日本冷凍空調学会論文集
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39 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著論文
  • 経田 僚昭, 多田 幸生, 飯田 祐也
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 39 巻 4 号 p. 249-
    発行日: 2022/12/31
    公開日: 2023/12/31
    ジャーナル フリー

    管内に封入された気体が振動している場合,急峻な温度勾配が形成された微細流路を有する蓄熱体(スタック)を設置することで,振動の持つ音響エネルギーを熱音響現象で増幅できる.本研究では,外部から入力された音波に対して,任意の周波数成分のみを熱音響効果で増幅し,同時に増幅対象外の周波数成分はスタックによる粘性散逸で減衰することを示した.この効果を多周波数の複合音波である実騒音が入力された場合に適用できることを実験的に検証し,騒音と排熱で駆動する熱音響冷凍機の開発のための基礎的知見を得た.

  • 赤田 郁朗, 西田 耕作, 井上 順広
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 39 巻 4 号 p. 261-
    発行日: 2022/12/31
    公開日: 2023/12/31
    ジャーナル フリー

    ステンレス製の平滑管,ローフィン管,3 次元加工管の3 種類の伝熱管について,水平に配置した管外のアンモニア流下液膜蒸発およびプール沸騰熱伝達に関する実験を行い,外面加工管による伝熱促進について検討を行った.流下液膜実験において平滑管は管頂部を起点とする円周角の増加に伴い局所熱伝達率が低下したが,外面加工管はフィンによって液膜が保持され,フィン間が液膜で覆われる範囲において熱伝達率が低下した.平均熱伝達率は低膜レイノルズ数域では平滑管が最も高い値を示し,3 次元加工管,ローフィン管の順に熱伝達率が低下し,フィンによる伝熱促進はみられなかった.高膜レイノルズ数域では3 次元加工管はフィンによって液膜に対流が生じたが,平滑管と同程度の熱伝達率となった.平滑管のプール沸騰熱伝達率はJung らの式と良い相関を示し,外面加工管は平滑管より20~30%程度低い値を示した.また,いずれの伝熱管も流下液膜蒸発はプール沸騰より高い熱伝達率を示した.

  • 伊藤 誠, 芦原 直也, 党 超鋲, 飛原 英治
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 39 巻 4 号 p. 271-
    発行日: 2022/12/31
    公開日: 2023/12/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,家庭用スプリット空調機からR 290 が室内に漏洩したときの挙動を数値流体解析した.解析モデルおよび計算手法の妥当性の検証のために,壁掛け式室内機からの漏洩実験を行った.研究の目的は,エアコン室内機から冷媒が漏洩したときの安全を確保するため,冷媒漏洩時の室内機ファンの稼働の必要性を評価することである.壁掛け式室内機または床置き式室内機からの漏洩に関して,それぞれ斜め下~下方に,また上部から45 度程度上方に吹き出すことが有効であることが分かった.ファン風速に対する部屋面積の影響については,室内循環流を形成しやすい方向にファン気流を吹き出す工夫をすれば,同程度のファン風速で可燃域を消滅させることができることが分かった.

  • 粥川 洋平, 赤坂 亮, 坂庭 駿, 齋藤 潔
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 39 巻 4 号 p. 283-
    発行日: 2022/12/31
    公開日: 2023/12/31
    ジャーナル フリー

    超低温冷凍と呼ばれる,-70 ◦C 前後の温度帯における冷凍技術は,マグロ冷凍,フリーズドライ食品,半 導体製造プロセス等で必要とされている.R23 は,この温度帯向けの 2 段冷凍サイクルの低温側で用いら ている,不燃で毒性のない唯一の冷媒であるが,地球温暖化係数(GWP)が極めて大きいことが問題と なっている.モントリオール議定書キガリ改正による規制に対応するため,これをより低 GWP の冷媒で 置き換えることは極めて重要である.本研究では,考えられる R23 代替候補物質の絞り込みと,それらの サイクル性能評価結果について報告する.20 以上の候補物質から,極端に安全性の低い物質を除き,COP および体積能力の熱力学的な限界である pareto front に近い物質として,CO2 ,R1132a,R41 および N2O を絞り込んだ.さらにこれらで構成される 2 成分系混合冷媒のサイクル性能予測結果について報告する.

  • 三浦 武大, 今井 友暁 , 奥村 哲也, 近藤 智恵子
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 39 巻 4 号 p. 293-
    発行日: 2022/12/31
    公開日: 2023/12/31
    ジャーナル フリー

    超低温用R23 代替冷媒の開発は,測定が困難であることなどにより,活発に進んでいるとは言い難い.そこで分子シミュレーションを活用し, R1132a の熱物性を三重点付近まで理論的に予測することを試みた.量子化学計算結果から,分子内ポテンシャルと原子電荷を定めた.一方,分子間ポテンシャルは臨界点付近の飽和液密度測定値を参照して調整を行った.これらのポテンシャルを用いて予測した飽和密度と飽和圧力は,測定値と良く一致し,測定値のない低温域まで外挿することが出来た.さらに,広い温度・密度域の蒸気状態を再現し,第2,第3 ビリアル係数を算出することが出来た.また分子構造が類似なR1123 との比較を行い,ポテンシャルが物性へ及ぼす影響を考察した.

  • Uthpala PERERA, Kyaw THU, Naoya SAKODA, Yukihiro HIGASHI
    原稿種別: Original paper
    2022 年 39 巻 4 号 p. 303-
    発行日: 2022/12/31
    公開日: 2023/12/31
    ジャーナル フリー

    R 473A is an emerging four-component refrigerant blend for replacing high GWP and flammable refrigerants currently used for low temperature applications. Since limited prior publications on the thermodynamic properties of R 473A are available, the initial investigation of its vapor phase pvT properties were carried out and are presented here. The pvT properties were measured using two separate isochoric apparatus for the temperature range of 270 K to 400 K, density range of 43 kg·m-3 to 210 kg·m-3 and at pressures below 7 MPa. The virial equation of state was used to verify the measured properties. The linearized virial equation was used to determine the second and third virial coefficients. This method provided an absolute average deviation in pressure and density of 0.29% and 0.38%, respectively. The measured properties were all within 1% deviations which signify the accuracy of the results and the potential for them to be used as preliminary data for developing a more accurate representation of R 473A properties through equations of state.

  • 三好 航平, バズビー セス 龍太郎, 河村 竜仁, 近藤 智恵子
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 39 巻 4 号 p. 311-
    発行日: 2022/12/31
    公開日: 2023/12/31
    ジャーナル フリー

    超低温用冷媒R23 の代替物質の探索には,使用下限温度の目安となる凝固開始温度の情報が必要となる.そこで,近年商用化が検討されているR469A(R744/R125/R32:35.0/32.5/32.5 mass%)の凝固開始温度が184.3 K ± 0.7 K であることを実験的に明らかにした.また,予測式との比較を行ったところ,理想混合からの乖離を表す活量係数を調整する必要があることが分かり,R744 に対して0.887 を与えると測定値と一致した.この活量係数を用いて,R744/R125/R32 系三成分混合冷媒に対して凝固開始温度の組成依存性を予測した.凝固開始温度-100 ℃以下となるのは,R744 質量組成が15 mass%以下の場合であったが,一方でR23 と同等以上の体積能力を実現するためには81 mass%以上である必要があり,トレードオフの関係にあることが確認できた.

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