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丸田 昭輝, 松橋 隆治, 吉田 好邦
p.
297-302
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
一般市民の自主的な省エネ行動を促進する要因を検討するために,WEBアンケートを通じた分析を行った。その結果,市民の省エネ行動は,回答者の居住地,年収,最終学歴とは有意な関係はなく,むしろソーシャル・キャピタル(社会信頼性,地域信頼度)との間に有意な関係があることが示された。また市民の省エネ行動は,環境意識から誘発され,その環境意識は地域への信頼と正の相関があるという社会構造が示唆された。
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山下 良平, 星野 敏
p.
303-308
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
農地・水・環境保全向上対策では,地域ぐるみの資源保全活動に関して,実行計画の策定とその継続を担保に運営資金を助成する仕組みをとる。農山村地域においては,施策の効率的な運用に向けて,住民の参加意欲を向上させることが喫緊の課題となっている。本研究では,適応型合意形成モデルを応用し,多数の主体による合意形成過程を解析するためのモデルを構築した。そして,態度変容の規定要因として,ソーシャル・キャピタルの影響を考察することを課題とした。その結果,ソーシャル・キャピタルの構成要素である社会規範は,特に活動への参加意向の形成に対する影響が大きいことが示された。
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谷本 真佑, 南 正昭
p.
309-314
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
本研究は,住民による生活環境評価に,ソーシャルキャピタルがどのような影響をもつのかを調べたものである。地方都市における性格の異なる2つの地区でのアンケート調査結果に基づき,周囲への信頼といったソーシャルキャピタルと,17項目からなる住民による生活環境評価の関連性を分析し,その相互関係を定量的に明らかにすることを目的とした。分析の結果,住民による生活環境評価は,居住地区の特徴ならびに回答者属性と関係があることを確認するとともに,その住民のもつソーシャルキャピタルと強く関係していることを明らかにした。
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西前 出, 市田 行信, 吉川 郷主, 小林 愼太郎
p.
315-320
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
本研究は,ソーシャルキャピタルの尺度として提唱されているISCI(Integrated Social Capital Index)の得点の高い高SC層の空間分布特性を明らかにすることを目的としている。平成18年に行った大規模なアンケートデータを元に京都府A市の151集落ごとのISCIから高SC層の割合(P6)を算出し,回答者数の偏りによって生じる影響を経験ベイズ法によって補正して空間分析を行った。経験ベイズモランのI統計量を用いて,定量的にP6の空間分布特性を抽出し,集落単位のP6には正の空間的自己相関が存在することを明らかにした。
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-構造方程式モデリングによる分析
松下 京平
p.
321-326
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
本研究は,ソーシャル・キャピタルが環境ガバナンスのパフォーマンスに与える影響の評価,およびその醸成メカニズムの解明を目的としたものである。分析時には,ソーシャル・キャピタルが無形資本であるがゆえに生じる観測上の困難さを考慮し,構造方程式モデリングと呼ばれる統計手法を用いた。分析の結果,ソーシャル・キャピタルが豊かな地区では,地域住民の協調行動が促されることで環境ガバナンスが効果的に推進されることが示された。また,ソーシャル・キャピタルは地域住民の協調行動を促すと同時に,その協調行動を通じて醸成されるという双方向因果の構造が存在することも明らかとなった。
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-京都鴨川流域懇談会を事例として
坪井 塑太郎, 萩原 清子
p.
327-332
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
本研究の目的は,従来まで主として定量データによる解釈を補完するものとして位置付けられてきた自由回答を,日本語の形態素により分類することにより,意見の構造を明らかにすることである。既往の自由回答分析においては,分析者の熟練度や,主観によるバイアス等が指摘されてきたが,本研究ではテキストマイニングにより,文法を考慮した用語の出現頻度と共起関係に基づき分析を行い,自由回答の意見構造は地域的事象による「中心地-山間地」軸と,河川景観事象による「美観-醜観」軸の成す空間から構成されることを示した。また,鴨川に対する具体的改善点として上流では産業廃棄物処理場の処遇が,下流市域では水害対策の強化が高く指摘されていることを明示した。
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朝倉 暁生, 高野 誠二, 平松 あい
p.
