日本冷凍空調学会論文集
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34 巻, 3 号
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原著論文
  • 新井 亮祐, 田村 亮, 馬場 浩司, 福田 英史, 中込 秀樹, 沼澤 健則
    2018 年 34 巻 3 号 p. 147-153
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/09/30
    [早期公開] 公開日: 2017/08/15
    ジャーナル フリー

    室温磁気冷凍技術は高効率な次世代ノンフロン型空調冷凍技術として注目されているが,一部の用途を除き実用に耐えうる冷凍能力の実現には至っていない.本研究では磁気冷凍機の冷凍能力向上を目指し,Active Magnetic Regeneratorに則った冷凍サイクルの改良に着目した.数値計算から得られる冷凍能力を目的変数とし,山登り法を用いて室温磁気冷凍機における最適な冷凍サイクルを,冷凍温度幅とAMR寸法が異なる複数の場合について探索した.その結果,磁気冷凍機で一般的に用いられることが多いブレイトンサイクルとエリクソンサイクルを複合した冷凍サイクルを用いた場合に高い冷凍能力が得られることがわかった.

    室温磁気冷凍における最適冷凍サイクル探索

  • 武縄 俊彦, 髙橋 希元, 岡﨑 惠美子, 渋谷 緑, 大迫 一史
    2017 年 34 巻 3 号 p. 155-165
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    卵白中の主要タンパク質オボアルブミンおよびその誘導体が,スケトウダラ冷凍すり身から調製した加熱ゲルに及ぼす効果を検討した.各種オボアルブミンを添加して加熱ゲルを調製した結果,40 °C 加熱では物性が低下,60 °C および90 °C 加熱では向上する傾向を示した.また,オボアルブミンがトリプシンに及ぼす影響を確認したところ,阻害効果は見られなかった.オボアルブミンは60 °C および 90 °C 加熱ゲルの物性を向上させたが,すり身中のプロテアーゼを阻害したためではなく,オボアルブミン自体がゲル化に直接寄与した可能性が示唆された.

  • 赤松 正人, 小林 雄大, 蕪木 武, 安原 薫, 岩本 光生
    2017 年 34 巻 3 号 p. 167-179
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    Al2O3-水ナノフルードの層流強制対流熱伝達特性を数値解析により検討した.直径の50 倍の長さを有する水平円管は入口から中央部まで断熱され,残りの部分は一定温度で冷却されている.円管に流入する高温のナノフルードはハーゲン・ポアズイユ流れを想定し,その熱物性はKhanafer and Vafai によって報告された実験相関式または従来から使用されている固液分散系の推算式を用いて算出した.実験相関式および推算式に基づく熱物性を用いて数値解析されたナノフルードの平均Nu 数と水のそれとの比は共に1 以下を示した.一方,平均熱伝達率の比は共に1 以上を示した.ナノフルードの平均熱伝達率の増加特性は,ナノフルードの有効熱伝導率の増加特性によるものと考えられる.具体的には,実験相関式に基づいて算出された直径50 nm Al2O3 粒子を分散させたナノフルードと水の平均熱伝達率の比は体積分率が0.03 のとき最大値1.041 をとり,直径100 nm Al2O3 粒子を分散させたナノフルードと水のそれは体積分率が0.01 のとき最大値1.016 をとった.一方,推算式に基づいて算出されたAl2O3- 水ナノフルードと水のそれは体積分率が0.04 のとき最大値1.071 をとった

  • 東 朋寛, 玉井 翔, 斎藤 静雄, 党 超鋲, 飛原 英治
    2017 年 34 巻 3 号 p. 181-191
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    ルームエアコンのポンプダウン時の圧縮機の爆発事故を想定して,微燃性を持つ低GWP 冷媒の安全性評価を行った.冷媒,空気,圧縮機に用いられる潤滑油混合気を断熱圧縮することで,ポンプダウン時の冷媒配管への空気混入を再現した.微燃性冷媒であるR 1234yf,R 32 と従来の不燃性冷媒であるR 410A,R 22 を用いて実験し,冷媒の燃焼性が与える影響を比較した.潤滑油としてPAG オイルとPOE オイルを用い,異なる潤滑油量や種類を比較することで燃焼への潤滑油の影響を調べた.本実験範囲において,潤滑油量が多い程冷媒の燃焼濃度範囲が広くなり,燃焼時の圧力も大きくなった.また,PAG オイルと比較しPOE オイルを用いた実験では冷媒の燃焼範囲が小さくなり,ポンプダウン時の事故では冷媒だけでなく潤滑油の燃焼特性が大きく影響していることが示された.

