日本デジタルゲーム学会 年次大会 予稿集
Online ISSN : 2758-6480
第12回 年次大会
選択された号の論文の53件中1~50を表示しています
前付け
基調講演
特選トラック
  • 福井 昌則, 大立 博昭, 黒田 昌克
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: T-1
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究の目的は,大学生のゲームリテラシーとゲームの利用動機との関連性について探索的に検討し,ゲームリテラシーを涵養するための基礎的知見を得ることである.財津の「ゲームリテラシー」尺度,「ゲーム関連パーソナリティ」尺度,井口の「ゲームの利用と満足」尺度を準備し,私立大学の2 年生103 名を対象に調査を行った.その結果,①「空想」と「スキル」,「理解・活用」,②「趣向」と「想像・没入」,③「達成」と「スキル」,「マナー・モラル」,「探求・挑戦」,④「友達」と「理解・活用」,⑤「学習」と「スキル」,「理解・活用」,「マナー・モラル」,「冷静・慎重」,「想像・没入」,「探求・挑戦」の間には有意な関連性が認められた.一方,⑥「承認」,「気晴らし」はゲームリテラシー尺度およびゲーム関連パーソナリティ尺度のいずれの因子とも関連性が認められなかった.
  • 財津 康輔, 藤本 徹
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: T-2
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究では、ゲーム学習を教育現場に導入する実践者を支援するパターン・ランゲージを作成した。現在、デジタルゲームのオンライン学習塾にてゲーム学習の実践を行っている講師4 名を対象にインタビューを実施し、18 個からなる「ゲーム学習支援パターン」を作成した。作成したパターン・ランゲージを用いて、ワークショップを行った結果、参加者から「ゲーム学習支援パターン」に関する好意的な発言が得られ、ゲーム学習に関する実践知を共有したり、講師同士で相互に経験則を交換しあうといった有用性が確認された。
  • 自由に決めた目標には手応えがあるか
    今川 真志, 阪田 真己子
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: T-3
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    これまで自己主体感と選択肢に関する研究が行われてきたものの、従来の研究ではボタンを押すといった非常に短期間での行動について明らかにするのみであった。しかしゲームプレイのような日常の場面では、ある行動がより長期的な目標のための手段に過ぎないことも多く、この違いを無視して一般化するのは難しい。そこで本研究では長期的な目標に対する行動における選択肢の数を変化させることにより、短期的ではない目標設定がプレイヤーの自己主体感に与える影響について検討した。この結果、選択肢の数が自己主体感に影響するのは、選択する行動が自己目的的である場合であることが示唆された。
  • 佐藤 隼介, 梶並 知記
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: T-4
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本稿では,First person shooter (FPS)ゲームにおける,角待ちに着目した試合の振り返り支援用の可視化インタフェ ースを提案する.角待ちとは,FPS に関する専門用語の一種である.任意のプレイヤーキャラクターが,部屋や通路の角 で,敵のキャラクターがプレイヤーキャラクターの視界に入ってくるのを待つ行動である.FPS の試合の振り返りにおいて, どれだけ角待ちが有効に機能していたか確認することは,有利な状況で戦闘できる機会を得られていたか分析するため に重要である.本稿では,非プロプレイヤーを対象とした,ゲームフィールド内の角待ち可能なエリアごとに,チーム別に, 角待ちしている時間に対して角待ちが有効に機能している時間を,帯グラフ状で可視化するインタフェースを提案する.