333-338
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
従来の環境問題解決のための普及啓発では,環境問題解決に向けた個人レベルの行動の活性化を目的として,環境問題に対する市民の関心を高めることに主眼が置かれていた。しかし本研究では,環境問題への関心の高まりや個人の行動実施の背景にある「イメージ」に注目し,どのようなイメージが関心の高まりや行動意欲に結びつくのか,また,これらのイメージをどうやって変えることができるのか,などについて,ワークショップの前後のアンケート調査をもとに分析した。その結果,関心を高めるために必要な環境問題のイメージと,個人の行動を増加させるのに必要な環境問題のイメージには差異があることなどを明らかにした。
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村上 一真
p.
339-344
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
社会心理学での環境配慮行動の規定要因に係る研究成果を踏まえ,市民を対象に廃棄物対策,温暖化対策に関するアンケートを行い,経済学としての問題関心に基づき,環境配慮行動の規定要因を構造方程式モデルにより明らかにした。そして,手間,時間,費用などのコスト感に基づく環境配慮行動の抑制(環境負荷行動の継続)という課題解決の要因として,環境配慮行動に係る意図の形成・活性化の必要性が示された。環境配慮行動に係る意図は,自発性,公共意識,強制力の相互作用により形成,強化されることから,この視点に基づく環境政策,環境教育の推進が求められる。
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坂部 創一, 谷本 誠
p.
345-350
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
情報環境が及ぼすテクノ依存症傾向の予防策として,先行研究のない複合的効果に着目した。それらは,心身の健康に寄与する読書(良書)・運動愛好度・音楽愛好度・寮生活の経験・自己管理能力である。次にその複数の項目は,テクノ依存症傾向を予防し,QOLを高める傾向を示すという理論仮説を設定した。そして,情報系大学生を対象に調査を実施して,共分散構造分析で仮説を検証した。その結果,理論仮説が検証され,テクノ依存症傾向の予防策として複合的予防策の有効性が示唆された。
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大原 有理
p.
351-356
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
オーフス条約9条の司法へのアクセスに関する条項と日本の関連する環境法制度を比較することで,日本の制度の抱える問題を明らかにし,その改善方法に示唆を与えることを目的とする。オーフス条約が環境権を市民が行使する権利としているのに対し,日本の法制度では環境権は行政府の保護管轄という構造になっている。こうした前提の違いから,日本では,特に司法へのアクセスが停滞している。日本の環境法制度は今後,現在の行政主導型からより民主的な市民中心の制度へ以降して行くべきであり,その為には環境権が権利として強調され,司法的救済の機会が拡大される必要がある。
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小野田 勝美
p.
357-362
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
遵守理論の「管理モデル」の分析枠組みを用いて,衛星地球観測システムによる衛星観測の条約履行確保制度における役割を抽出することができる。衛星地球観測は,気候変動枠組条約上の組織的観測の重要な要素であり,政府間の国際協力によって進められている。政策枠組みに衛星地球観測データ利用を組み込むツールとして地球観測システム(GEOSS)が構築されつつある。遵守監視にも衛星データが用いられる可能性が検討されているが,現時点ではほとんど利用されておらず,今後,条約に基づく制度設計に対応した衛星地球観測システム構築のための研究を進める必要がある。
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-国際捕鯨取締条約第8条の起源と運用を巡って
真田 康弘
p.
363-368
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
現在日本が南極海及び北太平洋で行なっている捕鯨操業は,国際捕鯨取締条約第8条に規定される科学調査目的の捕獲許可発給に基づくものである。本小論ではこの条項の起源を探るとともに,商業捕鯨モラトリアム以前の各国の同条項に基づく捕獲許可発給運用の歴史を振り返り,国際捕鯨取締条約の有効性を減ずるものがなかった否かを検討するものとする。加えて,現在の日本の調査捕鯨のヒントとされている1977年より行われた捕獲許可発給に関して,これがどのような背景・理由から行なわれたのかを探るものとする。
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-酒匂川を事例に
土屋 俊幸
p.
369-374
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
近年の環境問題は,汚染源が一般生活の中に移行し,多様化,複雑化が進んでいる。本研究では,神奈川県西部の酒匂川において,流域環境を解明するため,水環境(水質),住民意識,保全活動の3つの視点から調査を行った。その結果,水質の挙動は流域規模で変化する一方,流域住民の意識や活動は流域として統一されていないこと,河川環境と住民の意識や行動は空間スケールの点で合致していないことが示された。これは住民の生活が河川から離れ,河川と人とのつながりが希薄になったことが原因として考えられる。時空間スケールや保全する環境の対象を幅広く捉え,保全活動を構築することが必要である。
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―群馬県伊香保温泉を事例とした温泉街のまちづくり
宮崎 均, 山田 桐子, 高橋 啓太
p.
