経済教育
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36 巻, 36 号
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論文
  • 2017 年 36 巻 36 号 p. 1-2
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー
  • 2017 年 36 巻 36 号 p. 3-
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー
  • 塩沢 由典
    2017 年 36 巻 36 号 p. 4-9
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

     経済学の危機はひじょうに深い。それは経済の諸問題に対し,経済学が有効な対策を提示できないという範囲に止まらない。問題の深さは,理論を根本から作りなおす必要,需要供給の法則を理解しなおすことにまで及んでいる。この事態は,しかし,経済学教育を真に教育的なものにする基盤をも与えている。既成の知識を教え込むのでなく,深く考える仕方を教えるには,論争をベースとする教育がふさわしい。経済学が危機にあること,その危機が乗り越えられつつあることは,経済学を「わくわくする」ものにしており,それは経済学教育を「わくわくする」ものに作りかえる基盤でもある。

  • 小川 一仁
    2017 年 36 巻 36 号 p. 10-13
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー
  • アクティブラーニングによる経済の授業
    河原 和之
    2017 年 36 巻 36 号 p. 14-18
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

     中等学校は学力格差があり,必然的にユニバーサルな授業が不可欠とされる。なぜなら,学力上位層に視点を当てると授業は崩壊し,学力下位層に当てると,「内職」が蔓延するからである。社会科教育,とくに経済教育は,日常生活を紐解き,分析し,その背後にある「みえない」ものを探究するものである。そのことから,他教科と比較してユニバーサルな授業が可能である。従って,経済教育の“未来”は,いわゆる学力低位層にとっても“明るく未来ある”学習でもある。本論文では,以上のようなユニバーサルデザインをふまえた授業事例を紹介する。

  • 中等経済教育のスタンダード化を巡る論争をふまえて
    猪瀬 武則
    2017 年 36 巻 36 号 p. 19-24
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

     英米における経済学教育内容のスタンダード化論争と日本の需給図教授批判論を検討することにより,多元主義経済カリキュラムの必要性を論じた。英国では1970年代に大学受験資格試験(GCE)の新古典派経済学による一元化,米国では1980年代に学校経済教育フレームワークの新古典派総合による一元化に対して,それぞれ批判がなされた。近年,英国ではブラントらによる,批判的実在論に依拠したGCE批判がなされている。日本でも1990年代に塩沢由典に依拠した需給均衡図の学校教育排除論が展開された。これらをふまえて,経済学教育の目標・内容・方法は,多様な経済学派を反映させた多元主義経済教育論に基づくカリキュラム開発が必要である。

  • 2017 年 36 巻 36 号 p. 25-
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー
  • 江戸川区子ども未来館「経済ゼミ」の事例を参考に
    木村 雄一
    2017 年 36 巻 36 号 p. 26-35
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

    本稿は,「江戸川区子ども未来館」で小学生4〜6年生を対象に開催された「経済ゼミ」についての活動記録の報告から,小学校の社会科教育における経済教室に「ゲーム」を導入する意義を探ることにある。本ゼミの目的は,経済学の概念・考え方を理解するための「ゲーム」を導入することで,小学生が中学校・高校レベルで習う経済学の一定の内容を理解し,経済問題に深い関心を持てるようになることであった。結論として,経済教育において「ゲーム」を導入することは経済学の理解の一助となることが示された。

  • 梶谷 真弘
    2017 年 36 巻 36 号 p. 36-43
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

     本稿は,経済の観点を取り入れた歴史学習の方法を提案することを目的とする。

     経済の観点を取り入れる意義は,以下の二点である。

     第一は,経済の観点で歴史を観ることで,為政者の政策だけでなく,社会構造をより深く,多面的に捉えることができる。

     第二は,政策を分析,評価するための現代にもつながる見方・考え方,つまり思考の型を身に付けることができる。

     以下の手順で論を進める。まず歴史学習に経済の観点を取り入れることの有効性を述べる。次に学習方法を示す。そして,時代ごとの実践例を提示する。

  • 力丸 剛
    2017 年 36 巻 36 号 p. 44-50
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

    これからの授業には,

    ・網羅的に知識を伝達するのではなく,事象を捉える「見方や考え方」をしっかり授けること

    ・「見方や考え方」を整え活用しながら論理的思考を成長させていく過程において,ALを手段として多彩に織り込むこと

    ・試行錯誤しながらも人としての感性を豊かに働かせ,どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るのかを生涯に渡り考え続ける「学びに向かう人間性」を育てること

    ・メタ認知,批判的思考などを身に着け,「解なき問い」にさえ向き合えるポテンシャルを育てること

    が求められている。

  • 小学校の教科書に「税」はどのように記述されているのか
    金子 幹夫
    2017 年 36 巻 36 号 p. 51-57
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