口頭発表セッション
ゲームプレイ ( セッション 1 )
  • 河村 拓哉, 西 康晴
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 1-1
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    ゲームにはクリアするタイムを競うRTA という遊び方があり,近年盛んに行われている。特に日本ではRPG のRTAに人気があり,今後プレイヤーが増えることが予想される。RPG のタイムロス要因には戦闘での敗北があり,タイム短縮のために勝率を上げる必要がある。しかし,既存プレイヤーは経験や勘のみで高い勝率を実現しており,新規プレイヤーはどのようなバトル戦略で戦闘を行えばよいかが分からない。そこで本研究では,RPG の戦闘の勝率を上げる手法を検討する。本発表で提示する生存重視戦略では,敗北する手前の状況では回復を選択し,それ以外では攻撃を選択する。敵が連続で強力な攻撃を使用したら敗北してしまう状況になる前に回復を選択するようにし,戦闘の勝率の向上を図る。一方,敵が連続で強力な攻撃を使用しなければ負けないという希望的観測戦略とランダム戦略についても検討し,三つのバトル戦略の勝率を比較した。ターン制RPG と時間制RPG の2 種のRPG タイトルで,各バトル戦略を実装したプログラムに戦闘をさせ,その結果,生存重視戦略がいずれのRPG でも最も高い勝率となった。
  • グローバルなゲーム動画コンテンツのプラットフォーム間競争の視点から
    五十嵐 輝, 田中 絵麻, 小山 友介
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 1-2
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    動画共有配信プラットフォーム上で拡大する「ゲーム実況」を軸に、米国大手プラットフォーマーのゲーム動画コンテンツ市場への参入及びプラットフォーム間競争の激化、そして日本国内の動画共有配信プラットフォームであるニコニコ動画の停滞から、ゲーム動画コンテンツ市場におけるプラットフォーム間競争を考察する。結論としては、ニコニコ動画の停滞は、収益還元の不足によるゲーム動画コンテンツクリエイターの流出と、それにつられた視聴者の移動によって引き起こされたものである。
  • 塩津 薫, 河野 義広, 村上 洋一, 花田 真樹, 布広 永示
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 1-3
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    リアルタイムWeb ゲーム開発において、通信遅延の影響を考慮した同期制御や通信頻度などのチューニングには知識や経験が必要であり、開発のための学習や試行錯誤に要する時間短縮が課題である.本研究ではゲーム開発時のチューニングに要する時間短縮を目的とし、ユーザの客観的要素に基づくQoE 評価指標を開発した。具体的には、開発した2D ゲームにおいて通信遅延とチューニングパラメータの組み合わせパターンを数種用意した被験者実験により、脳波とログデータを分析することでQoE 評価指標を開発した。
ゲームAI ( セッション 2 )
  • 小澤 蓮, 梶並 知記
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 2-1
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本稿では,First Person Shooting(FPS)ゲームにおける非熟練者を対象とした,ミニマップへの着目を促す音声ガイドシステムを試作する.FPS 熟練者は,プレイ中の特定の状況において,適切にミニマップへ着目し,より良いプレイに必要な情報を取得している.本稿では,熟練者がミニマップに着目している複数種類の特定状況を判定し,非熟練者にそれぞれの状況に応じたミニマップへの着目を,音声を用いて促す,プレイ支援システムを構築する.
  • 松野 唯人, 河野 義広, 布広 永示
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 2-2
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    リアルタイムWeb ゲームの実現には,通信頻度に依存しない同期制御,ゲームジャンルおよび仮想空間内での物理法則を考慮した時空間の管理など,高度な技術の習得が必要である.本研究では,リアルタイムWeb ゲーム開発において通信遅延の影響を軽減する予測アルゴリズム,およびゲーム空間内の物理法則や次元数などの要件の調整方法(チューニングパラメータと呼ぶ)の導出を目的とする.具体的には,2D アクションゲームにおいて,ゲーム内での物理法則,予測アルゴリズム,通信遅延の組み合わせを10 数種類のパターンを用意し,予測アルゴリズムが整合性へ与える影響をそれぞれ比較し,有効性を評価する手法を提案する.
  • 三宅 陽一郎, 鳥海 不二夫
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 2-3
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    デジタルゲームにおける人工知能技術の技術選択は,各技術を採用した場合の工数の見積もりによる比較が大きなウェイトを占める決定要因である.デジタルゲームにおける人工知能技術は,開発者が,各ミッションの制御,各キャラクター制御にプログラムを記述する方法が80 年代から取られてきた手法であったが,次第にそのプログラムやデータを自動生成する手法へと発展してきた.この発展に際して,各制御にプログラムを記述するスクリプトによる記述手法を単位として,自動化された手法が,どの程度の工数に相当するかを推定する手法を提案する.それぞれのAI 技術が内包する自動化の度合いを見積もることが可能となる.そして,本手法によって大型・中型・小型・超小型ゲームにおいて,人工知能技術を導入するメリットを本手法によって計算する.結果として,大型ゲームにおいては100 倍スケール,中型ゲームでは数倍のスケールで工数削減のメリットがあり,小型・超小型ゲームでは逆にコストが高くなる結果を得た.