375-380
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
現代の日本の街路用途は車社会化に伴った通過交通が主流であり,コミュニティ形成のための機能を失いつつある中,温泉街は良好な地域間交流が存在しているまちのひとつである。しかし,高度成長期に行った無秩序な開発により衰退しており,再生・活性が望まれている。そこで群馬県伊香保温泉を事例として,温泉街の街路空間を構成している物理的要素,特に街路と建物に着目し,温泉街の空間構成について分析・考察を行った。その結果,温泉街の空間構成には統一性を与えている物理的要素が複数あり,その割合には収束域が存在することが明らかとなった。さらに街路空間ごとの特色も確立しており,相互に重なり合っていることが明らかとなった。
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-大雪山を事例として
小林 昭裕
p.
381-386
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
過剰整備に対する批判を踏まえ,荒廃箇所の整備上の課題について,大雪山国立公園の登山道整備水準の策定過程に着眼し,登山道整備の理念,計画策定上考慮すべき要素,施工技術上の課題を明らかにした。論議の手順として,検討会の構成,過剰整備という批判の原因への対処,荒廃の原因と対策,登山道の管理水準の設定,路線区分と技術的対応の観点について,合理的妥当性を検討し,荒廃箇所の整備上の課題を総括した。その結果,手順の論理的脈絡の明確化,利用体験の視点の導入,科学的データに基づく判断という点で,策定の道筋を示したことは評価された。
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一場 博幸, 古谷 勝則
p.
387-392
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
本研究は,尾瀬国立公園の尾瀬ヶ原において,利用行程のトータルな利用体験からの混雑感評価と写真を用いた混雑感評価の関係性について分析し,トータルな利用体験の視覚的利用イメージを明らかにすることを目的にした。その結果は,次のように要約される。1)「丁度よい」利用状況は,日利用者数2,600人と3,300人の両方の場合において写真上の利用人数「45人」が代表的な視覚的利用イメージになる。2)「もっと空いている方がよい」利用状況は,日利用者数3,300人の場合には写真上の利用人数「96人」が,日利用者数2,600人の場合には写真上の利用人数「74人」が代表的な視覚的利用イメージになる。
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高山 範理, 綛谷 珠美, 朴 範鎭, 喜多 明, 香川 隆英
p.
393-398
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
本研究は362人の調査対象者の「形成期」および「成人期」の生活域環境(生活域における自然環境)の多寡と,1)自然にふれる機会,2)自然環境に対する関心の度合い,3)自然環境にする価値観,4)身近な自然に対する行動との関係について数量的に調べた。生活域環境を基準に調査対象者を分類(「形成期」:3グループ,「成人期」:3グループ)し,1)~4)の各標に3グループが取る傾向についての分析をおこなった。その結果,生活域環境と自然にふれる機会および身近な自然に対する行動については,統計的に有意な傾向が確認できたが,関度および自然観については特定の傾向は見られなかった。
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原田 麻美, 大藪 崇司, 一ノ瀬 友博
p.
399-404
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
本研究は,剪定枝葉を使用したチップマルチング材が植栽樹木に及ぼす影響を検証し,チップの公園内利用を促進することを目的とした。対象地は、国営明石海峡公園淡路地区とし,カワズザクラ(
Cerasus×Kanzakura `Kawazu-zakura´) にチップマルチングを施用することによる土壌環境の変化が植栽樹木に及ぼす影響を調査した。その結果,チップマルチングによって地温上昇の抑制効果,地温変動緩和効果,土壌水分の保持効果が確認され,それらの効果がSPAD値を高い値で維持し,夏期の最大光合成速度の低下を回避させる結果となった。チップマルチングが植物の生理活性を維持させることが示唆され,公園内での剪定枝葉の利用促進に繋がり得る可能性が示された。
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鈴木 弘孝, 臼井 敦史, 目黒 伸一
p.
