日本地球化学会年会要旨集
2019年度日本地球化学会第66回年会講演要旨集
選択された号の論文の266件中151~200を表示しています
G13 地球化学の境界領域への展開
  • 齋藤 努
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G13 地球化学の境界領域への展開
    p. 151-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    歴史資料を対象とする自然科学分析の分野で、鉛同位体比分析法は、青銅製品や鉛釉などの鉛原料の産地を推定するのに応用されている。その際、現代に採掘されている鉱床などのデータを参照しつつも、鉱山遺跡や製錬遺跡など歴史資料と同時期に営まれた考古学的な事例や、文献の記録とも照合し、異なるさまざまな分野からの視点で眺め、それらを総合することによって結論を導き出していく必要がある。ここでは、その事例として、古代の皇朝十二銭や山口県内鉱山との関連性などについて紹介する。

G08 生物と有機物の地球化学
  • 尾崎 和海
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 生物と有機物の地球化学
    p. 152-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    近い将来、James Webb宇宙望遠鏡などの次世代望遠鏡によって、系外惑星の生命存否にかかわる情報(biosignature)が得られると期待されている.実現すれば、「宇宙に生命は存在するのか?」という長年の問いに真正面から向き合うことが可能となる.しかしながら、大気組成に関する情報からいかにして生命存否を判断し、そこでの生物活動と惑星環境の関係を読み解くのかについての方法論はまだ完成されていない.とくに、生命が存在する惑星において形成される大気海洋化学環境が生命活動とどのように関係しながら進化していくのかという時間軸に沿った課題については、一時間断面の大気観測からではアプローチすることはできず、惑星表面での物質循環(生物“惑星”化学循環)を考慮した理論的枠組みの構築が必要である.本講演では、地球史を通じた大気海洋化学環境の進化について、生命進化との関連に焦点を当てながら研究成果を紹介し、今後の展望を議論する.

G02 古気候・古環境解析の地球化学
  • 窪田 薫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G02 古気候・古環境解析の地球化学
    p. 153-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    海洋生物が生成する炭酸塩骨格は過去の海洋環境を反映する有用な記録媒体である。その代表的なものとして、サンゴ骨格・有孔虫殻・魚類耳石・二枚貝殻などが挙げられる。本講演では、発表者がこれまで行ってきた、これら炭酸塩骨格試料に対する地球化学分析を通じた古環境研究の成果について概観する。特に、もっとも精力的に取り組んできたホウ素同位体(δ11B)分析に焦点を当てる。ホウ素の含有量が炭酸塩骨格中で非常に小さいこと、実験中の汚染の影響を被りやすいこと、同位体の質量差が大きく同位体分別を起こしやすいことなどが原因で、δ11B分析は地球化学分析の中でも技術的に非常に難しいものの一つである。表面電離型質量分析計を用いたサンゴ骨格のδ11B分析や、マルチコレクター型ICP質量分析計を用いた浮遊性有孔虫殻のδ11B分析を通じた海洋炭素循環研究について紹介する。

S01 海洋-大気境界層における地球化学(SOLAS)
  • 川幡 穂高
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: S01 海洋-大気境界層における地球化学(SOLAS)
    p. 154-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    地球システムは複雑で、生起する現象は多様なので、多面的な研究が必要です。未来への変化を予測するには、「単一時間面」のみでなく「過去・現在・未来」と時間軸に沿った理解が必須です。「地球化学」の研究は、主に分析化学の技術開発を中心とした「化学」と統合的な理解で代表される「地球惑星科学」の2つアプローチが重要です。「炭素循環」を中心とした環境研究を実施してきました:①沈降粒子、②サンゴ礁およびサンゴ骨格、③飼育実験、④生物鉱化作用、⑤河川と海のリンケージ、など現在の環境での知見を基にプロキシ(古環境推定用の指標)を開発・高度化し、⑥それを古気候・古環境の精密解析に応用し、地球表層環境のプロセスの普遍性を明らかにしてきました。

S02 地球メタロミクス
  • 平田 岳史
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: S02 地球メタロミクス
    p. 155-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    メタロミクス(生体金属支援機能科学)は、生体内に含まれる金属元素、特に微量元素の機能・役割を体系的に理解しようとするオミクス・サイエンスの一つである。最近では、金属ナノ粒子の生体内動態や毒性に関する関心も高まっており、メタロミクス研究の応用研究は飛躍的に拡大している。一方で、生体内の金属元素は環境・食物から摂取されるため、生体金属の包括的循環の理解には、地球環境を含めた網羅的な循環過程を理解する必要がある。この考えに則り、生体系・地球全体を含めた元素循環を研究する学術分野を「地球メタロミクス」とよび、その推進に向けて化学分析法の開発を行っている。本講演では地球メタロミクス研究の概念とその実現に向けた分析法の最前線を紹介する。

G06 固体地球の化学とダイナミクス
口頭発表(第三日目)
G07 宇宙化学・惑星化学
  • 奈良岡 浩
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 157-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    炭素星と思われる惑星状星雲周囲にC60, C70などの炭素クラスターの存在が確認された。炭素質隕石中にも炭素クラスターが存在することが報告されたが、その存在については反論も多い。本研究ではAllende隕石中に炭素クラスターが存在するかについて、液体クロマトグラフィー/高分解能質量分析を検証したのでその結果を報告する。

