環境情報科学論文集
Vol.25(第25回環境研究発表会)
選択された号の論文の80件中51~80を表示しています
  • 今村 清敏, ロイ キンシュック
    p. 299-304
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
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    乾燥地における壺かんがいの適応性の研究において,壺自体の物理的特性がかんがい能力にどの程度の影響を及ぼすかについての研究は少ない。本研究では,大きさの異なる3 種類の壺を使用し,乾燥地土壌における浸潤状況を土壌体積含水率の実測値から経時的に求めた。全ての壺において,透水係数は同等値(約7×10-11ms-1)を示したが,1日当たりの流出水量は壺の大きさによって約1.6×10-4~6.0×10-4 m3の範囲内で変動することがわかった。さらに,各種壺の物理的特性を考慮した土壌体積含水率の推算値をHYDRUS-2Dを利用して算出した。実測値と推算値を比較した結果,高い相関(R2=0.86)が得られ,壺かんがいは乾燥地土壌における植物栽培に適していることが水理学的に証明できた。
  • 平野 勇二郎, 孫 穎, 酒井 広平, 早渕 百合子, 藤田 壮
    p. 305-310
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
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    本研究では民生業務部門のエネルギー消費原単位について,種々の資料を用いて詳細評価を行なった。具体的には,経年変化,地域熱供給,電力の一次換算係数,調査サンプル数の4 つの変動要因を取り上げ,これらがエネルギー消費原単位に及ぼす影響について検討した。個別建物の情報が利用できる建築設備技術者協会による竣工設備データ(ELPAC データ)を併用した。この分析の結果,これらの要因によりどの程度の差異が生じうるかは概ね明らかにすることができた。ただし,各資料のばらつきはこうした一般的な変動要因では説明できない大きさで生じているため,データを用いる際には各資料の信頼性についてそのつど検討することが必要である。
  • 竹本 明生, 竹本 和彦
    p. 311-316
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
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    途上国に再生可能エネルギーを普及するための枠組み構築に資するため,水力,風力・太陽光,バイオマスの発電量に対する,クリーン開発メカニズム(CDM)及び政府開発援助(ODA)により導入された発電量の割合を技術別,主要国・地域別に推計し,CDMとODAの再生可能エネルギー導入に対する役割を検証した。CDMは中国,インド,ブラジルを中心に,風力,バイオマス発電の加速的な普及に貢献しており,ODAはアフリカ等で貧困地城での電カアクセスの改善という視点から風力・太陽光発電の普及に貢献していることが分かった。今後,途上国は官民の資金の効果を分析し,先進国とも協力して再生可能エネルギーに関する適切な政策と資金の枠組みを構築する必要がある。
  • 白井 信雄, 大野 浩一, 東海 明宏
    p. 317-322
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
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    地方自治体における住宅用太陽光発電の設置補助金の分析とWEBモニターによるアンケート調査の分析を組みあわせて実施した。この結果,都道府県の61%,市区町村の35%が設置補助金を導入しているが,これらの施策は住民に十分認知されていない。また,太陽光発電の設置意向は,初期投資の負担額と売電収入額といった設置条件と太陽光発電の便益性及び負担容易性の評価に規定される。地方自治体の設置補助金は設置意向を高めているが,太陽光発電の評価向上のために,さらに普及啓発に力を入れる必要がある。また,地方自治体の設置補助金の単価は小さくして,できるだけ多くの主体に設置補助金を使ってもらうことが望ましいと考えられる。
  • 石尾 淳一郎, 阿部 直也
    p. 323-328
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
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    本研究では,太陽光発電システム(photovoltaic power generation system,以下:PVシステム)の今後の導入動向を決定づける技術的・社会的影響因子の,①変化の動向,②その結果導入に与える影響,③影響度,④不確実性について,アンケート調査を通して評価・分析した。さらにPVシステム廃棄物の処理問題に関係する因子に注目し,導入に対してネガティブに作用する因子についても分析を行った。結果として,導入動向を特に強く左右するのは,PVメーカー間の価格競争,製造コストの変化であり,補助金,資源価格が導入動向の不確実性を左右する。一方,PVシステム廃棄物が導入に与えると想定されるネガティブな影響は未だ極めて弱いことが明らかとなった