  • YounJu LEE, Toru SUZUKI, Manabu WATANABE
    2017 年 34 巻 3 号 p. 193-199
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/09/30
    [早期公開] 公開日: 2017/08/15
    ジャーナル フリー

    The effect of pre-treatment at subzero temperature of grains on the grinding process was investigated in respect of physical properties of particle. The average particle size of ground soybean and black soybean powders decreased as pre-treatment temperature decreased. The theoretical model that described grinding characteristics revealed that the freezing as pre-treatment is effective on grinding process. In all grain samples, the Bond’s constant and work index showed lower values as the pretreatment temperature decreased. The scanning electron microscopy was used for observation of surface damages on the particles by grinding process. Some cracks were seen on the surface of particles of soybean powder ground with freezing pretreatment. On the other hand, the particles of black soybean powder showed no fractures. The freezing as pre-treatment of grains prior to grinding process is effective to controlling their grinding characteristics and microstructure damages.

  • 高山 啓輔, 畑中 謙作, 小出 徹, 宮川 幸大
    2017 年 34 巻 3 号 p. 201-210
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    CO2 ヒートポンプ給湯機のガスクーラの高性能化を目的として,従来の3 条スパイラル管に対して4 条スパイラル管を開発し,スパイラル管形状改良による水側熱伝達率向上を数値流体解析と実験で検証した結果,以下の知見を得た.(1)山の高さが低く,面積拡大率が小さい4 条スパイラル管は,3 条スパイラル管に対して山の部分を流れる水のよどみが改善され,数値流体解析では3 条に対して伝熱性能が12%向上し,実験では3 条に対して伝熱性能が18%向上した.(2)面積拡大率,山ピッチと内径の比をパラメータとした数値流体解析結果より,新たに熱伝達係数の相関式を作成した.さらに,実験結果を用いて補正することで,伝熱性能を±20%の範囲で整理できる相関式を得た.

  • 広瀬 正尚, 地下 大輔, 井上 順広
    2017 年 34 巻 3 号 p. 211-221
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,外径4.0 mm,等価直径3.48 mm の水平内面溝付細管内でHFC 系冷媒で低GWP 化を図れる非共沸混合冷媒R32/R152a の摩擦圧力損失および凝縮熱伝達特性を実験的に検証した.実験は,質量速度100~400 kg/(m2s),飽和温度35 oC の条件下で行い,同様の実験条件で内径3.48 mm の平滑管でも検証を行った.非共沸混合冷媒R32/R152a の摩擦圧力損失および凝縮熱伝達特性を明確にするとともに,細径化および内面溝による伝熱促進効果について検討した.その結果,溝付細管の摩擦圧力損失は非共沸性の大きな影響はなく,これまでに提案されている純冷媒の予測式で予測できることを示した.また,R32/R152a の熱伝達率はR32 およびR152a に比して最も低い質量速度で大きく低下することを示した.加えて,内面溝による伝熱促進効果は低湿り度域で大きく,湿り度の増加にともない減少することを明らかにした.

  • Evaluation of the Effects on COP by the Pressure Pulsation in the Two-Stage Compressed Injection Cycle
    関谷 禎夫, 久保田 淳, 野中 正之, 台坂 恒
    2017 年 34 巻 3 号 p. 223-229
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/09/30
    [早期公開] 公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー

    二段圧縮インジェクションサイクルの高効率化を目的として,インジェクション配管内の圧力脈動によるサイクル性能への影響を実験的に評価した.二段圧縮機では二つの圧縮室で吸込む冷媒量と吐出する冷媒量の差異によって圧力脈動が生じる.従来から,このような圧力脈動がインジェクション配管出入口の圧力差や流量に影響を与えると考えられてきたが,圧力脈動がサイクル性能にどのような影響を与えるのかについては明確にはわかっていなかった. 本論では,インジェクション配管の長さに応じてCOP が周期的に変化すること,COP の変動周期は圧力波の波長に依存することを明らかにした.