  • 三村 耕一, 奥村 文章, 原田 尚美
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 158-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    不溶性有機物(IOM)は隕石中の有機物の主要成分であり、それを含んでいる隕石の化学進化に関する情報を持つ可能性がある。我々は、温度に敏感である有機物の性質に注目し、IOMの熱分解によって得られた生成物(熱分解生成物)の化学組成および同位体組成とその発生温度の関係を調べ、IOMを含む隕石の熱史に制約を与えることを試みた。熱分解のデータはAllende IOMが2つの熱イベントを経験したことを示唆した。最初は始原的な物質である13C、15N、Dに富んだ脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、含窒化合物などを取り去る550-800℃以下の熱変成であり、次は含硫黄物質と含酸素物質を付加する300℃以下の変質である。これらのデータと先行研究の結果(Allende IOMの被った最高変成温度は550-590℃との報告)を考慮すると、Allende隕石は550-590℃の熱変成の後、300℃の変質を経験したという熱史を提案可能である。

  • 岩佐 義也, 古川 善博, 力石 嘉人
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 159-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    炭素質コンドライト中には溶媒不溶性有機物(IOM)とアミノ酸などの溶媒可溶性有機物(SOM)が存在し、これらの有機物は母天体内部でのホルモース型反応により生成されたという説がある。一方でIOMの炭素同位体比はアミノ酸より数十‰以上低いことが知られている。このような大きな同位体比の違いが、ホルモース型反応で説明できるかは明らかでない。そこで本研究では母天体を模擬したホルモース型反応実験による生成物の炭素同位体比分析を行い、隕石有機物の起源に制約を与えることを目的とした。ホルムアルデヒド水溶液を80℃で加熱して得られたIOM模擬物質とグリシンとアラニンの炭素同位体比を分析したところグリシン、アラニンの炭素同位体比はIOM模擬物質より優位に高い値を示し、実際の炭素質隕石中の傾向と整合的であった。この結果は隕石有機物の起源がホルモース型反応であるという説を支持する結果となった。

  • 古賀 俊貴, Hannah L. McLain, José C. Aponte, Eric T. Parker, Jamie E. Elsi ...
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 160-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    C3・C4ヒドロキシアミノ酸は近年Murchison隕石中で同定された隕石アミノ酸の新たなグループである。本研究では、異なる岩石学・鉱物学的組成を示すCM・CRコンドライト中においてC3・C4ヒドロキシアミノ酸の構造異性体・鏡像異生体分布をガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて調査した。CR2, 3においてα-MethylserineがCM2と比べて顕著に豊富だったが、β-, γ-構造異性体はYamato 791198 (CM2) より少なかった.他のCM2と比べてYamato 791198では総存在量が10倍以上である一方で、構造異性体存在比に顕著な差はなかった.また、水質変成の度合いの増加に伴う総存在量の減少が観察された.これらの結果から、炭素質隕石中のC3・C4ヒドロキシアミノ酸は①アンモニア存在下におけるホルモース反応と②ストレッカー反応の2つの生成機構によって生成されうると考察した.さらに、それらの存在量や分布は隕石母天体環境における酸化還元状態を反映していると考えられる.

  • 平川 尚毅, 癸生川 陽子, 小林 憲正, 中藤 亜衣子, 近藤 正志
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 161-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    隕石母天体における有機物と鉱物の共進化を明らかにするため、分子雲有機物の模擬物質を各種の鉱物とともに加熱し、その生成物を分析した。有機物とかんらん石の反応実験からは次のような結果(1,2)が得られた。1 かんらん石表層の一部でその化学組成に変化が生じた。出発物質に用いたかんらん石に対し200,300℃の加熱生成物の一部はSiに富み、蛇紋石に近い組成を示した。一方で400℃ではSiに富む組成は見られず、Yada and Iishi (1974)の、水熱実験によるかんらん石の蛇紋石化実験の結果と整合的となった。2 かんらん石表面にはMgやFeの溶け出しによるEtch Pit (Lafay et al. 2012)が観察された。 鉱物を加えない分子雲アナログ有機物の加熱では出発物質中のカルボン酸とアルコールの脱水縮合によるエステルの形成が示され(平川ら, 2018, 日本地球化学会年会)、この過程で生成した水が反応に関与したと考えられる。

  • 桐生 健斗, 癸生川 陽子, 高橋 嘉夫, 武市 泰男, 若林 大佑, 大東 琢治, 近藤 正志, 伊藤 元雄, 兒玉 優, 小林 憲正
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 162-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    CI・CM・CRコンドライトなどに含有される最大で数wt.%の有機物は、母天体での水質変成作用に伴い、より複雑化かつ高分子化したと考えられているが、この過程に層状ケイ酸塩鉱物をはじめとする特定の鉱物が関与した可能性が指摘されている。本研究の目的は、走査型透過X線顕微鏡(STXM)および透過型電子顕微鏡(TEM)という2つの顕微分析機器を用いて、両者の共進化過程をより詳細に理解することである。Tagish Lakeおよび3種のCIコンドライトの超薄切片計9枚について、STXMを用いたC,Fe-X線吸収端近傍構造(C,Fe-XANES)スペクトルによる分析を行い、得られたスペクトルのピーク強度比を比較した結果、(ⅰ)これらが同一フラグメント・隕石内ではおおよそ近い値となること、(ⅱ)有機物の分子構造とFe(Ⅲ)の比率との間には一定程度の相関があることなどが確認された。このような結果は、共存する鉱物や水質変成作用の程度の相違に起因している可能性がある。