405-410
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
本稿は,2004年8月に実施した兵庫県姫路市の緩衝緑地での樹木調査より得た樹高と胸高直径の計測データに基づき,材積指数を指標として植栽後約30年が経過した樹林構造の特性について検討し,今後の樹林の適正な保全と管理の基礎的データを得ることを目的とした。調査の結果,高木層ではアラカシ,コジイの100m
2当たりの材積指数が12m
3以上を示し,この地域の自然植生を構成する樹種が優占する傾向が材積指数によって裏付けられた。亜高木層では高木層との組み合わせから樹林構造に変化が見られ,ヤマモモがアラカシとの間で安定した階層構造を示した。
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-有馬富士公園あそびの王国での一考察
嶽山 洋志, 中瀬 勲
p.
411-416
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
本研究では持続可能なプレーパーク活動の組織形態について,有馬富士公園のあそびの王国で活動しているガキっこクラブを対象に考察を行った。結果,「本気で遊ぶ」という誰もが夢を重ねられる曖昧なスローガンを掲げることで多様な思いを持った主体が参加可能となっていること,特に学生中心の組織では卒業という区切りが存在し,会の主体が年度毎に変化することで,常に新しい考え方や活動内容が展開されていること,その学生を支援する体制として社会人スタッフ,行政担当者,有馬富士公園のパークマネージャーらが存在することなどが組織の持続に影響していることが伺えた。
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青木 陽二
p.
417-422
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
最近,欧文で,日本語における「風景」と「景観」の違いについて報告された。これは風景という現象が,言語や文化的背景によって理解が異なることを示す調査結果である。これまで欧米では景観に対する好みが民族や気候風土によって異なることが注目されてきた。本研究では日本における風景という現象に対して,どのような理解がされてきたのか,風景や景観をキーワードとする和文の著書について,風景現象に対する定義や特徴について調べた。この内容を分析し,風景という現象が発生する原因である主体としての人間に関する項目,風景を構成する視対象と主体との関係を表す項目,視対象に関する項目についてまとめた。
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許 松善, 古谷 勝則
p.
423-428
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
本研究では,中国の長白瀑布(Changbai Waterfall)を対象にして,中国人と韓国人の景観評価を比較することを目的とした。アンケート調査は,長白瀑布を観賞している中国人63名と韓国人54名に対して行った。その結果,長白瀑布は長白山(Changbai Mt.)の景観の中で2番目に注目されていること,季節では秋の景観が好かれていることが明らかになった。中国人と韓国人では,「天池長廊の影響」,「好きな視点場の評価」で差がでた。SD法を用いた調査によると,中国人と韓国人では,「瀑布の好ましさ」,「瀑布のリズム感」,「瀑布の幅の広さ」で差がでた。
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谷 光燦, 田代 順孝, 木下 剛
p.
429-434
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
中国古典園林の特徴として「意境」の存在が挙げられる。意境とは,主観的な感情や理念である「意」と,客観的な事実や景観・物である「境」が,文学・絵画・園林など芸術創作活動において強く融合したものである。中国園林の建築物に掲示・記載されている「扁額」と「対聯」は園林の意境を表現する主要手段である。今回は,中国・蘇州の「拙政園」を研究の対象として,拙政園における扁額と対聯に表現された意境と,拙政園の空間の関係を明らかにすることを研究目的とした。その結果,拙政園の扁額と対聯に表現された意境は詩情画意などを傾向とし,それらは拙政園の空間と密接な関係があることが明らかになった。そしてこの関係の把握こそ拙政園の保存と再生に必要不可欠であることを認識した。
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高 傑, 章 俊華
p.
435-440
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
「壁景堡」は平遥地方に現存する唯一の「堡(住宅集落)」である。「堡」における文化遺産的価値を認識し,また当時の生活空間の知恵を継承していくため,本研究は今後の「壁景堡」の保全及び他の「堡」の復元において意義がある。本研究は「壁景堡」にある58住宅における入口の配置,進数,対称性,敷地の建設規模及び縦横比に関する類型及び特徴を明らかにすることである。結果:入口の配置が変化に富む点は中国北方における伝統的な営造モデルとは異なる。中庭の対称性が強い,伝統的な営造モデルと一致する。東堡,中堡,西堡の三つ「堡」の中にあるそれぞれの住宅の建設規模の違いはゾーン分けの計画意向を反映した。住宅の敷地面積が増大するにつれて,南北軸に沿って院落数の割合が増える。
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工藤 豊, 山本 清龍, 下村 彰男
p.
