西部造船会々報
第100回西部造船会例会(西部造船会々報 第100号)
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
  • ハーン グラント, 古川 芳孝, 貴島 勝郎
    p. 26
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    船型を変更した際に生じる耐航性能と船体抵抗の干渉を解決するために開発された船型最適化の手法について, 船型の変化が操縦性能に及ぼす影響を考慮して拡張を行なった。本手法は各性能を評価するために, 船型の変化が各性能に及ぼす影響を表す目的関数(Objective Function)を利用する。本論文においては, コンテナ船型のITTC S175およびVLCC船型のEsso Osakaの2隻の船舶を対象として, 船型変化が各性能に及ぼす影響について詳細に検討を行ない, 各性能間に生じる干渉の例を示した。
  • 貴島 勝郎, 岸本 隆, 末永 浩二
    p. 2
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    海難事故により自力航行不能に陥った船舶を安全に曳航するためには、曳船·被曳船系の針路安定性が非常に重要となるが、曳航作業の詳細についてはオペレーターの経験や勘に頼っているのが現状である。そこで本研究では、理論的な手法によって安全な曳航方法についての検討を行った。まず、被曳船に作用する流体力を調べるために拘束模型試験を行い、実験結果を基に曳船·被曳船系の運動解析を行った。このようにして、損傷船の船型や傾斜状態、また曳航索の長さやその取り付け位置などが、曳船·被曳船系の針路安定性に及ぼす影響について調べた。
  • その2 3次元粒子追跡法による損傷·転覆船舶の運動計測
    星野 邦弘, 原 正一, 山川 賢次, 湯川 和浩
    p. 8
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    水槽試験における各種模型の運動計測は, 流体力や波・流れの計測と同様に重要な計測項目の一つである。模型の運動計測手法には機械式, 光学式, 超音波式等の各種の計測手法が用いられている。特に光学式運動計測手法は, 機構部の摩擦の影響がないことから運動計測法の主流となってきている。光学式の運動計測法の多くは, 赤外線LEDとフォトダイオードを用いた位置検出素子(PSD:Position Sensitive Detector)を用い, 時分割方式により多点計測を行う方式が用いられるが、本論では水中の物体の運動を計測する必要から2台の水中ビデオカメラで撮影された画像から運動を求めた。開発したシステムは, 3次元流場計測のための3次元PTVと同一の計測原理を用いており, 模型の剛体運動のみならず, 3次元流場の計測も可能である。また, ライザー管等の弾性パイプの3次元挙動も計測することが出来るものと思われる。
  • 秋山 章, 上津原 文雄, 鷺島 由佳
    p. 11
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    バラスト水に混入して移動する有害な海洋生物や病原体が本来生息しない海域に侵入、帰化することで、当該海域が汚染されたり、生態系の破壊が起こってしまうことから、現在地球規模の海洋環境保護問題として、バラスト水管理の必要性が論じられるようになってきた。その有害な海洋生物の移動を防止する方法として、現在のところもっとも主要に行われているのが、洋上でバラスト水を交換する方法である。本発表では、ABS船級の14隻の船について、このバラスト水交換のケーススタディーを行った結果を示し、その際に考えなければならない問題点、注意点を挙げる。
  • 経塚 雄策, 小林 正典, 川口 博靖
    p. 21
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    ある小規模な漁港内の水質改善のために防波堤の一部に開口部を設け、海水の流動を制御することによって海水交換を促進することを目的とした数値的な研究である。流動制御のエネルギー源としては潮汐を利用し、開口部の位置を変えて海水交換率と平均滞留時間などの比較を行った。海水交換率は、潮流計算によって時々刻々の流れ場を求め、流れのトレーサーとして投入された仮想粒子の動きと分布状態から計算される。この方法により海水交換のメカニズムが視覚的に捉えられるとともに、海水交換を促進するために防波堤の一部に開口部を設けることの有効性が示された。