  • -第1 報:基本構造と力学モデル-
    河村 雷人, 関屋 慎, 佐々木 辰也, 前山 英明, 高橋 真一, 杉浦 幹一朗
    2017 年 34 巻 3 号 p. 231-
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    近年,地球温暖化防止の観点から,空調機器においてはHFO 冷媒などの低GWP 冷媒への転換が要求されている.これらの冷媒は一般的に低密度であるため,吸入容積が増加することにより圧縮機が大型化するという課題がある.このため筆者らは,小型化に適したベーン形圧縮機を対象に,ベーン先端を非接触とする新たな機構を適用したウィングベーン圧縮機を提案した.本報では,提案したウィングベーン圧縮機の構造と動作原理,および力学モデルによる基本特性の計算解析について検討した.得られた知見を以下に示す.(1) 本圧縮機の最大の特長は,ベーン先端摺動損失を低減できることである.(2)トルク特性,ロータ荷重特性は,スライディングベーン形と同様にしてベーン枚数と同数のピークを有しながら変動する

  • -第2 報:円弧形状ベーンガイドの潤滑特性及び安定性-
    佐々木 辰也, 関屋 慎, 河村 雷人, 前山 英明, 高橋 真一, 杉浦 幹一朗
    2017 年 34 巻 3 号 p. 241-
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    近年,地球温暖化係数の低いR 1234yf の空調冷熱機器への適用が求められている.筆者らは低密度のR 1234yf を用いて従来のR 410A R32 と同等性能,同等サイズを確保することを目的にウィングベーン圧縮機を考案した.ウィングベーン圧縮機はベーンの上下端に取付けられた円弧形状のベーンガイドで径方向の荷重を支持して,ベーン先端を非接触とする構造である.ベーンガイドとガイド軸受を流体潤滑でしゅう動させることで,従来のベーン型圧縮機で課題であったベーン先端の摩擦損失を低減できる.新構造であるベーンガイドの設計指標確立及び仕様決定のため,ベーンガイドとガイド軸受の潤滑解析とベーンガイドの運動解析を行った.

  • -第3 報:試作評価結果-
    河村 雷人, 関屋 慎, 佐々木 辰也, 前山 英明, 高橋 真一, 杉浦 幹一朗
    2017 年 34 巻 3 号 p. 253-
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    近年,地球温暖化防止の観点から,空調機器においてはHFO 冷媒などの低GWP 冷媒への転換が要求されている.これらの冷媒は一般的に低密度であるため,吸入容積が増加することにより圧縮機が大型化するという課題がある.このため筆者らは,小型化に適したベーン形圧縮機を対象に,ベーン先端を非接触とする新たな機構を適用したウィングベーン圧縮機を提案した.本報では,提案したウィングベーン圧縮機の試作機を製作し,信頼性評価と性能評価を実施した.得られた知見を以下に示す.(1) ベーンの枚数を適正化し,かつ,新たな吐出方式を適用することで,ツインロータリ形に対してAPF 比率で100.2%の性能を実証した.(2) 圧縮室の圧力波形を実測し,吸入から吐出に至る全圧縮過程における安定動作を確認した.(3) 重負荷条件で100hr 運転後の摺動状態を評価し,大きな摩耗や摺動痕が無いことを確認した.(4) ベーンが最も安定し難い軽負荷条件においても,ベーンガイドの円弧角度が60deg 以上であれば安定して動作することを確認した

  • 平山 卓也, 青木 俊公, 志田 勝吾, 畑山 昌宏, ジャフェット フェルディ モナスリ , 岡田 成浩
    2017 年 34 巻 3 号 p. 261-
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    冷凍空調システムの省エネ・省資源・軽量化のため,ロータリ圧縮機において,大容量かつ高効率化を実現する要素技術の検討を行い,シリンダディメンジョンの最適化,仕切板に吐出ポートを設ける新吐出構造の開発,軸およびベーン摺動部の設計最適化による摺動損失低減と信頼性確保の両立,新開発モータとPWM コンバータ採用による効率向上等により,当社における従来の大容量機種に対し,最大冷凍能力を約1.7 倍に拡大し,全能力域でCOP 比約6%向上したモデルを開発し商品化した.開発モデルは,希土類磁石使用量の削減,PWR(Power Weight Ratio)の向上にも取り組み,大容量化による省資源,軽量化の効果も得られた.