  • 野々村 敦子, 増田 拓朗
    p. 329-334
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
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    都市ヒートアイランドの問題は,従来は大都市の問題として捉えられていたが,大都市周辺の地域や中規模都市においても市街地の高温化が確認されてきている。このことから,今後は大都市部だけではなく,大都市周辺の中規模都市における気温上昇緩和に向けた対策が求められる。高温化のメカニズム,および卓越する要因は地域によって異なると考えられるため,効率的に計画を進めるためには,各地で現状を把握し,どこでどのような対策を必要としているかを,観測データに基づき詳細に把握する必要がある。そこで本研究では,高松平野において土地被覆・土地利用と気温分布との関係を分析した。
  • 大橋 唯太, 亀掛川 幸浩, 井原 智彦
    p. 335-340
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
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    夏期に発生する屋外の熱中症リスクを地域メッシュとして評価できる数値モデルを構築し,2007年の大阪市街地を対象にシミュレーションをおこなった。この計算からは,500mで細分化した大阪市内においても熱中症リスクの地域差が認められた。屋外の熱中症リスクはメッシュ街区の平均天空率と強い正の相関を示したが,これは日中の放射環境の影響を受けた結果であった。熱中症リスクの地域差は,天空率のような街区構造パラメータに加えて,沿岸と内陸といった気候特性の違いも因子として示唆された。したがって本研究で提案する,メソスケール気象から都市や人体のスケールまで連成結合させた地域のメッシュ化によるシミュレーション手法が,熱中症リスクの将来予測にも有効と考える。
  • 榎堀 都, 松橋 隆治, 吉田 好邦
    p. 341-346
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
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    企業の気候変動対応について,アンケート調査に基づき,気候変動パフォーマンスとして評価を行った。そして企業にとって,気候変動対策を行うことがもはやコストではなく,財務的にも好影響を与えているという仮説を検証するために,気候変動パフォーマンスと財務パフォーマンスの相関分析及び重回帰分析を行った。この分析は,日本,米国,英国の企業について行い,いずれの国の企業でも気候変動パフォーマンスと財務パフォーマンスについて正の相関が示され,各国の企業が置かれている状況について考察した。
  • 荻巣 和紀
    p. 347-352
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    気候変動情報開示に係る国際的なニーズに対する日本企業の開示情報の課題を特定し,制度的対応の方向性を明らかにした。主な課題項目として,気候変動方針・戦略の開示,気候変動に伴う財務インパクトや物的リスクの開示,サプライチェーンや子会社・関連会社の温室効果ガスパフォーマンスの開示,及び開示情報の正確性・網羅性が特定された。その後,課題の要因を考察した上で,制度的対応の方向性を考察した。対応の方向性として,重要性の高い情報の開示と開示情報の信頼性確保に関する法制度化,業種特性に応じた開示基準の策定,及び開示情報とその背景にある気候変動対策を促進する杜会システムの改善が特定された。
  • 井口 正彦
    p. 353-358
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では主要な自動車生産国の中でも,共同規制に基づき世界最高水準の自動車燃費規制を導入している日本と欧州における燃費規制をめぐる政策を比較・分析した。この研究の結果,日本においては省エネルギーと温暖化対策といった志向により数回にわたり推進されてきた背景を有し,産・学・官が協調して燃費規制に関する政策が策定されている事が分かった。これに対して,欧州においては急増する自動車部門からの排出抑制という目的の達成のために欧州委員会から燃費規制値が提案された後,様々な利害対立を背景にした行為主体によって自主目標や自主協定といった様々なアプローチを経て,法的規制により形成されたことが明らかとなった。
  • 森田 香菜子
    p. 359-364
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    途上国への効果的・効率的な適応策支援のあり方を探るため,気候変動に対して脆弱なベトナムの事例を基に,適応策支援のための資金供与制度(地球環境ファシリティーと二国間政府開発援助による支援)の効果・パフォーマンスを分析した。ベトナムにおいては,二国間政府開発援助が国家・省レベルのアクターに資金供与する制度が他の制度に比べてより効果的でパフォーマンスが高いことが明らかになった。ベトナムの適応策のニーズ,高い資金調達能力・適応実施能力,中央集権体制でトップダウン型のガバナンス・システム,二国間援助機関との強い連携が結果に影響を与えている可能性が示された。
