ラッカセイ, トウモロコシ, ダイズを不耕起および慣行耕起した畑に栽培し, その根量・分布と根系を構成する根の構造を調査し, 不耕起栽培における根系発達について検討した. 本試験は1992, 1993, 1994年に農業研究センター (茨城県つくば市) の淡色黒ぼく土畑で実施した. 耕起法が作物の根系分布に及ぼす影響は深さ20cm程度までの層で顕著に認められ, それより深層の根量には大きな違いが認められなかった. ダイズでは他の作物に比べて耕起方法の影響が顕著で, 不耕起区では慣行耕起区に比べて深さ0~10cmの根長密度が増加し, 10~20cmでは減少したため, 根の深さ指数は有意に小さくなった. 不耕起区のダイズ不定根は, その伸長角度が鉛直軸に対して大きくなり, 側根が多数発生したため, 土壌表層10cmにおける根量増加が顕著であったと考えられた. 一方, ラッカセイでは不定根発達が貧弱であったことが, また, トウモロコシでは根伸長角度が鉛直軸に対して小さく, 深さ10cmより下方まで根が到達したことが, 不耕起栽培に伴う根の深さ指数低下を小さくした要因であると考えられた. これらから, 黒ぼく土畑における不耕起栽培が土壌表層の根量増加に及ぼす影響はひげ根型根系の作物では小さく, 主根型根系の中でも不定根の発達が旺盛なダイズで大きいものと判断された.
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