  • 澤井 清, 土井 学, 石井 徳章, 飯田 登, 金城 賢治
    2017 年 34 巻 3 号 p. 273-
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    冷蔵庫等に使用される冷媒圧縮機の性能と信頼性は,機構部における潤滑状態の影響を受ける.家庭用冷蔵庫ではレシプロ圧縮機が使用されているが,その潤滑油は主にオイル粘性ポンプによって機構部に供給される。著者らは,シャフト表面にらせん状のオイル溝を設けたオイル粘性ポンプの流量特性について,理論と実験の両面から検討した.理論検討では,オイル溝内の流れが十分に発達した層流であり,かつ一様な2 次元流れであると仮定すると,オイル粘性ポンプのヘッドとポンプ流量の関係は1 次関数で表されることが分かった.また,流量特性評価装置を用いた実験により,オイル溝長さが一定値以上あれば,流量特性の実験値と理論値の相対誤差は小さいことが分かった

  • 永田 修平, 関山 伸哉
    2017 年 34 巻 3 号 p. 283-
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    冷凍空調機の高効率化を考える上で,キーコンポーネントである圧縮機の損失低減は重要課題である.本研究では,テクスチャリングを用いた摩擦損失低減に着目し,レシプロ圧縮機のクランクシャフトの摺動面に,微細加 工により動圧を発生させる周期構造を設けた場合の軸受特性を計算により検討するとともに,実機評価を行った.その結果,クランクシャフトの摺動面に微細溝を設けることで摩擦係数が減少し,損失低減に効果があることを 計算を用いて明らかにした.また,実機においても摩擦損失が低減することを示し,冷凍サイクル組込み試験において圧縮機成績係数が向上することを明らかにした.

  • 福田 充宏, 林 佑樹, 竹内 柊之, 本澤 政明, 山田 竜介, 山村 聡史
    2017 年 34 巻 3 号 p. 296-
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    ベーン型圧縮機はカーエアコン用圧縮機として幅広く使われており,電磁クラッチを介してエンジンにより駆動されるタイプの圧縮機では,起動時に大きなトルクピークを生じ,この現象はドライブフィーリングの悪化や騒音の発生につながっている.そのため,起動時のトルクピークの発生原因や,駆動側に伝達されるトルク挙動を明らかにする必要がある.本研究では,ベーン型圧縮機の起動トルク解析モデルを構築し,起動時のトルク発生およびその伝達特性について検討した.その結果,起動時の軸トルクのピーク発生原因は,圧縮機の急激な加速による圧縮機内の過圧縮およびクラッチのトルク伝達特性によるものであり,起動トルクによって発生するねじり振動によりエンジン側のトルク変動が発生することが明らかになった.

  • 福田 充宏, 木野 恭兵, 本澤 政明
    2017 年 34 巻 3 号 p. 307-
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    リニア圧縮機は,ピストンが直接リニアモータ(リニア振動アクチュエータ)により往復駆動されるため,機械損失が小さいことが特徴とされている.しかし,圧縮機が小型になると相対的に機械損失が増加するため,機械損失の大きさを正確に把握する必要がある.本研究では,ピストンの両側を単一ばねで支持するタイプのリニア圧縮機において,これまでに報告例がみられない機械損失の測定を試みた.その結果,下死点付近において,ピストンを支持する巻きばねが縮んだ際に,特定の方向にピストンが傾いてピストンとシリンダが接触することが分かった.また,ピストンとシリンダの接触によるクーロン摩擦力は粘性摩擦力より小さく,本実験で用いたリニア圧縮機においては,粘性摩擦力が機械損失の要因となることがわかった

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