  • 塩谷 茂明
    p. 20
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    湾内や沿岸域が航行範囲である小型船舶は常に気象海象の影響を受ける。その中でも潮流の影響は多大であり、逆に潮流を利用した適切な航法次第で航海時間及び航走距離の短縮となり、経済的利潤を図ることも可能である。本研究の最終目的は湾内や沿岸域のような狭い海域を航行範囲とする小型船舶のために、気象海象を考慮した最適航法の確立を行うことである。本報は第1報として潮流を対象に、全航行海域内の潮流場の時系列を数値計算から事前に求め、その中を航海する小型船舶のコンピュータシミュレーションから、航海に対する潮流の影響を考慮した最短時間航法の確立を行うものである。潮流場の航海から、総航海時間、全航程及び航跡への影響を調査するとともに、航行海域内の特定地点における既知の潮流時系列から、設定航路を航海する小型船舶に対する最短時間航法の予測の可能性を検討した。
  • その1:流体力の計算
    安川 宏紀
    p. 10
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    静水中を航行する船もしくは強制上下揺れ、強制縦揺れを行いながら航行する船、そして正面規則波中を航行する船周りの波紋ならびに作用する流体力を、船体と自由表面条件の非線形性を考慮した時刻歴3次元境界要素法で計算した。計算は、放物型ならびに修正型Wigley船型を対象とした。定常造波抵抗、付加質量、造波減衰、波強制力といった流体力の計算結果は、既存の実験結果と良い一致を示した。本計算法は、より精度の良い耐航性能予測にとって有望であることが分かった。船体運動の時刻歴計算が次ステップでの課題である。
  • 貴島 勝郎, 金子 唯明
    p. 3
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    一般的に、タンカーのような肥大船の船尾形状はその操縦性能に大きな影響を及ぼすと考えられ、この操縦性能は船体に作用する流体力と深く関係している。したがって、設計段階で船の操縦性能を推定するためには、船尾形状を考慮に入れた船体流体力の理論的推定法を確立することが必要である。そこで、本研究では船尾部分のフレームライン形状を考慮し、特異点分布法と離散渦法を用いて船尾形状の異なる船体に作用する流体力について検討を行った。その際、渦の減衰を考慮する係数αを定義し、各船型に対して最適と思われるαの値を検討した。その結果、本計算法を用いることにより、特にタンカー船型に対して、主要目に現れない船尾形状の違いを考慮した船体まわりの流場の表現や船体流体力の推定が可能であると考えられる。
  • 岩本 才次
    p. 16
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    著者は前報において、多変数システムの目標値追従制御における、学習型フィードフォワード制御方式の逆システムの簡易構築法について報告した。船舶操縦運動制御システムが要求されるもう一つの機能として、外乱に対する補償機能がある。このため非干渉制御によって船体運動システムの入出力関係が1対1に対応付けられたとき、外乱補償制御系がどのように構成され、どの程度の補償機能を有するかということは重要な問題である。本論文は、非干渉制御によって制御対象の複数の入出力関係を1対1に対応させた時の風外乱補償制御系の一構成方法を示し、目標値追従系と風外乱補償系が互いに干渉することなく協調して有効に動作するかを、計算機シミュレーションによって検討したものである。
  • Agoes Priyanto, Kimio Saito
    p. 15
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    新形式の浮体式荷役設備に関する波浪中性能について論じている。インドネシア、カリマンタン島における石炭輸送は主に石炭バージにより河川を利用して行われ、河口近くで大型船に積み替えられる。陸上立地の荷役設備の不足や浅い水深などの理由から、積み替えはもっぱら河口近くの海上で大型船に装備された荷役設備やクレーンバージにより行われる。この場合、季節により海上が荒れたりするので積み替えの場所を移動したり、波浪中での作業効率が問題となる。本研究で対象とする半潜水型荷役設備は、石炭バージと一体にすることができるもので、作業性の向上が期待されるものである。本論文においては、半潜水型荷役設備がフェンダーを介して石炭バージと一体化した場合の波浪中におけるフェンダーに働く力や荷役設備の運動について2次元動的モデルの仮定のもとに推定し、模型試験と比較している。
