(1)ポンプ振動試験の結果に引き続き、FEMによる振動特性評価の結果と考察、FEMを用いたポンプ加振力の推定などについて報告するものである。振動解析にはFINASコードを用いた。これは3次元形状の流体要素を直接モデル化し、その圧力振動を計算するとともに、構造との間に境界要素を介することで流体の圧力振動の構造側への伝播をモデル化することができるコードである。2005秋の大会では内部加振器試験をFINASコードで評価した結果、一部を除いて高い精度で固有振動数を評価できることを報告した。なお、試験と解析間の誤差要因についてもほぼ把握されている。その後、内部加振試験に相当する応答解析を実施し、センサ位置におけるコンプライアンスがほぼ一致することが確認された。解析精度向上のためのモデル改良とともに、ポンプ試験体、試験体架台一式、ループ配管などを新たにモデル化し、ポンプ振動試験体の振動特性を評価した。ランニングスペクトルから試験で出現する応答ピークに相当するモード図を作成し、FEM解析結果と比較した。その結果、ポンプによる強制加振による応答モードを除いて、各応答モードが機器の固有モードに相当することが分かった。また、試験ではポンプ回転数に伴って固有モードの応答振動数が変化するものがあり、一般的な円筒シェル振動における圧力の影響によると予想される。また、ポンプN成分の加振力をFEM解析と試験結果を用いて定量的に評価した結果、ポンプ軸とポンプケーシングの相対振動振幅、ポンプ軸の剛体モードと曲げモードの重畳による機械的励振力とがほぼ一致することが分かった。ポンプ回転数と異なる振動数における応答ピークの振動源はポンプ以外の流動などによるものと予想される。今後、センサを追加するとともに条件を変更した試験を実施し、各種振動源の特性把握を実施する予定である。
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