キャラクター ( セッション 3 )
  • コレスポンデンス分析と女性向け小説との比較をつうじて
    中谷 秋桜, 向江 駿佑
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 3-1
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    日本語には多くの人称代名詞が存在し、我々は日常生活で自身の立場や相手との関係によってそれらを使い分けている。ゲーム内のキャラクターが人称代名詞をどのようにもちいるかもまた、各キャラがもつさまざまな属性によって決定される。本研究は2017 年から2021 年に発売された乙女ゲームを対象に、両者の相関関係を検討した。調査にはコレスポンデンス分析をもちい、約500 キャラ分のデータから作成したクロス集計表をもとに、主要男性キャラクターの属性と使用する人称代名詞のパターンを検証した。また、同期間に刊行・公開された女性向け小説のキャラクターの場合と比較した結果、乙女ゲームは小説にくらべ使用される人称代名詞の種類が有意に多いことと、同音であっても漢字やかなの表記がことなる人称代名詞が、独立したものとして別個にキャラの属性の影響を受けることがわかった。
  • 人気ゲームの内容分析の報告
    渋谷 明子, 大倉 韻, 祥雲 暁代, 麻生 奈央子, 大坪 寛子
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 3-2
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    16 歳から24 歳のゲームプレイヤーに質問紙調査を実施し、上位30 位のデジタルゲームに登場するキャラクターを分析した。その結果、プレイヤーが主人公の性別を選べるゲームは多かったが、性的マイノリティを選べるゲームは少なかった。主要キャラクターの性格や行動では男女差はあまりみられなかったが、女性は男性よりも若く、肌が白く、日本人が多い傾向がみられた。また、女性は男性よりもやせ型で、肌の露出も多かった。
ゲームと社会 ( セッション 4 )
  • 犬田 悠斗
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 4-1
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    シリアスゲームが注目を集めると共に、政治・社会問題の認知・価値訴求を目的としたデジタルゲームの開発・研究が進められてきた。デジタルゲームは、ゲームメカニクスによって、政治・社会問題の根底にある社会構造自体を表現することができる。加えて、ゲームメカニクスの制限と意味づけによって、言語をあまり媒介とせずに、政治・社会問題の認知・価値訴求を効果的に行うことができる
  • 仮想空間の『遊び』か、それとも仮想空間に進出した『現実』社会か
    中尾 優奈
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 4-2
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本発表では、『メタバース』 が考察対象である。今後の発展が推察されるメタバースは、デジタルゲームの延長線にある仮想空間を用いた『遊び』が本質なのか、それとも仮想空間に進出した『現実社会』か、これらの対立する命題を比較検討する。具体的には、和田洋一・ザッカーバーグのメタバース論を対比させつつ、ディシプリンとしてはメディア論を援用する形で、メタバースの発展の指向性について仮説構築的な考察を行う。
  • オンライン体験の没入感に焦点を当てて
    永井 丈介, 坂井 裕紀
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 4-3
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    これから到来するsociety5.0(超スマート社会)を迎えるにあたり,若者は,これまで以上に「生」と「死」を見つめる心を養う必要がある。死の体験をしなくても演劇や映画などの作品を通して表象された死から死生観が養われることがあるように,「死」や「喪失」を物語の核としたゲームが青少年を対象とした「死への準備教育」に有用である可能性が海外では報告されている。そこで,本研究では,「死」をテーマにしたノベルゲームを開発し,実施した。その結果,体験者から「意外にも没入して驚いた」などの感想が得られた。本発表では開発したノベルゲーム「運命の出会いと別れ」と体験者の感想について報告する。