  • 右近 良孝, 藤沢 純一, 工藤 達郎, 黒部 雄三
    p. 19
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    本論文は著者らが開発したスーパーキャビテーティングプロペラ(SCP)の理論設計法を用いて、高速艇用SCPを設計し、建造艇に装着し、試運転を行った。その結果、要求設計速力は出たものの、設計条件を満たさず、在来型プロペラ(CP)より速力が低かった。このため、各種模型試験を行い、試運転データを解析し、プロペラの作動状態を分析し、設計条件の予測に改良の余地があることを得た。このデータ解析からSCPのトルクはCPより低く、スラストも少なく、軽いプロペラとして設計された。設計時に有効馬力を過小評価したため、速力が低くなったと結論づけられた。更に、この原因としては自航要素の予測精度が充分でないことが挙げられた。また、キャビテーション試験を斜流中で行い、斜流時のSCPとCPのキャビテーション性能を把握した。
  • 伊藤 政光
    p. 14
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    新型のスキュー付き舶用プロペラの高効率は、主として非粘性成分が支配的な翼弦方向の揚力分布や半径方向の荷重分布の最適化によってもたらされたものと考えられるが、プロペラ効率に影響するプロペラ翼断面摩擦抵抗がスキューによってどのように変化するかは、十分解明されているとはいえない。非直交曲線座標系で記述された三次元境界層方程式を差分法で解くことにより、圧力勾配のないスキュー付き回転扇形平板およびスキューを系統的に変化させたプロペラについて翼面上の摩擦抵抗を計算した。この結果、スキューそのものは摩擦抵抗を僅かに減少させるが、模型状態ではスキューによって三次元剥離が促進され、結果として乱流域の増加による摩擦抵抗増加をもたらすことが判明した。
  • 安東 潤, 白尾 晃久, 金丸 崇, 大橋 訓英, 中武 一明
    p. 1
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    本論文では簡便なパネル法SQCMを用いて2次元水中翼に発生する非定常シートキャビテーションの計算法を示す。この計算法を用いてワグナー問題、ヒービングまたはピッチング振動する翼、そして正弦状ガスト中の翼の問題を取り扱った。部分キャビテーションとスーパーキャビテーションの計算結果を他の計算例と比較して示す。
  • 日向 泰彦, 安東 潤, 中武 一明
    p. 4
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    本論文は、九州大学で開発された、パネル法に分類される、Kuttaの条件を繰り返し計算なしに満足できるSQCMと呼ばれる簡便なパネル法を用いて、プロペラとダクトの相互干渉を考慮しながら、ダクトプロペラの単独性能の解析を行う計算プログラムを開発することを目的とする。また、上記プログラムの応用例として、風洞または空洞水槽中でのプロペラ性能を求める問題についても解析する。つまりダクトを厚さなしの円筒とみなし、プロペラにSQCM、また円筒壁面にQCMを適用して、翼厚およびハブの影響までを考慮した解析を行い、干渉のメカニズムとともに流速測定位置について考察する。
  • 大橋 訓英, 安東 潤, 中武 一明
    p. 13
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    周期的に体積が変動する物体まわりの変動圧力の振幅は、体積変動の2階微分値に比例して変化すると言われている。このような例として、キャビテーションを発生した翼まわりの変動圧力が挙げられる。本論文ではキャビテーション現象をモデル化し、翼厚が時間的に変動することにより、翼体積が時間的に変動する場合に、翼上方にある有限平板上の点に生ずる変動圧について考える。まず変動する翼は九大で開発された簡便なパネル法“SQCM”によって求める。また平板を表す場合、次の3種類の計算方法を用いる。つまり正鏡像法、固体境界係数(solid boundary factor)を用いて平板が無い場合の圧力を2倍して変動圧力を求める方法、および翼上に有限平板をおいて変動圧力を求める方法である。第3番目の有限平板を利用する方法では、有限平板を翼とみなして、揚力面理論の一つであるQCMを用いて表し、翼間の相互干渉問題として変動圧力を計算する。そしてこれら3種類の方法により固体境界係数の有効性および変動圧力と翼厚変動体積の2回微分値との関係について考察を行う。