    教師は,教科書に書かれている順番を大きな枠組みで解釈しながらストーリーを創る。そして児童・生徒は,教科書から多くのメッセージを受け取る。これは教科書を一冊の塊として捉えた場合のことである。社会科系教科書には「税」がいたるところに登場する。この所々に書かれている「税」だけを取り出して順番に並べると,児童・生徒は「税」についてどのようなメッセージを受け止めるのだろうか。小学校の教科書を分析した結果,「税」に関して児童は多様なメッセージを受け止めるのではないかという問題意識を持つようになった。ここに問題点があるならば,高校の公民科の授業で「税」に関する学びの再構築が可能なのではないか。

  • 「戦後日本経済の歩み」を統計表とグラフで 高校生に教える
    箕輪 京四郎
    2017 年 36 巻 36 号 p. 58-71
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

    ①A3用紙に,タテは1955〜2016年,ヨコは9つの時系列をとり,「基本統計表」を作った。②主にその基本統計表から,いくつかグラフを描いた。③教材に使える新聞記事(日付と見出し)を紹介した。④効率・成長第一の経済を反省し,福祉優先の,温かい経済を目指したい。⑤経済を学ぶ楽しさも伝えたい。これらの教材と姿勢を,パワーポイントで投影するか,コピーして配布,時系列の推移,また時系列間の関係を眺めると,いくつもの発見・驚き・感懐・疑問が生まれる。それらを,みんなでワイワイがやがや話し合いたい。教科書で用語の意味を確認しながら。

  • 貨幣錯覚に関するアンケート分析を手がかりとして
    田村 徳至
    2017 年 36 巻 36 号 p. 72-77
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

     2015年に信州大学で教職課程科目を履修している大学1〜4年生188名に貨幣錯覚に関するアンケート調査を行った結果,理科系学部の学生の中にはインフレーション・デフレーションなど高等学校までの基本的な経済事項の習得が不十分な学生が存在することが明らかになった。さらに,貨幣価値を変化の絶対額で捉える学生も存在している。本稿は, 学生が変化の激しい現代をたくましく生き抜く力を育成する必要があるとの問題意識に基づき,大学生が基本的な金融リテラシーを身に付け,主体的に消費生活を営むことができる賢い消費者を育成するための学習単元の開発を試みたものである。

  • 柴田 透
    2017 年 36 巻 36 号 p. 78-82
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

     これまで,高校の「政治・経済」の教科書についての経済教育に関する研究では,学派という観点から戦後から現在までを網羅した歴史的な分析はこれまで行われていない。一般的に,教科書はその学問分野の通説にもとづいて叙述されることが通例であるが,経済学においては,様々な経済学派が併存していることが特徴の一つであり,このことがどのように高校の「政治・経済」の教科書執筆に影響を与えたのか,そして歴史的にどのような変遷をしてきたのかを明らかにすると同時に,その変化についての仮説を提示し,検証もしている。この分析方法についても,従来の研究の方法の問題点を指摘し,その改善策を提案している。

  • 留学生の意識との比較も含めて
    中里 弘穂
    2017 年 36 巻 36 号 p. 83-88
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

     就職活動時期の短期化に伴い,インターンシップ(以下インターン)の役割が重要視されている。大学生を学業に専念させたいとの安倍内閣の要請を受け,経団連は採用活動の解禁を3年次の12月から3月,採用試験の開始を4年次の4月から6月に後ろ倒しをする指針を示した。実質的な就職活動期間が短期化され,学生は自らの志望を固める意味で積極的にインターンの参加を考え,企業は優秀な学生との早期の接触の意図からもインターンに力を入れている。しかしながら地方大学の学生がインターンに参加する場合,都市部の大手企業のインターン参加は交通費,宿泊費の負担が必要なことから大学の立地地域での参加が多くなる。地方企業でのインターンは日程が短い,内容が充実していない,希望する企業を選択できないなど学生からの不満も多い。本研究は福井県立大学経済学部・生物資源学部の学生を対象に福井県企業で実施されるインターン参加の現状と効果を調査分析し,地方大学の留学生のインターン参加並びに就職意識も踏まえ,地方企業で行われるインターンの課題を抽出したものである。

  • 金子 能呼
    2017 年 36 巻 36 号 p. 89-94
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

     地域社会と積極的に関わり,課題解決型の学習を取り入れることにより,ゼミナールの学生たちはマーケティングの実践力を鍛えている。また,アウトキャンパス・スタディやおにぎりやスイーツの商品開発など,地域における多角的な活動は,多彩なコンピテンスを育成することも可能とし,学生が得られる学習効果は少なくない。

     他方で,短大生であるため活動に取り組む時間が限られ,活動の継続と進展が難しい。また,学生全員の個性を活かしつつ,ゼミナール全体で得られる成果を最大化する方策を探ることが,継続的な課題としてあげられる。

     そのための対応として,個々の学生に対して,丁寧に個別対応し,熱意を持って活動を進めていくことが考えられる。

  • 水野 英雄, 熊澤 有里
    2017 年 36 巻 36 号 p. 95-100
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