  • 石田 武志
    p. 365-370
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,様々な自動車CO2対策の効果を総合的に評価でき,各対策の重複効果を考慮した削減効果の推計が可能なモデルの構築を行うことを目的としたものである。本推計モデルは,①保有台数サブモジュール,②燃料消費率サブモジュール,③年間走行距離サブモジュール,④総括モジュールの4つのサブモジュールから構成されている。各モジュールにおいて計算された値に基づき,自動車のCO2排出量を車種・登録年度別に算定できる。各対策を個別に計算した場合(それぞれの対策効果の単純積算)と,重複効果を除外して推計した場合(現行推計ケースのCO2排出量と対策ケースのCO2排出量の差)を比較すると,CO2削滅量の誤差が非常に大きくなる場合があることがわかり,本モデルの有効性を示すことができた。
  • 鉄鋼業と機械製造業の事例研究
    尾沼 広基, 藤井 秀道, 馬奈木 俊介
    p. 371-376
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では米国,日本,中国,ドイツの鉄鋼業と機械製造業を対象にCO2排出量及び付加価値当たりのCO2排出量の要因分析を行った。分析方法にはlogarithm mean Divisia index を適用し,1995年から2005年にかけて各指標の変化要因を国別業種別に比較した。分析結果より,CO2排出量の減少はエネルギー消費原単位の改善が主な要因であるが,米国鉄鋼業及びドイツの鉄鋼業と機械製造業では炭素排出原単位の改善も貢献していることがわかった。また,中国ではCO2排出量の絶対量は増加しているが,付加価値当たりのCO2排出量は半減しており,その主な要因はエネルギー利用効率の改善であることが明らかとなった。
  • 山下 真一郎, 山本 秀一, 中島 敦司, 高島 太郎, 吉田 登
    p. 377-382
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,低炭素志向のツアーオプションを含む仮想的な観光ツアーへの市民の支払意思額(WTP)に対するアンケートをともに,WTPに影響を及ぼす要因を分析した。推定されたWTPは環境配慮や地域の観光振興への関心や観光行動の積極性により高い傾向を示した。重回帰分析の結果,男性,60歳以上,ツアー選択の際に旅行費用を重視する属性はWTPを下げる一方,間接的要因としては,環境や歴史・文化を配慮した観光地の選択,観光振興への興味,自然エネルギーへの認知などがプラスに作用し,エコツアーの環境価値を高めるには,これらの要因への対応が重要であることが示唆された。
  • 湯 龍龍, 井伊 亮太, 時松 宏治, 伊坪 徳宏
    p. 383-388
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
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    LCIA(ライフサイクル影響評価)における温暖化の健康被害係数の評価手法には,評価項目の網羅性が低いこと,使われる気候モデルや疫学情報が古いことなどの課題が挙げられる。本研究はWHOがまとめた温暖化による健康被害の相対リスク及び死亡率の推計データをベースに,CO2の健康被害係数を算定するための枠組みを構築した。評価の対象項目はマラリア,下痢,心血管疾患,栄養失調と洪水災害(海岸洪水,内陸洪水)を網羅し,被害指標をDALY(障害調整生存年)とした。A2シナリオの試算結果は,各被害項目の合計が約2×10-7 DALY/kg-CO2となった。下痢の影響が最も大きかった。心血管疾患及び内陸洪水による健康被害は比較的小さいものの,長期にわたり影響を及ぼすことが示唆された。
  • 宮崎 渉, 能登 敬一, 及川 寛永, 近藤 健雄, 山本 和清
    p. 389-394
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    東京都は首都直下型地震に備え,防災船着場の整備計画を策定した。しかし,東京都の地域防災計画の中に船舶を活用した傷病者輸送に関しての具体的な運用計画が定められていない。本研究では水上輸送による傷病者輸送を実施することを想定したとき,傷病者の輸送基地として活用できる船着場を検討し,傷病者輸送の可能性と輸送計画について一示唆を得ることを目的とする。その結果,震災初動期において行政機関が整備している72 ヶ所の船着場のうち,4 ヶ所が傷病者の輸送基地として活用することが可能であることが明らかとなった。
  • REACH 規則を事例として
    永里 賢治
    p. 395-398
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    近年,科学的不確実性を有する化学物質に対する政策判断として予防原則が用いられている。ここでは欧州の環境規制であるREACH 規則を取り上げ,予防原則を用いた政策決定プロセスについて事例研究を行った。化学物質政策に予防原則を適用する場合,規制対象候補から段階を経ながら判断されていくが,そのプロセスでは規制化の方向に進む可能性が高いことが示唆された。
  • 武田 雄志, 阿部 雄太, 松村 隆
    p. 399-404