  • 胡 長洪, 福地 信義, 吉田 公一
    p. 22
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    本論文では, 開口のある区画を対象に, 乱流熱対流に関する3次元数値計算法の確立を目的として, 家具などが配置された船室のように複雑な境界条件を持つ空間内における非等温乱流の極限的様相を示す火災現象を例題として取り扱った。この解析に用いる乱流モデルには, 本研究で取扱う複雑な流れ場の形状と境界を持つ問題に対応するために, 空間的な平均操作によって得られ, 複雑な流場でも対応し易いSGS応力モデルを用いた。なお, 火災現象では空間内に大きな温度差が生じるので, SGS渦粘性係数には浮力の影響を考慮したモデルを適用する。また, 実大船室模型の火災実験に対応する3次元の数値シミュレーションを行い, その結果の比較により, 数値計算法の妥当性と乱流熱対流の解析に対して有用なことを検証した。
  • 篠田 岳思, 福地 信義, 宮原 健一郎
    p. 27
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    近年, コンテナ船会社の国際連携によるアライアンス化や船の大型化, さらには荷主のニーズである必要な物資を複数地点間で間断なく供給していく輸送システムに対応した複合輸送など, 輸送環境が急速に変化してきている。このことから, 日本の港湾に求められているサービスとしては港の大水深化, 荷役の迅速化, 低コスト化などが挙げられている。しかし, 港湾の荷役設備は扱う荷姿により設備の機能, 形態, 構造, 能力が大きく異なり, さらには時代と共に荷姿も変化するため, 施設等の配置やバースの形態等も含めた港湾施設・機能の見直しが常に余儀なくされる。これらの課題を解決するためには, 従来にもましてより効率的·効果的投資が求められている。本研究では, 物流の高機能化とコストの削減に資する陸上拠点としての港湾整備のために, 港湾配置の適切性の評価を行うと共に, 港頭地区の配置計算を行った。
  • 福地 信義, 篠田 岳思, 小野 隆弘, 田村 由佳
    p. 23
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    人的過誤には、システム設計の不完全さ、計装系の欠陥に誘起されて発生するものもあり、緊急時の反応行動や心理的ストレスをも考慮した誤判断や誤操作の起こり難い冗長性のあるシステムの構築が不可欠である。本研究では、海上安全に係わる機能システムの設計時にその信頼性に関する構造分析を行い、事故生起の確率と事故に至るまでに状態が遷移する確率を推定して、これにより改善すべき事象を抽出し、その対策の効果をあらかじめ予測する手法を提案した。さらに、この手法を人的過誤に基づく事故では重大でかつ比較的頻度が高い衝突事故に適用した。これには、操船の実務経験者等によるインタビューと事故例分析に基づいたフォルトツリー解析を行い、事故およびその原因となる事象の生起確率を算出した。そして、この結果に基づきイベントツリーを作成し、衝突事故における状態の遷移を確率方程式と時間ステップを考慮したマルコフ過程により推移する各フェイズの存在確率と残存確率を調べ、対策をとるべき時点と項目およびその効果について予測を行った。
  • 福田 順子, 内野 誠幸, 大森 秀章
    p. 12
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    有限要素法は, 複雑な任意形状の対象にも適用できることが利点の1つであるが, 複雑な形状をした解析対象の形状情報を人が点列の座標を図面より読み取って準備することは多大な手数と時間がかかる。したがってスキャナを利用して読み取った図面の画像情報にノイズ除去, 平滑化, 細線化および輪郭追跡化などの種々の画像処理を行い, 形状およびブロック情報の解析用の数値データを作成することにより有限要素法の実用性を大幅に向上させることができるPre-Mesh Generatorを開発した。
  • 竹本 博安, 岡 正義, 佐久間 正明
    p. 9
