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真鍋 秀隆, 吉田 彩乃, 山口 翔太郎, 宮下 庄太郎, 平井 隼士, 大場 龍季, 金澤 理仁, 小野 憲史
p.
244-247
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
本事例はサイエンティフィック・ゲームジャムに参加した博士課程学生が体験した、心理的変化のプロセスに関する発表である。サイエンティフィック・ゲームジャムは博士課程学生の科学的研究を題材にしたビデオゲームを48 時間で制作することを目的としたハッカソンであり、博士課程学生である第一著者と、第二〜第七著者が同じチームに属しゲームを共同開発した。本研究では、第一著者が第八著者に対して行った語りを通して、みずから体験の振り返りを行ない、心境の変化を分析した。その結果、「自身の研究分野に関する専門知識を持ちつつ、ゲーム制作にそこまで習熟していない博士課程の参加者が、ゲームジャムを通して科学コミュニケーションやゲーム開発技術に関する多くの新しい知見を得る。また、技術面や時間の制約から満足のいくクオリティに仕上げることができないことに葛藤を感じつつも、各々の専門分野を生かしてゲーム制作に取り組むこと自体に楽しさを見出す」という叙述化が行われた。
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– 「VG2 連合」の活躍を中心に –
鴫原 盛之, 小野 憲史
p.
248-251
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
ゲームメディアの黎明期は、ゲームに精通した編集者やライターが編集部内に殆どいなかったため、特に攻略記事の制作を外部のライターに依存していた。本発表では、黎明期に数多くのライターを各雑誌メディアに派遣していた、アーケードゲームの同人(ハイスコア)サークルと、そこに所属するプレイヤーたちが、いかに誌面作りに貢献していたのか、その歴史を明らかにする。
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土屋 慶太, DINSBACH Bryan, 喜内 瞭, 杉﨑 亮太, 坂本 萌香, 岡田 万実, 関口 和巳, FIADOTAU Mikh ...
p.
252-257
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
NS の普及で新聞等メディアに加えて個人等による情報発信と拡散が増大し,世界には誤情報や偽情報,バイアスにより歪んだ情報が加わり,個人が処理する情報量が急増した.また,この特徴を利用して意図的に人の認知に影響を与えるインフルエンスオペレーション(以後,IOと呼ぶ)も知られるようになった.我々には多量の情報からその真偽や発信・拡散者の意図を見抜き,正しい意思決定を行う能力が求められるため,情報リテラシー教育が各教育機関で行われている.しかし,IO の存在を意識した高いメタ認知能力を発揮するための教育は現在行われていない.そこで,我々は既に義務教育等を経た人を対象とした情報リテラシー教育として,ゲーム空間での経験により,自らが無意識に認知バイアスに囚われて誤った判断をする可能性の存在を認識することが有効であろうと考え,これを目的とするシリアスゲームを試作した.本稿では,本試作の概要と評価の方針について述べる.
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LIU Canyue, 長谷川 綾音, 竹田 章作, 飯田 和敏, 斎藤 進也
p.
258-260
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
本研究では、ゲームエンジンを用いて昭和期(無声映画期)の映画館文化をインタラクティブCG として表現する。そして、現代ではほとんど見られなくなった活動弁士の活弁や当時の映画館の雰囲気、観客の様子を体験できるVR システムの構築を目指す。プレイヤーが活動弁士を演じ、発声の音声データに基づいて観客(NPC)がリアルタイム反応する仕組みを実装する。これにより、昭和期の映画館文化をエンターテインメントとして再現すると同時に、文化保存の新たな可能性を提示する。
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武田 啓吾, 栗原 渉, 兼松 祥央, 三上 浩司
p.
261-265
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
トレーディングカードゲームの収益を維持するために、新しいカードの強さを徐々に上昇させる手法が採用されており、これによりインフレ現象が生じる。インフレの頻度と強度を適切に管理することが求められ、過度な上昇はカード価値の低下や特定カードの集中使用を招き、望ましくないゲームバランスを生む可能性がある。本研究では『ポケモンカードゲーム』、『デュエル・マスターズ』、『Shadowverse』、『ドラゴンクエストライバルズ』のカード情報を分析し、インフレの傾向を比較した。『ポケモンカードゲーム』と『デュエル・マスターズ』は、ステータスの強化が続いた一方で、『Shadowver s e』は数値的なインフレは少なく、カードに複数の効果を持たせる形でインフレした。『ドラゴンクエストライバルズ』は停滞の傾向が強く、短期間でサービス終了に至ったことが示唆された。
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中島 来輝, 栗原 渉, 兼松 祥央, 三上 浩司
p.
