痛風における腎結石の合併を調査する目的で,最近3年間に来院した84例の痛風患者の腎臓をマルチスライスヘリカルCTで検査した.撮像はスライス厚2mm,ヘリカルピッチ3で行い,画像再構成間隔は3mmとした.84例中32例の腎孟周囲や腎杯に腎結石や尿酸塩の沈着と思われるmetal densityやhigh density spotsが認められた.このことから,痛風患者における尿路結石の有病率は38%に上ると推定される.32例のうち,自然排石や体外衝撃波結石破砕術,手術などで尿路結石症の既往が確認されているものは10例(31%),X線検査や超音波検査で既に腎結石と診断されていたものは2例(6%)で,残りの20例(63%)は臨床的には無症状で,今回のスクリーニングにより初めて腎結石と診断された.超音波検査とマルチスライスCTの検査結果にはかなりのdiscrepancyが認められた.ヘリカルCTは腎結石の診断には非常に有用であり,その数だけでなく,大きさ,位置などをかなり詳細に知ることができる.撮影条件を一定にすれば再現性のある画像がえられ,結石の発生,消失などの経時的変化が比較でき,痛風における腎結石合併に関する臨床研究に新しい展開が期待できる.
抄録全体を表示