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    船舶のスラミング荷重を推定するための波浪中の非線形船体応答シミュレーションの計算法に関しては、一般にKarman型の水面衝撃モデルが採用されている。Wagner型の水面衝撃モデルの方が実際の現象に即しており可能性があるが、衝撃速度の限界値や水面の盛り上がり等に関連する情報が不足しているため、衝撃モデルを構築できなかった。本論文では、楔形物体の水面衝撃の限界速度を相似則の形で導き、2次元楔形物体の水面衝撃実験によりその検証を行った。実験結果は、求められた相似則と非常によく合った。また、Wagner型衝撃の特徴である水面の盛り上がりは、WagnerあるいはFerdinandeによる理論値と実験結果がよく合うことなど、非線形シミュレーションの構築に有用な情報を得た。
  • 福地 信義, 田中 太氏
    p. 24
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    貯蔵、養殖などの海洋資源開発や海中空間利用を目的に、海中に広く展張する比較的柔軟な海中構造物の出現が期待されるが、そのような大空間構造の一つとして薄膜付きアーチ骨組み構造が考えられる。このため、この種の構造に対する安定性の判別式を定めるためには、カオス状態に至るまでの動的挙動に関する現象を把握する必要がある。本研究では, 大空間構造の基本構造となる、水圧による従動力を受ける円形アーチ構造を対象として、負荷時の擾乱による動的挙動を解析し、その不安定現象の安定限界の近傍で現出するカオス的挙動に至る過程を調べた。これには、水圧負荷時における擾乱による円形アーチの安定領域図を作成し, その共振域とその近傍における動的挙動について求めたパワースペクトル、応答波形、相平面およびポアンカレ断面を分析し、その準周期運動からカオス非周期運動に至るまでの現象を解明し、アーチ構造に対する安定性判別法を策定するための礎とした。
  • 奥本 泰久, 笠間 正明, 井上 重穂
    p. 17
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    船舶の建造に際しては、生産システムを整流化し、ムリ、ムダ、ムラを省くことが、建造工数低減に大きく寄与するが、大手造船所ではCIMの開発が進み現在適用段階にあるものの、中小造船所ではその投資負担が大きく導入は困難な状況にある。このため、著者らは直接生産に係わる分野に的を絞り、統合性に加え、簡便さ、即効性、柔軟性を考慮したハンディー型の“オブジェクト展開型統合生産管理システム”OPMISを開発した。システムはパソコンをベースにMS Officeなど汎用ソフトで作成し、簡便に利用できるようにした。今回実船の建造計画に試行し、その有効性を確認したのでその概要を紹介する。
  • R. Mohammad Khedmati, 藤久保 昌彦, 柳原 大輔, 矢尾 哲也
    p. 6
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    水圧と2軸圧縮の組み合わせ荷重を受ける連続防撓パネルについて弾塑性大たわみFEM解析を行い, 崩壊モードと最終強度の性質を調べた。その結果, 水圧の増加と共に崩壊モードは周辺単純支持モードから固定モードに変化すること, および同じ曲げ剛性を有するflat-bar, tee-barおよびangle-bar防撓材を比較すると, angle-barが水圧に対する補強効果が最も大であることを明らかにした。つぎに著者らが先に導出した, 防撓材接合線に沿って単純支持された連続パネル(防撓材なし)に対する最終強度推定式の適用性を調べた結果, 横圧縮が支配的な荷重条件では, 連続防撓パネルに対しても高精度の適用性を有することが判明した。
  • サムドロ , 藤本 由紀夫, 新宅 英司
    p. 18
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    本論文では, Caraka Jaya型船17隻の腐食調査を実施した. これらの船は一般貨物船とセミコンテナ船で, Caraka Jaya計画の第一期と第二期で建造された. 本研究では板厚測定と過去の検査記録の収集を行った. データは主甲板, タンク, 隔壁, 船底外板, ビルジ板, 船側外板から, 合計3,430点を収集した. それぞれの場所から年間の腐食率を計算し, 互いに比較を行った. 年間の腐食率の平均値は0.12 mm/年で, この値は1973年から1978年の間に調査されたNK船級船の腐食率に近い値となることが明らかとなった. 腐食率の標準偏差はNK船級船よりやや大きくなった.