266-271
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
近年、ゲームの自動生成技術は多方面で進展しているが、ゲームルールの自動生成は研究例が少ない。特に、マルチプレイヤーゲームでの駆け引きを重視したルールの自動生成は未開拓である。本研究では、落ち物パズルゲームに着目し、対戦型かつ駆け引きを意図的に取り入れたゲームルールの自動生成を目的とした。自動生成に特化した記述言語を提案し、ブロックの種類や消滅条件などの要素を記述可能にした。これらの要素をランダムに選択しつつ、ルールの破綻を防ぐために値の幅や条件の数を制限し、必ずブロックが消せるルールと妨害を含む対戦要素を実現した。検証の結果、安定したルール生成が可能であり、被験者実験では生成されたルールの大半が駆け引き性を持つと評価された。本手法により、駆け引きを含む安定したルールの自動生成が可能であることを示した。
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– 空間的な時間旅行の体験設計 –
YUAN Suqing, 渡辺 修司
p.
272-274
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
本研究は、自己移動メタファー(ego-moving metaphor)を基盤とし、言語の時制を空間的な移動に対応させるゲームメカニクスを提案するものである。本作品では、円環状のUI を中心に、プレイヤーが輪を回転させることで過去・現在・未来の時空間を移動する体験を提供する。時間の抽象概念を視覚的かつ体験的に具現化し、プレイヤーに独自の「時間旅行」の感覚をもたらすことを目指している。
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GUO Puchun, 渡辺 修司
p.
275-277
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
本研究は、初期段階のプロトタイプ作品での発表となる。プレイヤーが仮想SNS で投稿を見返すたびに内容が変化する仕組みを用い、SNS 視聴行為を基点として、不安や恐怖が生みだされる作品を制作する。これは現実のSNS で助けを求める投稿が無視されることで生じる悪影響を象徴的に表現し、デジタルゲームの視点から、匿名性や情報過多が引き起こす「ネット無関心」や「フェイクニュース」などへの問題提起となりうる研究を目標とする。
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鎌田 真実, 入江 智也
p.
278-279
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
本研究は、中学生における親子間のゲーム使用に関するルールがあるのかの現状を把握することを目的とした。中学生で毎日2 時間以上オンラインゲームをする第1 子をもつ母親5 名を対象にしてインタビューを実施し、手動でコード化された各アイテムをテーマ別のフレームワークに基づいて分類した。その結果、ゲームの問題(無断での高額課金・部屋にこもる・食事中もゲームする・攻撃性の表出)、親の介入(声をかける・没収/禁止・使用時間を減らす・ルールの無効化)、ルールの内容(ゲーム時間・課金・ゲームの置き場所)、親のゲームに関する価値観(ゲームはポジティブなものだ・子供が自由にゲームをすることを見守る・ゲームをするとからだに支障をきたす・ゲームは時間管理が難しい・ゲームは優先順位が低い・子供のゲームのことがわからない)に分類された。
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CHEN Delong, 渡辺 修司
p.
280-282
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
本研究は、初期段階のプロトタイプ作品での発表となる。瞬時に並行世界に世界切り替えながらも、オブジェクトの座標やルールが共有される環境をプレイヤーに与え、物体の属性(材質、機能など)や環境特性(重力、温度など)が瞬間的に変化することで発生するパズルゲーム的メカニクス作品を制作する。これにより、環世界の変化やアフォーダンスに関連し、いかにしてレベルデザイン的誘導が可能となるのかといった研究を目指す。
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川戸 聡也
p.
283-286
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
コーディングの知識や技術を身に付けるためのC 言語による初期段階のプログラミング教育において、その集大成としてコマンドラインで動作するゲーム作りをアクティブラーニング型で実施している。これは、ゲームという身近で気軽なものを題材として、プログラミングに関する意欲を高めつつ理解の深化や楽しさの実感を主体的かつ対話的に促すものである。本取り組みについて、直近の実施における改善点やアンケート結果を中心に報告する。
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田野井 匠, 栗原 渉, 兼松 祥央, 三上 浩司
p.
287-292
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
近年のゲーム業界では、プレイや体験向上を目的としたAI 技術の進化が進む一方、エージェント設定の動的変更や再学習のコストが課題である。本研究では、学習済みモデルの出力を確率分布に基づき調整する手法を提案し、再学習を必要とせず多様な性格設定を持つエージェント生成を可能にした。この手法は、開発コスト、学習時間の削減、およびゲーム中の性格設定の動的変更による性格表現の設計支援を目指す。
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– 各定義の論点重複データの作成と分析に基づく整理 –
井上 明人
p.