     大学教育における具体的な成果を示すものとして資格取得は意義があると考えられている。本研究では経済・経営系学部における資格取得に関する学生の意識と,就職に関してどのような資格が有効であると認識しているかを椙山女学園大学現代マネジメント学部において実施したアンケート調査に基づいて考察する。その結果,①大学生にとって資格は就職に役立つものであり,就職での活用と取得のための労力や費用のバランスを採って資格取得を目指している,②必ずしも経済や経営の知識を活かした資格を取得している訳ではない,③資格を仕事に活用するのではなく履歴書に書くためだけのものになってしまっている傾向がある,ことが示された。

  • 田中 淳
    2017 年 36 巻 36 号 p. 101-108
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

     この論文は,東京都立産業技術高等専門学校(以下,本校と略す)において,2010年度から実施している『医療福祉経済学』の授業内容を概観したものである。この科目は,本校の医療福祉工学コースの5年生を対象に,一般教養系の教員ながら専門工学科目を担当する選択科目として設置された。今回の論文では,設置の経緯や,社会保障や福祉制度の入門的な教育単元をどのように配列したか,どのような教材を準備したかを説明し,教育単元の成功した部分や反省点を紹介する。

  • 川合 宏之
    2017 年 36 巻 36 号 p. 109-115
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

     近年,高大連携型の授業が注目を集めている。本論では,ある商業高校で取り組まれてきた「商品開発」の授業に関して,参加した高校生・大学生へのインタビュー・データから,どのような体験や学びを明らかにし,効果を高める高大連携型の授業についての仮説提唱を行うことを目的とした。分析結果から,高大連携において当事者である高校生と大学生の相互作用が特に重要であり,これを活発化させることが教育効果を高めるために最も肝要であることが明らかとなった。

  • 算数・数学教育の歴史的検討から
    新井 明
    2017 年 36 巻 36 号 p. 116-122
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

     経済教育には数学が必要であるがそれを苦手とする生徒,学生が多い。その背景には現在の算数・数学教育の在り方,大学入試制度に問題があることが指摘されている。ところが,江戸期から戦前までの算数・数学教育ではかなり高度な経済に関する数学の学習がなされてきた。本稿では,なぜ日本の算数・数学教育が経済との関係を希薄化させてきたのか歴史的に検討する。そのことを通して,現代の経済教育に必要な数学的リテラシーを日常生活から経済学の学習まで展望する。

  • 2017 年 36 巻 36 号 p. 123-
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー
  • TPP推進の賛否を事例として
    内田 秀昭
    2017 年 36 巻 36 号 p. 124-128
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

     本稿はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)推進についての意見対立を事例として,教員が指定する課題図書の主張が学生の意見形成に与える影響について分析している。具体的には,日本のTPP参加について賛成派の本を読んだ受講者と反対派の本を読んだ受講者の間で受講者自身の最終的な意見に違いがあるかどうかを検証した。分析の結果,TPP参加への賛成を主張する課題図書を読んだ受講者は自らも賛成の意見を,反対を主張する課題図書を読んだ受講者は自らも反対の意見を持つ傾向が強いという結論が導かれた。

  • 中学校の社会科教員へのアンケート調査からの考察
    金子 浩一
    2017 年 36 巻 36 号 p. 129-139
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

     筆者は,中学校の社会科・公民的分野における経済概念に関して,2014年度にアンケート調査を行った。全国から400の中学校が無作為抽出され,社会科教員158人の回答を得た。調査結果から,金融政策より財政政策が詳しく教えられている実態がわかった。たとえば,拡張的金融政策については,金利の低下に言及せずに景気を改善させることを説明している場合もある。それは貨幣市場に関わる金融政策がなぜ財市場の増産につながるのかを説明していないことを意味する。また,現行課程の新項目の一つ「預金通貨の創造」について,その用語が記載された教科書を使用する教員の過半数が説明していないことも判明した。

  • 地域産業振興に向けた協同学習
    竹田 英司
    2017 年 36 巻 36 号 p. 140-148
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー

     本稿の目的は,①プロジェクト型学習にはどのような効果があるのか,②プロジェクト型学習を通じて,学生たちは「主体的な学び」,「対話的な学び」,「深い学び」が実践できたのか,二つの事例から検証することである。検証の結果,筆者が運営したプロジェクト型学習では,教育,研究,社会貢献と相乗効果があり,プロジェクト型学習を通じて,学生たちは「主体的な学び」と「対話的な学び」を実践できたと結論付ける。また,プロジェクト型学習を通じて,学生たちが「深い学び」を実践するためには,経験学習サイクル論(コルブ1984)をプロジェクト型学習に適応させた上で運営すべきであると強調する。

  • 2017 年 36 巻 36 号 p. 149-
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル フリー
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