441-444
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
伊豆はその景観の多様性と素朴な郷愁が文人をはじめ多くの人々を惹きつけ,多くの文学作品や記録が残されている。本研究では,昭和戦前期の中伊豆地域を舞台とした文学作品に表現された景観を分析することで,当時の中伊豆地域の景観がどのようにとらえられていたか,その特徴を明らかにすることを目的とする。文学作品中の景観描写を分析することで,当時の景観を構成していた要素や,要素の組み合わせによって形成される中伊豆地域の典型的景観を把握することができた。さらに,それぞれの典型的景観がどのような評価を伴って認識されていたかが明らかになった。
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-京都市鴨川を事例とした緑視構造
水上 象吾, 萩原 清子, 萩原 良巳
p.
445-450
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
本研究では,都市における人工と自然の対峙を取り上げる。都市空間の評価を高める自然が人々に享受されるべく,景観における自然要素の見えの構造を明らかにすることを目的としている。都市の自然的空間として機能する河川環境を対象に,自然が都市空間の評価を高めていることを検証し,自然要素の対象を分類している。また,景観要素の占有面積という客観的な指標を手がかりとして対象を整理し,自然要素である緑を主として,人工要素との対立関係および自然要素どうしの見えの干渉関係を明らかにしている。さらに,自然要素の注視性や意味的効果を考察し,自然的環境を享受するための方策を提示した。
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-大阪市天王寺区「未来わがまち会議」を対象として
曽我 健, 錦澤 滋雄
p.
451-456
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
本研究は,まちづくりワークショップにおけるファシリテーターの介入に着目し,実証的な分析を行い,その必要性や有効性について考察することを目的とした。まず,ファシリテーターの介入をいくつかのタイプに分類・集計し,次にその適否について専門家チェックを踏まえて考察した。その結果,「話し合いを方向づける」,「議論を要約する」といったタイプの介入が多かったのに対して,「発言を支援する」などの協働の場づくりに関係する介入は少ないことが確認された。また,介入の適否を認知的過程と意志的過程の観点から考察したところ,認知的過程では,「ファシリテーターの主張を混ぜる」介入,意志的過程では,「決定を後押しする」介入が重要な役割を果たすことが示唆された。
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-大地の芸術祭 妻有トリエンナーレを事例として
勝村(松本) 文子, 吉川 郷主, 西前 出, 小林 愼太郎
p.
457-462
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
新潟県十日町市,津南町で広域公共事業として開催されている野外現代アート展「大地の芸術祭 妻有トリエンナーレ」を事例として,作品設置集落の住民への悉皆アンケートを実施し,知り合いの獲得や芸術祭の面白さ,地域での好ましい変化の有無,作品設置による印象の変化,といった事業を評価する4項目が,作品に対する好感や個人的な協力,住民の関わり方,地域内での信頼についての要因と関連があることを明らかにした。それにより,これまで定量的な評価が困難であるために調査研究が行われてこなかった,芸術を用いた地域づくりの特徴を示し,個人や地域に対する効果,住民からの評価を向上させる可能性を示した。
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西野 俊一郎, 劉 国彬, 劉 普靈, 恒川 篤史, 伊藤 健彦, 穆 浩生
p.
463-468
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
退耕還林政策下において求められる経済状態への移行程度を評価するために,村落レベルの人口許容力と,生物資源生産量(供給)が生活必要量(需要)を満たすことを評価する収容度指数を推定した。その結果,退耕還林政策実施前の1998年から実施後の2004年の間において,耕地面積は半減した。しかし換金作物,果樹栽培,出稼ぎなどの非農業収入および補助金により,総収入は約2.8倍になった。2004年の収容度指数は0.233~0.696と推定されたため,生物生産量は人々の需要を満たす水準にあると判断された。しかし補助金が占める割合が総収入の3割を超える村では,補助金を含めない収容度指数が1を超えたため,需要が満たせない可能性が示唆された。
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野口 智司, 柳井 重人, 木下 勇
p.