  • 工藤 久志, 谷 篤史, 永澤 眞, 山田 桂太, 吉田 尚弘
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 163-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    氷衛星・氷惑星から噴出するプルームには、H2やCO2、CH4等の微量ガスが含まれる事が明らかにされてきたことから、微生物による生命活動の可能性が注目されている。しかし、岩石での地質化学的な微量ガスの生成の寄与が不明瞭であることから、微量ガスを検知するだけでは、微生物による生命活動を断定しきれない。この現状を踏まえ、本研究は、氷衛星・氷惑星の環境を模した室内実験から、主にCH4の同位体分別の素過程を評価し、生物起源のガスの寄与の定量的な推定を行うことを目的とする。本研究では、氷地殻–内部海に存在し、プルーム放出までの過程に影響を及ぼすクラスレートハイドレートに着目する。実験では、エンケラドス、および、エウロパの条件における同位体分別を調べる。実験に際し、50 MPa まで圧力を保持できるバッジ式特殊環境ハイドレート生成装置の開発を行った。本発表では、装置、および、測定法の詳細についての議論を中心に行う。

  • 藤谷 渉
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 164-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    始原的隕石である炭素質コンドライトは一般に水や有機物など揮発性物質を豊富に含んでいる。隕石母天体形成時に集積したH2Oの存在量は、母天体における水質変成過程がH2Oの存在量に関して閉鎖系/開放系であったのか、という重要な問題に関係している。さらに、H2Oの存在量が制約できれば、層状ケイ酸塩鉱物および無水ケイ酸塩鉱物の酸素同位体比とマスバランス計算から、H2Oの酸素同位体比も推測することができる。また、揮発性の炭素化合物の存在量は、母天体が集積した位置(太陽からの距離)を制約する重要な指標である。本講演では、CMコンドライトおよび特異な炭素質コンドライトであるタギシュ・レイク隕石の母天体に集積した揮発性物質、特に氷(H2OやCO2など)の存在量やその酸素・炭素同位体比について考察した結果について報告する。

  • 佐久間 圭佑, 日高 洋, 米田 成一
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 165-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    4種のCMコンドライト(Cold Bokkeveld、Murray、Nogoya、NWA 4428)に対し、酸による段階溶出実験を行い、得られた5つのフラクションおよび全岩試料のBa同位体分析を行い、その同位体組成変動の起源に関する考察を試みた。多くの試料において、135Ba、137Ba、138Baに連動した同位体異常が見られ、この結果からは太陽系始原物質中に含まれていた太陽系外からの複数の原子核合成成分の存在が考えられる。また、酸残渣フラクションのBa同位体データの解析結果からは、s-過程同位体の濃集に加え、プレソーラー粒子であるSiCのうち1~2%程度の割合で含まれるX粒子の存在を示唆する結果が得られた。本研究では、Ba同位体データに含まれるs-, r-過程およびX粒子に起因する同位体異常成分を考慮することで、135Csの初期存在度の定量的な見積もりを試みる。

  • 増田 雄樹, 横山 哲也, 明星 邦弘
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 166-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    始原的炭素質コンドライトの全岩及び包有物中の重元素にみられる核合成起源の同位体異常は初期太陽系における同位体不均質性を示すと考えられる。しかし太陽系の物質進化と同位体組成の均質化の関係ついては不明な点が多い。そこで本研究はAllende隕石中の難揮発性物質である、fine-grained spinel-rich inclusion (FS) と、Al-rich-chondrule(Al-chond) 及びAmoeboid Olivine Aggregates (AOAs)について、TIMSを用いたSrの高精度同位体分析を行った。その結果、AOAやAl-chondは同隕石中の代表的なCAIであるType B CAIとは異なるガスリザーバーで形成された可能性が示された。またFSのガスリザーバーのSr同位体比に関しては、従来の想定と比べ非常に大きな不均一性を持っていたことが明らかとなった。 これらの結果から初期太陽系の物質形成しについて新たな理解を論じる。

  • 山下 勝行, 石神 あやゑ, 後田 祥吾, 西原 克, 日比谷 由紀, 飯塚 毅
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 167-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、独自に開発を進めているTi, REEの分離法を用いて、コンドライトの全岩試料およびAllende隕石から分離したCAIの精密Ti同位体分析を行った。その結果、全てのCAIから同位体異常を検出することができた。また、同位体異常の大きさが全て誤差範囲内で一致したことから、これらのCAIは均一なTi同位体組成をもつリザーバーから形成されたと考えることができる。いっぽう、CAIに見られる正の50Ti同位体異常は、普通コンドライトの全岩試料からは確認することができなかった。

  • 比屋根 肇, 福田 航平, 谷村 佑貴, 藤谷 渉, 杉浦 直治, 鹿児島 渉悟, 高畑 直人, 佐野 有司
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 168-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    ベリリウム10(半減期約140万年でホウ素10へと放射壊変)は、主として宇宙線による核破砕反応によってつくられるため、初期太陽系におけるその存在度は、とくに原始太陽からの高エネルギー粒子照射のよい指標となっている。本発表では、初期太陽系におけるCAIやコンドルール中のベリリウム10(その放射壊変生成物である過剰ホウ素10)の分布に関する観測事実をレビューし、そこから推定される初期太陽系における原始太陽からの高エネルギー粒子の照射環境について考察したい。