教育 ( セッション 5 )
調査・分析 ( セッション 6 )
  • 陳 寛, 小山 友介
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 6-1
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    近年、ゲーム市場に大きな影響を与えている「ソーシャルゲーム」の従来のゲームとの大きな違いは、ゲームの面白さの評価軸に「持続可能性」が加わったことがある。そのため、これまでのゲームになかった、リアルタイムの「運営」の良し悪しがゲームのサービス存続に大きな影響を与えていると考えられる。本研究では複数のソーシャルゲームのSNS運営を調査・比較し、ゲーム運営におけるプラスの行為やNG行為を模索する。
  • 小学館の学年別学習雑誌におけるゲームの記事に着目して
    毛利 仁美
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 6-2
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究では、小学館の学年別学習雑誌(学年誌)におけるゲームに関する記事の内容を精査し、子ども向け雑誌をゲームメディアとして捉え、研究や調査に活用する上で有用な記事の分析枠組みを構築し、その資料特性を明らかにすることを試みた。結果として、ゲーム機毎の分類と、「遊び」「教育」「PR」を軸とする記事内容分類を作成し、学年誌を多角的に分析可能となった。さらに、作成した分類と分析シートを活用し、資料特性を明確化するための予備的な分析を1975〜1987年までの記事を用いて進め、既存のゲーム研究における言説とは異なる見方でゲーム文化についての考察が可能になることが示唆された。
  • 福田 一史
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 6-3
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    国内でもゲーム研究シーンは活発化傾向にあるが、実際のところ国内の研究動向は海外の動向と比べると、特有の方向に進展していると議論されることがしばしばである。本研究は、国内のゲームを対象に計量書誌学のアプローチを用いてその全容を概観し、日本におけるゲーム研究の経時的推移を明らかにすることを目的とする。CiNii、J-Stage、NDL Search などのオンライン書誌情報サービスから、ゲームを対象とする6,583 件の書誌情報を収集し、データセットを作成した。データ視覚化とテキストマイニングを通じて、コミュニティの構成や、児童・メディアから、法学・経済学・経営学から技術や社会活用に主要なトピックが変遷していることが明らかになった。
  • 鈴木 真奈
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 6-4
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本発表では,1970 年代後半から1980 年代前半期の日本における,個人を対象としたコンピュータとビデオゲームについて,二つの仮説を立てる。一つは,BASIC でビデオゲームをプログラミングすることには,コンピュータの動作検証や学習という意味と,ビデオゲームで遊ぶという意味の,二つが混合していたことである。もう一つは,家庭用コンピュータの用途としてビデオゲームが普及したのは結論として言えるのであって,前提ではなかったということである。
e スポーツ・産業 ( セッション 7 )
  • 髙橋 亜佑美, 河本 燿杜, 佐久間 穂崇, 河合 優, 髙寄 正樹
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 7-1
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    理工系学部の大学院博士前期課程を対象としたPBL 型演習で,e スポーツ大会を開催した.本報告は,e スポーツ大会の概要と大会コンセプトの提案から大会開催までのプロセスについて説明し,大会の参加者向けアンケートから得られた改善点をもとに,今後定期的に大会を開催するための検討事項について述べる.
