日本冷凍空調学会論文集
Online ISSN : 2185-789X
Print ISSN : 1344-4905
ISSN-L : 1344-4905
35 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
論文
  • 榎田 晃, 菊池 省吾, 地下 大輔, 井上 順広, 小山 繁
    2018 年 35 巻 2 号 p. 77-
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,水力直径0.81 mm の円形微細流路を有する水平扁平多孔管内でのR32 と潤滑油の混合物の沸騰熱伝達率および圧力損失の測定を行い,それらに及ぼす潤滑油の影響について実験的に明らかにした.熱伝達率および圧力損失は,飽和温度15 °C,質量速度50–400 kgm-2s-1,熱流束5–40 kWm-2 の範囲で,純冷媒および油濃度3.7 wt%の冷媒と潤滑油の混合物を用いて測定した.油の混入により,核沸騰が支配的な低クオリティ域では純冷媒に比して熱伝達率が高くなる傾向がみられたが,高クオリティ域および薄液膜での伝熱が支配的な低気相速度・低熱流束条件では熱伝達率の低下がみられた.油濃度 3.7 wt%での圧力損失は純冷媒に比べて30–80%程度増大し,高質量速度かつ低クオリティ域では熱流束の増大にともなう圧力損失の増大がみられた.

  • -第1報:起動時の非定常油吐出量測定-
    森山 貴司, 村上 泰城
    2018 年 35 巻 2 号 p. 85-
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    冷媒用圧縮機は,起動直後に圧縮機内部が減圧し,油に溶解していた冷媒液が,急激に気化して発泡するため,定常運転時に比べて油吐出量が多くなる.さらに横置きの圧縮機は,モーター回転子による撹拌や冷媒ガスによる油面の巻き上げで油吐出量が大幅に増加する.本研究では,油分離器を用いた油吐出量測定システムを構築するとともに,圧縮機内部の油面挙動を可視化することで,起動直後の過渡的な油吐出の特性を評価した.さらに本評価技術を用いて,圧縮機吸入側の圧力が異なる起動条件で,油吐出量と油面挙動を比較評価し,過渡的な特性の差異を明らかにした

  • 牟田 明広, 森 昌司, 榊原 史起, 奥山 邦人
    2018 年 35 巻 2 号 p. 93-
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2019/06/30
    [早期公開] 公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    原子炉事故時に, 原子炉容器を冠水させ容器壁外部から自然循環により緊急冷却する手法においては,高熱流束除熱技術が必須である. 一方, 飽和プール沸騰において上向き伝熱面上にハニカム多孔質体を設置することで, 限界熱流束を裸面の2 倍以上に向上させる手法が報告されているが, 実機条件, すなわち強制流動かつ下向き伝熱面においてハニカム多孔質体の効果は不明である. 特に下向き伝熱面では, 伝熱面上に大気泡が滞留しやすく限界熱流束は上向き面と比して大きく低下する. このような状況においても,限界熱流束を向上させる手法として二層構造ハニカム多孔質体による冷却手法が提案されている.以上を踏まえ本論文では, 下向き伝熱面の強制流動場において二層構造化させたハニカム多孔質体が限界熱流束に与える影響について実験的に検討を行った結果について述べる. 結果として,ハニカム多孔質体を単層構造から二層構造化させることで,下向き伝熱面の強制流動場においても限界熱流束を向上できることが明らかとなった.

  • 黒瀬 築, 宮田 一司, 濱本 芳徳, 森 英夫
    2018 年 35 巻 2 号 p. 101-
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2019/06/30
    [早期公開] 公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    近年,空調機の分野では,冷媒流路に並列ミニチャンネルを用いて,高性能化・コンパクト化を図っている.しかしながら,並列流路内沸騰流の場合,各流路の熱負荷が異なることによって,各流路に流量が不均一に分配されやすく,熱伝達性能を正確に予測することが困難である.本研究では,並列流路の流量分配・熱伝達特性の解明の基礎として,不均一な熱負荷を与えた場合の2 並列流路の平均熱伝達率を実験により検討した.不均一な熱負荷を与えた場合,熱負荷の大きい流路の比較的広い範囲でドライアウトが生じることを確認し,同じ平均熱流束の均一熱負荷時と比べて,2 流路の平均熱伝達率が低下する傾向を示すことを明らかにした.

  • 永田 修平, 加納 奨一 , 鈴木 啓愛
    2018 年 35 巻 2 号 p. 109-
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    冷蔵庫用レシプロ圧縮機においては,冷蔵庫での運転実態に合わせた低負荷領域での効率向上が重要となると共に,能力のワイドレンジ化が望まれている.現在,多くの圧縮機は摺動部潤滑のための給油機構として,シャフトの回転運動を利用したものが採用されている.そのため,低速運転時では給油能力不足による性能低下が懸念される.本研究では,レシプロ圧縮機における給油機構に関する基礎検討およびその評価をロバストパラメータ設計の観点から実施した.その結果,潤滑油粘度に対してロバストとなる粘性給油機構の手法を示し,圧縮機運転範囲を低速側に拡大する上で提案した手法が有用であることを示した

  • 赤松 正人, 小林 雄大, 伊澤 大輝, 金子 尚輝, 安原 薫, 岩本 光生
    2018 年 35 巻 2 号 p. 121-
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    Al2O3-水ナノフルードの円管内層流強制対流熱伝達特性を非定常二次元数値解析により検討した.直径の50 倍の長さを有する水平円管は入口から中央部まで断熱され,残りの部分は一定温度で冷却されている.円管に流入する高温のAl2O3-水ナノフルードはハーゲン・ポアズイユ流れを想定し,その熱物性はKhanafer and Vafai によって報告された実験相関式を用いて算出した.異なる粒子径(dp = 25, 50, 100 nm),体積分率(φp = 0.010.04),参照温度(θ´= 20, 30, 40 ℃)下で計算した結果,dp = 25 nmφp = 0.04θ´= 40 ℃のとき,ナノフルードと水の平均熱伝達率比は最大値1.136 を示した.なお,ナノフルードの局所Nu数を水の熱物性を用いて算出されたPe数で評価するとGraetz解と差異が生じたが,実験相関式に基づくナノフルードの熱物性を用いて算出されたPe 数で評価するとGraetz 解とほぼ一致した.

  • Hideto FUKUSHIMA, Naho NAKAZAWA, Koki YAMADA, Masahiro MATSUMIYA, Rits ...
    2018 年 35 巻 2 号 p. 135-
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2019/06/30
    [早期公開] 公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    In many cases, frozen whale meat in the Japanese market is prepared before rigor mortis (pre-rigor). A serious problem for frozen whale meat is the occurrence of thaw rigor, which is the strong development of rigor mortis during thawing. To prepare frozen whale meat without thaw rigor and maintain a high meat pH, the temporal changes in adenosine triphosphate (ATP) and nicotinamide adenine dinucleotide (NAD) contents of frozen meat stored at -2.5, -5.0, -7.5, and -10°C were investigated. The rate of decrease of ATP was higher than that of NAD at all storage temperatures. ATP nearly disappeared after holding the meat at -2.5°C for a few days; however, NAD existed yet, so pH decreased thereafter. ATP levels were maintained for a long period at a temperature of -5.0 to -10°C, resulting in the occurrence of thaw rigor. Compared to the muscles of fish such as tuna, the rates of decrease of ATP and NAD were extremely slow in whale meat.

feedback
Top