469-474
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
本研究では,高等学校におけるEMSへの取り組みの実態を明らかにしつつ,EMSの導入や活動の推進を図る上での課題,環境教育上の効果や課題を考察することを目的とした。ISO14001の認証を取得した4高校における担当教職員へのヒアリングおよび生徒へのアンケートの結果,EMSの導入は,学校に対する評価の向上やそれよる波及的効果,教職員の環境意識の向上はもとより,生徒に対する環境教育的な効果などをもたらすこと,EMS担当教職員に対する過大な負担,他の教職員の理解や協力,認証取得に係る費用の確保などが課題であることが把握された。
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高橋 正弘
p.
475-480
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
本研究は,環境教育の制度化が国際的に依然として進んでいないことの理由を明らかにするため,環境教育政策が策定されるプロセスを参与観察し,政策形成の途上で出現した障害を詳述し,分析を行ったものである。マレーシア国サバ州で環境教育政策が形成されるプロセスを取り上げて分析した結果,行政官による部局の権限を把持しようとする意識,行政権限が国と州政府とで複雑に分散している状況,政策の内容について合意の形成を達成することの困難さ,そして一般の人々の関心の低さが,障害もしくは葛藤として出現したことが明らかになった。
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山田 一裕, 豊島 正幸
p.
481-486
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
水産廃棄物(カキ殻,海藻残渣)と林産資源(バーク堆肥)を活用した酸性土壌改良材を開発し,その有用性を植栽実験等により検証することを目的とした。 まず,1%希硫酸を用いた回分実験で,細粒(2-5mm)状のカキ殻は1gあたり約15mlを中和した。つぎに,カキ殻にバーク堆肥や海藻を加えて検討したところ,アカモクならそれぞれ5:5:1(乾燥重量比),コンブまたはワカメなら3:4:1で混ぜれば,中和能力の向上と栄養成分の供給ができることがわかった。カラムによる連続実験でも,3種混合系はカキ殻単独系に比べて中和時間が約3倍持続した。植栽実験では,3種混合で植物が問題なく生育することを確認できた。
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村上 和仁, 石井 俊夫, 瀧 和夫, 松島 眸
p.
487-492
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
フリー
野外設置型モデルエコシステムを用いてN・PからCODへの変換率から底泥処理による湖沼内部生産の抑制効果について実験的に検討した。その結果,1) 変換率(αN・αP)の推移から,季節変化のみならず培養の継続期間により植物プランクトン増殖(内部生産)の制限要因は変化すること,2) CODとChl.aの相関から,DAF+MgO散布系は内部生産が進行しており, DAF+CaO散布系は内部生産の抑制に最も効果的な処理系と考えられること,3) 全ての底泥処理系において,実際の手賀沼の変換率の推移とは異なることから,生態系へ何らかの影響を及ぼす可能性があることが示された。
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木塚 俊和, 山田 浩之, 平野 高司
p.
493-498
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
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周囲の農地開発が著しい石狩泥炭地の宮島沼を対象に,水収支と水質の現状を調べた。その結果,営農に伴う水門操作によって,灌漑期終わりから非灌漑期初めにかけて湖水位が大きく低下していた。水収支解析の結果,水路流入と水路流出が湖沼水収支の大部分を占めていた。湖水の溶存態窒素濃度,溶存態リン濃度,および電気伝導度は水路流入水の水質と類似しており,水路流入水の水質が湖沼水質に影響していると考えられた。これらのことから,宮島沼の水文化学環境は,営農に伴う水管理の影響を強く受けていると考えられた。
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田中 孝
p.
499-504
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
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湖面に浮かべた炭素繊維藻場は,湖沼の持つ自浄作用を利用した自然浄化法である。炭素繊維藻には,炭素繊維使用量の34.3倍の汚泥が付着した。炭素繊維付着汚泥の水質浄化作用は,回分水槽と大沼湖畔に設置した湖水循環水槽により測定した。その結果,炭素繊維藻の付着汚泥は生物膜として水質浄化効果を発揮した。測定期間中の最適湖水処理量は480L・kg-S
-1.・day
-1,滞留時間は4.3時間であった。そして,懸濁物質の浄化速度は196 mg・kg-S
-1.・day
-1.,CODは98.4 mg・kg-S
-1・day
-1であった。水質改善材として炭素繊維は,付着汚泥に内包している栄養塩類により藻類を引き寄せる効果もあった。
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高橋 岩仁, 大木 宜章, 高橋 里佳, 大松澤 季宏
p.
