日本冷凍空調学会論文集
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39 巻, 3 号
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原著論文
  • 近野 雅嗣, 中村 聡, 長谷川 修士, 中野 奏典
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 39 巻 3 号 p. 157-
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/09/30
    [早期公開] 公開日: 2022/06/30
    ジャーナル フリー

    部分負荷運転における圧縮機の効率向上のためには,漏れ損失や吸込加熱損失を抑制する必要があり,そのためには吸込室や圧縮室への適正な給油制御が重要となる.本稿では,環油給油構造と吸込給油分配構造を組み合わせて,圧縮室への給油はスリットで,吸込室への給油は油ポケットで調整することで,軸受摺動部と吸込室と圧縮室への給油を完全に独立して制御することを可能とし,それぞれに必要な量だけの油を供給できる給油構造について検討した.圧縮室給油量や背圧を可変とした供試機にて,吸込室給油量を変化させて,これらのパラメータと効率の関係を詳細に把握した結果,各パラメータの適正値を見出すとともに,APF で0.8%の向上を確認した.

  • Ryosuke YAMANAKA, Teruo WADA, Hajime FURUKAWA, Motoaki TOJO, Norio H ...
    原稿種別: Original paper
    2022 年 39 巻 3 号 p. 167-
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/09/30
    ジャーナル フリー

    The aim of this study was to determine the responses of strawberry fruit growth to environmental factors in a plant factory with artificial lighting (PFAL). June-bearing strawberry ‘Beni hoppe’ was grown in a growth chamber under a 12-h light/12-h dark photoperiod. Three temperature treatments were applied: 1) temperature decrease from 20°C to 10°C (decreased by 5°C every 4 h during the dark period); 2) temperature increase from 15°C to 25°C (increased by 5°C every 4 h during the light period); and 3) temperature decrease from 25°C to 15°C (decreased by 5°C every 4 h during the light period). The fruit diameter was measured using a contact-type digital displacement sensor and the relative rate of change in the fruit volume (R-RCFVt) was calculated as the fruit growth rate. The R-RCFVt temporarily increased or decreased in response to the rapid change in vapor pressure deficit (VPD) when the air temperature switched to a lower or higher setpoint. The R-RCFVt remained almost constant when the air temperature and VPD were kept constant. Regression analyses indicated that R-RCFVt was positively correlated with the air temperature in both dark and light periods.

  • 小熊 寿弥 , 阿部 駿佑, 浅岡 龍徳
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 39 巻 3 号 p. 177-
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/09/30
    ジャーナル フリー

    中低温温度域の熱輸送媒体としてエリスリトールスラリーが有望である.水平円管内を流動するエリスリトールスラリーの圧力損失を測定し,圧力損失を推算するための流体モデルについて検討した.流動様相を考慮しない簡易モデルとして,ビンガムモデルが有効であることが分った.また,流動様相を考慮することで様々なスラリー熱媒体への応用が期待できる複合モデルについて検討した.複合モデルでは,低流速域で発生する管内固相率の偏りに着目し,せん断応力とせん断速度の関係に対して折れ線回帰を施すことでエリスリトールスラリーの流動様相を定量的に決定した.さらに折れ線回帰で明らかにしたエリスリトールスラリーの流動様相に対して,均質流れではべき乗則モデル,不均質流れでは分離モデルが適することを示した.

  • 宮脇 皓亮, 山岸 鈴奈, SCIAZKO Anna , 鹿園 直毅
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 39 巻 3 号 p. 191-
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/09/30
    [早期公開] 公開日: 2022/07/31
    ジャーナル フリー

    空調機内を循環する冷媒の非定常挙動の予測手法として,深層学習モデルの一つである長・短期記憶ネットワークの実用性を評価した.空調機の運転履歴に対する予測精度を確認するため,圧縮機の立ち上がり速度および冷媒充填量に対するシステム内の冷媒分布の推移を予測した.学習データが十分である場合,冷媒分布の推移を高精度に予測できることを確認した.学習データが少ない場合は,冷媒充填量変化に伴う相状態をネットワークに入力するなど設計ノウハウを用いた改善を行うことで,予測精度の向上が可能であることを確認した.