  • 和田 壮平, 川﨑 教行, 圦本 尚義
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 169-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    細粒CAI形成環境のガスの酸素同位体組成を解明することを目的に,NWA 8613 CVコンドライト中の細粒CAIについて,岩石鉱物学的観察とSIMSによる局所酸素同位体分析を組み合わせた系統的研究を行った.本細粒CAI構成鉱物の酸素同位体組成は,CCAMライン上にプロットされる非平衡分布を示す.その中でもメリライトの酸素同位体組成は,Δ17O ~ −23から0‰の間に分布している.一方で,酸素同位体組成の変化を示すメリライト結晶よりも大きい粒径をもちながら,均一に16Oに乏しい酸素同位体組成を示すメリライト結晶がある.これは,元々,16Oに乏しい組成 (Δ17O ~ 0‰) をもつメリライトが形成していたことを示す.以上から,細粒CAI形成環境の円盤ガスには,粗粒CAI形成環境と同様に,16Oに富むリザーバと乏しいリザーバが共存していたことが判明した.

  • 川崎 教行, 和田 壮平, 朴 昌根, 坂本 直哉, 圦本 尚義
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 170-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    CVコンドライト隕石に含まれる9つの凝縮CAIのAl−Mg鉱物アイソクロンを新たに取得した。それぞれのアイソクロンの傾きから導かれた26Al/27Al初生比には,明らかなバリエーションがみられ,(5.19 ± 0.17) × 10−5から (3.35 ± 0.21) × 10−5の間での連続的な広がりを示す。この初生26Al/27Al比の広がりは,CAI形成領域において26Alが均一に分布していた場合には,太陽系星雲ガスからのCAIの高温凝縮プロセスが,太陽系形成最初期の少なくとも約40万年間続いていたことを示す。もしくは,これらのCAI形成領域において,26Al/27Al比が,少なくとも,3.4から5.2 × 10−5にわたり不均一に分布していたのかもしれない。

  • 鈴村 明政, 川崎 教行, 瀬戸 雄介, 圦本 尚義, 伊藤 正一
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 171-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    部分溶融メルトの固結と晶出鉱物の酸素同位体組成との関係を理解することは、CAI形成領域での加熱プロセスやその環境を制約するために重要である。本研究では、NWA 7865 reduced CV3 chondrite中のKU-N-02 Compact Type A CAI (CTA) に対して、SEM-EDS-EBSDによる岩石組織学的観察とTEM(JEOL JEM-2100F, 神戸大学)による鉱物の微細組織観察を行った。そして、数ミクロン以上の大きさの鉱物について、SIMS (CAMECA ims-1280HR,北海道大学)により、局所酸素同位体組成分析を行った。

  • 飯田 享浩, 早川 瑛庸, 飯塚 毅, 比屋根 肇
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 172-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    26Al(半減期約70万年で26Mgに壊変)は、初期太陽系における重要な「時計」として、CAIsやコンドルールの相対年代などの議論に用いられてきた。しかし、その前提となる26Al分布の空間的均一性の仮定についてはさまざまな議論が行われている。本研究では、ICP-MSを用いたMg同位体分析の精度・再現性の向上を目指した基礎実験を行い、そこから得られた手法を用いて始原的なLコンドライトであるNWA 7936隕石 (L 3.15) 中のコンドルールのMg精密同位体分析およびAl/Mg比の分析を行った。その結果、Al/Mg比が太陽組成 (約0.1)から大きく分別していないコンドルールについては、Mg同位体比(μ26Mg*)が地球のMg同位体比と比べて10-20 ppm低い傾向を示すことが見えてきた。この結果から、初期太陽系における26Alの分布について考察したい。

  • 伊藤 健吾, 日比谷 由紀, 本馬 佳賢, 三河内 岳, 飯塚 毅
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 173-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    鉛年代測定法は、隕石試料に対して最も高精度かつ信頼性の高い絶対年代を与えうる。輝石は高精度隕石年代測定に広く用いられているが、ウラン含有量が低いため、輝石粒子にわずかに付着した非放射起源鉛相を除去することが精確な年代測定の鍵となる。この目的のために酸洗浄法が広く用いられているが、その溶出メカニズムについてはよくわかっていない。そこで本研究では、非放射起源鉛の溶出過程を地球化学データと鉱物組織観察を組合せることで初めて明らかにした。隕石輝石フラクションからの非放射起源鉛の溶出は、0.5 M 硝酸使用時には鉱物表面に付着した地球の汚染鉛の離脱により、6 M 硝酸や塩酸使用時には初生鉛に富む硫化物やCaに富む斜長石の溶解により進むことが明らかになった。本研究により、多様な鉱物組み合わせを持つ隕石について、どのような酸洗浄法が効果的に非放射起源鉛を除去できるかを予測することが初めて可能となった。