  • 銭谷 初音, 松本 隼人
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 7-2
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/23
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    「e スポーツ×地方創生」の事例は日本各地で注目されており、大阪ミナミもその一例である。しかし大阪ミナミは、民間鉄道事業者がe スポーツ事業を展開することや、産官学が連携した”大阪e スポーツ研究会”が発足するなど、他の地域とは異なる特徴を持っている。そこで本研究では、大阪ミナミのe スポーツの事例、関連する先行事例をまとめることで、「eスポーツ×地方創生」の観点から、なぜ日本のeスポーツの市場規模が世界基準に達していないのかの課題点を「プレイ人口」と「プレイ環境」、「法規制(自治体の理解)」の評価軸から検討した。その結果、コロナ禍においてプレイヤーのプレイする機会・大会や配信を見る機会が増加したこと、多くのプレイヤーが自宅にゲーミング環境がないこと、そして、法整備は整っていないものの、自治体から前向きな姿勢がうかがわれたことが明らかにされた。
  • ジーンの事例から
    小野 憲史
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 7-3
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    地方自治体などが交流人口の増加、地域社会の活性化、郷土理解の促進などを目的に製作する「地方創生ゲーム」が増加している。本研究ではこれらのうち、株式会社ジーンが地方自治体等と官民連携で開発したスマートフォン向けXR アプリケーション『AR長岡宮』『Go!Go!しだみ古墳群』『体感 国宝彦根城』をケーススタディとして取り上げ、自治体等の担当者と開発者にヒアリング調査を行った。その結果、異なる評価基準を持つ複数の組織・団体が創造的な摩擦を通して新しい価値を創造する、ヘテラルキー型組織によるイノベーションが観察された。
  • 市区町村立のミュージアムの事例から
    寺農 織苑
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 7-4
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    わが国の市区町村立の公立ミュージアムで、ビデオゲーム機やそれにまつわる二次資料を用いた展示会が開催されてきた例は少なくない。しかし、それらの展示会ではビデオゲーム機などを通史的に紹介したにすぎず、地域の特性や学芸員の専門性を活かしきれていない。そこで本稿では、地域の公立ミュージアムがビデオゲーム機などを展示するときに、どのような展示会にすれば、ただの通史を示す年表的な展示から脱却できるのかを、かつての展示会を振り返り、ひとつの案を提示するとともに、具体的な手法を提案するものである。
シリアスゲーム・ゲーミフィケーション ( セッション 8 )
  • 福山 佑樹
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 8-1
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究では、教育利用された脱出ゲームが社会情動的スキルの獲得に与える影響についてこれまでに行われた研究を参照しながら検討した。結果、社会情動的スキルの育成を副次的な目標とするような脱出ゲームにおいても、一定水準の「関係構築」スキルの育成が行われていることから、脱出ゲームはその構造自体が「関係構築」スキルの獲得にある程度寄与するものであると考えられる。しかし、効果的に社会情動的スキルを育成するためには、「SAFE」の原則にそって、脱出ゲームを含むプログラムを設計する必要があることが示唆された。
  • 松隈 浩之, 荻野 宏実
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 8-2
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    健康増進を目的としたゲーミフィケーションによる行動変容技法の実証研究結果を報告する。現状、健康であるため、健康増進に対する緊急度が低く積極的な動機を持たない個人に対し、ゲーミフィケーションによって歩数増加を促すスマートフォンアプリを提供し、20 人が19 週間利用した。ゲーミフィケーションの要素を、期待される効果ごとに分類し、段階的に機能を追加して歩数と継続日数を計測した 。要素を加えた段階ごとに歩数の増加が確認でき、継続を促進する要素の追加においても継続日数の増加が確認できた。結果として、ゲーミフィケーション要素の分類ごとの有効性と特性が示唆された。
  • 第12 回年次大会予稿集版
    パントー フランチェスコ
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: 8-3
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    近年、ゲーム業界ではシリアスゲームやゲーミフィケーションといった概念が拡大している。しかし、プレイヤーにとって機能的なゲーム(学習、メンタルヘルス)であれば、魅力や楽しさに欠けることが多い。その逆もまた然り。ゲームが楽しくて魅力的であれば、エンターテインメント以外の可能性が探られていない。著者は日本のトップレベルのゲームの面白さを取り入れながら、同時にユーザーに心のケアをできるゲームの制作にチャレンジしている。第一ステップとして、兄メーゲムの心理的な有効性を検討するパイロット研究を実施した。第1と第2研究において、物語作品の消費によって、精神的健康がどのように影響されるのか、予備インタビュー調査アンケート調査が実施された。第3の研究においては、ナラティブセラピーとナラティブトランスポーテーション理論(感情移入論)の原則に従って制作されたオリジナルビデオゲームを用いて、パイロットCBT を実施した。