  • 勝田 順一, 鉄川 進, 河野 和芳, 日高 稔久
    p. 25
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    本報告では, 高感度·高精度で, 高耐久性があり, かつ貼付作業が簡単なセンサである, 圧電セラミック素子の疲労き裂伝播挙動への適用を検討した。さらに, 既存試験機や汎用計測器を用いて, 疲労き裂先端の弾塑性挙動についてひずみゲージによる評価法を検討した。その結果, 汎用の計測器を用いて, 疲労き裂先端の開閉口挙動がモニタリングに適用できることを確認し, 計測したヒステリシスループから, 自動的にき裂先端閉口荷重やRPG荷重を求める方法を提案した。また, 圧電セラミック素子を用いて, 疲労き裂の伝播挙動を検知できることを確認した。さらに, 荷重を直接計測できない実構造物において, 圧電セラミック素子の出力電圧を評価する方法を提案して, 疲労き裂先端の開閉口挙動も評価できることを示した。
  • 山本 元道, 矢島 浩, 栗原 正好, 桝本 竜司, 町田 定信
    p. 7
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    本報では, 3種類の50キロ級高張力鋼板を供試して, 鋼構造部材が座屈崩壊した場合に, 座屈撓みの内側に発生する程度の大きな圧縮の塑性歪が, 鋼材の強度·切欠き靱性に及ぼす影響について定量的な評価を試みた。(1)圧縮予歪量の増加にともない, 降伏応力および引張強さとも上昇するが, 処女材からの上昇の割合は, 各鋼種ともほぼ同程度である。(2)圧縮予歪量の増加にともない, vTrE(≈vTrs)は2次曲線的に上昇する。また, 処女材からの上昇量[ΔvTrE(≈ΔvTrs)]は, 各鋼種ともほぼ同程度である。(3)大きな圧縮予歪を受けた鋼材の, 降伏応力, 引張強さおよびV-ノッチシャルピー遷移温度[vTrE(≈vTrs)]を推定できる, 新しい推定式を導出した。
  • 矢島 浩, 山本 元道, 石川 忠, 小関 敏彦, 藤原 直昭, 辺見 鎮之, 福間 裕
    p. 5
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/06/30
    会議録・要旨集 フリー
    本報では, TMCP技術をさらに発展させて開発された, 表層部(板厚の1/6程度)の組織を超細粒化した高靱性SUF鋼板に対して, 大気中·人工海水中での板厚方向の疲労亀裂伝播特性を把握し, 概略以下の結論を得た。(1)SUF鋼板の人工海水中疲労亀裂伝播速度は, 表層部ではΔKが22∼25MPa√¯on;m以上で, 中央部ではΔKが16MPa√¯on;m程度以上で, 大気中疲労亀裂伝播速度の2倍以上になる。(2)SUF鋼板表層部の疲労亀裂伝播速度は, 大気中ではΔKが19MPa√¯on;m程度以下で, 人工海水中ではΔKが28MPa√¯on;m程度以下で, 中央部に比べて明らかに遅くなる。(3)大気中·人工海水中疲労亀裂伝播試験による疲労破断面で観察されたストライエーションから得られた情報と, 疲労亀裂伝播特性すなわちda/dNとΔKとの関係とは、 ΔKの大きな範囲で、概ね良く対応していた。
feedback
Top