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    全国の自治体における電子会議室の設置状況及び環境関連会議室の内容を把握した。水質事故対応の一環として電子会議室を用いた藤沢市の例について発言内容を分析し,同会議室の役割について行政,事故工場,住民の3 つの視点からの考察と今後の課題の検討も行なった。行政には環境調査計画へのインプット,幅広い住民からの意向聴取,広報手段の拡大として,事故工場には広報手段の拡大などの役割を果たしたと考えられる。住民にとっては,環境影響に対する不安や対応への不満の自由な表明と共有の場を提供。電子会議室及び同掲示板は関係者全員にとって,共有データベースの役割を果たしている。リアルタイムでの情報提供が大きな課題である。
  • 能登 敬一, 宮崎 渉, 江上 和也, 近藤 健雄, 山本 和清
    p. 405-408
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    平成23年3月11日に発生した東日本大震災では,帰宅困難者が都内で少なくとも約11万6千人に達するとの集計結果が発表された。改めて震災時の陸上交通を補完する代替輸送の必要性が再認識された。本研究では,防災船着場の運用に必要な制度設計に関するー考察として,防災船着場の運用者と利用者の観点で考察を行った。その結果,防災船着場の運用者である行政は,現状では具体的な運用計画は定められていないことが明らかとなった。更に利用者は防災船着場の存在や機能を認知していないことが明らかとなった。
  • 長崎県佐世保市における事業所調査を事例に
    山口 龍虎, 豊澤 健太, 長岡 諭志, 中村 修
    p. 409-414
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,長崎県佐世保市内における事業所を対象とした環境活動のアンケート調査の結果から小規模事業所による環境活動の意識と実態を把握することを目的とした。その結果から,小規模な事業所においても環境活動の必要性が肯定的に捉えられていることが明らかとなった。地域と連携した環境活動に対しても,機会と条件が整えば協力するという事業所が大多数を占めたが,人的・経済的資源の制約や取り組み方法等の問題により,実践を断念する事業所も多くみられた。また,事業規模に関わらず,環境の意識が高い事業所は環境活動を実施しているという結果が得られた。
  • 白砂 伸夫
    p. 415-418
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    「花」は人々の生活にうるおいと安らぎを与え,そして心の豊かさを象徴するものである。ハウステンボスの一年草花壇と宿根草花壇を事例として,その両者の特性を比較分析することで,宿根草花壇の景観性と経済性について検討した。その結果,景観性の面からは宿根草花壇は草種のヴァリエーションと形態が多様であり,一年草花壇とは異なる変化に富む景観が形成できることが明らかになった。また一年草花壇と比較して60%程度の植栽面積で花の景観が創出できた。経済性の面からは造成当初の植栽費用は,一年草花壇と比較して1/3の費用,単年度の維持管理費においても1/5の費用で維持できることが明らかになった。宿根草花壇は植物の成長とともに変化する自然な景観を創出し,造成時の植栽費用と維持管理の費用が低廉であり,時間の経過と共にこの効果は増大し優れた経済性が認められた。
  • 孔 明亮, 張 清海, 張 安, 章 俊華, 三谷 徹
    p. 419-424
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,「増広重慶地興全図」と資料調査に基づいて,重慶市開港初期における沿岸空間の城門・埠頭・建築を研究対象とし,規模・建物の向き・分布・数量・類型および地形を整理し,その特徴の考察を行った。結果として以下のことが明らかとなった。開港初期,重慶市沿岸空間は,埠頭・寺・城門による三つの特徴的空間の階層性を持つものであった;埠頭,寺,城門は一直線上に配置を割ることによって,沿岸空間に強い全体性を作り出していた;開港初期,社会思想文化方面について,重慶市沿岸空間はこの3層構成によって,軍事,風水,宗教などの特徴を表現していた。
  • 松本 文子, 瀬戸 寿一
    p. 425-430
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,約5 年にわたる大規模調査である京町家調査によって収集されたデータから構築されたGIS データベースを用いて,京町家に関する変数を作成し,滅失に影響を与える要因を分析した。結果として,奥行き,建物状態,町家状態,空き家か否か,近傍の京町家率,近傍京町家の空き家率が有意に影響することが示された。これにより,個々の町家の状態維持とともに,地域的な維持の取り組みが重要であることが示された。また,伝統産業を支える業種である工場業や卸売業との関わりは低く,飲食業との新しい結び付きが滅失を防ぐことも示唆された。
  • 張 清海, 孔 明亮, 章 俊華, 三谷 徹
    p. 431-436