  • 齊藤 天晴, 日高 洋, 李 承求
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 174-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    HED隕石(ホワルダイト、ユークライト、ダイオジェナイト)は小惑星ベスタの地殻物質であると考えられており、その分析によってベスタの地殻分化過程に関する情報を得ることが期待できる。本研究では、ダイオジェナイト隕石9試料に対してこれまで未着手であったLu-Hf同位体分析を実施し、その分化過程に関する地球化学的・年代学的情報の取得を試みた。塩酸洗浄処理を施したダイオジェナイト試料のLu-Hf同位体データから、年代値と初生比を得ることに成功した。これらの値を、ユークライトのデータ(Bouvier et al., 2015)と比較すると、年代値は誤差範囲内で一致したが、初生比は有意な差を示した。このことは、岩石学的特徴の異なるユークライトとダイオジェナイトが、異なる母成分物質から分化したことを示唆している。

  • 羽場 麻希子, Jörn―Fredrik Wotzlaw, Yi―Jen Lai, 山口 亮, Maria Schönbächler
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 175-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    小惑星ベスタは地殻・マントル・金属コアからなる分化天体である。HED隕石の研究から,ベスタは現在も原始地殻を保持しており,地殻の厚さは約40 kmと見積もられている。一方で,Dawn探査後のシミュレーション研究によってベスタの地殻の厚さは80 km以上に達することが示された。隕石研究と探査結果に基づく地殻の見積もりの不一致は,未だに解決されていないベスタの大きな謎である。ベスタに起源を持つとされるもう一つの隕石に石鉄隕石メソシデライトがある。メソシデライトのO,Cr,Ti同位体組成はHED隕石と完全に一致しており,ベスタに由来すると考えられる。しかし,メソシデライトの形成は母天体の破壊を伴うはずであり,分化構造を保持する従来のベスタ像とは合わない。本研究では,メソシデライトの母天体における熱史を理解し,ベスタとの年代学的な関連性の評価およびベスタにおけるメソシデライトの形成モデルの提唱を試みた。

  • 吉崎 昂, William F. McDonough
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 176-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    地球型惑星の化学組成は,その形成進化過程を理解する上で重要な指標となる。我々は,火星隕石や探査機の物理・化学データを元に,火星の化学組成モデルを新たに構築した。火星や地球は,太陽系内側由来のコンドライト母天体に比べ,より難揮発性の物質から集積したことが明らかになった。火星においても,地球に比べ程度は小さいものの,揮発性が高い中揮発性元素ほど枯渇している傾向が認められ,火星の金属核のS含有量は4 wt%程度と制約される。火星の化学組成,質量,密度,内部モーメントに整合的な内部構造モデリングにより,火星の金属核は天体の24 wt%を占め,その半径は1740 kmと見積もられる。火星全球のUrey比 (0.81) は地球全球の値 (0.43) よりも高く,その原始熱の大部分が失われたことを示唆する。火星と地球の化学組成を比較することで,ハビタブル惑星の形成条件が制約され得る。

  • 鈴木 慧花, 菅 大暉, 山口 亮, 臼井 寛裕, 新田 清文, 関澤 央輝, 高橋 嘉夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 177-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    火星隕石ナクライトにはIddingsiteという変質脈が存在し、この中の変質鉱物には火星での水の痕跡が残されている。しかし、変質鉱物には炭酸塩と硫酸塩(jarositeなど)という異なるEh-pH条件で形成したと考えられる物質が共存しており、火星でのIddingsite形成環境・過程は不明瞭である。また、これらの関係性を正確に議論した研究は今までにほとんどない。本研究ではナクライト隕石Y000593のIddingsiteを対象とし、微量元素とその化学種に着目した分析を行った。従来の隕石分析に用いるSEM・EPMA分析に、放射光をベースとしたX線顕微分析(μ-XRF-XAFS@BL37XU SPring-8とsemi-μ-XRF-XAFS@BL-15A KEK-PF)から得られる知見を組み合わせることで、変質過程の詳細な解明を試みた。

  • 日高 洋, 西泉 邦彦, 米田 成一
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 宇宙化学・惑星化学
    p. 178-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    多くの月隕石は、月面で長時間にわたる宇宙線照射を受け、月から脱出して地球に到達するまでの遷移時間は短いと考えられている。本研究では、一連の宇宙線生成核種の存在度とサマリウムの中性子捕獲による同位体シフトのデータを組み合わせることにより、月隕石のより詳細な宇宙線照射履歴について考察した。本研究に用いた7つの試料のうち、5つについては月面の浅い部分で160~740 Maの長期間にわたり宇宙線照射を受けていたと考えられる。一方、残りの2つについては、より深い部分で長期間にわたる照射を受けていたと考えられるが、その照射履歴は単純ではなく、多段階によるものと考えられる。

G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
  • 北台 紀夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 179-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    深海熱水噴出孔環境は,地球生命が誕生した可能性が最も高い場所として注目されています.しかし,このような場で生命の原材料である有機化合物が作り出されるメカニズムはまだよくわかっていません.今回の発表では,初期海洋底の熱水噴出孔環境で生じていたと推測される電気化学反応場を模擬した室内実験から明らかとなってきた,熱水のエネルギーを駆動力とした新たなメカニズムを紹介します.