ゲームデザイン・開発 ( セッション 9 )
企画セッション
企画セッション 1
企画セッション 2
  • ゲーム産業と学術の結合点について考える
    小出 治都子, 宇出津 和仁, 中林 寿文, 應矢 泰紀
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: K-2
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    2000 年以降、ミュージアムにおいてゲームに関する展示が多く開催されるようになった。それに伴い、ゲーム展示に関する課題も明らかになりつつある。その課題について、ゲーム産業と学術の視点から考えることを目的とし、「ゲーム=ミュージアム」と題して企画セッションを行う。4名の事例報告の内容を踏まえ、「ゲーム会社、ゲーム開発者、研究者からみるゲーム展示の課題」、「ゲームと他分野(アニメ、マンガ)とのメディアミックスの課題」、「今後のゲーム保存はどのように展開されていくか」、「人材育成および教育」についてディスカッションを行い、ゲーム産業と学術の結合点について考える。
インタラクティブセッション
  • 宮野 秀市
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: I-1
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    悪質商法から身を守るための学習ツールとして、スマートフォン対応のブラウザゲームを開発し、その評価を行った。大学生を対象として、悪質商法から身を守るための学習ツールである、市販本、パンフレット、ウェブサイト、ブラウザゲームのそれぞれについて、どの程度利用したいと思うかについて回答を求めた。さらに、それぞれについてどう思うかを自由記述で回答を求め、そのテキストデータに対して計量テキスト分析を行った。その結果、ブラウザゲームには他の学習ツールにはない「楽しい」、「面白い」という評価がなされたことがわかった。しかしながら、どの程度利用したいかについては、他の学習ツールとの間に有意な得点差は認められなかった。
  • 大内 海人, 兼松 祥央, 松吉 俊, 三上 浩司
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: I-2
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    様々な理由からユーザーに「クソゲー」と称されるゲームの多くは話題にもされないことが多い。一方でカルト的な人気を持つ「愛されるクソゲー」というものも存在する。クソゲーが愛される要素、すなわち好意的「クソゲー」要素を見つけ、それをゲームに付与することで、ゲームの話題性や評価をより高めることができるのではないかと考えた。まず、YouTube 動画コメントから好意的「クソゲー」要素の候補を抽出した。それを付与したゲームを制作し、評価実験を行った。実験の結果、好意的「クソゲー」要素を付与したゲームは、付与していないものよりもプレイヤーを楽しませるとわかった。また、一部の好意的「クソゲー」要素が、ゲームを続けるモチベーションとして逆効果になることもわかった。
  • 大森 由希菜, 兼松 祥央, 松吉 俊, 三上 浩司
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: I-3
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究は、ゲームの画面遷移演出における、ユーザの体感時間を減少させることを目的とした。映像を用いた実験により、評価の高いゲーム演出に、体感時間を短縮させる効果があるとわかった。また、刺激を加えるタイミングの違いは、体感時間を変化させる要因となり得ると明らかになった。この結果をもとに、実際のプレイと同じように演出を繰り返し見た際の体感時間の変化について調査した。その結果から、序盤に刺激の多い演出は、ユーザが繰り返し見る演出として不適切な可能性があるとわかった。そのため、同じ演出を複数回見ることになるゲームには、刺激が一定である演出が適していると推測した。よって、ゲームにおける画面遷移では、場面に応じた演出が重要であることがわかった。
  • 実験ゲームのテストプレイによるキーボードとゲームパッドの違い
    キム ソンヒョン, 遠藤 雅伸
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: I-4
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    家庭用ゲームの入力デバイスはキーボードとマウス、ゲームパッドに分かれる。我々は、ゲームジャンルによって必要な操作が異なるため、適した入力デバイスも異なると考えた。そこで、2D アクション、2D シューティング、レース、FPSの4 ジャンルのゲームを実装し、テストプレイを行った。その結果、2D シューティングとFPS はキーボードとマウスが、レースはゲームパッドが適することがわかった。
  • 中田 豊久
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: I-5
