日本冷凍空調学会論文集
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33 巻, 2 号
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論文
  • 澤井 清, 土井 学, 石井 徳章, 中井 啓晶, 森本 敬
    2016 年33 巻2 号 p. 93-104
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    エアコンで多く使用されているローリングピストン型ロータリ圧縮機は,シンプルな構造で高い効率を有する.最近,筆者らは,ベーンとピストンを回り対偶で組み合わせ,ピストンの自転を拘束する揺動ピストン型ロータリ圧縮機を提案している.ピストンの自転を拘束すると,ピストンによる熱輸送が抑制されて吸入冷媒の加熱が減少し,体積効率向上の可能性があると考えられる.本研究では,揺動ピストン型ロータリ圧縮機の機械力学解析を行い,部品間に作用する力,ベーンとピストンの挙動および機械効率を調べた.その結果,揺動ピストン型ロータリ圧縮機はローリングピストン型ロータリ圧縮機と比較し,定格条件において少し高い機械効率を有することが明らかになった
  • 田中 勝之
    2016 年33 巻2 号 p. 105-111
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    [早期公開] 公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    HCFO-1233zd(E) [tans-1-Chloro-3,3,3-trifluoropropene]とHCFO-1233xf [2-Chloro-3,3,3-trifluoropropene]の飽和蒸気圧力と飽和液体密度を300 K~400 K において10 K 間隔で抽出法により測定した.得られた飽和蒸気圧力の範囲は,HCFO-1233zd(E)について136~1793 kPa,HCFO-1233xf について167~1981 kPa,また飽和液体密度の範囲は,HCFO-1233zd(E)について942~1258 kg‧m-3,HCFO-1233xf について914~1242 kg‧m-3 であった.測定不確かさは,温度0.028 K,圧力0.4~3.1 kPa,密度0.9~1.4 kg‧m-3 と見積もった.測定結果を用いて,飽和蒸気圧力と飽和液体密度の相関式をそれぞれ作成したところ,飽和蒸気圧力測定値の標準偏差はHCFO-1233zd(E)については0.3 kPa 以内,HCFO-1233xf については0.9 kPa 以内,また飽和液体密度測定値の標準偏差はHCFO-1233zd(E)については0.4 kg‧m-3 以内,HCFO-1233xf については0.2 kg‧m-3 以内であった.
  • 地下 大輔, 佐川 賢太郎, 井上 順広
    2016 年33 巻2 号 p. 113-123
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    本研究では,内径2.2 および3.5 mm の水平平滑細径管内での冷媒R32 の沸騰熱伝達特性,圧力損失特性および流動様相を実験的に明らかにするとともに,それらに及ぼす管径の影響について検討した.熱伝達率の測定は質量速度50~400 kg/(m2s),熱流束5~20 kW/m2 の条件で,摩擦圧力損失の測定は質量速度100~400 kg/(m2s),クオリティ0.1~0.9 の非加熱条件下で行った.また,非加熱条件下で伝熱管出口での流動様相の観察も行った.流動様相はプラグ流,波状流および環状流が観察され,管径が小さいほど,より広いクオリティでプラグ流が観察された.熱伝達特性に及ぼす管径の影響は高質量速度条件に比べて低質量速度条件で大きいこと,また,細径化にともなう摩擦圧力損失の増加割合は高質量速度条件に比べて低質量速度条件でわずかに大きいことを明らかにした
  • -第1 報:室内方向への放熱量の計測と空調負荷の推定-
    宮岡 洋一, 中山 浩, 寺西 勇太, 吉澤 望, 廣田 真史
    2016 年33 巻2 号 p. 125-131
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    [早期公開] 公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,近年急速に普及しているLED 照明が業務用建物の空調負荷やエネルギー消費に及ぼす影響を,従来型照明との比較の下に明らかにすることを目的とする.本報では,業務用建物に多く利用される各種の従来型照明とLED 照明に対し,室内方向への放熱量を計測するとともに,計測結果を用いてBEST により建物内の空調負荷を求めた.その結果,LED 照明における室内方向への放熱割合は蛍光灯と同程度であり,ダウンライトで消費電力の18 ~ 28 %,直管型照明で約50 %であった.また,家電量販店舗において蛍光灯をLED に交換することにより,通年冷房負荷は減少する一方で暖房負荷は増加し,年間の冷房負荷と暖房負荷の割合が逆転する可能性のあることを見出した.
  • 服部 敬太, 福岡 基彦, 富岡 計次, 村田 勝則, 平良 繁治
    2016 年33 巻2 号 p. 133-142
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    HFC32 冷媒(以下,R32)は先進国における空調機の現行冷媒R410A(50wt%R32+50wt%R125)に対し,地球温暖化係数が約1/3 と環境負荷の少ない冷媒である. しかしながら,R32 は微燃性である故,空調機への採用にあたり,各種実験や解析による検証を通じ て安全性をしっかりと評価しなければならない. 本報では,ハウジングエアコンのうちリスクが大きいとされる家庭用床置き室内機を対象として,室内機からのR32 漏洩時における可燃リスクの評価をする為に,室内空間における冷媒漏洩濃度分布について実機システムを用いた実験的検証とそれに対応するシミュレーション手法の確立した. 本手法により,空調機内の詳細構造を再現せずに漏洩冷媒の機内での希釈効果を考慮すると共に,解析時間を大幅に短縮しつつ,実現象を捉えることが可能となった.