  • 大竹 翼, 東野 駿太, 川喜田 竜平, 佐藤 努
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 180-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    低温蛇紋岩化反応においてその水素生成量に与える鉱物学的もしくは地球化学的な要因を明らかにするために様々な産地の超苦鉄質岩を用いて水素生成実験を行なった。その結果、紋岩化の程度が低い試料ほど水素生成量が高い傾向がみられた。また、ハルツバージャイトの方がダナイトよりも水素生成量が高い傾向がみられた。溶液分析の結果から溶存シリカ濃度が高い試料が水素生成量が高く、高シリカ濃度の系においては溶液の化学組成はマグネシウムケイ酸塩水和物 (M-S-H) によって規定されていると考えられ、M-S-HがMg(OH)2に比べて低いpHに緩衝することでカンラン石や輝石の溶解速度が上昇し、高い水素生成量をもたらしたと考えられる。

  • 内田 翔子, 橋本 洋平
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 181-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    日本の農地には、これまでリン肥料が過剰に施用されてきたことによって、高濃度のリンが蓄積し、作物病害の誘発など様々な問題につながっている。特に黒ボク土と呼ばれるアロフェンを含む土壌が分布する農地で、リンの過剰な蓄積が起こっている。黒ボク土には、リン吸着量の大きいフェリハイドライトも含まれている。したがって、アロフェンとフェリハイドライトへのリンの吸着特性を明らかにすることが、黒ボク土の農地におけるリン蓄積を理解するうえで重要といえる。本研究では、アロフェンおよびフェリハイドライトの混合系におけるリンの吸着特性を、吸着等温線とX線吸収微細構造分光法(XAFS法)を用いて、リンの鉱物間の分配を明らかにすることを目的とした。実験の結果、溶液中のリンの平衡濃度が低い場合には、フェリハイドライトよりもアロフェンへリンが選択的に吸着することが確認された。

  • 伊地知 雄太, 大野 剛, 高橋 嘉夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 182-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    炭酸塩鉱物として地球史上に幅広く存在する炭酸カルシウムは、カルサイト・アラゴナイトの結晶多形が環境中で主に存在する。海洋で炭酸塩が沈殿する際の多形選択は海水のMg/Ca比に依存し、炭酸塩骨格生物の進化に影響してきたと考えられている (Stanley and Hardie, 1996)。しかし、Mg/Ca比がなぜ炭酸カルシウムの多形選択に影響するかは、未だに統一的な理解がされていない。無機化学的な実験報告によると、マグネシウム以外に銅や亜鉛といったカルシウムよりイオン半径が小さい二価金属イオンが溶液に共存するとアラゴナイトが沈殿することが知られている (北野、1990)。そこで本研究では、炭酸カルシウム多形選択に影響する二価金属イオンの共沈構造を明らかにすることを目的に、X線吸収端微細構造 (XAFS) 解析を用いてマグネシウム、ストロンチウム、銅の局所構造解析を行った。

  • 田中 雅人, 柏原 輝彦, 高橋 嘉夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 183-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    モリブデン(Mo)は、鉄マンガン酸化物への吸着に伴って大きな同位体分別を起こすが、その原因はマンガン酸化物への吸着に伴って四面体(Td)から歪んだ八面体(Oh)へ構造変化するためであることが、X線吸収微細構造(XAFS)法の解析から示唆されている。近年、我々はMoがマンガン酸化物への吸着に伴う大きな同位体分別を起こす要因として、適切なイオン半径とd0電子配置を持つことが重要であることを明らかにした(Tanaka et al., 2018)。バナジウム(V)(V)は、Mo(VI)と同様なイオン半径とd0電子配置を持つため、Moと同様な挙動をしていることが期待される。本研究では、高感度・高エネルギー分解能をもつ超伝導転移端センサー(TES)をXAFS法に適用して、VのKα線を検出することで得た蛍光XAFSスペクトルにより、海底鉄マンガン酸化物中のVの化学種および吸着構造を調べた。

  • 加藤 真悟
    原稿種別: 口頭発表
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 184-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    地球表層環境において、水と固体の境界面には微生物が普遍的に生息している。ある種の微生物の代謝反応は鉱物の生成・溶解を促進・抑制するため、天然の水—鉱物反応を理解する上で微生物の存在は無視できない。 深海底の熱水噴出域で見つかる硫化物沈殿物にも、微生物が豊富に存在することが知られている。熱水を活発に噴出する硫化物チムニーには、その熱水に含まれる還元型硫黄や水素をエネルギー源として食べて生きる好熱性の微生物が存在することがわかっている。一方で、熱水噴出を終えた後に冷たい海底に残された硫化物沈殿物にも、多種多様な微生物が豊富に存在する(例えばKato et al., 2010, Appl. Environ. Microbiol.; Kato et al., 2015, Environ. Microbiol.)。それらの微生物のほとんどが、系統分類学的に新規性の高い未培養微生物であり、熱水を噴出しているチムニーに生息する微生物とも全く種類が異なる。このことは、それらの未培養微生物の代謝機能を、既知の微生物との系統関係から推定することが困難であることを意味する。そこで本研究では、環境試料中に含まれるゲノム配列をまるごと解読するメタゲノム解析によって、冷たい海底に残された硫化物沈殿物に優占する未培養微生物の代謝機能を決定することにした。その結果、それらの未培養微生物の中には、還元型の硫黄や鉄、さらには水素をエネルギー源として炭酸固定をすることができる化学合成独立栄養微生物が含まれることが示された(Kato et al., 2018, Environ. Microbiol.; Kato et al., in press, Microbes Environ.)。本講演では、冷たい硫化物沈殿物に形成される化学合成生態系が、どのように硫化物沈殿物の風化プロセスに寄与するのかを議論する。

  • 孫 静, Shitong Yang, Haibo Qin, 田中 雅人, 高橋 嘉夫, 実松 健造
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 185-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    Vertical changes of Ni and Mn in a Myanmar lateritic regolith by XAFS and other techniques

  • Haibo Qin, Shitong Yang, Kenzo Sanematsu, Carlo Arcilla, Yoshio Takaha ...
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 186-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    The distribution and speciation of scandium (Sc) in the limonite layer in laterite were examined by μ-XRF mapping and X-ray absorption fine structure (XAFS) spectroscopy in this study. In addition, similar information such as speciation was obtained also for other rare earth elements including yttrium (REY) to compare geochemical behaviors between Sc and REY.