505-510
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
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本研究は,下水汚泥を電解処理により性状改質を図り,下水臭気の脱臭材として有効利用することを目的としている。そこで,下水汚泥コンポスト工場において,現場実証試験を行い,実用化の検討を図った。実験は,試料を低濃度臭気で馴致した後,高濃度な原臭気に移行して行った。その結果,低濃度の臭気で馴致することで,原臭気に移行した後も,高い脱臭効果を示した。その後,原臭気が高濃度なため,菌体の至適環境が崩壊し,脱臭限界となったが,定期的に新しく馴致した試料へ交換すれば継続的な脱臭が可能であり,またコスト面でも問題なく,さらに汚泥利用の道も拡がることから,本脱臭法は大いに実用可能であるといえる。
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木炭・軽石・ゼオライトの窒素除去機能向上
水野 多香子, 石川 重雄, 長坂 貞郎, 河野 英一, 齋藤 公三
p.
511-516
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
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富栄養化の原因となる窒素とリンの除去を目的とした浄化方法が考案,実用化されている。しかし,人工的浄化資材は製造コスト,使用後の再利用コスト,さらに廃棄処理による環境への負荷が懸念される。本研究では,既往の研究で稲藁の硝酸態窒素の除去効果が明らかにされていることを踏まえ,使用後の自然への負荷が小さく,還元可能な稲藁との組合せ及び稲藁溶出液への浸漬等による浄化資材(木炭,軽石,ゼオライト)の機能向上の実験を試みた。その結果,各資材は稲藁との組み合わせ,浸漬処理によりNO
3-NとNH
4-Nの除去機能が付与され,T-Nの除去率が木炭で67%→92%,軽石で-6%→51%,ゼオライトで41%→94%にそれぞれ向上した。
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皮 玲, 中根 周歩
p.
517-522
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
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竹炭埋設と減農薬・有機肥料投与が土壌微生物や芝(ペンクロス)の成長に及ぼす影響を検討するため,広島大学の屋上に実験ボックスを設置し,実験前とペンクロス播種後1年の土壌微生物量をリン脂質脂肪酸を指標に分析を行い,またペンクロスの病害や成長を追跡した。竹炭の埋設及び減農薬・有機肥料投与は,相乗的に土壌微生物バイオマスを有意に増大させた。一方,ペンクロスの視覚病害はすべての実験区で見られず,その成長量には竹炭埋設及び減農薬・有機肥料投与のそれぞれの効果,相乗効果が顕著に見られた。ただ,今回は造成後1年間の実験による評価に過ぎず,今後数年間の追加・追跡調査が必要と思われる。
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ロイ キンシュック, 河野 英一, 島田 正文
p.
523-528
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
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土地の利用状況や利用歴が土壌の受食性に大きく影響する。本研究は農地土壌の構造と侵食量との関係を調べることを目的としており,耕起(通常の耕作が行われている圃場),不耕起(約6ヵ月休耕期間を設けている圃場),無耕起(約10年間耕作が行われていない圃場)の状態に置かれた3種類の隣接した圃場内の土壌の団粒分布,有機物含有量,三相分布などの違いから土壌構造を分析し,それぞれの状況における侵食量との関係を調べた。その結果,土壌浸食量が最も少なく受食性の低い土壌は不耕起土壌となり,耕起の状態よりも不耕起状態の方が農地保全の立場から効果的であることを実験的に証明できた。
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横田 樹広, 武内 和彦
p.
529-534
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
会議録・要旨集
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都市縁辺部にあたる下総台地・多摩丘陵を対象に,オブジェクト指向画像分類におけるmulti-resolution segmentationを活用し,都市マトリクスの抽出および類型化を行った。また,マトリクスタイプごとに,環境類型区分の構成パターンの入れ子構造を判定した。結果として,里地環境起源の環境類型が市街化されたマトリクスタイプにおいて入れ子パターンが強く,また丘陵地谷戸環境のように里地のモザイク環境を包含するセグメントや,市街地が優占し散在する緑地のみが包含されるセグメントでは,よりランダムな環境の構成が見られた。この結果,市街地中心から里地環境にかけて,景観構成の入れ子度合いの傾度が推察された。
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梶原 領太, 重松 敏則
p.
