日本冷凍空調学会論文集
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38 巻, 2 号
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原著論文
  • Kazunori MASUDA, Yuta TOBARI, Shinji KONO, Kazuo MAENO
    原稿種別: Original paper
    2021 年 38 巻 2 号 p. 51-
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル フリー

    The evaluation of the thermal performance of a spiral-belt food freezer is important for optimizing its thermal design for industrial use. However, it is difficult to understand the behavior inside industrial freezers owing to their large volumes and complicated structures. In this study, computational fluid dynamics (CFD) was applied together with a wind tunnel test model to estimate the thermo-fluid behavior inside a spiral-belt freezer. First, the heat transfer coefficient on the surface of the food cooling model was calculated through two-dimensional CFD simulations by using the AKN k-ε turbulence model. Then, the heat conduction equations for a stainless-steel block (ANSI 304) were evaluated. In addition, the stainless-steel block was cooled in wind-tunnel experiments under the same boundary conditions as the CFD simulations. The cooling time of the stainless-steel block predicted through CFD showed good agreement with the experimental cooling time. Thus, the combination of CFD and such experiments can be useful for elucidating the complicated thermo-fluid behavior inside freezers with high accuracy and relatively low calculation costs.

  • 服部 皓大, 倉田 琢巳, 十川 悟, 森永 裕大, 植田 晃弘, 佐藤 哲也
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 38 巻 2 号 p. 59-
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル フリー

    極超音速旅客機に搭載される空気予冷器における着霜問題を解決するために,強制対流条件下において平板冷却面上に生じる着霜現象を対象に,冷却面温度を-10-20-30℃3 通り,主流絶対湿度を81216 g ⋅m−3"の3 通りにそれぞれ変化させ,着霜開始後600 s 以内での霜厚さ及び霜質量への影響を調査した.3 次元霜層成長モデルを用いて,霜層表面温度の時間変化と霜層成長挙動との関連についても調査した.霜質量の増加率は時間によらず一定で,主流絶対湿度と冷却平板上での飽和水蒸気量との差Δ𝜌𝜌vに比例し,霜厚さは着霜開始直後に急速に増加するが,その増加率は着霜開始後急速に減少した.霜層の二次元的な形状の変化についても計測し,着霜初期には前端で急激に成長し,時間経過とともに後端側が成長していく様子が確認された.

  • 秋山 亮仁, 浅野 友徳, 浅野 等, 丸山 和久, 江田 秋人
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 38 巻 2 号 p. 73-
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル フリー

    ヒートポンプ給湯機の水加熱器において入口水温の上昇を想定する場合,臨界点が高い冷媒の使用が有効である.その場合,水加熱器は凝縮器として動作する.本研究では,市販給湯機で用いられている四葉伝熱管の一部の流路形状を模擬した水力等価直径 1.44 mm の三角形細管を対象として凝縮熱流動特性に及ぼす流路断面形状の影響を実験的に評価した.冷媒にはHFC-245fa を用い,水平配置として重力に対する配置の方向,すなわち頂点上向きの正立配置,下向きの倒立配置の凝縮熱伝達率に及ぼす影響を評価した.さらに,凝縮試験部出口で流動挙動と断面平均ボイド率を同時計測した.実験結果から,正立配置高乾き度条件においても頂部の隅に液膜が保持されること,流動様式の環状流遷移条件,平均ボイド率,凝縮熱伝達特性に及ぼす管配置の影響が小さいことが明らかとされた.

  • 広瀬 正尚, 井上 順広
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 38 巻 2 号 p. 85-
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル フリー

    本報では,R1234ze(E)R410AR32 およびR152a の凝縮熱伝達率の実験値を用いて,流動様相の変化に基づき,強制対流凝縮が支配的な領域である環状流域と自由対流凝縮が支配的な領域である波状スラグ流域に分類した. それらを基に細径管の環状流域における質量速度毎の影響や,波状-スラグ流域で細径化にともなう表面張力の影響について詳細な考察を行い,細径溝付管の凝縮熱伝達率の予測式の最適化を行った.最適化した予測式は,各種冷媒の溝形状の異なる細径溝付管の凝縮熱伝達率を予測することが可能であり,実験値を±30%で相関するとともに,他の研究者の実験値の傾向もほぼ予測できることを示した