  • 八木 晃, 伊藤 正一, 石川 晃, 渋谷 岳造, 上野 雄一郎
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 187-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、SIMSによる輝石の水素同位体分析法を開発することを目的とした。標準試料にはソロモン諸島マライタ島産メガクリストの輝石SAX34(Ishikawa et al., 2004)を用いた。SAX34を包有物のない純粋な部分のみ粉末化後、熱分解型元素分析/同位体比質量分析計(TCEA/MAT253 IRMS)を用いて水素同位体比および含水量を測定した。標準試料SAX34の水素同位体比はδDVSMOW=-91‰、含水量は1120 ppm wt H2Oであった。また結晶内の含水量及び水素同位体組成の均質性をSIMSにより評価した結果、含水量は、1120±40ppmで均質であり、水素同位体組成は、測定誤差範囲内と等しく約20‰の範囲で均質と評価できた。講演ではこの開発した手法を用いて太古代斑レイ岩中の輝石の水素同位体比を含めた太古代のマントルの水素同位体組成について議論する。

  • 秋澤 紀克, 三宅 亮, 土'山 明, 横山 祐典, 阿瀬 貴博
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 188-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    中央海嶺における熱水循環のうち,マントルまで到達するような深部熱水循環は海洋プレートの弱化に多大に寄与すると考えられる.つまり,沈み込み帯での海洋プレートの折り曲がりに影響を与え,プレートテクトニクスの維持に寄与している可能性がある.そこで,深部熱水循環の実態を理解することは,地球のダイナミックな動きを正確に捉えることにつながるため重要であると言える.本研究では,オマーンオフィオライトで報告されている深部熱水循環によって形成されたと考えられているディオプシダイトを用いて,その形成に関わった熱水の化学特性を明らかにすると共に,その形成年代特定を行う.そして,深部熱水循環の実態を理解することを目指す.

G11 放射性核種の環境動態:放射性廃棄物処分や原発事故などと関連して
  • 池田 和隆
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G11 放射性核種の環境動態:放射性廃棄物処分や原発事故などと関連して
    p. 189-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    全国各地のモニタリングポストで測定されている空間線量率は、降雨の影響により大幅に変化する。福島第一原発事故による放射能汚染地域を除いて、その線量率は自然放射性元素由来の範囲ではあるが、変化が大きいため原子力発電所からの微量な放射性物質の放出を監視するうえで、わかりにくい状況を呈している。空間線量率の相対比を用いて降雨の影響を抑え、原発の監視を強化する方法を考案した。 原子力規制委員会のホームページから、原発周辺のモニタリングポストの10分毎のデータをダウンロードすることができる。公開されているデータの中から、基準となる測定局を選定し、それから半径3kmの範囲に存在する測定局のうち、原発を取り囲むように配置されているものを対象に検討を行った。降雨の影響が抑えられ、原発から放射性物質の放出があれば、顕著なレスポンスが得られるものと考える。

  • 野俣 直樹, 角野 浩史, 桜庭 真依子
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G11 放射性核種の環境動態:放射性廃棄物処分や原発事故などと関連して
    p. 190-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    水資源として貴重な地下水が、どこを水源(涵養値)として、どの程度の時間を掛けて利用地域まで流れてくるか、といった情報を明らかにする上で地下水の滞留年代は重要である。なかでも3H-3He(トリチウム-3ヘリウム)法は、3Hが放射壊変して生じる3He の量から、滞留年代と初期3H濃度を同時に求めるため、水の起源に関する情報も得ることができる。当研究室では、2011年の福島第一原子力発電所の事故で汚染が懸念される、福島県沿岸部の地下水流動系を3H-3He 法を用いて解明し、汚染状況を把握することを試みた。しかし、3H濃度決定の再現性や精度も不十分であったため、実際に算出された値の信頼性は低く、滞留時間を議論することができていない。そこで、IAEAから提供された3H濃度が既知の標準試料水を分析することで精度を検証し、より信頼性の高い3H-3He 法の開発を目指した。

G06 固体地球の化学とダイナミクス
G11 放射性核種の環境動態:放射性廃棄物処分や原発事故などと関連して
  • 矢板 毅
    原稿種別: 口頭発表
    専門分野: G11 放射性核種の環境動態:放射性廃棄物処分や原発事故などと関連して
    p. 192-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    日本原子力研究開発機構(JAEA)では、SPring-8のRIラボラトリー内に専用ビームラインとして2本のビームラインを設置し、一般的な物質科学研究に加え、放射性物質の化学挙動解明を実施しており、近年東京電力福島第一原子力発電所(1F)の事故を通じて、環境中における放射性物質の化学挙動に関する研究を実施している。本講演では、JAEA専用ビームラインの紹介と、特にこれらのビームラインを用いた放射性物質の化学挙動解明研究において得られた知見について紹介する。

