手の力 (筋力), 平衡性 (バランス), 歩行 (移動) の3因子より構成される Nagasaki (1995) の運動能力モデルに基づき, 握力, タッピング頻度, 片足立 (開眼及び遮眼), 平均台歩き, 歩行速度 (通常及び最大) という7種の運動課題を18~68歳の知的障害者217名に行い, 生活年齢 (暦年齢) と知能指数との関連, 及び課題成績同士の関連を検討した。(1) 生活年齢と有意な相関が見られた運動課題は最大歩行速度だけで, 知能指数を統制するとその相関も有意でなかった。(2) 知能指数との有意な相関はすべての運動課題で見られ, 知能指数が高いほど運動課題の成績が高かった。(3)性差に関しては, 握力では女性より男性で成績が高く, その他の運動課題ではその影響は見られなかった。(4) 課題成績同士の相関はすべて有意であり, 握力とタッピング, 片足立ちと平均台歩き, 2つの歩行速度における相関が特に明瞭であった。
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