減少する。
【目的】不全胸髄損傷患者に対するセミリカンベント式エルゴメータを用いた高負荷での座位ペダリング運動の効果を明らかにすること。【方法】研究デザインはABA法を用い,A期は従来の理学療法,B期は従来の理学療法とペダリング運動とした。運動設定はアイソキネティックモードにて20回転/分とした。運動強度は脚伸展最大トルクの70~80%で行った。アウトカムは脚伸展最大トルク,Lower Extremity Motor Score(以下LEMS),Walking Index for Spinal Cord Injury Ⅱ(以下WISCIⅡ),大腿直筋の筋厚とした。【結果】脚伸展最大トルクとLEMS,WISCIⅡは介入後に向上し,フォローアップ後も維持された。筋厚は著明な変化は認めなかった。【結論】高負荷での座位ペダリング運動は,下肢の筋出力の向上と歩行能力の改善に寄与する可能性が示唆された。
【目的】Pusher現象例に対する傾斜座面での対角平面上の座位移動課題の効果を明らかにすることとした。【方法】介入は,麻痺側後方へ10°傾斜させた座面上での非麻痺側前方方向の座位課題とした。アウトカムは,Scale for contraversive pushing(以下SCP),Trunk Control Test(以下TCT),対角平面上の主観的身体垂直(以下SPV-D)とした。【結果】介入後に姿勢の非対称性と姿勢変換時のPushingは消失した。TCTは座位項目が改善した。SPV-Dは麻痺側後方から非麻痺側前方方向へ修正された。【結論】本課題は,本症例の座位時のPushingを軽減させ,重力感覚を垂直方向へ修正させた。