  • 笠原 伸一, 吉見 学, 檜皮 武史, 山田 祥平, 木村 駿介, 北出 宏紀
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 39 巻 3 号 p. 199-
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/09/30
    ジャーナル フリー

    冷凍空調機器からの冷媒漏洩を低減することは,地球温暖化問題を解決するための必須課題の一つである.そのため,大型の冷凍空調機器の所有者に対し,漏洩の定期点検と,漏洩発見時の修理を義務付ける法律が多数の国で制定されつつある.点検方法には,目視やガスセンサ等を用いる直接法と,機器の運転データから漏洩を推定する間接法があるが,大型機器では直接法による点検は,時間と労力を要し負担が大きい.また漏れ速度が小さい場合は,センサ感度等の限界で漏洩発見が難しい.一方,常時監視の漏洩検知システムを導入すれば,点検免除や点検回数の半減などのインセンティブが設けられている国も多い.そこで著者らは,機械学習技術を用いて,間接法による高精度の常時冷媒漏洩検知システムの開発を進めている.本論文では,開発した漏洩検知手法をビル用マルチエアコンとチラーに適用して評価を行い,従来手法に比べ検知性能を大幅に向上できることを明らかにした.

  • 益田 和徳, 戸張 雄太, 金 まどか, 河野 晋治
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 39 巻 3 号 p. 211-
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/09/30
    ジャーナル フリー

    エアブラストフリーザーの冷却性能を評価することは,フリーザーの最適な熱設計を行う上で重要な課題となる.本研究では,衝突噴流型フリーザーについて数値流体力学(CFD)を適用し,食品が冷却される現象を模擬できるCFD モデルを提案した.まず,乱流モデルにSST k-ωモデルを選定し,衝突噴流により食品表面が冷却される際の熱伝達率をCFD 解析により算出した.さらに,タイロースゲルを食品凍結モデルとして内部の熱伝導解析を行い,その中心温度履歴を得た.これを実測したタイロースゲルの凍結曲線と比較した結果,両者の凍結時間差は0.5 分以内に収まり,両者は良好に一致した.したがって,本研究で提案したCFD モデルは衝突噴流による食品の冷却現象を低コストかつ高精度で再現できると結論付けられた.

  • ジャンネッティ ニコロ, ガルシア ジョン・カルロ, ヴァレラ リチャード・ジェイソン, 清 雄一, 榎木 光治, 鄭 宗秀, 齋藤 潔
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 39 巻 3 号 p. 223-
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/09/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,次世代冷媒の性能評価のために,熱交換器回路の進化的最適化に基づく評価手法を提案する.フィン付き管式熱交換器を対象としたシミュレーションでは,冷媒回路の双方向の数学的表現(管-管隣接行列)と,進化的探索の際に回路の一貫性と実現性を確保するための関連する制約条件の定式化を行った.熱交換器の解析において最適配置の効率的な進化的探索のために,「遺伝的熱経路生成法」という新しい最適化アルゴリズムを開発した.この技術は,物理的に実現可能である限り,分割・合流ノードの数や位置に制約のない複雑な回路への遺伝的演算子の実装を扱うことができ,それゆえ,従来の最適化研究の探索空間を拡大し最適化することが可能となる.空調用途の36 個の配管数を持つ蒸発器の最適化回路に対し,代表的なR 32R 410AR 454C 3 種類の冷媒を用いた場合の性能を評価した.所定の出力容量と空気出口温度において,R 454C のような非共沸混合冷媒では,より大きなCOP 向上(最大7.26%)が達成され,空気温度変化と温度グライドを適切にマッチングさせることで,必要な圧縮比をさらに低減できる可能性があることが分かった.これまでのドロップイン性能分析とは逆の成果,つまり温度差のある低 GWP 非共沸混合冷媒がR 410A よりも高い性能を,そしてR 32 と同等程度の性能を達成できる見込みがついた.

  • 高屋敷 昌弘, 西村 勝彦, SCIAZKO Anna, 岡部 貴雄, 谷口 淳, 鹿園 直毅
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 39 巻 3 号 p. 241-
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/09/30
    [早期公開] 公開日: 2022/07/31
    ジャーナル フリー

    寒冷地におけるヒートポンプの普及を促すためには,霜を抑制する手法の開発が急務であり,様々な環境条件における霜の3 次元構造を定量化することが求められている.本研究では,環境条件を系統的に変化させた場合でも霜の局所構造を計測することが容易なレプリカ法を用いて,冷却面上に成長する霜の3 次元構造を構築する手法を開発した.顕微鏡を用いてレプリカ作製過程霜の様子を観察し,霜を破壊することなくレプリカが作製可能であることを確認した.得られたレプリカをX μCT で観察し,機械学習による画像処理を行うことで,霜の3 次元構造を再構築することが可能となった.

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