  • 徳永 紘平, 高橋 嘉夫, 香西 直文
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G11 放射性核種の環境動態:放射性廃棄物処分や原発事故などと関連して
    p. 193-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    福島第一原子力発電所事故によって放出された放射性ストロンチウム(Sr)は、海水中の他の元素の影響を受けやすいため従来の鉱物や樹脂を用いた処理が難しく、福島の海水を含む汚染水からの有効な除去技術は未だ開発されていない。本研究では、これら多種の放射性核種に対する新規の除去法として、バライト構造の一部をカルシウム(Ca) などの不純物で置換させ、結晶構造に不安定性を与えたバライト試料(Ca部分置換のバライト試料)を利用した、放射性Srの新しい固定化法の開発を行った。

  • 奥村 大河, 菅 大暉, 高橋 嘉夫, 小暮 敏博
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G11 放射性核種の環境動態:放射性廃棄物処分や原発事故などと関連して
    p. 194-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    福島原発事故発生時に2号機内部で生成され放出された数ミクロンの放射性セシウム含有微粒子について、そこに含まれるFeの価数や軽元素の有無についてTEM/STEMやSTXMで調べた。その結果、微粒子中に固溶しているFeは2価が主であり形成時は酸素分圧がかなり低かったこと、Naが数パーセント含まれ海水の寄与があったこと、ボロン(B)はほとんど含まれずB4C制御棒はほとんどがステンレスと共晶を形成して溶融したことが示唆された。

  • 三浦 輝, 栗原 雄一, 山本 政儀, 坂口 綾, 桧垣 正吾, 高橋 嘉夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G11 放射性核種の環境動態:放射性廃棄物処分や原発事故などと関連して
    p. 195-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    福島原発事故により、放射性セシウム(Cs)を含む不溶性微粒子(Type-A)が環境中に放出された。Type-Aは134Cs/137Cs放射能比などから二号機もしくは三号機由来であると考えられている。その後、一号機由来と考えられる新たな不溶性微粒子(Type-B)が報告された。本研究では放射光X線を用いた分析により、Type-A、Type-B中に含まれるそれぞれのUの化学状態を調べることを目的とした。分析の結果、Type-B中のU粒子の大きさは数ミクロンであり、Ochiai et al. (2018) で報告されたType-A中のUを含むナノ粒子よりも大きいことが分かった。この違いはType-A中のU粒子が蒸気から生成されたのに対し、Type-Bではメルトから生成された可能性を示唆する。Type-Bにおいて、Uが検出される部分では燃料被覆管に用いられているZrも検出されることから、Type-BでもType-Aと同様にUはZrと共融混合物を形成していると考えられる。

  • 森井 志織, 鍵 裕之, 桧垣 正吾
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G11 放射性核種の環境動態:放射性廃棄物処分や原発事故などと関連して
    p. 196-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    福島第一原発事故により環境中に放出された放射性セシウムの形態の一つとして、不溶性セシウム粒子 (CsMPs)が放出されている (Adachi et al., 2013)。本研究では2012年春に福島県の一般市民が日常生活の中で着用した不織布製マスクに付着した放射性セシウム(Higaki et al., 2014)について、CsMPsに特に注目して分析を行い、CsMPsの経時分布の把握、事故由来の放射性セシウムの形態、放出後の再飛散などについて明らかにする。マスク1枚ずつから放射性セシウムの定量測定を行い、1 Bq以上の放射性セシウムが検出されたマスクからCsMPsを探索した。測定した結果、4枚のマスクから1 Bq以上の放射性セシウムが検出され、2019年7月現在までに2つのCsMPsがマスクから単離されている。これらの粒子は2号機由来であると考えられている。

  • 津旨 大輔, 神田 穣太
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G11 放射性核種の環境動態:放射性廃棄物処分や原発事故などと関連して
    p. 197-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    福島第一原子力発電所事故によって、放射性物質が海洋に放出された。主要な放出経路として大気からの降下と福島第一原発敷地からの直接漏洩がある。主要な核種である放射性セシウム137を対象に、それぞれの放出率の推定が行うと共に、沿岸域および北太平洋スケールの環境動態解析が行われた。さらには、陸域に降下した放射性物質の河川から海洋への供給過程の解析も行われている。また、海底堆積物および海生生物への移行過程の解析が行われ、その際の高線量粒子の役割についての検討も開始されている。これまでの研究成果をまとめ、将来予測も含めた今度の展望を述べた。

  • 高田 兵衛, 帰山 秀樹, 花木 祥太朗, 井上 睦夫, 青山 道夫, 青野 辰雄
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G11 放射性核種の環境動態:放射性廃棄物処分や原発事故などと関連して
    p. 198-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    沿岸域における放射性セシウムの中長期的な動態を理解するためには、陸域からの放射性セシウムの供給と、沿岸域における輸送特性に着目した量的収支を把握することが必要である。そこで、陸域と海域での同時観測を行い、福島県南部の放射性セシウム濃度マップ、すなわちスナップショットを作成した。調査の結果、陸と海の境界領域である、河口付近において両域に比べわずかに高い溶存態セシウムが検出された。これは塩分変化に伴う、粒子態からの溶離による付加も一因と考えられるが、その他の要因も含めて総合的に議論する必要がある。

G06 固体地球の化学とダイナミクス
feedback
Top