  • -R410AとR134aにおける気液分配と圧力損失の比較-
    小野寺 亜由美, 澤原 風花 , 畠田 崇史 , 荒木 勇人, 丸山 直樹, 西村 顕, 廣田 真史
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 38 巻 2 号 p. 97-
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2022/06/30
    [早期公開] 公開日: 2021/04/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,住宅用や業務用空調機に用いられるパラレルフロー型熱交換器を模擬した垂直ヘッダ/水平多分岐管内の気液二相流について,動作圧力の異なる2 種類の冷媒R410A R134a を用いて実験を行い,冷媒物性とくに蒸気密度の違いが気液分配と圧力損失の特性に及ぼす影響を検討した.流入側ヘッダ内の流動や分岐管への気液分配特性には冷媒の違いによる顕著な差は認められず,高クオリティ時に液相分配が最下部の分岐管に偏る傾向が観察された.一方,圧力損失には冷媒の影響が明確に現れ,R134a における流路圧力損失はR410A における値の1.21.8 倍に達し,クオリティの増加に伴い両者の差は増大した.

  • 黒瀬 築, 登立 航, 松澤 遼, 宮田 一司, 濱本 芳徳
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 38 巻 2 号 p. 105-
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2022/06/30
    [早期公開] 公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    ヘッダを共有する並列流路の沸騰流では,流量が周期的に変動する流量振動が生じやすい.流量振動は熱伝達特性の予測を困難にし,周期的なドライアウトを誘発するため,振動の発生限界を把握することが重要である.本研究では,2 並列ミニチャンネルを対象に,入口クオリティ,平均流量および熱流束が振動の発生限界に与える影響を実験により検討した.その結果,流量振動は出口クオリティが高くなると発生し,入口クオリティが小さいほど低い出口クオリティから振動が生じやすいことを明らかにした.さらに,流路出口の流動様相がスラグ流である場合に流量振動が生じやすかったため,シミュレーションを用いてそのメカニズムを検討した.

  • 坂井 祥平, 黒瀬 築, 宮田 一司, 濱本 芳徳
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 38 巻 2 号 p. 115-
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2022/06/30
    [早期公開] 公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    近年,空調機用熱交換器やヒートパイプの高性能化・コンパクト化を目的として,冷媒流路の細径化が進められており,内径1 mm 程度のミニチャンネルにおける相変化熱伝達特性の解明が求められている.ミニチャンネル熱交換器の一部条件や自励振動ヒートパイプでは冷媒の流量振動が発生するため,熱伝達性能を予測するためには流量変動を伴う冷媒の過渡相変化熱伝達特性を把握しておく必要がある.本研究では,流量変動時の過渡沸騰熱伝達特性解明の基礎として,内径1.0 mm の水平ミニチャンネルを流れる冷媒の質量速度が過渡的に減少する際の沸騰熱伝達率を測定し,定常熱伝達の実験結果および微細流路内定常熱伝達予測式と比較することで特性の検討を行った.

  • 小林 哲也, 御手洗 遥輝 , 榎木 光治, 西田 耕作 , 赤田 郁朗
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 38 巻 2 号 p. 123-
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2022/06/30
    [早期公開] 公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    微細管の流れ方向の形状が変化した場合の流動特性への影響を明らかにするために,その一例として内径が約1mm の微細管を波型の形状に加工した管(波形管)と一般的な微細円形管(直線管)を用い,気液二相垂直上昇流の流動様相の観察と摩擦圧力損失および沸騰熱伝達率の測定を行った.流動様相の観察実験では,波形管は,従来の直線管の研究で報告されてきた一般的な流動様式とは一部異なる特徴的な流動様相がみられた.また,波形管の摩擦圧力損失は,直線管の摩擦圧力損失よりも特徴的な流動様相が観察される領域において約2 倍程度高い値を示すことがわかった.さらに,沸騰熱伝達実験では,波形管は直線管と比べて,低熱流束ほど熱伝達率に差異が確認され最大で2.5 倍程度向上したが,高熱流束になるほど波形管の熱伝達率は直線管のそれに漸近することがわかった.