535-540
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
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近年,森林の多面的な価値が再評価されている。これらの評価に必要な森林情報の取得・蓄積は,GISの発展により整備が進められているが,林内の緑量や種多様性などの林内環境情報を衛星・航空写真上から得ることは困難である。本研究ではスギ人工林を対象に,航空写真判読から得られた樹冠直径と立木密度に基づき区分し,度数分布表を作成した。また各区分より設定した調査区にて毎木調査と植生調査を実施し,そのデータと航空写真判読情報の相関解析を行った。その結果,特に有意であった胸高直径及び低木層植被率の重回帰分析を行い,回帰式を求めた。これを対象地区全域に適用し,胸高直径及び低木層植被率を推定,その精度の検証を行った。
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池上 絵美子, 木下 瑞夫
p.
541-546
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
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生態的機能の重合からみた都市緑地の連続性を解析するための基礎的研究として,緑地の増減,分布の現況,連続性を把握するため,東京都の多摩地域を対象として2万5000分の1地形図とGISソフトを利用して緑地減少前のポリゴンデータを作成して解析を行った。その結果,現状の緑地のみで連続性を確保することは不可能であることが確認できた。しかしながら,10ha以上の大規模施設を追加した場合,南北方向の連続性が大きく向上する可能性があり,今後の都市緑地ネットワークを向上させるための手段として、団地,工場,公共施設などの大規模な施設を緑化することは有効であると考えられる。
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稲葉 佳之, 厳 網林
p.
547-552
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
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本研究は,近年注目されつつある都市近郊地域における農地の粗放的転用について,神奈川県を対象として,空間的な分布の実態と発生要因をGISと統計手法を用いて明らかにすることを目的とする。結果,2000年以降,都市近傍の市街化調整区域で粗放的転用が増加しており,同地域における耕作放棄とは異なる分布がみられることが明らかになり,放出された農地が首都圏の空間的関係において粗放的転用と耕作放棄に分化することが示唆された。粗放的転用は,複雑な要因から発生しており,農家の衰退だけでなく都市近郊農業の特色である農業の集約化も要因として存在していることが明らかになった。
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薗部 礼, 谷 宏, 王 秀峰
p.
553-558
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
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土壌水分は土層の上部における浸食や収量に影響を及ぼし得るため,農業分野において重要な指標となる。本研究では陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)に搭載されているPALSARによって得られたデータを用いて,裸地における土壌水分の推定を試みた。裸地において,PALSARによって取得される後方散乱係数は土壌水分以外に表面粗度の影響も受ける。PALSAR多偏波モードのデータを用いると,表面粗度と高い相関関係があるクロス偏波データの比を算出することができる。そこで,クロス偏波データの比を表面粗度の指標として用い,表面粗度の影響を考慮した。本研究で作成されたモデルを用いると,土壌水分の指標の1つである体積含水率をRMSE=3.0%の精度で推定することができた。
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朝香 智仁, 保坂 成司, 岩下 圭之, 大木 宜章
p.
559-564
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
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本研究では,マクロ的な水質環境を地球観測衛星によってモニタリングするシステムの構築を目的に,TerraおよびAqua に搭載されているMODIS センサから得られるデータを自動的に受信・処理するシステムを構築した。本解析システムには,高精度に海面からの射出放射輝度を推定できるラジオメトリック補正,および全球の観測地点から経験的に求められたchlorophyll-a 推定アルゴリズムを導入した。この結果,日本近海の水質環境GIS を構築する土台となる,chlorophyll-a 濃度推定画像を準リアルタイムで生成し,時系列データとしてアーカイブできるシステムを構築することができた。
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宮崎 浩之, 柴崎 亮介, 厳 網林, 趙 之重
p.
565-570
発行日: 2008年
公開日: 2011/01/07
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中国西部の青蔵高原では,過放牧の影響による土地劣化が地域社会に深刻な影響を与えており,その把握が急務である。本研究では,MODIS衛星画像から得られた時間分解能16日のデータセットと気象観測データセットを用いて放牧活動が植生に与える影響の推定手法を提案する。青海省馬多県に適用した結果,推定結果は,現地調査で確認した放牧地の利用現況と対応があり,劣化した放牧地,利用されている放牧地,保全されている土地が判別された。また,推定結果を,夏季放牧地,冬季放牧地で時系列に比較することで,それぞれの利用時期を推定することができた。以上から,本手法は,放牧地の現況の観測手法としての発展が期待される。
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