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本稿では、著者が2012 年から大学の講義などで行っている「ゲームと教育」に関する活動を紹介する。まず、ゲームと教育をその関係性から4 つのカテゴリーに分類し、そのうち3 つのカテゴリーについてその内容を紹介する。また、著者の主観に基づく定性的な評価だけでなく、授業評価アンケートの改善や受講者数の増加といった定量的な評価結果も示す。ただし、成績向上に関するデータについては得られていない。
  • 標葉 靖子, 佐藤 沙織, 下山 肇, 松田 純子, 駒谷 真美
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: I-6
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    共創型ボードゲーム『Changing』は、プレイヤーが異なる色のコマで挟んで「混色」しながら「6×6」のボードを完成させる新感覚の6 色リバーシである。オセロとは異なり、光の三原色であるRGB と色料の三原色であるCMY の色表現形式に基づいて色が変化する。プレイヤーはその色変化を楽しみながら任意の最終盤面を目指す。本研究では、試作品の予備評価として、大学生10 名にデジタル版(β版アプリ)を用いたオンラインプレイとアナログ版(キューブ積み木)を用いた対面プレイの双方を経験してもらい、それぞれのプレイ体験の特徴・相違を比較した。その結果、一緒にプレイした仲間内での共創感覚は積み木を利用した対面プレイの方が得られやすい一方で、デジタル版を用いたオンラインプレイでは、時間・空間的に同期していないユーザー間での「共創」が期待される可能性が示唆された。
  • 酒井 美百合, 吉沢 秀雄, 遠藤 雅伸
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: I-7
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    拡張現実感による重量知覚操作により、力作業を支援できることは明らかになっている。このような外部刺激によって体感が変化する一因として、我々は作業結果のフィードバックの有無があると考えた。そこで単純な筋力運動の連続において、毎回の課題成功時に楽しいと感じる音が鳴る装置を実装し、テストプレイによる検証を行った。その結果、音が作業の継続可能回数を向上させると示唆された。
  • 荻野 楓也, 今井 輝樹, 新田 怜, 古市 昌一
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: I-8
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究では,メディアリテラシー教育を目的としたWeb ゲームの試作を行った.試作したシステムDoubtMisleaderは,SNS 上で発信される情報の信用度を自らが判断する力を身に付けることを目的としたもので,情報の信用度の判断方法としては,「アセスメントツール」の考え方を参考とした.プレイヤーは現実世界とは異なるゲーム世界上で発信される情報の信用度を判断することが求められるため,一般常識だけでは正しく判断することができない点が特長である.「どの情報が信用に値するか否か」を判断するにあたり,プレイヤーが現実世界における常識に基づいて判断すると誤りとなるよう,ゲーム内に提示する情報を本ゲームでは工夫した.
  • 長谷 宏紀, 遠藤 雅伸
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: I-9
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    不愉快を感じさせるゲームがある。我々は不愉快を感じる要素を調査し、それを故意に組み込んだゲームを実装し実証実験を行った。その結果の分析より、ゲームを楽しめない要素として、不適切なルールとプレイヤーのスキル不足が抽出された。一方、不愉快であることを察知し、ルールを創発してゲームを楽しむ一面も存在した。
  • 今給黎 隆
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: I-10
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究では、トンボが持つ色覚・広視野をリアルタイムにヘッドマウントディスプレイ(以下HMD)で再現をするシステムを提案する。360 度カメラで撮影した動画をストリーミングによりHMD で表示する。HMD に表示する際に、複眼等のトンボの視覚特性を再現するようにリアルタイムに変換することであたかもトンボになったかのような世界を実現する。本研究は、HMD における視野拡張を実現するゲームの基礎研究であり、IT を用いた理科教育の一つの実践である。
  • 近藤 泰正, 永光 翔瑚, 古市 昌一
    原稿種別: 会議論文
    セッションID: I-11
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    大雨による災害では,早めの避難を住民自らが判断するために防災気象情報を参考することが求められている.しかし,避難指示等の避難情報に加えて,防災気象情報の提供内容や表現方法は変更され,活用が促されているのにも関わらず,国民の理解や活用は不十分である.そこで, 本研究では,防災気象情報にはどのようなものがあるのかを理解して自ら集められるようになること,避難判断の体験を通じて防災気象情報の活用を促すことを主な目的とし,令和元年東日本台風による長野市の洪水災害を対象としたアドベンチャーゲームを試作した.
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