  • 乳原 励, 澤渡 一哉, 杉本 勝美, 浅野 等
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 38 巻 2 号 p. 133-
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル フリー

    環境保護のため,冷媒使用量の削減が求められており,満液式熱交換器に対して流下液膜式熱交換器への置換が期待されている.本研究では,単純な伝熱面積拡大管であるローフィン管を対象に,核沸騰促進と液膜の保持が期待できる溶射被膜を伝熱面上に付与し,その流下液膜蒸発熱伝達特性をR 134a とR 1233zd(E)を用いて実験的に評価した.さらに,プール沸騰熱伝達実験から核沸騰熱伝達特性を評価した.伝熱管は,フィン頂部の外径19.05 mm,長さ50 mm の銅製ローフィン管であり,溶射加工を施したものと無処理のものを用いた.液膜流量を0.033 kg·m-1·s-1 一定のもと,ヒーターによって熱流束を10 ~ 85 kW·m-2 の範囲で変化させた.実験結果から,ローフィン管への溶射加工によって伝熱促進が得られることが示された.伝熱促進率は低熱流束ほど高くなり,R 134a では最大2.7 倍,R 1233zd(E)では最大2.0 倍であった.

  • 吉田 雅輝, 山田 俊輔, 船見 祐揮, 中村 元
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 38 巻 2 号 p. 145-
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2022/06/30
    [早期公開] 公開日: 2021/04/30
    ジャーナル フリー

    微細流路における流動沸騰など,高速かつ微細な熱伝達変動を赤外線カメラで計測する技術を確立するために,可視透明ヒータ上の沸騰熱伝達変動測定を試みた.赤外線透過窓材(CaF2)上に厚さ700 nm ITO 膜を成膜した可視透明ヒータを伝熱面として使用し,落下液滴の沸騰熱伝達を測定した.その結果,100-200 Hz 以上の熱伝達変動と0.5 mm 程度までの熱伝達分布を検出することができた.本実験結果および伝熱面の熱伝導解析から得られた予測式によると,より熱伝導率の低い窓材と時間・空間分解能の高い赤外線カメラを使用すれば,微細流路の流動沸騰熱伝達の非定常性を把握する上で必要となる時間・空間的変動(1 kHz 程度かつ0.1 mm 程度)を定量的に測定できる可能性が示された.

  • 小林 拓都, 渡邊 廉, 大友 優甫, 上田 祐樹, 秋澤 淳, 榎木 光治
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 38 巻 2 号 p. 155-
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2022/06/30
    [早期公開] 公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    本研究では焼結型繊維状多孔質体を充填した管内流の摩擦圧力損失性の特性を実験的に解明して整理式の提案をしている.焼結型繊維状多孔質体に対する摩擦圧力損失は,形状係数および透過率を用いることで,管摩擦係数とレイノルズ数を導出し,また,多孔質体ならではの特徴であるパラメータの多さ,つまり空隙率,内径,繊維径,および多孔質体充填長さについて整理できることを確認した.さらに,本研究で提案した新たな整理法は,空隙率によって変化する管内の流速を考慮することで,実験値との平均偏差5.1 %と,より高い精度で摩擦圧力損失を見積もることが可能である.

  • 大西 元, 沈 浩, 中野 紘佑, 春木 将司, 多田 幸生
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 38 巻 2 号 p. 163-
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル フリー

    熱交換器への着霜の低減は大きな課題となっている.著者らはこれまでに,着霜の原因である水蒸気の直接除去法に着目し,吸着剤が塗布された熱交換器を直接蒸発器として利用することを提案してきた.本研究では,着霜環境下における吸着剤への詳細な物質移動メカニズムの解明を目指し,吸着剤が塗布された水平平板における着霜特性を,吸着剤が塗布されていない平板と比較し実験的に検討した.その結果,吸着剤塗布面では水蒸気吸着による無着霜時間が見られ,着霜遅延効果が現れることがわかった.さらに,吸着剤塗布面の平均霜質量流束は低くなり,着霜抑制効果が現れることもわかった.それゆえ,吸着剤は着霜低減の観点で有効であることが明らかとなった

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