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の目的は,南京民国建築の中で,最も代表的な政府建築の外部空間を対象とし,その構成要素,動線の特徴および建築との構成関係に関する分析を通じ,この種類の建築の外部空間の構成特徴を明らかすることである。結果:南京民国政府が作られた建築の外部空間は,中国同形式の伝統的な空間と比べ,明確な西洋の古典庭園の特徴を持っていた。すなわち,対称性,整然性,開放性,分散しながらもはっきりしていること,などが挙げられる。外部空間は建築の軸線を基準として,シンメトリー的に立体的要素と平面的要素を配置し,「庭園は前方,建築が後部」という空間構成を主としていた。
  • 轟 修
    p. 437-442
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究はあき地の適正管理に関する条例の分析を通じて,あき地が近隣環境へ及ぼす影響項目と,自治体の対応策の現況把握を目的とした。その結果,対象市の約7割で関連条例が制定されていた。条例では土地所有者等に「不良状態を放置しない」等の責務があるとされていた。この不良状態は「雑草の繁茂」等であり,これによって「衛生」「火災」「治安への不安」「都市美観の侵害」「不法投棄の誘発」等の近隣環境ヘの影響が引き起こされるとしていた。自治体の対応策は助言等の行政指導が中心であったが,土地所有者が所在不明等の場合には行政指導中心の取組では持続的な問題解決が得にくい点等を指摘できた。
  • LI Ting, 下村 泰彦, 加我 宏之, 増田 昇
    p. 443-448
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,全国の都道府県営の広域公園における指定管理者制度の導人実態調査から,制度導入の1期目から2期目への変化を捉え,運営上の課題を探った。結果,募集の際,応募資格として公園管理の専門性を挙げる自洽体は2割未満と少ないこと。受託団体では外郭団体が2期目で減少したが約5割と多いこと。指定管理者の約6割が1期と2期を継続して受託していること。選定委員会では特に地方で専門家の参画が少ないこと。選定基準では1期目の実績を2期目の選定に反映されていないこと。提案額の割合は2期目でも評価の2~3割を占めること。自主事業の提案は1割程度増加し,利用料金制は2期目では2割以上増加していること等が分かった。
  • 乾 貴史, 坂部 創一, 山崎 秀夫, 守田 孝恵
    p. 449-454
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究ではインターネット環境における利他的な情報発信(ネット利他)が,社会的スキルと現実の人間関係やQOL(Quality of Life) を向上させているという仮説を設定した。そして,情報系大学生を対象に調査し,共分散構造分析で検証した。その結果,それらの要素を向上させていることが検証された。また,このネット利他は,包括的情報発信よりもその向上効果が高いことが示された。さらに,ネット利他が現実での利他的行動への架け橋となる可能性も示唆された。
  • 黒木 翔吾, 真鳥 晃一, 松村 隆
    p. 455-460
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    大学生を対象に携帯電話リサイクルに関する意識調査を行った。携帯電話端末にレアメタル等が使用されていることを知っている学生は約64%であった。機種変更時に使用済み携帯電話端末を返却・リサイクルしたものは約25%で,約67%の学生はそのまま所持していた。返却・リサイクルしなかった理由は,電話機能以外の目的で所持(約27%),思い出として手元に保管(約28%),処理が面倒(約19%),リサイクルできることを知らなかった(約11%),個人情報流出への懸念(約10%)であった。返却・リサイクルをしなかった学生約90 名を対象に携帯電話リサイクルに関する経済的なインセンティブに関する調査も行った。
  • 坪井 塑太郎
    p. 461-464
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,慢性的な水不足問題が懸念されている中国北京市を対象に,市民の水問題に対する意識や生活用水の利用行動について,街頭でのインタビューによるアンケート調査に基づいて実態の把握と課題の検討を行った。本調査の結果,水不足解消のための大規模な土木工事「南水北調」完成後の将来も,継続して水不足の懸念があることが示されたが,近年では市政府による節水を呼び掛ける啓発看板の街頭設置や,市民自身の積極的な節水への取り組みが行われていることも示された。また行政による節水施策として給水制限の実施や上水道価格の大幅な値上げも行われているが,これらの実施の重要性には市民の一定の理解がみられたものの,生活用水量の削減には必ずしも直結していない現状が明らかになった。
  • 山本 秀一
    p. 465-470
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    自転車の最適走行計画に関する2つの数学モデルを比較検討した。検討するのは,山本(2008)の疲労度最小化走行計画モデルと,われわれが構築した出力最小化走行計画モデルである。いずれもそのモデルとも,自転車の乗り手の属性,自転車の種類,道路勾配を考慮して,目的を最適化する走行計画を選択する。理論分析と数値シミュレーションによって,2つのモデルと最適化走行計画の分析を行った。
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