  • 益田 和徳, 佐藤 浩, 津幡 行一, 前野 一夫
    2016 年33 巻2 号 p. 143-153
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    エアブラスト式の食品用フリーザーは,強制的に冷風を対象物に当てることで食品の急速凍結を可能としているが,産業用の大型フリーザーでは庫内が広くかつ構造が複雑であり,エアフローの制御が非常に難しい.また,最適な庫内構造設計のためにエアフローの制御方法の検証を実機にて行うには膨大な時間と費用が掛かるため,主として経験則に基づいた機械設計がなされている現状がある.そこで本研究では,汎用ソフトを流れ要素実験と相補的に用いた数値流体解析モデルを作成して風の流れを解析し,短時間でフリーザーの最適設計の検証を可能とするCFD モデルを提案した.さらに実機試験機による実測データと比較検証することで,同モデルの妥当性を証明した.
  • -VRF 型に固有な非定常特性の解明-
    松本 邦康, 大野 慶祐, 齋藤 潔
    2016 年33 巻2 号 p. 155-164
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    近年,ビルや商業施設等の業務用の施設では,冷媒の相変化を利用した圧縮式ヒートポンプ空調機の導入が進んでいる.特に複数台の室内機を有するVRF(Variable Refrigerant Flow:冷媒流量可変)型空調機(以下VRF 型)は,個別に制御が可能なこと等の理由により,大規模の建物等でも導入が進んでいる.しかし,既報1)で述べたように室内機の運転状態変化が他の室内機に影響を与えるため,時々刻々と変化する運転条件に対応した最適な運転条件を判別することが非常に困難となる.また,冷媒流量が大きく変化するために,冷媒の分布がシステムに大きく影響することとなる.そこで,本稿では,数理モデルにより非定常特性が評価可能なモデル構築し,実験による評価試験でモデルの妥当性を検証するとともに,本モデルを用いて非定常特性の評価を行う.室内機の運転台数変化というVRF 型空調機に特有な事象について,計算により運転を再現できることを確認し,システムへの影響を評価した.
  • 児玉 昭雄, 辻口 拓也, 大坂 侑吾
    2016 年33 巻2 号 p. 165-172
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    [早期公開] 公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
    デシカントロータ内で生じる熱・物質同時移動現象を可視化する一手段として,ロータ内の空気温度分布を測定し,その解釈を試みた.まず,最適回転数では,ロータの空気流れ方向の全域が再生温度に達しているわけではなく,空気流れ方向位置によって温度スイングの温度域と幅が異なることを確認した.また,パージ空気は,吸着空気と同じ方向で供給する必要があり,逆方向すなわち再生空気入口側からパージした場合には,ロータ内部で不都合な熱移動が生じ,パージによる吸着材冷却効果が消失する.さらにS 字形の吸着等温線を示す吸着材ロータでは,条件によって再生ゾーンで他と異なる傾向の温度変化が観察される.これは再生空気の相対湿度が,その流れにおいて吸着量が急変する相対湿度域に到達した際に生じる現象として理解される.以上,ロータ内温度分布は水蒸気吸脱着現象を色濃く反映し,デシカントロータ内の熱・物質同時移動現象の可視化手段として有用である.
  • 中本 大志朗, 宮崎 隆彦, Bidut Baran Saha, 小山 繁
    2016 年33 巻2 号 p. 173-183
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    吸着冷凍機の小型化と性能向上を目指した基礎的研究として,活性炭による高圧冷媒ガスの吸着速度を実験及びシミュレーションによって解析した.吸着速度は吸着に伴う圧力変化と吸着発熱による吸着材温度の上昇の影響を受ける.そこで円筒状吸着器内の熱物質移動解析シミュレーションモデルを構築し,温度,圧力の変化を考慮した吸着速度解析を行った.吸着量が圧力,温度変化の影響を受ける場合に,本シミュレーションモデルは線形推進力近似のみによる解析モデルよりも実験値を精度よく再現することができた.また,円筒の半径方向温度分布の影響について考察した結果,数値解析において半径方向の分割数を減らしても吸着量の体積平均値については実験値の再現性に大きな影響を与えないことが分かった.
  • ―第2 報:数値計算による運転変数のパラメータスタディ―
    伊藤 卓, 大曲 康仁, 山口 誠一, 齋藤 潔
    2016 年33 巻2 号 p. 185-196
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー
    本研究は,低露点環境向けデシカント空調を対象に給気露点温度制御を構築することが目的である.特に省エネルギーを実現できるような制御を検討する.省エネルギーとなる制御を検討するためにはまず, 給気露点温度制御を行わない場合でのシステムの消費エネルギーの特性を調査する必要がある.そこで本論文では,数値シミュレーションによりデシカント空調の運転変数に対するシステムの消費エネルギーを評価する. 運転変数をロータ回転数,再生外気取込量,再生温度,パージ風量,処理外気冷却温度の5つとして,各運転変数と消費エネルギーである冷却熱量と加熱熱量の関係を評価した.その結果, 再生外気取込量と再生温度を下げることでエネルギー消費が抑えられることや,ロータ回転数は給気露点温度には大きく影響するが省エネルギーには寄与しないなど,基本的なシステムの消費エネルギーの特性を把握した.
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