293-298
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
本研究は、「ゲーム」の定義に関する多様な議論がどのように関係し合っているかを分析する。従来、ゲームの定義にはルール、目的、自発性、競争、快楽など様々な要素が挙げられてきたが、それらの相互関係を明確にする試みは少ない。本研究では、主要なゲーム研究の文献を分析し、それぞれの定義要素の共起関係をネットワーク分析により可視化する。結果、ゲームの定義には複数の安定したクラスタが存在し、一つの典型には完全には収束しないことが示唆された。今後、より厳密な手法を導入し、定義の再現性や異なる言語圏・学問分野との比較を進めることで、ゲーム研究の包括的理解を目指す。
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田中 香帆, 栗原 渉, 兼松 祥央, 三上 浩司
p.
299-302
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
近年、ゲームのユーザーインターフェイス(以下「UI」)について盛んに研究がおこなわれている。研究で扱われるUI デザインの多くは研究者が独自に設定したものが多く、プレイヤーの好みが反映されたものが少なく、ゲームのジャンルもFPS に限定されている。カスタマイズ可能な機能を実装し,パフォーマンスの変化や快適さを調査した.その結果,カスタマイズによってパフォーマンスの変化は確認できなかったが,主観的なプレイしやすさが向上することが確認できた。
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佐々木 柚葉, 栗原 渉, 兼松 祥央, 三上 浩司
p.
303-308
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
Virtual Reality(以下「VR」) ではHead Mounted Display (以下「HMD」)によって視界全体が覆われるため、ゲームなどのVR コンテンツへの没入感が高まるという特長がある。しかし、VR ではプレイエリア内に現実空間の障害物があると、HMD の装着中に視認できず衝突してしまう危険がある。そのため本研究ではVR コンテンツに現実空間の物体を違和感なく表示させるシステムを提案する。これによりHMD 装着中でも障害物を回避させることを目標とする。
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倉原 幹貴人, 齋藤 大輔, 鷲崎 弘宜
p.
309-314
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
現在、AI 教育ではゲームベースの手法が多く取られている。しかし、その中で要求分析から始まり、学 習者の作
成したAI モデルを自動的に評価するものは少ない。そこで我々はLLM(Large Language Model)を用いて、自然言語 に
よる問題を作成し、それに対して解決策を記述するとともにコーディングを行うタスクベースの学 習法を提案する。また、
このタスクベースの学習を行えるゲーム、"LLM-PoweredAILearningQuest" (LLM-ALQ) を提案する。そして、このゲームの学習効果、およびタスク形式の学習効果を測定した。 その結果、タスクベースの学習法には一定の学習効果が見込まれた。一方、ゲームのUI やシステム改善などの課題点も浮き彫りとなった。
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山田 侑哉, 長谷川 綾音, 福田 一史, 斎藤 進也
p.
315-318
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
コロナ禍以降、文化財等を仮想空間上で展示する仮想展示の取り組みが大きく拡大した。一方で、それらの多くは現実空間の再現に重点を置き、デジタル表現の特性を活かした展示形態について探究が十分ではない。本研究では、ゲーム開発のノウハウを交えて仮想展示を構築し、博物館体験を独自に拡張することを目指す。具体的な手法としては、キャラクターAI を活用した対話型の情報提示や、強力なゲームエンジンの表現力を駆使したパーティクル表現などを用いる。
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大塚 敏郎
p.
319-321
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
現実の物体にキャラクタを感じさせるようなMR システムを提案する.本システムでは,複合現実感(MR)やLLM 技術を用いて現実世界の物体にビジュアル,人格を与え,ユーザは物体にキャラクタを感じながらインタラクションを行うことができる.実験を行った結果, 物に対するユーザの印象が変化したことが確認された. また,本コンセプトの将来的な適用可能性について述べる.
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–プロトタイプの開発および初期評価–
井上 喜延
p.
322-327
発行日: 2025年
公開日: 2025/03/28
会議録・要旨集
オープンアクセス
本研究では,学生相談機関におけるサービスギャップの改善を目的とした,シリアスゲーム(プロトタイプ)の開発と初期評価を目的とした。心理学領域における援助要請の研究知見をストーリー展開に反映させたシリアスゲームを開発した。5 名の大学生にゲームをプレイさせ,質問紙による前後比較と感想の自由記述を求めた。その結果,援助要請に関する複数の指標で有意な変化が見られた。自由記述から“第四の壁”の破壊や選択肢の強制などのゲーム内要素が影響している可能性が示唆された。
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