根の研究
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17 巻, 3 号
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原著論文
  • 伊藤 博武, 横田 和哉, 吉田 穂積, 小松 輝行
    2008 年 17 巻 3 号 p. 91-98
    発行日: 2008/10/10
    公開日: 2009/03/06
    ジャーナル フリー
    淡色黒ボク土でテンサイ13品種・系統を栽培し, 猛暑となった2006年の高温乾燥条件への耐性と根系分布について調査した. 葉の萎れ程度には大きな品種間差が存在し, 他の品種が気孔を閉じて水分消失量を最小限に抑えても葉が激しく萎れてしまうような条件にあっても, 「カブトマル」の葉は萎れなかった. 葉の萎れ程度から「カブトマル」, 「スタウト」および「アセンド」を選び, 拡散伝導度を測定した結果, 高温・乾燥条件下では「カブトマル」は高い値を保ったが, 最も著しく萎れた「アセンド」では光合成速度が気孔全開時の50~60%に過ぎないとされるような低い値で推移した. また, 「スタウト」は両品種の中間の値で推移した. 根張りに着目してみると, 「カブトマル」は深い根張りであったのに対し, 「アセンド」と「スタウト」ではより浅い根張りであった. つまり, 垂直方向への根系分布が品種間で異なるテンサイでは, より深い根張りの品種ほど高温・乾燥時に深い層から多くの水分を吸収し, 萎れずに高温乾燥条件に耐えたと考えられる. 本研究を実施した北海道網走市では土壌条件が不利な地区ほどテンサイの根張りが浅く, 単位面積当たりの収量も低くなっている. 生育パターンの解析など検討すべき点も多く残しているが, 「カブトマル」の深い根張りという特性は収量の安定性向上への利用が期待される.
短報
  • 山下 正隆, 沖村 誠
    2008 年 17 巻 3 号 p. 99-104
    発行日: 2008/10/10
    公開日: 2009/03/06
    ジャーナル フリー
    種子繁殖型の四季成り性品種“エラン”を用いて, 根域制限がイチゴの根の生長および根系形成に及ぼす影響を検討した. 4月上旬に本葉3枚苗を3L, 1L, 0.2L容量の生分解性不織布ポットに定植した後, かん水同時施肥で管理し, 生育, 収量およびいくつかの根系特性を評価した. 葉柄長を除く地上部, クラウンの生育および収量には根域制限の影響は認められなかった. ルートモデルによりイチゴの根系は太根群と細根群に大別された. 根重は培地容量が少ないほど減少したが, 根長, 根表面積, 白色根の呼吸速度では培地容量による差は小さく, 根長密度は培地容量が小さいほど大きかった. イチゴは, 活発な不定根, 側根の形成・生長能力を持つことで, 根域制限下においても高い養水分吸収能力を維持し, 生産力が低下しにくい.
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